大橋拓文の「囲碁AI時代の新布石法」

大橋拓文(プロ棋士6段)の「囲碁AI時代の新布石法」を読了。大橋6段は、アルファ碁の棋譜の分析で最近名前を良く目にする棋士です。アルファ碁やDeepZenの打ち方に触発されて、昭和の初めに囲碁界に革命を起こしたいわゆる「新布石」の打ち方を見直してみようとしている本です。新布石は、昭和8年に呉清源と木谷実という2人の天才棋士が考え出したもので、それまでの隅をまず打ち、次に辺へ展開し、という順序の打ち方を180°転換して中央の重視を打ち出した打ち方です。囲碁ライターでプロ棋士級の棋力もあった安永一が本を書いて、それが囲碁の本としては異例のベストセラーになりました。(私も持っています。)この新しい布石は当時のプロ棋士の間で一時爆発的に流行するのですが、やがて古い布石との融和が起こり、星や三々を多用する現代布石となって落ち着きます。また発展として武宮宇宙流となって花開きます。この最初に爆発的に流行した時に実に意欲的な布石が多く試されたのですが、結局結論は出ずブームは去ってしまいました。最近のプロの碁は、国際棋戦を代表として持ち時間が3時間程度と短くなり、布石であまり時間を使うのは不利であり、プロ棋士の間であまり斬新な布石が打たれることはありません。例外は、張栩9段と蘇耀国8段がNHK杯戦で見せたブラックホールぐらいです。この本では同じブラックホールの名前でも中央で正方形に構える打ち方が推奨されています。アマチュアは自由に打てるのですから、どんどん新しい布石を試せばいいのですが、斬新な布石はその後の構想力が強く求められるため、なかなか最後まで勝ちきるように打つのは大変です。AIの囲碁に関しては、布石については人間の真似でそんなに斬新な布石を打っているという記憶はなかったのですが、GodMovesという謎の打ち手(たぶんAI)が現れ、初手天元や、中央での一間構えを打ったそうです。
戦いの本とか詰碁の本は棋力が要求されますが、そういうのに比べると布石の本は気楽に読め夢もあるので、お勧めです。

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