大西康之の「東芝解体 電機メーカーが消える日」

大西康之の「東芝解体 電機メーカーが消える日」を読了。何というか、中身の薄い本です。色んな人にじっくり取材して、よく調査して書いたという感じではなく、何かこの著者独特の「史観」みたいなものに基づいて、電機メーカー・電気メーカーの失敗をあれこれあげつらっているだけの本です。致命的な欠陥といえるのは、そういう失敗を挙げるだけで、ではこれからどうしていくのかという提言がほとんどないこと。やっているのは海外メーカーで成功している会社の例を挙げるだけで、そういうのなら誰でも出来ると思うんだけど。それからこの著者は日経新聞出身ですが、失敗を繰り返してきたエレクトロニクスメーカーの経営者にヨイショした記事をばらまいていたのはまさに日経新聞だと思うけど、その辺りの反省はまるでないですね。
また、「携帯電話もスマートフォンが普及し始めた2000年ごろまでは、NEC、パナソニック、シャープといった日本メーカーが世界シェアの上位に顔を出していたが」(P.31)という説明には笑ってしまいます。確かに2000年頃既にスマートフォンと称するものはありましたが、それはiPhone以降のものとはまったく別なマイナーなものでした。またいわゆるガラケーの頃の世界シェアはノキア、モトローラ、エリクソンといった海外メーカーが上位を占め、日本メーカーなど10位にやっと入るかぐらいで、日本メーカーが上位に顔を出していたことはありません。

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