FE203Σ-REの第一印象

FE203Σ-REの第一印象。エンクロージャーはヤフオクで入手したもので、元々FE208-Solという今回入手したのより更に強力な磁気回路を持っているユニット向けの、フォステクスの推奨箱(を個人が製作されたもの、材質はシナアピトン合板)です。(下図)なので、SolよりはQ0がやや高い(磁気回路がやや弱い)203Σ-REがこの箱をきちんと鳴らせるかが最初の懸念点でしたが、その点はほとんど問題が無いように思います。このSol用の箱が、横幅を拡げて内容積を上げていると言っても、実は板取りの関係とかで、必ずしもSolに最適な大きさではなかったようで(この推奨箱でも低音不足だったようです)、むしろ203Σ-REにピッタリなんじゃないかと思うくらいです。低域もそれなりに力強くドライブ出来ており、内部容積を減らす必要はなさそうです。
スーパーツィーターはT900Aを、0.47㎌のフィルムコンデンサー1個だけで逆相でつないでいます。
FE206NV2と比べると、FE203Σ-REの磁気回路の強さは、磁石2枚重ねと言っても、BI値(力係数、N/A)で比べると実はせいぜい13%アップぐらいに過ぎませんが、しかし音はかなり違います。音のダンピングというか制動が非常に強力で、ピアノの強打とかは本当にグランドピアノをすぐ側で聴いてるかのような(あるいはそれより更に誇張された)力強さです。何だか脳がマッサージされる感じで、これはこれで快さがあります。ただ能率が高いのも良い点ばかりではなく、様々な雑音も良く再生するので、ソースによっては全体に少し音にほこりっぼさやザラつきめいたものを感じます。前の投稿で紙臭くはないと書きましたが、ボーカルの艶とかは例えばポリプロピレンのコーンとかに比べるとやはり紙は紙という感じです。
特筆すべきは音像の明確さで、今PCで朝のNHKのニュースをNHK+で観ていますが、普通映像があると音像はそちらにあるように引っ張られて感じがちですが、このFE203Σ-REのバックロードホーンの音像は、そういった錯覚を吹っ飛ばして、かなりはっきりした音像を再生します。
バックロードホーンの最大の欠点である、低音の特定の周波数でのボンつきは、ハセヒロのキットでの16cmユニットのバックロードホーンほどではないですが、やはりボリュームを上げるとそれなりに目立ちます。ただそのハセヒロのと違って開口部は下の方にあるので、再生位置では多少ハセヒロのキット(ブックシェルフ型なのでスタンドに載せると開口部が高くなる)のよりはマシです。なお50Hzレベルはやはり苦しいので、フォステクスのサブウーファーでクロスオーバーを50Hzにして、ほんの少しだけ補っています。
ともかくバックロードホーンというのは強烈な長所も持つ一方、低域を中心として大きな欠点も持っている方式であり、これだけあれば、というのとは違うように思います。私自身は密閉型とバックロードホーンという両極端の間で揺れており、メインは密閉型(KriptonのKX-5PX)にしながらも、バックロードホーンの音も好きです。今までハセヒロのキットでバックロードホーンを2台作りましたが、それはホーン長が短いとか、磁気回路がそこまで強力ではないユニットなどのせいで、本当の意味のバックロードホーンの音になっていなかったように思います。そういう意味で今回初めて本当にバックロードホーンらしい音が聞けたように思います。

 

 

FEシリーズのコーンの材料

FE206NV2とFE203Σ-REの見た目での違いで、誰でも分るのはコーン紙の色。206NV2はかなり白っぽく、203Σ-REはかなり茶色です。でも203Σ-REの色が元々のFEシリーズのコーン紙の色で、針葉樹のパルプを使っています。40年以上前のFEシリーズの音は「紙臭い」と言われていました。私もFE103を4本使ったMX-1というマトリックススピーカーをキットで作って持っていたので、その意味は大体理解出来ます。要するに硬めの紙を丸めるとガサゴソという音がしますが、全体に音に艶気が乏しく、紙がこすれているような感じの乾いた傾向の音を称して「紙臭い」と言われていました。決して褒め言葉ではありません。しかし最近のFEシリーズ、とくにこのNV2は当時の紙臭い音はほとんどしません。何故かというと、Enあたりから、フォステクスはコーンの材料を木材から植物性に変え、例えば芭蕉の葉とか、ケナフ、バナナの葉などを使っています。これらは繊維が木材より軟らかいので結果としてガサゴソ感が出にくいのかと思います。それに対して203Σ-REは、203Σを現代に甦らせたものですから、当時に戻ってまた針葉樹のパルプに戻している訳です。ただそのままだと昔と同じ紙臭い音になりかねないので、植物性の繊維もかなり混ぜているようです。それで203Σ-REも紙臭い音ではありません。ただちょっと疑問なんですが、クリプトンの渡辺さんがこだわっているクルトミュラーのコーンも針葉樹のパルプだと思いますが、クルトミュラーのコーンに対して紙臭いという評価は聞いたことがありませんし、実際に聞いてもそういうイメージを抱いたことはありません。クルトミュラー社は特定の山の針葉樹林を所有してその木材以外は使わないと聞きました。FEシリーズは元々かなり廉価なスピーカーでしたから、私はその辺りの材料選定でベストを尽くしていなかったんではないかと思います。私が昔勤めた日立化成という会社で紙フェノールの銅張積層板をかつて大量に作っていました。紙フェノール基材で一番使う時に問題視されるのは反りですが、その時も完成品の反りを最小にするには、特定の製紙会社(確か当時の山陽国策パルプ)のどっかの特定の山の北の斜面の木のパルプを使ったクラフト紙でないとダメだ、というのを聞いたことがあります。木材は自然物だけに、何でもいいのではない、ということだと思います。

FE203Σ-RE到着!

FE203Σ-REがようやく到着。あこがれのマグネット2枚重ねの超強力磁気回路です。オリジナルのFE203Σは1979年の発売で、丁度私が本格的なオーディオを始めたころでした。長岡鉄男がこのFE203Σなどを片チャンネルに2本使ったDー7やD-77というバックロードホーンをメインにしていて、深夜のTVコマーシャルで観たことがあります。
早速バックロードホーンのユニットをFE203Σ-REに交換完了。前のユニット(FE206NV2)の時左のスピーカーからビリツキが出ていて、おそらくエポキシパテの跡が凸凹になっているんだろうと、ユニットを付け直す前に彫刻刀と紙ヤスリで削り、それでビリツキはピタリと治まりました。また思った通り、このエンクロージャーはFE206NV2にはやや大きすぎますが、FE203Σ-REには丁度いいようなので、開口部の吸音材は除去しました。ついでに汚れとかパテの跡隠しでシール式の壁紙を貼りました。

バックロードホーン環境を強化

FE203Σ-REはまだ届きませんが、バックロードホーン環境を強化しました。2階のセカンドオーディオルームのアンプを移し、またサブウーファーをCW250A 2台の体制に。アンプはTriodeのKT88プッシュプルの音が悪かった訳では決してありませんが、あれはプリメインなんでサブウーファーを接続するのに、ソース毎につなぎ替える必要があって面倒というのが一つの理由です。今度のはプリがLUXMANのCL-38uC、パワーが音の工房のSK-300-Jという300Bシングルアンプの無帰還モードです。300BはWEの15年前くらいの復刻版の中古(でも特性的にはほぼ新品だったもの)です。サブウーファーはクロスオーバーを一番低い40Hzにして、なおかつボリュームは10がフルだとしたら0.3ぐらいとほんのわずかだけ利かしています。でもこれだけで真空管アンプ、バックロードホーン共に歪みが減ります。なお、吸音材は開口部で縦に、半分くらいをカバーするように置きました。さすがに開口部の床にべったり置くのはバックロードホーンとしては今一つのようです。

バックロードホーンその後

バックロードホーン、その後既に色々やっています。すべてトライ&エラー。デノンのオーディオチェックCDでテストしたら、50Hzレベルはほとんど出ていなかったので、サブウーファーを戻して、30~60Hzをカバーするようにしました。やはりバックロードホーンにはサブウーファーが必要なようです。それから、ホーンの利きが強すぎるのと、また全体的な箱鳴り感を抑えるため、ホーンの出口にサーモウールの吸音材を置きました。その他、箱鳴りを抑えるためと容積を縮めるためもあって、ホーンの下部とキャビネット上部にウェイトを設置。

フォステクスの20cmフルレンジFEシリーズの諸元


Fostex の20cmフルレンジのFEシリーズ、沢山あってスペックが分りにくいので表にしました。ついでに各項目の意味も調べました。一部、今公開されている説明書には出ていない項目があって、WayBackMachineのサイトで昔の資料を見て埋めました。

p.s. FE203Σ-REだけ定格入力が9Wと低いのが気になったので、フォステクスに問い合わせました。元のFE203Σがこの定格だったのに合わせただけで、実際には他のシリーズと同等レベルだそうです。

20cmバックロードホーンを設置(FE206NV2)

20cmバックロードホーンを設置。ユニットは本命のFE203ΣーREが届くまでつなぎのFE206NV2です。音はいかにもバックロードホーンで、ちょっと箱鳴りを強く感じます。このユニットにこのサイズの大きさの箱はちょっと大きすぎで、箱をドライブしきれてない感じでそれはまあ予想していました。低音はまあ50Hzくらいまででしょうか。サブウーファーは取り敢えず要らなさそうです。このエンクロージャーは元々円バッフルのFE208-Sol用なんで、穴が8つ空いていて、それを塞ぐのにエポキシのパテを使い、その跡がちょっと汚いですが、本命ユニットが来た段階で壁紙を貼ります。

バックロードホーン再トライ

ヤフオクで落札した20cm用のバックロードホーンのエンクロージャーが到着。1本で35Kgもあります。でも高さは今使っている16cmブックシェルフ型バックロードホーン+スタンドの高さとほぼ同じです。スピーカーユニット(FE206NV2、FE203Σ-RE)の到着待ちです。上に乗っている真鍮の金具は、スーパーツィーターT900Aを載せる台です。これまえバックロードホーンはハセヒロのキットで2台作っていますが、いずれもブックシェルフ型であり、低音が不十分です。今回、フロア型できちんとそれなりのホーン長を持っているものを試して、低音がどこまで出せるかを確認したいと思います。そういう意味でユニットも2種試してみます。

グリュミオーのヴィヴァルディ「四季」

グリュミオーのヴィヴァルディ「四季」の輸入盤LP(右)を入手。これは学生時代の1980年頃に別冊FM Fanの長岡鉄男の「外盤ジャーナル」で録音優秀として紹介されたのを、石丸電気の輸入盤LP売り場で入手。結構好きなLPだったのですが、お金が無いときに残念ながら売ってしまいました。その後CDの時代になって、しかしこの演奏はCDにはなかなかなりませんでした。というのも四季なんてのは次から次に新譜が出るからです。ようやくCDになったのは1998年でタワーレコードの企画ものだったかと思います。それで入手して悪くは無いんですが、音の鮮烈さではLPの方が優ったように思いました。それでまたアナログLPを集め出した時にヤフオクで国内盤LPを入手。これも悪くはないけど、少し違うという感じがして、結局今回またヤフオクで高かったけど輸入盤LPを入手。改めて聴いてみると、まあそれほど国内盤と録音で差は無く、ちょっと記憶の中で美化されていた感じでした。しかし演奏自体はとても好きで、グリュミオーというと普通は柔らかい音という感じですが、この演奏は尖った鋭角的な音を出しており、全体を通じて緊張感を維持したとても良い演奏と思います。