白井喬二の「玩具哲学」(エッセイ)

久し振りにヤフオクで、白井喬二の未読のエッセイを発見。文芸春秋の昭和26年8月号に掲載された「玩具哲学」という題のものです。まず、戦前に「文章作成タイプライター」というものを考えていた人がいた、ということに驚きました。これはいわゆるワードプロセッサーではなくて、更に進んだ手紙自動作成機です。実はJ社にいた時、まさにこの「手紙自動作成」のプロジェクトに関わっていて、結構色々手紙文については調べて、候文の文例集みたいなものまで入手しました。「文代(ふみよ)」という名前まで決まっていましたが、その当時会社が開発チームを丸ごと別のプロジェクトに持っていってしまったため、沙汰止みになってしまいました。
もう一つメインで触れられているのが、何と「原子爆弾の玩具」を大真面目に作ろうとしてした人がいたということです。白井によると「闘球盤のような台に十いくつかの細かいセットを据付け、回転式にもろもろの活動が起こると同時に、把手のゴム玉をぎゅっと握ると圧搾空気のような案配で空から爆弾がふってきて台の上でこまかく分裂して、目標のセットを一々なぎ倒す仕組み」だそうです。それを考えた人の考えは「大人のやる事を子供に知らせて悪い法は何一つない」というものだそうです。マニアは誰でも知っていますが、ウルトラセブンには放送されたけどその後のビデオやDVDには収録されていないまぼろしの回(12回)があって、それは「ひばく星人」スペル星人を扱った回です。この原爆の玩具を企画した人も、スペル星人の佐々木守と実相寺昭雄も、別に被爆者を傷つけようとした意図はないのでしょうが、何とも驚きとしか言いようがありません。
そういえば、第2次世界大戦が終わった後のアメリカで、戦争を終結させるのに貢献した兵器として、B-29のブリキのおもちゃが大流行したそうですが、そのブリキのおもちゃを作っていたのは日本のメーカー(今調べたら米澤玩具という会社みたいです)だというのを聞いたことがあります。