三遊亭圓楽(五代目)の「目黒のさんま、たらちね、三年目」

jpeg000 121今日の落語は、三遊亭圓楽(五代目)の「目黒のさんま、たらちね、三年目」です。「目黒のさんま」を通して聴いたことがないのですが、志ん朝のは見つからなかったので、圓楽のにしてみました。
まくらで二・二六事件の高橋是清が出て来るのがちょっと変わっています。また明るい話しぶりはいいと思いますが、お客を笑わせる前に自分が笑っているような所があり、あまり味わい深さは感じません。この人も若い時は志ん朝・談志などと並んで若手四天王と呼ばれましたが、芸では志ん朝にまるで敵わないと思います。

小林信彦の「イエスタデイ・ワンス・モア」

jpeg000 110小林信彦の「イエスタデイ・ワンス・モア」を再読。1989年に出版された作品です。ある高校生が1959年の東京にタイムスリップする話です。この1959年は小林信彦にとっては特別な年で、江戸川乱歩に見いだされ、宝石社のヒッチコックマガジンの編集長になった年です。「夢の砦」がその時の経験を描いていますが、「夢の砦」では1961年に舞台が移されています。その理由は、1959年を舞台にすると、59年から60年での安保闘争を描かざるを得ないからと作者が説明しています。「イエスタデイ・ワンス・モア」ではその安保闘争に主人公が参加するシーンがあります。
1959年時点では、東京にはまだ高速道路もなく、高層ビルもありませんでしたが、そうした東京の風景と当時の風俗が生き生きと描写されています。主人公が1959年に来て放送作家で生計を立てる、というのはちょっとまたか、という感じもしますけど。