トランプ勝利

しかしネイト・シルバーの five thirty eight などの世論調査による予想サイトは今回も外し、これでトランプが関わる大統領選挙は3連敗。
上下院とも共和党が多数になりそうなので、少なくとも2年は(中間選挙までは)トランプはやり放題ですが、さてどうなるか。

MQAはどこへ?

3~4年前くらいに、e-onkyoのハイレゾ音源にMQA形式というのが登場し、「音質がいい」「ファイルサイズが小さい」といった大キャンペーンやっていました。それで一応試したんですが、すぐに色々疑問を感じて音源としてMQAを買うのは止めました。そのe-onkyoが2週間前くらいに終了してしまったのに、最後にと思って3タイトルくらいハイレゾ音源を購入しました。その時に「あれ、MQAはどうしたんだろう?」と思いました。ファイル形式としてはまったく提供されなくなっていました。

それで今MQAがどうなっているのかを調べたら、
(1)提唱元が経営破綻(一応どこかに買収されたらしい)
(2)ストリーミングでMQAをやっていたTIDALは今年の7月でMQAによるストリーミングを終了しFLACに切換え
ということで「ほぼ」終了していました。ちなみに最近日本でサービスが始ったQobuz(e-onkyoを買収した)もFLAC他で、MQAは使っていません。まあMQAについては元々怪しいと思っていたので、どうでもいいんですが。

志村真幸の「在野と独学の近代 ダーウィン、マルクスから南方熊楠、牧野富太郎まで」

志村真幸の「在野と独学の近代 ダーウィン、マルクスから南方熊楠、牧野富太郎まで」を読了。
私も、2006年頃に行われた通称「マックス・ヴェーバー論争」にアマチュアとして参加し、それがきっかけで大学時代の恩師の折原浩先生とメールをやり取りするようになり、先生の勧めでヴェーバーの未翻訳論文の日本語訳というある意味大それたことにずっと取りくんでいますので、この本の内容は興味深かったです。また著者は「南方熊楠顕彰会理事」なので、この本のある意味狂言回しの役は南方熊楠が勤めており、熊楠のイギリス時代と帰国後が比較され論じられています。ある意味新鮮だったのが、熊楠の時代のイギリスでは、大学の研究者よりもむしろアマチュアの研究者の方が地位が高かったということで、ダーウィンもマルクスもその例ということになります。そのイギリスでNotes and Queriesというアマチュア中心のQ&A雑誌に何百回と投稿して、アマチュア研究者としてそれなりの地位を築いた熊楠が、帰国すると、当時の日本(今も)学問は学者がするもの、という風潮の元で高く評価されず失意の日を送る様子が描かれています。熊楠は自身の履歴書というエッセイの中で、日本の当時の大学の学者を「「日本今日の生物学は徳川時代の本草学、物産学よりも質が劣る、と、これは強語のごときが実に真実語に候。むかし、かかる学問をせし人はみな本心よりこれを好めり。しかるに、今のはこれをもって卒業また糊口の本源とせんとのみ心がけるゆえ、(以下略)」と批判しています。
熊楠以外に、この本ではOEDの編集者であるジェイムズ・マレー博士も登場します。私も日本語変換の辞書に関わった人間として、マレー博士は尊敬しており、またアマチュア研究者としても大先輩になります。それから三田村鳶魚も登場しますが、鳶魚が熊楠とかなり親しく、深い交流をしていたことは初めて知り驚きました。私にとっては鳶魚は白井喬二、直木三十五、吉川英治他の大衆作家の時代物の小説の考証上の誤りを切りまくった、ある意味歴史書とフィクションの区別がつかない困った頑固な老人というイメージだったのですが、それが熊楠と意気投合していたというのはちょっと意外でした。
ちなみに、ITの世界では、ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも皆大学でコンピューターを学んで起業したのではありません。また僭越ながらこの私もプログラミング他のITの知識は、ジャストシステムに勤務していた時に仕事で覚えたもの以外は全て独学であり、大学で学んだものはまったくありません。そういう意味ではITの世界は大学の教官ではなくアマチュアが支えて来たのだと思い、学問の世界よりある意味進んでいたような気がします。

コモアしおつ

この写真は、私の自宅の最寄り駅である藤野駅より2駅甲府側の「四方津」(しおつ)駅側にある「コモアしおつ」というニュータウンです。バブルの頃の状況を社会人として知っているのは私ぐらいが一番若いということになり、最近あの頃の不動産の状況を知らない人が多いようです。なんでこんな所に(首都圏へのベッドタウンとしての)ニュータウンが出来たかというと、1986年に中央線快速が大月まで乗り入れるようになり、この結果この辺でも新宿辺りなら十分通勤圏になりました。(少なくとも当時はそう考えられていた。)四方津から高尾まで快速で行って約30分、そこから乗り換えて中央特快始発に乗れば座って40分で合計70分ちょっとで行けます。要するにバブル期の地価の高騰はすさまじく、普通のサラリーマンはそれまでのように普通の首都圏の通勤圏に庭付き一戸建てを持つことが出来なくなったため、高尾から先が次々に開発された結果の典型例がここです。この「コモアしおつ」は1987年に着工、1991年に完成、とバブル真っ只中に着工され、完成後すぐにバブル崩壊になっています。売り出し価格は平均5,000万円くらいだったようです。ちなみに駅とニュータウンの間は5分もかかるエスカレーターとエレベーターが設置されています。ちなみに、ここはバブル崩壊後もそこまで劇的に暴落はしなかったようで、ロケーションが評価されて今でも3500人くらいがお住まいみたいです。

NHK杯戦囲碁 洪爽義5段 対 井山裕太3冠(2024年11月3日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が洪爽義5段、白番が井山裕太3冠の対戦です。序盤が白が3隅を取って実利を稼ぎ、黒が左下隅から左辺・下辺の模様で対抗という碁形になりました。というより黒がそうするしかなかった、という感じです。序盤はどうも黒の手が受け優先でもう少し攻め気が欲しかった感じです。白は黒模様に対し左辺と下辺で潜航艇のような手を2手打って、まずは左辺を減らし、下辺から中央に展開してどこかで活きれば、という手を打ちました。結局白が左辺で活き、黒が下辺をほぼ地にするという別れになりました。この辺りは黒が少し挽回した感じでした。その後黒から白の上辺の地への侵入を巡って劫になりましたが、黒は劫材が足らず劫は白が勝ちました。このままヨセ勝負になるかと思いきや、白から黒の中央を切っていったのが良い狙いであり、結局黒の左上隅方面の石が切離されて取られては勝負がありました。井山裕太3冠のさすがの強さでした。

心理的安全性と今回の選挙

本日、ちょっと理由があって会社で心理的安全性の話をし、この本を紹介したので、念のため再度読みました。中に面白いことが書いてあって、リーダーで積極的に勝ちに行く戦略を取る人と、負けない戦略を取る人のどちらが良い結果を収めるか、という論議で、結論は当然前者で、後者は守りに入る結果、積極的にリスクを取ることが出来なくなります。その典型が今回の石破さんじゃないかと。石破さんの一般からの支持が比較的高かったのは、長らく非主流にいた石破さんなら今までの自民党政治を根底から変えてくれるんじゃないか、という期待があったからだと思います。要するに小泉純一郎元首相の「自民党をぶっ壊す」のリバイバルです。しかるに石破さんが採った戦略は党内のあちらこちらに配慮して厳しい態度が取れず、そしてそれが世論で強く批判されるとすぐ撤回、という感じで右往左往しました。まさしく「守り」であり、また目標も「自公で過半数を割らない」なのでこれまた完全に守りの目標です。更には公約は「5つの守る」で、まさしく精神状態が守りに入っていた明白な証拠だと思います。いっそこれまでの主張であるアジア版NATOを作るとかアメリカとの地位協定の改定のため「憲法改正が必要なので自公の議席を2/3にする」ぐらいぶち上げた方が結果は良かったのでは。

スタートレック・TNGの”The Hunted”

スタートレック・TNGの”The Hunted”を観ました。エンタープライズ号はアンゴシアIIIという惑星が連邦への加盟を申請して来たのでその交渉に来ています。その最中にその星では囚人が逃亡したという連絡が入り、エンタープライズ号はその囚人の逮捕を依頼されます。しかしその囚人であるローガ・デイナーは信じられないタクティクスでエンタープライズ号を翻弄し、何とか捕縛した後も、転送ルームで大暴れしますが、4人がかりで何とか取り押さえました。カウンセラーのトロイはデイナーと話して、彼がまったく暴力性の無い普通の人間であることに気付きます。彼はアンゴシアIIIが戦争に勝ち抜くために作られたスーパー兵士でした。しかし戦争後、その一部が問題を起して、その全員がルナ5という流刑星に収容されていました。デイナーは結局収容に来たアンゴシアの宇宙船を乗っ取り、ルナ5で仲間を解放し、本星を攻撃しようとします。救援を依頼されたピカードは、スーパー兵士は危機に陥らないとその能力を発揮出来ないことから、手向かいしないように言います。そして彼らを元の普通の人間に戻すことを試みるように勧めて、それ以上は干渉せず引上げます。まあキャプテン・アメリカとかのスーパー兵士ものは良くあるのですが、その負の面を描いた秀作でした。

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

自民党の最良の戦術?首相指名でわざと野田佳彦に自民党も投票し、立憲民主党に内閣を組ませる。おそらく半年もやらせればボロが出る(党内にろくな人材いないので、かき集めた人間がまず間違いなく何かの問題起すと思います)ので他の野党と組んで不信任を出し、再選挙に持ち込む。来年7月に参院選もあるし、これが最良の方策では。大体今回立民の議席が大幅増といっても、立民の政策に期待した人は非常に少ないでしょう。

生成AIによる候文の手紙の英訳(2)

ChatGPT4oによる候文の手紙の英訳その2。今回のは前回のより更にハードルが高いです。
いかし今回もほぼ正確に英訳しました!(「故山に帰養せし」だけちょっと間違えましたが。)
今の平均的日本人で、「舊雨の感」(旧雨今雨という四字熟語から、「雨」と「友」は中国語では発音が近いことから、昔からの友情と今の友情のことをこう言う)とか「滄桑の変」(桑畑が海原になるような世の中の大変化のこと)とか「鼓皷の間に相見る」(お互いが戦場で敵として相対する、陣太鼓の音を聴く)などをきちんと理解出来る人は少ないと思います。また「曩に」(さきに)も読める人は少ないと思います。


ではこれは英訳出来ますか?山県有朋が西南の役の時に西郷隆盛に降伏を勧告して送った手紙の冒頭部です。
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山縣有朋頓首再拝、謹んで書を西郷隆盛君の幕下に呈す。有朋、君と相識るここに年あり。君の心事を知るまた甚だ深し。曩に君の故山に帰養せしより、久しくその謦咳に接することを得ざりしかど、舊雨の感豈一日も有朋の懐に往来せざらんや。料らざりき、一旦滄桑の変に遭ひて、ここに君と鼓皷の間に相見るに至らんとは。君が帰郷の後ち、世の鹿児島縣士族の暴状を議するもの皆いはく、「西郷実にその巨魁たり、謀主たり」と。然れども有朋は獨りこれを斥けて、然らずとなせりき。然るに今かくの如し。嗚呼また何をか言はん。

ChatGPT
Here’s an English translation of the opening of the letter Yamagata Aritomo sent to Saigō Takamori during the Satsuma Rebellion, urging him to surrender:

With utmost respect, I, Yamagata Aritomo, bow deeply and humbly present this letter to you, Saigō Takamori. I have known you for many years and am intimately familiar with your character and intentions. Since you retired to your native mountains, it has been a long time since I last had the honor of your company. Yet, not a single day has passed without the fond memories of our past friendship crossing my mind. Never did I imagine, however, that we would meet again under such tragic circumstances, on opposing sides of the battlefield.

Since your return to Kagoshima, many have condemned the actions of the samurai of Kagoshima, asserting, “Saigō is indeed the ringleader, the mastermind of this rebellion.” Yet, I alone refuted these claims, insisting it could not be true. And now, we find ourselves in this situation. Alas, what more is there to say?

This translation captures the formal and respectful tone appropriate for the historical context of the letter. Let me know if you need further refinement.


「故山に帰養せし」は「故郷に帰る」という意味です。

ChatGPT
Thank you for the clarification! Here’s a revised translation:

With utmost respect, I, Yamagata Aritomo, bow deeply and humbly present this letter to you, Saigō Takamori. I have known you for many years and am intimately familiar with your character and intentions. Since you returned to your hometown, it has been a long time since I last had the honor of your company. Yet, not a single day has passed without the fond memories of our past friendship crossing my mind. Never did I imagine, however, that we would meet again under such tragic circumstances, on opposing sides of the battlefield.

Since your return to Kagoshima, many have condemned the actions of the samurai of Kagoshima, asserting, “Saigō is indeed the ringleader, the mastermind of this rebellion.” Yet, I alone refuted these claims, insisting it could not be true. And now, we find ourselves in this situation. Alas, what more is there to say?

生成AIによる候文の手紙の英訳

ちょっと試しに、ChatGPT4oに候文の手紙を英訳させてみたら、完璧に訳しました!びっくり。また「不名誉な場所(=遊郭)」を”unsavory places”と訳していて、へええ、と思いました。

以下は候文の手紙の冒頭部です。英語に訳してください。
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この頃の寒気に御さはりも無き御様子にて、先ず先ず安心致し候。
実は久しく御出無之によりいかにやとお案じ申せし次第なり。しかし聡明にして勉強好きの足下、健康でさへあれば他は安心と思ひの外、さる確かなる筋より承聞するに、この頃は学校の課業も怠り勝ちにして懦弱なる軟文学の耽読に日を消さるるのみならず、折々は悪友と共に不名誉の場所へ行かるるとの事、果たして事実なりや、如何。御国許の父君より、昨今屡予定以外の送金を請求し来るは何か仔細なきかとの御手紙ありしに対し、政夫君に限りて御心配の事ある筈なしと保證しおきしが、今思ひ出づれば、老生こそ監督を依頼されながら迂闊の至り、申訳なき次第なり。

ChatGPT
Here’s the English translation of the beginning of the letter in epistolary style:
With the recent chill in the air, I am relieved to know that you seem unaffected, allowing me some peace of mind. In truth, I had grown somewhat concerned due to your prolonged absence. Yet, knowing your intelligence and love for study, I believed that as long as your health was intact, there was no cause for worry. However, I recently heard from a reliable source that, lately, you have been neglecting your schoolwork, spending your days absorbed in frivolous literature, and, on occasion, visiting unsavory places with questionable company. Could this truly be the case?
Your father from home has also written with some concern, wondering if there might be a reason for the recent requests for additional, unplanned funds. I assured him that he need not worry in the least about Masao, yet now, upon reflection, I feel I have been far too remiss in my oversight and cannot help but feel remorse for my negligence.