MQAはどこへ?

3~4年前くらいに、e-onkyoのハイレゾ音源にMQA形式というのが登場し、「音質がいい」「ファイルサイズが小さい」といった大キャンペーンやっていました。それで一応試したんですが、すぐに色々疑問を感じて音源としてMQAを買うのは止めました。そのe-onkyoが2週間前くらいに終了してしまったのに、最後にと思って3タイトルくらいハイレゾ音源を購入しました。その時に「あれ、MQAはどうしたんだろう?」と思いました。ファイル形式としてはまったく提供されなくなっていました。

それで今MQAがどうなっているのかを調べたら、
(1)提唱元が経営破綻(一応どこかに買収されたらしい)
(2)ストリーミングでMQAをやっていたTIDALは今年の7月でMQAによるストリーミングを終了しFLACに切換え
ということで「ほぼ」終了していました。ちなみに最近日本でサービスが始ったQobuz(e-onkyoを買収した)もFLAC他で、MQAは使っていません。まあMQAについては元々怪しいと思っていたので、どうでもいいんですが。

アナログ用機器超バブル

私はレコードが好きで今でもほぼ毎日聞いていますが、最近のアナログ用機器の超バブルにはまったくあきれます。写真は最新のAnalogという雑誌に出ていたものですが、レコードプレーヤーが6千2百万円!ポルシェとフェラーリを買ってもお釣りが来ます。カートリッジはそこまで行きませんが、それでも214万円!(ちなみにカートリッジは1000時間くらいしか使えない消耗品で、針を交換出来ないMC型は元の7~8割くらいのお金を払って新品を再度買う必要があります。)大体オーディオ業界を支えているのは高齢者であり、そんなお金が払える人はほぼいないと思います。

ハイレゾ音源の購入先

今までハイレゾ音源の主な購買先であったe-onkyo musicが16日のお昼でサービス終了で、それを引き継ぐフランスのサービスが使えるのかと思ったら、まだサイトすら無くいつから始るか不明。それで今後のハイレゾ音源の購入としてmoraを試してみました。以前何回かは買ったことがあります。ダウンローダーが心配だったのですが、Music Center for PCの中からmoraにアクセス出来、そこからまとめてダウンロード出来ました。価格も似たようなものでした。

ハセヒロのブックシェルフ型バックロードホーンキットについて

FE203Σ-REと、FE208-Sol用のバックロードホーンエンクロージャーでやっと「ああ、これがバックロードホーンの本当の音か」というのを日々体験しています。
これまで聞いてきたバックロードホーンは、ハセヒロのキットを組み立てたもので、MM-171+FE166En、MM-151S+FE103Eの2台です。(ユニットはどちらも後にNVに変更)
実は16cmのユニットは最初はFE168EΣを使おうとしていたのですが、発注先であるコイズミ無線からMM-171に168EΣは合いません、という連絡があって166Enに切り替えたものです。
何が合わないかというと、これらのブックシェルフ型はホーンの長さがせいぜい1.6mくらいしかなく、低音が非常に不足します。(長岡鉄男によると2~2.4mくらいのホーン長がお勧めだそうです。)なので磁気回路が強力で低音がより出にくいΣ系はダメ、ということになります。しかしEnで低音が出たかというと、こちらでも低音は非常に不足しており、特にクラシック音楽のオーケストラには非常に不十分です。それで仕方なくフォステクスのサブウーファーのCW250Aを2台追加して組み合わせ、クロスオーバーを100Hzくらいにして、それなりにボリュームを上げてやっとクラシック音楽が聞けるものになりました。
もう一つ短いホーン長の欠点として、おそらく100~170Hzぐらいの間で、盛大なホーン鳴り(ブォーといったホラ貝を吹いているような音)が発生します。特に16cmの方はこれがとても目立ちました。おそらくはハセヒロ特有の曲線ホーンも、これに関しては悪い方に作用しているんじゃないかと思います。私の愛聴のCDに、ジブリの「コクリコ坂から」のサントラがありますが、この中の1曲に非常にこのホーン鳴りが目立つものがあります。
またEnやNVが非力なユニットという訳では必ずしもありませんが、Σ系に比べるとやはり音のダンピング性ということでは若干落ちます。
以上をまとめて、ハセヒロの「ブックシェルフ型」のバックロードホーンキットは、バックロードホーンの雰囲気は味わせてくれるものの、今FE203Σ-REと90cm高さのエンクロージャーで聞いているバックロードホーンの音とははっきり言って別物です。もしどうしてもハセヒロのキットが、というなら高さが90cm程度あるものにすべきと思います。(そちらの音は聞いたことはありませんが。)ただその大きさになると、かなりの価格になりますので、はたしてハセヒロのキットを買う意味があるか、とも思いますが。色々ハセヒロのキットの悪口を書きましたが、作るのが非常に簡単とか、ボルトで締め上げるので剛性が高い、とか良い所ももちろんあります。

バックロードホーン、ローカットフィルター変更

20cmバックロードホーンに付けたT900Aというフォステクスのスーパーツィーター、リスニング位置だと角度が付いて弱いような気がしたので、ローカットフィルターを0.47㎌だったのを、手持ちのアムトランスの0.22㎌(元々カップリングコンデンサー用)をパラって、0.69㎌に。かなり高域がはっきりして来ました。クロスオーバーを計算すると28.8KHz(0.47㎌の時は42.3KHz)になってしまうんだけど、コンデンサー1個のネットワークはアッテネーター的に使って、容量を減らすと音圧が全体的に下がり、逆は上がるということのようです。
(クロスオーバー周波数の計算は、10^6/2/3.14/スピーカーのインピーダンス/コンデンサーの容量。KHzでいいなら157/スピーカーのインピーダンス(Ω)/コンデンサーの容量(㎌)。)

FE203Σ-REの第一印象

FE203Σ-REの第一印象。エンクロージャーはヤフオクで入手したもので、元々FE208-Solという今回入手したのより更に強力な磁気回路を持っているユニット向けの、フォステクスの推奨箱(を個人が製作されたもの、材質はシナアピトン合板)です。(下図)なので、SolよりはQ0がやや高い(磁気回路がやや弱い)203Σ-REがこの箱をきちんと鳴らせるかが最初の懸念点でしたが、その点はほとんど問題が無いように思います。このSol用の箱が、横幅を拡げて内容積を上げていると言っても、実は板取りの関係とかで、必ずしもSolに最適な大きさではなかったようで(この推奨箱でも低音不足だったようです)、むしろ203Σ-REにピッタリなんじゃないかと思うくらいです。低域もそれなりに力強くドライブ出来ており、内部容積を減らす必要はなさそうです。
スーパーツィーターはT900Aを、0.47㎌のフィルムコンデンサー1個だけで逆相でつないでいます。(その後0.22μFを追加でパラって0.69㎌にしました。)
FE206NV2と比べると、FE203Σ-REの磁気回路の強さは、磁石2枚重ねと言っても、BI値(力係数、N/A)で比べると実はせいぜい13%アップぐらいに過ぎませんが、しかし音はかなり違います。音のダンピングというか制動が非常に強力で、ピアノの強打とかは本当にグランドピアノをすぐ側で聴いてるかのような(あるいはそれより更に誇張された)力強さです。何だか脳がマッサージされる感じで、これはこれで快さがあります。ただ能率が高いのも良い点ばかりではなく、様々な雑音も良く再生するので、ソースによっては全体に少し音にほこりっぼさやザラつきめいたものを感じます。前の投稿で紙臭くはないと書きましたが、ボーカルの艶とかは例えばポリプロピレンのコーンとかに比べるとやはり紙は紙という感じです。
特筆すべきは音像の明確さで、今PCで朝のNHKのニュースをNHK+で観ていますが、普通映像があると音像はそちらにあるように引っ張られて感じがちですが、このFE203Σ-REのバックロードホーンの音像は、そういった錯覚を吹っ飛ばして、かなりはっきりした音像を再生します。
バックロードホーンの最大の欠点である、低音の特定の周波数でのボンつきは、ハセヒロのキットでの16cmユニットのバックロードホーンほどではないですが、やはりボリュームを上げるとそれなりに目立ちます。ただそのハセヒロのと違って開口部は下の方にあるので、実際のリスニング位置では多少ハセヒロのキット(ブックシェルフ型なのでスタンドに載せると開口部が高くなる)のよりはマシです。なお50Hzレベルはやはり苦しいので、フォステクスのサブウーファーでクロスオーバーを50Hzにして、ほんの少しだけ補っています。
ともかくバックロードホーンというのは強烈な長所も持つ一方、低域を中心として大きな欠点も持っている方式であり、これだけあれば、というのとは違うように思います。私自身は密閉型とバックロードホーンという両極端の間で揺れており、メインは密閉型(KriptonのKX-5PX)にしながらも、バックロードホーンの音も好きです。今までハセヒロのキットでバックロードホーンを2台作りましたが、それはホーン長が短いとか、磁気回路がそこまで強力ではないユニットなどのせいで、本当の意味のバックロードホーンの音になっていなかったように思います。そういう意味で今回初めて本当にバックロードホーンらしい音が聞けたように思います。

 

 

FEシリーズのコーンの材料

FE206NV2とFE203Σ-REの見た目での違いで、誰でも分るのはコーン紙の色。206NV2はかなり白っぽく、203Σ-REはかなり茶色です。でも203Σ-REの色が元々のFEシリーズのコーン紙の色で、針葉樹のパルプを使っています。40年以上前のFEシリーズの音は「紙臭い」と言われていました。私もFE103を4本使ったMX-1というマトリックススピーカーをキットで作って持っていたので、その意味は大体理解出来ます。要するに硬めの紙を丸めるとガサゴソという音がしますが、全体に音に艶気が乏しく、紙がこすれているような感じの乾いた傾向の音を称して「紙臭い」と言われていました。決して褒め言葉ではありません。しかし最近のFEシリーズ、とくにこのNV2は当時の紙臭い音はほとんどしません。何故かというと、Enあたりから、フォステクスはコーンの材料を木材から植物性に変え、例えば芭蕉の葉とか、ケナフ、バナナの葉などを使っています。これらは繊維が木材より軟らかいので結果としてガサゴソ感が出にくいのかと思います。それに対して203Σ-REは、203Σを現代に甦らせたものですから、当時に戻ってまた針葉樹のパルプに戻している訳です。ただそのままだと昔と同じ紙臭い音になりかねないので、植物性の繊維もかなり混ぜているようです。それで203Σ-REも紙臭い音ではありません。ただちょっと疑問なんですが、クリプトンの渡辺さんがこだわっているクルトミュラーのコーンも針葉樹のパルプだと思いますが、クルトミュラーのコーンに対して紙臭いという評価は聞いたことがありませんし、実際に聞いてもそういうイメージを抱いたことはありません。クルトミュラー社は特定の山の針葉樹林を所有してその木材以外は使わないと聞きました。FEシリーズは元々かなり廉価なスピーカーでしたから、私はその辺りの材料選定でベストを尽くしていなかったんではないかと思います。私が昔勤めた日立化成という会社で紙フェノールの銅張積層板をかつて大量に作っていました。紙フェノール基材で一番使う時に問題視されるのは反りですが、その時も完成品の反りを最小にするには、特定の製紙会社(確か当時の山陽国策パルプ)のどっかの特定の山の北の斜面の木のパルプを使ったクラフト紙でないとダメだ、というのを聞いたことがあります。木材は自然物だけに、何でもいいのではない、ということだと思います。

FE203Σ-RE到着!

FE203Σ-REがようやく到着。あこがれのマグネット2枚重ねの超強力磁気回路です。オリジナルのFE203Σは1979年の発売で、丁度私が本格的なオーディオを始めたころでした。長岡鉄男がこのFE203Σなどを片チャンネルに2本使ったDー7やD-77というバックロードホーンをメインにしていて、深夜のTVコマーシャルで観たことがあります。
早速バックロードホーンのユニットをFE203Σ-REに交換完了。前のユニット(FE206NV2)の時左のスピーカーからビリツキが出ていて、おそらくエポキシパテの跡が凸凹になっているんだろうと、ユニットを付け直す前に彫刻刀と紙ヤスリで削り、それでビリツキはピタリと治まりました。また思った通り、このエンクロージャーはFE206NV2にはやや大きすぎますが、FE203Σ-REには丁度いいようなので、開口部の吸音材は除去しました。ついでに汚れとかパテの跡隠しでシール式の壁紙を貼りました。

バックロードホーン環境を強化

FE203Σ-REはまだ届きませんが、バックロードホーン環境を強化しました。2階のセカンドオーディオルームのアンプを移し、またサブウーファーをCW250A 2台の体制に。アンプはTriodeのKT88プッシュプルの音が悪かった訳では決してありませんが、あれはプリメインなんでサブウーファーを接続するのに、ソース毎につなぎ替える必要があって面倒というのが一つの理由です。今度のはプリがLUXMANのCL-38uC、パワーが音の工房のSK-300-Jという300Bシングルアンプの無帰還モードです。300BはWEの15年前くらいの復刻版の中古(でも特性的にはほぼ新品だったもの)です。サブウーファーはクロスオーバーを一番低い40Hzにして、なおかつボリュームは10がフルだとしたら0.3ぐらいとほんのわずかだけ利かしています。でもこれだけで真空管アンプ、バックロードホーン共に歪みが減ります。なお、吸音材は開口部で縦に、半分くらいをカバーするように置きました。さすがに開口部の床にべったり置くのはバックロードホーンとしては今一つのようです。