豊下楢彦の「昭和天皇・マッカーサー会見」

豊下楢彦の「昭和天皇・マッカーサー会見」を読了しました。久し振りに大きな衝撃を受けた本で、またこれこそ「自分の属する階級の上にも下にも嫌がられることを(けど正しいことを)言う」というマックス・ヴェーバーが言う所の「学者の本分」を全うしている本だと思いました。
この本を読み始めたきっかけが、通説のようになっている昭和天皇とマッカーサーの最初の会見で、昭和天皇の「全ての(戦争)責任は私にある。私の身柄を貴方に委ねる。」という発言が、本当はどうだったのか、という興味からです。
結論から言えば、このエピソードのソースはマッカーサーの回顧録だけであり、それは老人になったマッカーサーが自分の過去をある意味脚色して述べているという文脈の中で述べられているもので、事実関係でその回顧録はかなり信憑性が低い、ということを多数の資料にあたって突き止めています。昭和天皇が一度は「自分が退位して責任を取れば治るのではないか」という考え方を持ったのは事実のようですが、しかしそれはおそらく周りの天皇制存続のための論理にかき消され、結局は東条英機や松岡洋右が自分の意思をねじ曲げて戦争に走った、という風になってしまいます。これについては昭和天皇自身がイギリス王室に書いた手紙に出て来るので信憑性は高いです。また終戦までは自分の言ったことをすぐ実行してくれるということで、東条英機を高く評価していたのに、一旦戦犯の中心という風に見なすと今度は不倶戴天の敵のような見方に変わります。その証拠にある時からA級戦犯が靖国神社に合祀されると、それ以来靖国神社への参拝を取りやめ、亡くなるまで一度も行っていません。
更に驚くのは、日本国憲法が制定され、天皇は「象徴」となり一切の政治的な活動が禁じられたにもかかわらず、サンフランシスコ条約の締結時などに、吉田茂他に働きかけ、方針を変更させたりしています。サンフランシスコ条約の時は朝鮮戦争のすぐ後で、対共産圏への前線として日本国内の米軍基地の価値がアメリカにとっても高くなっており、それを利用して対等な立場で基地の設置を認めるということが可能であったのに、昭和天皇が「アメリカにお願いして駐留してもらっている」ということにこだわり、結局アメリカ側の要求を全て受け入れたような形になります。サンフランシスコ条約だけでなく、その後の安保条約締結まで、その陰に昭和天皇が深く関わっていることが、資料調査で実証されます。
個人的に、今さら昭和天皇の戦争責任や憲法違反を蒸し返せ、とは思いませんが、神話というのは古事記や日本書紀が編纂された当時だけでなく、現代においても作り続けられているのだということを分からせてくれた本でした。未読の方は是非一読をお勧めします。

川口マーン惠美の「メルケル仮面の裏側 ドイツは日本の反面教師である」

川口マーン惠美の「メルケル仮面の裏側 ドイツは日本の反面教師である」を読了しました。私はちょっと前まではドイツのメルケル元首相を現在の世界の政治家の中では優れた政治家だと思っていました。しかし最近ちょっと違うのではないかと思うようになり、この本を読んでみました。作者は右よりの人で出版社もPHPなんで、内容には注意して読みましたが、作者はメルケル元首相の才能自体は認めており、また大体において事実を追っていっており、特に偏見丸出しでメルケルを批判している本ではありません。しかし、読み進める内に、今まで知らなかったメルケル元首相の隠れた面が色々見えて来て有用でした。

(1)学生時代にロシア語を深く学び、ロシア語コンテストで優勝してご褒美でモスクワ旅行しているほどのソビエト・ロシア好き。(東ドイツはソ連の東欧支配時代、ソ連から見てワルシャワ条約機構加盟国の中の優等生でした。)
(2)ともかく権力の座への執着が非常に強く、選挙で勝つためにはそれまでと180度政策の方向性を変えても平気。政敵を陥れる権謀術数にも長けている。
(3)東ドイツ出身でしかも女性という政治家が、元々これ以上ない右より政党のCDU/CSU内で出世出来たのはヘルムート・コール元首相が取り立ててくれたからですが、そのコールが1999年に違法献金問題でマスコミに攻撃されると、新聞にCDUはコールと手を切るべきだという論文を発表し、平然とコールを斬り捨てます。(ちょっと小池百合子を思い出しました。)
最近、メルケルがまだドイツ首相だったらロシアのウクライナ侵攻は起きなかったといったことを、根拠も示さず言う人がいますが、話はまったく逆であり、プーチン政権をもっとも支えてきたのはある意味メルケル時代のドイツです。だからこそゼレンスキー大統領はドイツ議会での演説でドイツを強く批判しました。ちなみについ最近までドイツのエネルギー面でのロシア依存度は実にほぼ5割でした。(ウクライナ侵攻前で、石油が35%、天然ガスが55%、石炭が50%)参考までにイギリスは10%未満です。そうなった原因は、メルケルが元々は担当大臣として原発を推進していたのを、2011年の福島原発の事故をきっかけに180度転換して原発廃止に走り、元々の社会民主党や緑の党の原発廃止案よりむしろ過激で短期間での廃止案を実施に突っ走りました。その結果ドイツのエネルギー自給率は大幅に低下し、代替発電の開発も短期間には進まず、家庭の電気代は倍になり、ロシア依存が強まりました。

後はこれはメルケル元首相だけの問題ではありませんが、ドイツの議会における「大連立」のおかしさ。ドイツは西ドイツ時代の1960年代後半と、メルケル政権で2度の合計3度この大連立をやっており、保守のCDU/CSUとリベラル、左のSPD、緑の党、中道のFPDなどが連立を組んでいます。最初の大連立がどうなったかというと、議会内において野党がほとんどいなくなり、政府に反対する野党勢力は議会外で活動しました。これをAPO(Außerparlamentarische Opposition, 議会外反対勢力)と言います。その連中が何をやったかというとテロです。1970年代後半のドイツでは財界の要人の誘拐や殺害、ハイジャックなどのテロ事件が頻発しました。これを「ドイツの秋」と言います。(ファスビンダーの1978年の映画「秋のドイツ」にちなんだ用語)日本でも1970年代前半に左翼が内ゲバやテロに走り一般市民からの支持を失いましたが、この時のドイツでも同じでした。そしてその暴力路線の極左が暴力路線の行き詰まりの打開のために加入したのが「緑の党」で、この政党は元々保守派の環境運動団体でしたが、ある意味極左に乗っ取られました。なので私は緑の党は基本的に信用していません。
次にメルケル時代の2度の大連立(2005~2009年、2013年~2021年)で何が起きたかというと、
(1)メルケルが選挙に勝つため、SPDや緑の党のリベラル政策を積極的に取り入れ、この結果SPDの政策の新味が無くなり国民の支持を失って没落します。(日本で1990年代に自民党と組んだ社会党があっという間に没落したのと似ています。)
(2)本来これ以上右は無いという政党だったCDU/CSUをメルケルがリベラル路線に変えたため、元々の保守の支持層は離れCDU/CSUの代りにAfD(Alternative für Deutschland、ドイツのためのもう一つの選択肢、という意味)という極右勢力支持に流れ、AfDが5%条項を超えてそれなりの議席(2021年の連邦議会選挙では83議席)を確保することになります。(ドイツではワイマール時代の小党乱立からナチスが生れた反省から、得票率が5%を超えないと議席は0という仕組みがあります。)ちなみにAfDは一部でネオナチと批判されています。

まあこんな感じでドイツの政治の状況を整理出来たのは有用でした。メルケル元首相とトランプ元大統領は、ある意味ポピュリズムという同じコインの裏表ですね。しかし民主主義において何かをやろうとしたら選挙に勝つしかなく、政治家がポピュリズムに走ってしまうのはある意味仕方がないのかもしれませんが。

小室圭さん、眞子様、ご結婚本当におめでとうございます。

小室圭さん、眞子様、本日ついにご結婚されたとのこと、心よりお祝い申し上げます。これからのお二人の歩まれる道は、必ずしも安泰な道ではないかもしれませんが、この4年間心を合わせていわれの無い誹謗中傷に立ち向かわれたお二人であれば、どんな困難も切り抜けていけると確信しております。この4年間のような根拠もはっきりしない週刊誌記事の情報をベースにした誹謗中傷については、今後このようなことが二度と起きないように日本の社会が変わって行くことを期待するばかりです。お幸せに!

小室圭さんには「金銭問題」など無い。

小室圭さんの説明文書を今さらながら斜め読みしました。非常に丁寧に事実関係とそれについての小室家の主張が説明されていて好感が持てました。長いと言われていますが、丁寧に説明するのにこれだけの量が必要だったということであり、長いという批判自体がおかしいと思います。おかしいのは事実に基づかない噂レベルの話を膨らませまくって煽った週刊誌を始めとするマスコミの方でしょう。
驚いたのが元婚約者で、何とその代理人は弁護士ではなく、週刊現代の記者(より正確には契約ライター)だそうです。これだけでもうこの疑似金銭問題の構図が明らかです。ちなみに、有償で代理人となるのは弁護士以外出来ません。この場合、おそらくこの記者は報酬は受け取っていないと主張するのでしょうが、代理人となることで取材上有利な立場に立てて、その週刊誌の販売に利するのであれば、それは報酬を受け取っていないと言えるのでしょうか?少なくともかなりグレーですし、そもそもが非常識と思います。この元婚約者の方は小室さんの文書を読む限りでは、非常に優柔不断で既に結着が付いている問題を後先の影響も考えず週刊誌にしゃべって、それをまた週刊誌があることないこと膨らませまくってでっち上げた「疑似事件」としか見えません。

提言:パラリンピックを中止し東京ビッグサイトを中等患者受け入れ施設に

医療崩壊対策として、パラリンピックを即刻中止にして、放送・プレスセンターとして使われている東京ビッグサイトに、臨時の中等患者受け入れ施設を作りましょう!あそこならスペースはあるし換気・空調も完備、また工事用の車輌が直接中まで入れますから、仮設の施設を作るのに時間はかからないと思います。(元々展示会でたかだか3日間しか使わない設備を作っては壊しを繰り返している場所です。関連の業者も近くに多数あります。)食事もレストランが多数あるのでキッチンを借り上げればいいし、交通の便も良く大規模な駐車場も完備されています。元々パラリンピックが終ったら展示会が再開だったんでしょうが、緊急事態宣言が続いていたら展示会は出来ません。中国は武漢での蔓延の時に、かなり多数の臨時病棟を作って対処したと聞いています。医師・看護師の不足は、ワクチン接種の打ち手で現在開業医が多く協力していますが、魅力的な報酬を払って開業医を動員すればいいと思います。あるいは自衛隊の大規模接種が終わったら自衛隊の協力を請うのもあるかと思います。厚労省での医療崩壊への対応を見ていると、病床設置への補助金とかそういう間接的なものばかりなんですよね。