読売新聞社の「第二十二期棋聖決定七番勝負 激闘譜 棋聖趙治勲 挑戦者碁聖依田紀基」

読売新聞社の「第二十二期棋聖決定七番勝負 激闘譜 棋聖趙治勲 挑戦者碁聖依田紀基」を読了。依田紀基が碁聖を3連覇した勢いをもって、初の三代タイトルである棋聖位をかけて、趙治勲名誉名人に挑戦した戦いです。依田紀基は若い時から名前が通っていて、よく故藤沢秀行名誉棋聖の教えを受けていました。で、初めての二日制の七番勝負になりましたが、依田の方が二日制の対局に慣れていない感じで、出だしから3連敗します。しかし、そこから盛り返して2勝しますが、第6局では依田が形勢を楽観していて、守りの手を打って負けてしまいます。結果的に4勝2敗でしたが、内容を見れば依田は決して趙治勲名誉名人に負けていなかった感じです。その事は2年後の名人戦で、趙治勲名誉名人に勝って初の名人位を獲得したことからもわかります。

角井亮一の「アマゾンと物流大戦争」

角井亮一(物流代行会社経営兼物流コンサルタント)の「アマゾンと物流大戦争」を読了。
2016年の9月に出た本ですが、残念ながら既に情報は古くなっており、例えばAmazonがアメリカで自前で物流をやり出したことには、触れられていません。でもまあその前の状況はわかって、アメリカではWeb通販の配送はUPSのシェアが非常に高いのですが、AmazonはUPSの比率を30%以下に抑え、USPS(米国郵便)を積極的に使っていたみたいです。その使い方は、一番手間のかかる仕分けの所をAmazonが行ってそれからUSPSに荷物を渡していたみたいです。
また、私は以前Facebookのポストで「Amazonの次のターゲットはスーパーマーケット」と書きましたが、アメリカでは既にAmazonと小売り最大のウォルマートが激戦を繰り広げていました。Amazonは株式の時価総額では既にウォルマートを抜いていますが、小売り業としての売上ではまだ世界12位に過ぎません。(日本ではイオングループがかろうじて16位です。)ウォルマートはAmazonに対抗して、Amazonと同様のサービスを展開する「ジェット・ドットコム」を買収、とかなり熾烈な争いをしています。
それでは日本はどうかというと、日本のネットスーパーでは、私が使ったことがあるイトーヨーカドーがネットスーパーとしては売上が一番大きいそうです。ただ、私が使っていた時は、店舗型のネットスーパーでしたが、今は別に物流センターを設けてのセンター型に変わっているみたいです。
興味深いのが、楽天も自社で物流をやろうとして、結局大赤字を出して現在ほとんど撤退状態なのだとか。(楽天物流)それに対して、自社物流をやって成功している例としてアスクルが出てきます。しかしアスクルも先日埼玉の物流センターで大火事を出して、その物流戦略に疑問が出されている今日この頃です。また、これは知らなかったのですが、ヨドバシカメラもエクスプレスメール便という一番早く着くサービスについては、自社で物流をやっているんだそうです。
日本に話を限定すると、今、日本のAmazonが日本の宅配便の個数に占める割合は、推定で十数%に既になっています。この数字は、福山通運や西濃運輸といった弱小の宅配会社数社の合計を合わせたものより大きくなっています。アメリカで物流を自社でやり始めたように、今後は日本でも自前での物流の比率が増えていくと思われます。今回のクロネコヤマトの騒動、長い目で見れば、日本発の物流サービスが、アメリカ発のロジスティクスを最優先にする企業の進化についていけなくなって、撤退を余儀なくされたターニングポイントと位置付けられるのかもしれません。

NHK杯戦囲碁 一力遼7段 対 井山裕太棋聖 (決勝戦)

本日のNHK杯戦の囲碁は、いよいよ決勝戦で一力遼7段の黒番、井山裕太棋聖の白番です。どちらが勝っても初優勝になります。対局は右上隅で黒がかかって来た白を一間に挟んだのに、白が両ガカリで挟み返したのが珍しい打ち方でした。上辺の白は黒石一子を抱えて治まりましたが黒は当てと継ぎを利かしました。この後、白はこの黒3子を攻撃目標にして全局を組み立てていきました。白は左辺の黒にもたれていき中央を厚くし、上辺から中央に延びる黒を狙っていきました。黒はこの大石から左辺に向かって一間に飛びましたが、これがある意味疑問手で白に上からのぞかれてしのぎが見えなくなりました。黒は包囲している右側の白にアヤを求めて打ち、結果的には白の包囲網を破り、白2子を取って活き、上辺3子も連れ戻すことが出来、ここでは黒が優勢になったかと思いました。しかし白は右辺の黒模様になだれ込んでおり、また黒が活きたことにより薄くなった左上隅も下がりを打って頑張りました。手を抜いた右辺の白は攻められましたが、井山棋聖はここで見事にしのぎました。その後黒の一等地である右下隅の折衝になりましたが、ここでも白の打ち方が冴え、かなり黒地を減らすことに成功しました。その後、逆に黒が下辺の白地を荒らしにいきましたが、井山棋聖は無難に切り抜けました。これで白が勝勢になりました。その後白は右下隅の黒をいじめ、黒が頑張ったので結果的に劫になりましたが、この劫に負けても包囲している白は活きており、ここで黒の投了になりました。井山棋聖はNHK杯初優勝です。これで国内の公式タイトルを全て一度以上獲得したことになりました。スーパーグランドスラムとでもいうべきでしょうか。この後、井山棋聖と一力7段はアジアTV早碁選手権に出場になりますが、頑張って欲しいものです。

鹿児島の菓子「春駒」

獅子文六の「海軍」の中で、主人公が鹿児島の菓子「春駒」を食べるシーンがあり、懐かしくなって取り寄せてみました。(私は高校の3年間は鹿児島市で過ごしました。)さすがのAmazonでも扱っていなくて、「明石家」という、これまた鹿児島の菓子でもっとも有名な「軽羹」で有名な店のWeb通販で買いました。「春駒」は元々「ウマンマラ」(馬のアレ)と呼ばれていましたが、島津久光が「春駒」に改めたのだそうです。他の地域のお菓子でいえば、外郎(ういろう)に近いですが、米粉と小豆を練って固めた素朴な味です。

読売新聞社の「第二十一期 棋聖決定七番勝負 激闘譜 棋聖趙治勲 九段小林覚」

読売新聞社の「第二十一期 棋聖決定七番勝負 激闘譜 棋聖趙治勲 九段小林覚」を読了。二人の三年越しの棋聖戦での対決の最後の年。1年目は小林覚が勝利して棋聖位をもぎ取り、2年目にすかさず趙治勲がタイトルを奪い返し、決着の3年目。この棋聖戦が始まる直前までの二人の対戦成績は小林覚から見て18勝19敗とほぼ互角でした。しかしながら、第1、2局と趙が連勝し、小林が第3局で一矢報いたものの、第4、5局とまた趙が連勝し、ある意味あっけなく趙の防衛が決まりました。最終局は小林にとっては惜しい一戦で、ヨセに入るまで白の小林がリードを保っていましたが、左下隅へのハネツギにかけついだのが一路違っていたためにその後黒からの先手のヨセを喰い、折角の好局を逆転されてしまいました。趙治勲名誉名人はこの前年、二度目の大三冠を達成しており絶好調でした。小林覚は敗れたとはいえ、全盛期の趙治勲名誉名人に互角に近い所まで戦ったということで、十分評価される内容だと思います。小林覚九段は、2007年の第31期棋聖戦でも挑戦者として登場しますが、この時も棋聖位は奪取ならず、今の所棋聖位は1期だけに終わっています。