本日のNHK杯戦囲碁は黒番が阿部良希5段、白番が藤沢里奈女流本因坊の対戦です。阿部5段はNHK杯2回目で前回は謝依旻7段に敗れています。対戦は黒の実利、白の厚みという感じで展開し、白は左辺から上辺にかけて大きな模様を築きました。右辺に黒が打ち込んでいってからの戦いは互角で双方が中央に延びていきました。そして黒が左上隅に付けて侵略を図ったのですが、ここでの黒の打ち方がまともに活きに行ったもので、その結果白に中央をかなり厚くされてしまいました。こうなると中央に展開する黒には隙があり、12の9への覗きから天元に割り込まれて左右を分断されてしまいました。こうなると黒は両方をしのがなければならなくなり、最初は白は左を攻め、途中で右側の攻めに転じ、中央が劫になりました。白が劫立てに左下隅を使ったのを黒は受けられず劫を解消して中央の黒はつながって両方活きましたが、左下隅は白地に変わり、地合は大差となりました。その後黒はそれでも下辺の白に絡んで行きましたが、白に無事に逃げられて、ここで黒の投了となりました。
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NHK杯戦囲碁 蘇耀国9段 対 平田智也8段(2025年6月22日放映分)
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が蘇耀国9段、白番が平田智也8段の対戦です。蘇9段は碁盤を広く使いたい、と言っていましたが、その言葉通り、4線中心の中央重視の布石でした。この碁の最初の焦点となったのは左上隅から上辺にかけての戦いで、黒が上辺の白に付けていって積極的に仕掛けたのですが、白が反発した結果闇試合となり、黒は結局2つに分断され左上隅で眼二つで活きることになり、白は逆に黒の石をポン抜いて厚くなり、この戦いは白がポイントを上げました。白は更に左辺を攻められようとした時に手を抜いて上辺の取られていた2子を助けました。ここでの黒の左辺白への攻めが空振りし、結果的に白の開き直りが成功し、白のリードが拡がりました。こうなると黒の狙いは右辺上方の白を攻めることでしたが、ここでも白は上手く反撃し逆に黒を上下に分断して下辺の黒を取り込み、更に右辺の黒も攻め合いですが取り込む手が残りここで黒の投了となりました。平田8段は先期に準決勝に進出した好調が維持されている感じです。
NHK杯戦囲碁 鶴山淳志8段 対 小県直樹9段(2025年6月15日放送分)
NHK杯戦囲碁 三谷哲也8段 対 高尾紳路9段(2025年6月8日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が三谷哲也8段、白番が高尾紳路9段の対戦でした。二人とも手厚い棋風ということで、序盤・中盤は大きな戦いはなく淡々と進んだ感じです。動き始めたのは黒が白の左辺の地模様に打ち込んでからで、ここで黒はそれなりに大きく白地を抉りましたが、白も中央が分厚くなりかつ左下隅もまとまってここでは互角でした。その後の下辺の折衝で、黒がちょっと一歩一歩という感じで遅れたように感じました。結局中央がかなり厚くなった白が、白を攻めに来た黒を逆に切りにいって逆襲しここで急に激しい戦いになりました。しかし白は取られそうだった左上の5子を助けつつ、黒は逆に中央で活きてかつ左下隅方面へも進出出来て、という結果になりましたが、若干白が得をしたようです。最後黒が上辺→右辺と展開する白を切りに行って、ここが最後の勝負になりましたが、白が巧みに得をしながらしのぎ、最終的には攻められていた白が8目の地を持って治まり、白のリードが拡大しました。更には最後の劫争いも白が勝って、最終的には白の3目半勝ちとなりました。
NHK杯戦囲碁 孫喆7段 対 上野愛咲美女流名人(2025年6月1日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が孫喆7段、白番が上野愛咲美女流名人の対戦でした。序盤左上隅は白が掛かった黒を一間に挟み、白が掛けて黒が出切ってという展開ですが、双方一子を制して穏やかに別れました、その後白が右上隅に付けていって上辺を這って地を稼ぎという展開で、更に右下隅→左下隅・下辺方面と戦いが続きました。結局黒が下辺から右下隅で35目くらいの大きな地をまとめ、対して白は中央が厚く、中央にどのくらい地が付くかの勝負でした。その中央の攻防で黒が上辺左の白に利かしに行ったのに白が反発して、ここでも戦いになりました。その間白が妥協した手を打ったため、黒の言い分が通った形で黒が中央の白地をかなり削減出来たため、形勢は黒に傾きました。さらに中央下方でも黒がのぞいて行って白が反発してでここも難しい戦いになりましたが、ここでも白が頑張りきれなくて妥協した手を打ったため、形勢は黒優勢のままでした。とはいえ細かい差でありヨセでの攻防が続きましたが、黒が最後半劫を譲って半目勝ちに手堅くまとめて勝ちきりました。
NHK杯戦囲碁 洪爽義5段 対 小山空也7段(2025年5月18日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が洪爽義5段、白番が小山空也7段の対戦です。小山7段は3度目の出場で初勝利を狙っています。この二人の対戦は、なかなか本格的な戦いにならず、少し打ち合っては離れてというボクシングで言えばヒット&アウェーみたいな戦いが続きました。ただ黒が右辺から中央の戦いで白を切りに行ったのが少しどうかという感じで逆に黒の弱石が中央に出来ました。そうなると白の左辺の模様が効いてきて、その後黒が左辺中央の白に付けていって侵入を図りましたが、中で活きることは出来ず中央につながるのがやっとで、白は左辺ぶっ通しで45目ぐらいの地をまとめ、ここで白のリードとなりました。黒はその後辛抱しながら大ヨセを打ち続けチャンスをうかがい、上辺から中央の白の薄みを付いていく勝負手を放ちました。ここで白が慌てず騒がず白6子くらいを捨てて収束したのが冷静で、白がその前に黒の中央の5子くらいを切り離す手を打っていましたので、ここのやり取りではほとんど形勢は動かず、結局白の中押し勝ちになりました。小山7段は嬉しいNHK杯戦初勝利でした。
NHK杯戦囲碁 福岡航太朗7段 対 張瑞傑6段(2025年5月11日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は黒番が福岡航太朗7段、白番が張瑞傑6段の対戦です。福岡7段は初出場の頃はニキビの高校生でしたが、すっかり貫禄が付いて来たようです。この碁の焦点は何といっても左辺から中央にかけての戦いで、双方左辺の石が眼が無かったのを、白が活きた後、黒も白3子を取り込んで活きましたが、その後中央の攻防になりましたが、ここで白の手順に不備があったようで、正しく白が打っていたら黒の中央がかなり危なかったようです。しかし白の手順前後のため黒は白2子を取って連絡し、これだと左辺の得の分はっきり黒のリードとなりました。その後白が右下隅の黒に手を付けましたが、ヨセコウ程度以上の手はありませんでした。逆に黒から左上隅に手を付けられ地をもって活きられては地合で大差となり、白の投了となりました。
NHK杯戦囲碁 上野愛咲美女流棋聖 対 大竹優7段(2025年5月4日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が上野愛咲美女流棋聖、白番が大竹優7段の対戦でした。この碁では左辺の戦いが全てで、白が左辺で黒の横に付けていってから、お互いが最強の手を繰り出した結果、白からも黒からも劫に仕掛ける手が発生するという面白い形になり、白が劫を仕掛けました。黒は右下隅の白を全部取るぞ、という手を劫立てに使いましたが、白は黒6子を打ち抜いて劫を解消しました。その後白が右下隅の白の一団をじたばたせず捨てたのが好判断だったようで、これでわずかですが白がリードしました。それでも黒は粘り、中央の残った黒を策動してその結果として半分取られていた左下隅を復活させました。更に左上方面の白の巨大な地に突入し、活きを図りましたが、さすがに上野女流棋聖の豪腕をもってもこれは無理で、結局左上隅の劫で黒が小さく活きる手が残っただけで後は討ち死にしました。その左上隅の劫も白が勝ってこれで形勢はかなり白がリードになりました。その後ヨセでも白は得を重ね、結果として白の12目半勝ちとなりました。黒としては左辺の戦い、もっと時間があれば別の道も選べたのでしょうが、早碁で最強に走ると途中で止めるのが不可能になります。それに対して白は再三冷静な手を見せ、それが勝利につながりました。
NHK杯戦囲碁 佐田篤史7段 対 河野臨9段(2025年4月27日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は黒番が佐田篤史7段、白番が河野臨9段の対戦でした。この碁では黒が実利に走り、四隅を取って更に左辺を通しで40目以上の地としました。対して白は厚く打ち過ぎて少し遅れた感じで黒がリードの状態で中盤に入りました。黒は下辺方面から右辺にかけての白地に入っていかず敢えて白に囲わせました。その後中央の白地がどうまとまるかの攻防で黒は2手疑問手を打ち、しかもその2手がある意味バラバラで、最初に黒はすぐ継ぐ必要の無い所を継いで白は受けなかったのですが、そう打ったなら黒は出ていって白に断点を作るべきだったと思います。それをしなかったため上辺の黒は一方的に攻められ、結局劫にはなったものの、白から劫材を右上隅に求められ、全部取られてしまいました。右上隅も劫になってここは何とか黒が勝ったものの、中央の残った黒も風前の灯火となり、黒がその後何とか打開を図りましたが結局全部死んでしまい、黒の投了となりました。
NHK杯戦囲碁 辻󠄀篤仁5段 対 横塚力7段(2025年4月20日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は黒番が辻󠄀篤仁5段、白番が横塚力7段の対戦です。この碁は本当にスリリングな展開でした。右下隅~下辺~中央で戦いが起き、中央が劫になったのですが、この結果黒は下辺の白6子を取込かつ下辺の白地を消したため、白が中央がやや厚くなったとはいえ、黒のリードになりました。白はそれでも左上隅方面から地模様を拡げようとしましたが、黒はここも的確に打ってリードを維持しました。白が勝負手で右上隅方面に入っていく手を打ち、また劫になりました。この勝負手が成功し、白は上辺での渡りが断たれたものの、右辺に進出出来、ここで眼を持って原形からすると白が大成功した形になりました。しかしそれでもまだ黒が良かったのですが、最後黒が左辺で頑張り過ぎ、中央の黒石を切断されて眼がなくなり、中央の黒の大石が頓死して白の大逆転勝利となりました。横塚力7段の最後まで諦めない粘りが勝利につながりました。