E. M. フォースターの「ハワーズ・エンド」

E. M. フォースターの「ハワーズ・エンド」を再読了。この作品は、「インドへの道」と並んでフォースターの代表作とされる作品ですが、以前(25年くらい前)に読んだ時は、翻訳のせいなのかピンと来ないお話しでした。今回、別の翻訳で読んで初めてこの小説がわかったような気がします。ハワーズ・エンドは、ロンドンから鉄道で40分ばかりの郊外にある、ウィルコックス家の小さな屋敷で、フォースターが母親と幼少期に暮らした「ルークス・ネスト」がモデルになっています。お話しはこのウィルコックス家と、ドイツ軍人であったけどイギリスに帰化した父親を持つ、シュレーゲル家の姉妹の関わりを中心に進みます。最初に、シュレーゲル家の妹の方であるヘレンが、ハワーズ・エンドに滞在し、そこでウィルコックス家のポールと一夜での恋愛関係に陥り結婚騒ぎになりますが、すぐに熱が冷めて二人は別れます。そうこうしている内に、ロンドンのシュレーゲル家の近くにウィルコックス家が引っ越してきて、姉のマーガレットがウィルコックス夫人と親しくなります。しかし、夫人は病死します。その際に何故かマーガレットにハワーズ・エンドを送るという遺志を残しますが、遺族はそれを無視します。という具合に始まり、最後はシュレーゲル家の姉妹が結局ハワーズ・エンドに住むことになるのですが、このハワーズ・エンドという屋敷自体が何か神秘的な力を秘めているものとして描かれています。また、サブタイトルが”Only connect…”(ただ結び合わせよ…)なのですが、そのサブタイトル通りに、このお話しはイギリスとドイツの出会いと結びつき、またイギリスの上流階級と労働者階級の結びつきを描いています。波瀾万丈といったストーリー展開ではないのですが、何故かしみじみと心に染みる作品です。