中里介山の「大菩薩峠」第1巻

中里介山の「大菩薩峠」全20巻の内の第1巻を読了。ついにこの未完の大作に再挑戦することにしました。20代の終わりの頃一度読みましたが、10巻くらいで挫折。理由はその辺りになると時間の流れがほとんど停滞してしまいお話が進まなくなり読み進める気力をなくしたからでした。今回は何とか最後まで行ければいいと思いますが、さてどうなるか。
途中からだれるこの小説ですが、出だしはこの上なく魅力的です。まず題名にもある大菩薩峠で、巡礼の老人が主人公である机龍之助に一刀の下に斬られます。何故龍之助は老巡礼を斬ったのか、このことに何の説明もなく、読者は龍之助の冷酷無残な性格について強烈に印象づけられます。
後の巻になって盲目となった龍之助は夜な夜な辻斬りに出かける悪鬼羅刹のような殺人鬼に成り果てるのですが、この巻での龍之助はまだ多少人間的で、自分が試合で打ち殺した宇都木文之丞の妻であったお浜を自分の妻として、子供まで設けます。また大和の国三輪で世話になった植田丹後守には、父親であった弾正を思い出して神妙に仕えたりします。
表紙の写真のようにこの小説は5回も映画化されていますが、映画が扱っているのは最初の方だけです。この辺りは「富士に立つ影」と事情は同じです。

私の外国語歴

私の人生で、「外国語の学習」はきわめて大きな部分を占めています。
今まで少しでも手を出した外国語は1ダースを超えています。
時間をかけた順番で言うと、

1.英語
これはまあ仕事の必要性に応じてですね。以下の英語以外の外国語をやらずに英語だけに集中していたら、とっくにネイティブ並みになっていたと思います。なんで50台に入るまで英語に集中しなかったかというと、戦争で広島と長崎に原爆を落としたアメリカを心のどこかで今でも許せない気持ちがあって、本当の意味でアメリカが好きにはなれなかったからです。

2.ドイツ語
大学の卒業した学科が、「ドイツの文化と社会」という所だったので、大学時代の特に後半2年間は集中してやり、ゲーテインスティチュートというドイツ語の会話学校にも2年間通いました。卒論もドイツ語で書きました。とはいえ、卒業以降ほとんど使っていないので、かなりの部分忘れていますが…

3.韓国語
最初に勤めた会社で仕事で30回以上韓国に出張していたので、必要に迫られての学習です。NHKのラジオの韓国語講座を2回やりました。まあ片言レベルですが、韓国語の歌なら日本語の一切出てこない現地のカラオケで20曲以上歌えます。

4.古典ラテン語
大学の時、1年生の時1回トライして挫折し、4年生の時再トライして半年間受講し、Aをもらいました。その後社会人になってから、大学時代に使った教科書の残りの半分を独学でやりました。その教科書(英語)の練習問題の答を私のHPに載せているので、私のHPのビジターの約7割はアメリカからです。

5.古典ギリシア語
ラテン語の文法を一通りやったので、その後古典ギリシア語にもチャレンジ。”Teach Yourself Ancient Greek “という英語の教科書を独学でコツコツ数年間やって教科書の8割くらいまでやりましたが、「うつ」になったので中断したままです。

6.イタリア語
これは最近やっているもので、オペラを聴くのにイタリア語がわかったらいいなという動機です。英語の片手間に月に4日間しか時間を割いていませんが、NHKのラジオ講座を聴いてもう2年と4ヵ月に達し、それなりにはわかるようになってきました。

7.ロシア語
大学の時に第3外国語の授業を取って半年間受講。結構真面目にやりましたが、諸般の事情で単位は取っていません。さすがにほとんど忘れています。

8.フランス語
これも大学の時に第3外国語の授業で半年履修。こちらはかなりいい加減にしかやらなったのですが、何故か単位だけは取っています。Cでしたけど。

9.スペイン語
これも大学の時に第3外国語の授業で取ったけど、教科書買って数回授業に出た程度で挫折。

10.マレー語(インドネシア語)
最初の会社の時に、シンガポールの工場の担当で、現地スタッフがマレー語を話すので、ちょっと興味があって、ほんの少し学習。辞書は買ってもっています。いくつかのフレーズをちょっと暗記しているぐらいのレベル。

11.広東語
これまでの中に中国語が入っていませんが、私は中国があまり好きじゃないので意図的に避けています。その代わりといっては何ですが、香港ノワールの映画(「男たちの挽歌」など)が好きだったので、その関連で教科書を買ってちょっとだけ学習。2つくらいのフレーズを記憶している程度。

12.フィンランド語
今の会社の仕事でつきあいがあったのと、「欧州で一番難しい言葉」というのにつられてテキストを購入。しかし実際にはほとんど勉強していません。

13.その他
教科書を買ってあるだけなら、他にヘブライ語やサンスクリット語、スウェーデン語などもあります。

白井喬二の「守綱雨」

白井喬二の「守綱雨」を読了。読切倶楽部の昭和29年2月特別増大号に掲載されたもの。7年前、富裕の郷士の山田家に養子に来た守綱は、ある日親族が集まって何やら打合せをしているのを、てっきり自分を離別する相談だと思い、びくびくしていました。その打合せに呼び出されて話を聞けば、守綱の女房のおたき、の母親が二十年前に夫を裏切って間男と駆け落ちし、それだけならまだしもその間男は結局その母親を殺してしまったということです。そしてその男が何故か近くに戻って来ているので、守綱に敵を討って欲しい、という相談でした。離別の話でないことに喜んだ守綱はすぐに敵討ちを引き受けます。ところが敵討ちを準備している時に、突然その間男が守綱の元に何やら相談に来て…という話です。この先は省略しますが、話としてはきちんと決着していませんが、主人公である守綱が何やら感慨にふける、という白井喬二の良くあるパターンの話になります。あまり出来がいい作品とは思いません。

第221回TOEIC結果 正式通知

TOEICの正式な結果通知が来ました。気になっていたパーセンタイルランクはリスニングが94%、リーディングが99%でした。リスニングの方が高得点を取る人が多いということですね。
項目毎の得点では、リスニングとリーディングのどちらも5項目の内2項目で満点。特にリーディングは文法と語彙が満点です。2問塗り絵したマルチパッセージでも91%だったので、結構まぐれ当たりしたのかもしれません。

ジェームズ・アイヴォリーの「ハワーズ・エンド」

E. M. フォースターの「ハワーズ・エンド」の映画を視聴。監督はジェームズ・アイヴォリーで1992年の作品。同監督はフォースター作品の「眺めの良い部屋」「モーリス」も映画化しています。主演女優のエマ・トンプソンはこの作品でアカデミー主演女優賞を受賞しています。
フォースターの作品は作者がおそらく作品の映画化に否定的だったのか、生前は作られず、1980年代以降に巨匠デヴィッド・リーンが1984年に「インドへの道」を映画化したのを皮切りに、アイヴォリー監督によって3作品が映画化されています。共通して言えるのは、「原作を読んでから観るべき映画」だということで、「インドへの道」が封切られた時、「ぴあ」で「ムーア夫人が何故突然インドから帰国したのかがわからない」という批評がありましたが、原作を読んでいた人には自明なことで、省かれていただけだったと思います。(「インドへの道」はベストセラー小説でした。)
この「ハワーズ・エンド」は比較的原作に忠実な映画化ですが、時間の制約でどんどんストーリーが進み省かれている部分も多いです。ただ、ヘレンとバーストが愛し合ったということは原作では最後にならないとわからないのですが、この映画では明示的にラブシーンを入れていて、それはどうだか、と思いました。
日本語字幕版は入手できなかったので、アメリカから英語版を取り寄せました。英語の字幕がついているのと原作を読んでいるので何とかなりました。ただ、この字幕は明らかに聴覚障害者用で、BGMにまでいちいち「悲しげなオーケストラ音楽」とか解説が入るのは正直言ってうざかったですが。
この作品のストーリーをかいつまんで言ってしまうと、ウィルコックス夫人が死の間際にシュレーゲル姉妹の姉のマーガレットにハワーズ・エンド荘を譲ると遺言を残したのに対し、遺族が法的に無効と判断して故人の意向を無視してしまいます。しかし、色々な偶然が積み重なり、最終的にはハワーズ・エンド荘はシュレーゲル姉妹のものになるということです。
その話の背景に、イギリスとドイツ、イギリスの上流社会級と労働者階級のそれぞれ対立と結びつきを描いています。”Only connect…”はそういう意味に私は解釈しています。