中野敏男氏の「ヴェーバー入門 ――理解社会学の射程」の書評

中野敏男氏の「ヴェーバー入門 ――理解社会学の射程」という入門書についての書評を、日本マックス・ヴェーバー研究ポータルの方で公開しました。ご興味のある方は参照ください。この書については折原浩先生と中野氏の論争がありますが、そちらへの応答というつもりではありません。

NHK杯戦囲碁 林漢傑8段 対 山下敬吾9段(2023年1月8日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が林漢傑8段、白番が山下敬吾9段の対戦です。黒の初手が天元で、白の2手目が5の5、とまるで新布石時代の初期の頃の碁のようでした。左下隅で劫含みの攻防が始まり、黒が白の右下隅に手を付け、劫立てを作ろうとしました。しかしここの攻防で黒は明らかに損をし、更に劫立てで左辺上方の白に迫りましたが、白が手を抜いて左下隅の劫を解消したので、黒は左辺上方の白への攻めでよほど得をしないと苦しい形勢になりました。しかし左辺上方の白も上手く黒の薄みを突いて中央に進出し、簡単には死なない形になり、形勢は白のリードとなりました。しかも黒の一等地である上辺への白からの出口が止まっておらず、すかさずそこを追及されて黒は益々劣勢になりました。しかし白が左下隅に残った黒を取りに行き、ついでに下辺左方で浮いている黒5子を攻めた中で何かの誤算があり、黒がその浮き石を逆に捨て石として取らせ、中央で締め付けが効いたのが大きく、右上隅、右辺、上辺、中央の黒模様の規模がかなり大きく地としてまとまりそうになりました。白は右上隅に付けて隅を一部地にしましたが、結局白の下辺からの中央への進出も黒に上手く止められ、黒が優勢でヨセに入りました。白はヨセで最善を尽くしましたが結局黒の1目半勝ちという逆転勝利となりました。林漢傑8段は次の準々決勝では鶴山淳志8段と当たり、いわゆるツルリンコンビの対決になります。なお、今回からAIの次の手の予想が座標ではなく、実際の盤上表示に変わりました。ただ盤が小さいので見にくいです。

トワイライト・ゾーンの”A Hundred Yards Over the Rim”

トワイライト・ゾーンの”A Hundred Yards Over the Rim”を観ました。時は1847年で馬車3台の一行はオハイオからニューメキシコの砂漠を越えてカリフォルニアを目指していましたが、途中で水も食料もなくなり、おまけにリーダーのクリス・ホーンの息子はもう10日間以上高熱を発して動けない状態です。クリスは水を探しに一人砂漠の中を彷徨いますが、何故かそこでタイムスリップし、1961年に来てしまいます。彼はそこでハイウェイを走るトラックに驚き、銃で自分の手を撃ってしまいます。その近くにガソリンスタンド兼カフェがあり、彼はそこの奥さんに怪我の手当を受け、化膿止めにペニシリンをもらいます。彼はカレンダーを見て、自分が1961年に来たことにようやく気付きます。彼はその家にあった百科事典に自分の息子が何故か抗生物質の発見者として載っていることを発見します。やがて警察が呼ばれたため、クリスは砂漠の中に逃げ、その時また元の時代に戻ります。彼はペニシリンを病気(肺炎)の息子に飲ませ、息子は助かります、という話です。カリフォルニアで金が発見されたのは1848年で、いわゆるFourty-Ninersは1849年ですが、アメリカ人にとってはこの時代は特別な郷愁があるようです。

アウター・リミッツの”Second Chance”

アウター・リミッツの”Second Chance”を観ました。この辺りのアウター・リミッツのお話は何か凝りすぎというか、考え過ぎのストーリーで正直な所面白くないです。この話はある星の鳥型エイリアンが、地球の遊園地でのUFOによるスペースツアーショーのデモ用装置を本物の宇宙船に改造し、地球での暮らしがあまり上手く行っていない人間達をそのUFOに招待して、一気にUFOを発射させて拉致します。その目的は、エイリアンの星においてある小惑星が82年後にその星に衝突するため、その小惑星と大気の状態がほぼ同じな地球の人間を植民させ、それによって地球人達にその小惑星のコースを変えることをさせようとしていました。もしその小惑星がそのまま彼らの星にぶつかると、玉突き現象で最後は地球にも被害が及ぶと言います。拉致された中で科学者は、人殺しの兵器を開発するのが嫌になって国防相を辞めて遊園地のUFOアトラクションの案内人をやっていた者だけでした。しかし、無理矢理拉致された人達は、争いを始め、科学者はエイリアンに対しこのメンバーで目的を達することは出来ない、もう一度地球に戻ってボランティアを募った方がいい、と説得し、UFOは地球に戻る、という話です。大体、そのエイリアンの星は地球よりも科学的に4世紀ぐらい進んでいるということで、ならば自分達でなんとか出来る筈で、わざわざ地球人を拉致する意味が分りません。ちなみに科学者を演じていたのは、この間スパイものでも主役を演じていた人です。

村上もとかの「フイチン再見!」

また村上もとかで、「フイチン再見!」を読みました。
「フイチンさん」は上田としこの漫画で、連載当時手塚治虫の「リボンの騎士」に負けない人気を誇った作品です。私はさすがにこの漫画の連載時は幼児であり、また少女マンガを読む習慣も高校生になるまで無かったので、「フイチンさん」も上田としこも知りませんでした。しかし村上もとかは私より10歳年上であり、幼少の頃女の子の遊び友達の家にあった「フイチンさん」をリアルタイムで読んでいます。また「龍-RON-」でハルビンが出てくる話を書くときに、ハルビンで生まれ育った上田としこにインタビューして、それで上田としこの波乱に富んだ人生を知ってこの作品となったということです。「フイチンさん」が人気絶頂の頃、その担当の編集長が、中国大使館から抗議が来ることを恐れて連載をストップしようとする、というのが出てきます。確かにフイチンさんの絵を最初見た時に、現在ではタブー視されている「細くてつり上がった目」という類型的な中国女性描写なので、ちょっと危なさを感じました。しかし実際には中国から抗議は来たりせず、「フイチンさん」は上田としこの代表作として残りました。上田としこは「サザエさん」の長谷川町子の3つ上であり、この2人が女性の漫画家という職業ジャンルを確立したのだと思います。また上田としこは手塚治虫のある意味盟友で、お互いに励まし合う関係だったようです。村上もとかの作品らしく、読後感がとても爽やかです。

ウルトラQの「甘い蜜の恐怖」

ウルトラQの「甘い蜜の恐怖」を観ました。このエピソードは初期に撮影されたものなのか石坂浩二が「アンバランス・ゾーン」という単語を2回言っています。そしてハニーゼリオンというローヤルゼリーの200倍くらいの効果があって生物を巨大化させる薬を発見した木村研究員役が、ウルトラマンでハヤタ隊員を演じた黒部進です。木村研究員の出世とその恋人の愛子に横恋慕している伊丹という別の研究員が、ある夜モグラをハニーゼリオンが保管してある温室に侵入させ、ハニーゼリオンを食べて超巨大化した大モグラ(モングラー)が鉄道を脱線させたり、農村を破壊します。伊丹の犯罪は目撃者がいてばれますが、彼は責任を取ろうと大モグラの至近でダイナマイトを爆発させますが、大モグラは無事でした。それで自衛隊?が出てきて戦車とミサイルで大モグラを攻撃し効果がありましたが、大モグラはモグラだけに土の中に逃れます。やがて地震が起き、一の谷博士は「大モグラめ、火山地層に激突したな!」と根拠無く断定して終ります。
元々江戸川由利子役で、ウルトラマンのフジ隊員役の桜井浩子も出ていますし、脚本も金城哲夫、とかなりウルトラマンを思わせる話でした。

NHK囲碁新春スペシャル


今日のNHKの囲碁の新春スペシャル、「定石対決」というのがあって、プロ同士の対戦に出題されたのは結果を白石だけで並べたものを再現するというもの。これ自体は確かに難しいですが、出題されたのは「大ナダレ定石」の一つの形です。びっくりしたのは右の女性プロ初段が、「この定石は存じ上げません」と言ったこと。しかも大ナダレ定石の途中の変化の多い所が分らないのではなく、小ナダレ定石と大ナダレ定石の分岐点で止まっていたので、そもそもナダレ定石というのをまったく知らないようでした。別にプロは定石を覚えるのに注力しなくてもいいと思いますが、ナダレ定石を知らないということは、呉清源さんとかの時代の棋譜をほとんど並べたことがないということでしょう。(ナダレ定石が生れたのは1930年代の戦前、そして戦後も流行廃りはあるものの{プロはナダレ定石や大斜定石のような手順が長い定石は嫌う傾向にあります。}盛んに打たれ多くの変化形が生まれました。)それはいくらAIの時代だと言ってもプロとしては恥ずかしいことだと思います。(故に武士の情けで名前はぼかしました。)なお、左の木部夏生三段はちゃんと最後まで再現出来ていました。

なお、左の棋譜は、1958年4月30日~5月1日の第1期日本最強位決定戦で、黒番が木谷実9段、白番が呉清源9段(互先、コミ無し)の棋譜で、実に右下隅、左下隅、左上隅の3隅で大ナダレ定石が出現しています。(白16は黒5の上、黒27は白26の右)

秋保大滝

昨日の元旦、大崎市の日枝神社に初詣に行った後は2回目ですが、秋保大滝に行って来ました。ただこの滝写真をフォトジェニックに撮るには、周りが殺風景で難しいです。

謹賀新年

明けましておめでとうございます。初詣で、宮城県大崎市の日枝神社に行って来ました。こぢんまりとした神社でしたが古式ゆかしき感じの良い神社でした。今年もよろしくお願いします。

村上もとかの「JIN-仁-」

村上もとかの今度は「JIN-仁-」を読みました。この漫画はこれが連載されていた頃はもう漫画とは離れていたので、これまで未読です。幕末というと、大衆小説家達がもっとも取上げた時代です。そして登場する坂本龍馬、勝海舟、西郷隆盛、徳川慶喜、近藤勇、沖田総司、高杉晋作という誰でも知っている人物との絡みで話を作っていくというのも、大衆小説の伝統に従ったものです。もっとも坂本龍馬が司馬遼太郎が描いたものほぼそのままのキャラクターなのがちょっと難点ですが。まあタイムスリップものというのは沢山ありますが、この漫画では最先端の脳外科医が幕末にタイムスリップするという設定がある意味奇抜です。そして、何とその時代の日本でペニシリンを作り出してしまう、というのがまあ荒唐無稽ですが、楽しめる話でした。医学の関わるシーンも専門家の監修を受けたきちんとしたものであり、さすがに村上もとかで、手抜きがまったく無いです。