白井喬二の「黒衣宰相 天海僧正」(2)

白井喬二の「黒衣宰相 天海僧正」を、「大法輪」連載の10回分読了しました。連載の第42~43、45~47、61~63、73~74回です。先日読んだのが連載第5~8回ですから、これで合計14回分です。全体の連載回数が83回ですから、約17%を読んだことになります。
連載の第42回では、既に天海は徳川家康のブレーンのような存在になっています。天海がどのようにして家康の信用を得るようになったのが興味がある所ですが、そこは判然としません。天海の業績として特筆されるべきなのは、細川藤孝(幽斎)と共に、徳川幕府の政治の根幹を成す、各種の諸法度と呼ばれる法律を整備したことではないかと思います。家康の軍事的な才能はTVの大河ドラマなどでも良く扱われますが、実際は政治的な才能の方が上だと思いますが、その政治的才能は天海や幽斎のような適材に仕事を任せていることにも現れていると思います。
ただ、14回分読んでの率直な感想は、話がかなり地味だということです。白井はこの天海という出生の謎に包まれた人物のかなり地道な評伝に徹しているように思います。ただ、最終的な評価は全83回を通して読まない限り差し控えるべきで、将来リタイアして毎日国会図書館に通って「大法輪」のバックナンバーを読んでいくしかないですね。