河村尚子さんのベートーヴェンのソナタ

河村尚子さんのベートーヴェンのソナタが素晴らしいです!
現在第3集まで出ています。ドイツのブレーメンでの録音で、面白いのは調律師の名前が出ていることで、ゲルド・フィンケンシュタインという人です。面白いことに、アファナシエフのCDの多くもこの人が調律師として名前が出ています。河村尚子さんはこの調律師のことを「魔法の調律師」と呼んでいます。
河村尚子さんの最初のCDは2009年に出ていますが、私は日本での最初のCD「夜想」を聴いてすぐ好きになり、これまでコンサートも2回行ってます。
これまでショパン弾きとベートーヴェン弾きは分かれていて両方弾く人はあまり多くなかったように思いますが(特に女性ピアニスト)、最近は両方こなす人が多いようです。例えばメジューエワさんも両方こなします。

中野英男さんの「音楽 オーディオ 人々」

中野英男さんの「音楽 オーディオ 人々」を読了。筆者はトリオ’(現JVCケンウッド)の3人の創業者の一人で、残りの2人の春日兄弟とは義兄弟の関係。トリオの社長、会長を務められました。オーディオ会社の経営者であり、同時に大変なオーディオマニアで、JBLのパラゴンという有名なスピーカーを日本で初めて買った人ですし、またVita Voxもそうです。さらにはトリオにレコード部門を作り、シャルランという録音の良さで有名なレーベルのLPを日本で販売したり、またジャズで有名なECMブランドのLPを日本で販売したりしています。今はこういう経営者でかつオーディオマニアって人はほぼいないですね。(日本の話)
1972年に春日兄弟はトリオを辞めてアキュフェーズ(最初はケンソニック)を作りますが、Wikipediaには「社内クーデター」とありましたが、中野さんは特にこの本の中で二人を批判的に書いたりはしておらず、むしろ春日二郎氏(アキュフェーズ初代社長)を「天才」と呼んでいます。私の推測は、1971年のニクソンショックによる円高(1ドル=360円が308円になった)によって輸出比率の高かった当時のトリオの業績が悪化し、銀行から役員を迎えたりしていますので、その辺の責任を取らされたのではないかと思います。
また、面白かったのが、高級プリメインアンプのKA-8004のエピソードです。何でもトリオの自信作として出したものが、試供品がある評論家に酷評され、既に生産に入っていたのを中止。そうしたら技術系ではない社員が「こうすれば良くなる」と言って来たのがコンデンサー2個をあるメーカーのものに変えるだけ。しかしそれで高音のざらつきが取れ、きわめていい音になるのを皆が確認。件の評論家も「初めて石のアンプが真空管と同じ音の艶を出した」と一転して激賞。しかし、そのコンデンサーは既に3年前に生産中止になったもので、ジャンク屋でしか入手出来ない。メーカーに打診したら最小発注数30万個ならやるが、納期は3ヵ月という回答。それで全国の支店に声を掛けジャンク屋を訪ね回ってなんとかコンデンサーを入手ししのいでいたが、コンデンサー屋から3ヵ月後に届いたものがまったく音が良くなく使えない。結局
、ジャンク屋からの入手が出来なくなった時点で生産中止という顛末です。このトラブルは春日兄弟退社の一年後ぐらいのことなので、これによってお二人が責任を取って辞めたということではないようです。
また、この事件をきっかけにアンプの最終的な音質をチェックし責任を持つ音質係という役職が作られますが、それに従事していた30歳ぐらいの社員が、当時会長であった中野さんに「一生この仕事をやらせて欲しい。」と直訴してきたそうです。
このトリオに限らず、昔のソニーとかホンダとか、フロンティア精神に満ちあふれていた会社が今の日本には残念ながら見当たりません。

オクタヴィアレコードの高音質CD類

Extonなどのレーベルで知られるオクタヴィアレコードがいくつか普通のCD、SACDより音質の良いCDを過去に出していたり、また今でも売っているものがあります。

(1)マスターディスク・クローン・コピー
https://www.octavia.co.jp/news/2013/01/post-81.html
2011年頃売っていましたが、要するにCDのマスターディスクを作成する時の原データを、CD-Rに音楽CDとして焼いて再生出来るようにしたものです。故に盤面は真っ白で何も印刷していません。2枚だけ持っています(確か当時1枚1万円でした)が、これの音は本当に素晴らしいです。鮮度がまったく違います。これまでのCD、SACDが何だったんだという音です。しかし、残念ながら2枚の内、1枚の方は最後の2トラックで盛大に音飛びノイズが入りまくります。今もう売っていないようで、おそらくは同様の品質問題が他でも発生したのでしょう。なんせCD-Rなので、長期的には保たないと思った方が良いです。

(2)ダイレクトカットSACD
(1)がもう売っていなくて、今はこちらだけのようです。CDのプレス用のスタンパーを作るためのマスタースタンパーでプレスしたSACDのようです。価格は(1)の倍で1枚2万円。今回初めて買ってみましたが、悪くはないですが(1)ほどの鮮烈さは無いです。

まあいまはハイレゾ音源のDLがあるので(1)みたいなメディアは意味が無いのかもしれませんが、ハイレゾのファイルのファイル管理は面倒で、個人的にはCDの方が手軽で好きです。

ウィーンフィルのニューイヤーコンサート2021(指揮:ムーティー)

ウィーンフィルのニューイヤーコンサート2021のCDを買いました。今年はマエストロ・ムーティーの指揮というのもありますが、TVでご覧になった方はご存知だと思いますが、ニューイヤーコンサートが始まって以来初めての無観客開催で、客席にスピーカーを置いて家で観ている人の拍手を流すという形で行われました。この楽友協会ホールですが、当然ある程度観客が入って残響が丁度良くなるように設計してある筈で、気のせいか今回の録音は残響が多い気がします。曲目ではスッペが入っているのが珍しいですね。いつもの最後のおなじみの挨拶の”Wiener Philharmoniker und ich wünschen Ihnen prosit Neujahr!”が今回ほど心に染みた年は無いと思います。

「古関裕而秘曲集~社歌・企業ソング編~」

「古関裕而秘曲集~社歌・企業ソング編~」が到着。昨晩から聴いていますが、さすがの古関マニアになっている私といえど、全部聴くのは結構辛かったです。何故かというと、7割方ほとんど同じような曲調で、曲が始まった途端、「ああ、またか」という感じです。多くの場合社歌とか校歌はヘ長調で、たまにト長調やハ長調といった感じでしょうが、古関の場合はこれに加えて多くが2拍子の行進曲です。実際、このCDの中に入っているので、サビがほとんど一緒というのもあります。
その中で面白かったのは、
(1)賀茂鶴酒造の社歌、歌っているのが何と村田英雄
(2)福島トヨタ自動車社歌、歌詞の中に「走るクラウン颯爽と」というのがあり、車名が出て来るのは珍しいかなと。自動車ショー歌は例外として。
(3)関彰商事社歌、これは曲がどうというより、最初会社に入って1年ぐらい茨城県下館市(現在筑西市)にいて、この会社は下館に本社があってガソリンスタンドとかやっている会社で懐かしいというだけです。
(4)山一証券社歌、これは古関の奥さんが株の名人で、売買に山一証券を使っていた縁で頼まれたのではないかと思います。
(5)かわしんの歌、地元の川崎信用金庫の社歌。「モットゥはフレッシュ アンド ヒューマン」と社歌に英語が出て来るのは珍しいかなと思います。
(6)北野建設の歌、なんとロ短調の社歌。何でも社長が特攻隊の生き残りで、戦争中に古関の軍事歌謡を好んで歌っていたからだそうです。
(7)エースの歌、カバンのエースの社歌ですが、何とムード歌謡になっていて、歌詞も「正しい商売(あきない)をつらぬきつらぬきつらぬきとおしてほしいのよ」と女性からの呼びかけになっています。社長がムード歌謡が好きでこうなったのだとか。古関の唯一のムード歌謡です。
(8)日立物流社歌、この会社も昔よく付き合いましたが、古関の最後の社歌だそうです。