北杜夫の「楡家の人びと 第一部」

北杜夫の「楡家の人びと 第一部」を読了。北杜夫がトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人々」に影響を受けて、自身の一家のことを小説にしたもの。何せ斎藤茂吉と北杜夫という二人の偉大な文学者を出した家系ですから、さぞかし文学的な葛藤に満ち満ちたものだと想像していたら、まるで違いました。北杜夫のお祖父さんにあたる、ドクトル楡基一郎という人の破天荒な行動力とそのはったり人生にある意味圧倒されます。北杜夫のある意味奇矯な行動は、双極性障害(躁うつ病)という病気のせいだと今まで思っていましたが、北杜夫はかなりこの祖父の性格を受け継いでいるんじゃないかと思いました。関東大震災でも大きな被害を受けなかった楡脳病院が、火事を出してしまい、斎藤茂吉がドイツ留学中苦労して集めた医学書が全部焼けてしまった、というのに胸を打たれます。第一部は楡基一郎が火事による打撃にもめげずに、世田谷区松原に新しい病棟を建てようとして測量に行き、そこで倒れて命を落とす所で終わります。

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