井山裕太、黄翊祖の「井山、黄の定石研究 進化する流行定石」

井山裕太、黄翊祖の「井山、黄の定石研究 進化する流行定石」を読了。私の囲碁は典型的な本で覚えた碁で、理屈には詳しいけど、実戦経験が不足しているのでなかなか強くならなかったのですが、コンピューター囲碁が進化して私の棋力を追い越して、ようやく稽古相手として不足がなくなって、対局の数をこなして多少強くなることができました。しかし、最近伸び悩みを感じているので、また少し棋書に戻ってみようと思います。最近の囲碁でついて行けないのは、定石がどんどん変わっていることです。この本の表紙に出ているのなんかいい例で、昔はこんな打ち方をする人は皆無でした。定石は、隅での黒白の攻防を、ある程度机上で研究して、または実戦で試されて、黒白互角とされる攻防をまとめた手順ですが、碁は隅で完結している訳ではなく、他の箇所との関連があるので、その部分だけ見た最善手が全局的に見た最善手とは限りません。そういった関係で、プロの実戦では定石はどんどん変わっています。そういうのにちょっと追いつくにはいい本でした。かなりレベルの高い本で、アマ高段者向け。

あぶくま洞

元日の午前中は初詣とアクアマリンふくしまに行ってきましたが、午後はあぶくま洞まで出かけました。鍾乳洞で、発見されたのは1969年ということで、意外と新しいです。中は1周600mくらいです。所々かなり低くなっていて、腰をかがめないと通れません。鍾乳洞としては、小学校の時に行った秋芳洞(山口県秋吉台)の方がはるかに規模が大きいです。

新春お好み囲碁対局 東西対決!スーパー早碁

本日のEテレで12:00~14:00で新春の特別番組の「新春お好み囲碁対局 東西対決!スーパー早碁」がありました。東は武宮正樹九段・吉原由香里六段・芝野虎丸三段、そして西は 石井邦生九段・吉田美香八段・谷口徹二段で、解説が石田秀芳二十四世本因坊、そして聞き手が田村千明三段という陣容でした。普段のNHK杯戦では1手30秒で、途中1分単位で10回の考慮時間というものですが、本日は1手15秒のスーパー早碁です。考慮時間は30秒で、若手組が1回、女流が2回、ベテランが3回となっています。
若手同士の対戦は、黒が芝野虎丸3段、白が谷口徹二2段です。黒の芝野3段が中央に武宮9段好みの大模様を築いて打ちやすい碁だったんですが、白に抱えられていた石を逃げ出して攻め合いにし、劫になったのがどうだったか、劫立てで取られていた中央の白が堂々と逃げ出してしまい、逆転の白勝ちでした。
女流同士の対戦は、黒が吉田美香8段、白が吉原由香里6段でした。白が上辺の3子を捨てて、右下隅から下辺にかけての黒を狙ったのですが、左辺の攻防で黒の痛恨のポカミスが出て、黒のタネ石が抜けてしまいました。白の中押し勝ち。
ベテラン同士の対局は、黒が武宮9段、白が石井9段です。黒が2連星に対し、白は4手目が目外しで、棋風とは逆に黒が実利を取り、白は余し作戦でした。しかし、武宮9段が1手15秒とは思えないほど終始見事に打ち回し、上辺と下辺に大きな地を作って白の投了となりました。
という訳で、東が2勝1敗で勝利しました。

エトピリカ

元日に、マリンピアふくしま、という水族館に行きましたが、そこにエトピリカがいました。エトピリカは以前北海道東に行った時に、霧多布岬という所で見ようとしましたが、5時間くらいねばって駄目だった記憶があります。今年は酉年なんで縁起がいいですね。

古書山たかしの「怪書探訪」

古書山たかしの「怪書探訪」を読了。元は東洋経済オンラインで連載されていたWebコラムです。作者は上場企業の役員をやっている人だそうですが、筋金入りの古書マニア。なんせ1日に3冊のペースで古書を買っているそうです。このペースで買い続けると、10年で1万冊を超します。私は中途半端なおたく、は好きになれませんが、マニアは尊敬します。本物のマニアがその趣味に関して書いたことは大体面白いと思います。この本も外していません。あの吉川英治が映画のキング・コングを観て、それをぱくって「恋山彦」を書いたとか、マーク・トウェインがハックルベリーフィンの冒険のシリーズの最後の作品で、なんとハックがコレラ菌になってしまうという話を書いたとかは初めて知りました。「恋山彦」はAmazonでポチってしまいました。また日本のSF史上もっとも怪しい作品として有名な(これは知っていました)、栗田信の「醗酵人間」もこれもポチりました。(復刻版が出ているのです。)他にも、尾崎紅葉の鬼桃太郎、とか興味の尽きない作品がたくさん紹介されていて、お勧めです。

南條範夫の「駿河城御前試合」

南條範夫の「駿河城御前試合」を読了。白井喬二を全部読んでしまったので、次に読む本を模索していて、Amazonのお勧めで出てきたので買ってみたもの。講談の「寛永御前試合」の元になっているという「駿河城御前試合」の、11組の剣士の真剣による斬り合いの対決を描いた作品です。白井喬二を白魔術とすると、これはまごう事なき黒魔術的世界で、さわやかさはかけらもありません。出てくる試合がどれもどろどろした因縁に基づく陰惨な試合で、出場した二十二名は次々に倒れていき、最後まで無傷で生き残ったのはわずか四名に過ぎません。その四名も後日談が最後についていて、全員死んでしまいます。この試合を主催したのは、徳川忠直で、三代将軍家光の弟です。三代将軍争いで、家光に敗れ、幕府に対して謀反をたくらみ、全国から腕の立つ者を集めていたというのが背景になっています。漫画家の山口貴由(「覚悟のススメ」の)がこの中の一篇を原作にして「シグルイ」という漫画を描いており、それで最近また有名になった本のようです。ともかく私の好みではないですね。

モリエサトシの「星空のカラス」

Amazonで本を物色していて、「ヒカルの碁」以後も囲碁コミックが出ているのを発見しました。それも二つも。一つは「みことの一手!」で、もう一つは「星空のカラス」でした。二つとも買ってみました。
「みことの一手! 」は、女子高生の部活の四コマ+萌えというよくあるパターンのもので、三流の作品で論評外でした。
「星空のカラス」は全8巻でそれなりに読み応えがありました。主人公の設定が、名誉名人と呼ばれた人の孫娘ということで、しかも本妻の孫ではなく、別の女性の孫ということで、ほとんど藤沢里菜を思わせます。(藤沢里菜は藤沢秀行名誉棋聖の孫ですが、その父親の藤澤一就は、秀行さんの本妻のモトさんの子ではなく、二番目の女性の子です。全部で女性が五人くらいいてそれぞれ子供もあったみたいです。)ストーリーもまあまあ面白かったですが、出てくる囲碁の盤面には、局所だけを出しているせいかもしれませんが、結構違和感ありました。調べて見たらプロ3段が監修しているとのことですが…