パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのベートーヴェン交響曲全集

パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのベートーヴェン交響曲全集を聴きました。
通常、ベートーヴェン交響曲全集のCDの一枚目の一曲目は、第1番か第2番のどちらかが普通ですが、この全集では何故か突然3番「エロイカ」から始まります。このエロイカがとても良いのです。颯爽としたテンポでいて、アクセントもしっかり刻み、何よりキビキビした演奏です。とても気に入りました。全体では出来不出来はそれなりにあるように思いますが、今まで聴いてきたベートーヴェン交響曲全集(30種類以上)の中でもベスト5には間違いなく入る演奏のように思います。ベーレンライター版の全集ではたぶん一番いいんではないかと思います。(ほぼ同時にラトル/ベルリンフィルも聴きましたが、そちらよりもずっといいです。)ヤルヴィは現在N響の首席指揮者です。一度生で聴いてみたくなりました。

中里介山の「大菩薩峠」第7巻

中里介山の「大菩薩峠」第7巻を読了。駒井能登守の子を宿したお君は、男の子を産み、お松が「登」と名付けます。しかし、お君は産後の肥立ちが悪く亡くなってしまいます。それを知らされた宇治山田の米友と、駒井能登守の両方が悲しみにくれます。一方龍之助は、お若の妹お雪に連れられて、信州の白骨温泉を目指して旅立ちます。
この巻の感想では、この文庫本(ちくま文庫)の注釈について文句を書いておきます。この文庫本では必要な語句に注釈がなく、どうでもいい語句に注釈が付いているのが目立ちます。例えば、この巻の102ページで「鎮西八郎」に注がついていますが、この本を読むくらいの人であれば、「鎮西八郎為朝」のことであることはすぐにわかります。その一方で同じページにある「御厩の喜三太」(おんまやのきさんだ)については何も注釈がありません。少なくとも私は「御厩の喜三太」をWikipediaで調べてみるまでは知りませんでした。(Wikipediaによれば「義経記」に登場する架空の人物で、普段は主人である義経に対面する事もない最も身分の低い下男であったが、源頼朝の命を受けた土佐坊昌俊が京の義経亭を襲撃した際、郎党が出払っていた館に唯一残っており、弓を持って奮戦した、とのことです。)また163ページに出ている茂太郎が歌う外国語混じりの不思議な歌である「宮原節」にも何の注釈もありません。その一方で「大塩平八郎」とか「レーニン」の類いに注が付いているので煩わしく感じます。

ラファエル・クーベリックのベートーヴェン交響曲全集

ラファエル・クーベリックのベートーヴェン交響曲全集を聴いています。この全集は1番から9番まで全部違うオーケストラというので話題になった全集です。第1番:ロンドン交響楽団、第2番:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団、第3番:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、第4番:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、第5番:ボストン交響楽団、第6番:パリ管弦楽団、第7番:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、第8番:クリーヴランド管弦楽団、第9番:バイエルン放送交響楽団、となっています。
そういう全集だと一種の「際物」かと一瞬思うのですが、聴いてみたら骨太で力強い中に、チェコ出身の指揮者らしい柔らかさもあり、素晴らしい全集でした。
こういうオケの振り分け企画が成立したというのも、クーベリックが戦後亡命して色んなオケを渡り歩いたという経歴から可能になったものではないかと思います。(クーベリックは戦前チェコフィルの常任指揮者でしたが、1948年にチェコが共産化すると、イギリスに亡命しました。)1番から9番までの中では、クーベリックが一番長く付き合ったバイエルン放送響との9番が一番いいと思います。