本日のNHK杯戦囲碁は黒番が田中康湧5段、白番が久し振りの柳時熏9段の対戦です。序盤に右下隅で本当に久しぶりの小ナダレ定石になり、黒の実利、白の模様という展開になりました。その後左下隅で白が3子を捨てて更に厚みを築き、また黒が左上隅の三々にも入ったので、黒が白の真ん中の大きな模様をどう荒らすかが焦点になりました。しかし黒は比較的浅く入りあまり踏み込まなかったため、それほど攻められることはなく、形勢は互角のまま終盤戦に入りました。しかしそこで上辺左方の白地と思われた所を黒が切っていって更に中から動き、結局劫付きの攻め合いになり、劫も黒が勝って大きな戦果を上げました。白は劫立てで左上隅を劫にしたのですが、この劫も黒が下辺を譲って無事に切り抜けました。この後のヨセでは白にもうチャンスがなく、結局黒の4目半勝ちになりました。
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NHK杯戦囲碁 西健伸6段 対 小池芳弘7段(2025年7月27日→8月2日放映分)
本日の(7月27日(日)放送予定だったのが高校野球で今日に延びたもの)NHK杯戦囲碁は、黒番が西健伸6段、白番が小池芳弘7段の対戦です。西6段は右辺に大きな地模様を築き、白は右下隅に一回様子見してから右辺に打ち込んでいきました。右辺の白は中央に逃げ出すことが出来ましたが、その代償で下辺の白が置いてけぼりになり、ここでは黒が打ちやすかったかと思います。しかし白が右辺上方の黒を切り離して逆襲してから形勢は二転三転し、中央の戦いの余波で下辺の白が復活し、この白の一団の生死が勝敗のポイントになりました。しかし黒は取り切れないと思ったのか途中で追及を止め左上隅を打ちました。しかし結局白の一団が生きた後、黒の左上隅での打ち方が中途半端であり、却って自分の方の活き死にの問題になり、開き直って劫にしましたが、この辺りが今一つで、形勢は白に大きく傾き、結局黒の投了となりました。
NHK杯戦囲碁 呉柏毅6段 対 林漢傑8段(2025年7月20日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は黒番が呉柏毅6段、白番が林漢傑8段の対戦でした。この碁は中盤から戦いの連続で面白い碁でした。特に印象に残ったのは、黒が右辺で抑えて、右下隅の白にプレッシャーをかけたのを、白が右辺上方で当てた後、下からまくっていって2線の当たりまで決め、それによって右下隅と渡るという打ち方が相手の読みを外す打ち方でした。そしてその後上辺の攻め合いになり、それがこの碁の最大の焦点でしたが、黒が9の3で白の左側に付けていって手数を伸ばしに行ったのですが、そこに何かの読み間違いがあったのか、手は伸びずに結局は黒から見ての2手ヨセコウという白から見たらほとんど黒を取ってしまったような戦果であり、ここで白が勝勢になりました。黒はそれでも下辺からの地模様を最大限大きくしようとしましたが、白が一部を捨てて上手く打ち回して差は縮まらず、逆にここに白からの劫立てが多数出来てしまい、黒から見て益々上辺の2手ヨセコウに勝つことが難しくなりました。黒はそれでも奮闘して中央で攻め合いに持ち込もうとしましたが、白から見て2手勝ちで手にならず、ここで黒の投了となりました。
NHK杯戦囲碁 牛栄子4段 対 瀬戸大樹8段(2025年7月13日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が牛栄子4段、白番が瀬戸大樹8段の対戦です。この碁は最初から最後まで戦いの激しい碁で、特に最初の見所だったのは、黒が下辺右側の8子を右下隅に渡らないで、捨ててしまったことで、白はそれを取って25目ぐらいの地になって打ちやすくなったように見えました。しかしそこからの黒の追い上げ、つまりこの捨て石を攻め取りにさせて活用しようとするのが激しく、またその余得で左辺下側の白3子を取って挽回しました。そして結局下辺を劫付きの攻め合いに持ち込み、白は渡って攻め合いは勝ちましたが、下辺の白の半分を取って、これでほぼ互角の形勢になりました。しかしその後の黒が右上隅の石を上手く活きるのに失敗し中央に逃げ出しましたが、結局2眼は出来ず全て死に、白の中押し勝ちとなりました。なかなか最初から最後まで飽きることのない、見所の連続の碁でした。
NHK杯戦囲碁 今分太郎4段 対 本木克弥9段(2025年7月6日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が今分太郎4段、白番が本木克弥9段の対戦です。今分4段は初出場です。黒は初手高目ということで厚み主体の布石で、黒は中央から右辺にかけての地模様を築きました。中央に入って来た白を攻めながら、黒は左辺になだれ込んで、ここで戦いが起き、劫になりました。結局白が劫をつないで、黒が左辺を継ぎ、白が右側を切って黒の3子を取り込んで中央で活き、ここでは白がやや一本取ったような形になりました。しかしまだ黒も中央から右辺の模様が残っていました。その模様の境界を確定する争いで上辺が打たれた時に、突然黒が白の下辺の構えに置いて行きました。ここで白が受け方を間違えて結局この石が死んでしまいました。しかし白は諦めずに黒の右辺になだれ込んで行き、ここが活きれば白勝ち、劫なら互角、取れば黒勝ちという状況になりました。結局劫になりましたが、右上隅への黒の劫材に白は受けられず、劫は勝ちましたが白は右上隅の黒の一部を取ってつながる、という活き方で戦果を挙げ、ここで黒のリードになりました。その後のヨセも白が上手く打って結局白の5目半勝ちになりました。今分4段も負けはしたものの、下辺の置きは鋭い手で、楽しませてくれました。
NHK杯戦囲碁 阿部良希5段 対 藤沢里奈女流本因坊(2025年6月29日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は黒番が阿部良希5段、白番が藤沢里奈女流本因坊の対戦です。阿部5段はNHK杯2回目で前回は謝依旻7段に敗れています。対戦は黒の実利、白の厚みという感じで展開し、白は左辺から上辺にかけて大きな模様を築きました。右辺に黒が打ち込んでいってからの戦いは互角で双方が中央に延びていきました。そして黒が左上隅に付けて侵略を図ったのですが、ここでの黒の打ち方がまともに活きに行ったもので、その結果白に中央をかなり厚くされてしまいました。こうなると中央に展開する黒には隙があり、12の9への覗きから天元に割り込まれて左右を分断されてしまいました。こうなると黒は両方をしのがなければならなくなり、最初は白は左を攻め、途中で右側の攻めに転じ、中央が劫になりました。白が劫立てに左下隅を使ったのを黒は受けられず劫を解消して中央の黒はつながって両方活きましたが、左下隅は白地に変わり、地合は大差となりました。その後黒はそれでも下辺の白に絡んで行きましたが、白に無事に逃げられて、ここで黒の投了となりました。
NHK杯戦囲碁 蘇耀国9段 対 平田智也8段(2025年6月22日放映分)
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が蘇耀国9段、白番が平田智也8段の対戦です。蘇9段は碁盤を広く使いたい、と言っていましたが、その言葉通り、4線中心の中央重視の布石でした。この碁の最初の焦点となったのは左上隅から上辺にかけての戦いで、黒が上辺の白に付けていって積極的に仕掛けたのですが、白が反発した結果闇試合となり、黒は結局2つに分断され左上隅で眼二つで活きることになり、白は逆に黒の石をポン抜いて厚くなり、この戦いは白がポイントを上げました。白は更に左辺を攻められようとした時に手を抜いて上辺の取られていた2子を助けました。ここでの黒の左辺白への攻めが空振りし、結果的に白の開き直りが成功し、白のリードが拡がりました。こうなると黒の狙いは右辺上方の白を攻めることでしたが、ここでも白は上手く反撃し逆に黒を上下に分断して下辺の黒を取り込み、更に右辺の黒も攻め合いですが取り込む手が残りここで黒の投了となりました。平田8段は先期に準決勝に進出した好調が維持されている感じです。
NHK杯戦囲碁 鶴山淳志8段 対 小県直樹9段(2025年6月15日放送分)
NHK杯戦囲碁 三谷哲也8段 対 高尾紳路9段(2025年6月8日放送分)
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が三谷哲也8段、白番が高尾紳路9段の対戦でした。二人とも手厚い棋風ということで、序盤・中盤は大きな戦いはなく淡々と進んだ感じです。動き始めたのは黒が白の左辺の地模様に打ち込んでからで、ここで黒はそれなりに大きく白地を抉りましたが、白も中央が分厚くなりかつ左下隅もまとまってここでは互角でした。その後の下辺の折衝で、黒がちょっと一歩一歩という感じで遅れたように感じました。結局中央がかなり厚くなった白が、白を攻めに来た黒を逆に切りにいって逆襲しここで急に激しい戦いになりました。しかし白は取られそうだった左上の5子を助けつつ、黒は逆に中央で活きてかつ左下隅方面へも進出出来て、という結果になりましたが、若干白が得をしたようです。最後黒が上辺→右辺と展開する白を切りに行って、ここが最後の勝負になりましたが、白が巧みに得をしながらしのぎ、最終的には攻められていた白が8目の地を持って治まり、白のリードが拡大しました。更には最後の劫争いも白が勝って、最終的には白の3目半勝ちとなりました。
NHK杯戦囲碁 孫喆7段 対 上野愛咲美女流名人(2025年6月1日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が孫喆7段、白番が上野愛咲美女流名人の対戦でした。序盤左上隅は白が掛かった黒を一間に挟み、白が掛けて黒が出切ってという展開ですが、双方一子を制して穏やかに別れました、その後白が右上隅に付けていって上辺を這って地を稼ぎという展開で、更に右下隅→左下隅・下辺方面と戦いが続きました。結局黒が下辺から右下隅で35目くらいの大きな地をまとめ、対して白は中央が厚く、中央にどのくらい地が付くかの勝負でした。その中央の攻防で黒が上辺左の白に利かしに行ったのに白が反発して、ここでも戦いになりました。その間白が妥協した手を打ったため、黒の言い分が通った形で黒が中央の白地をかなり削減出来たため、形勢は黒に傾きました。さらに中央下方でも黒がのぞいて行って白が反発してでここも難しい戦いになりましたが、ここでも白が頑張りきれなくて妥協した手を打ったため、形勢は黒優勢のままでした。とはいえ細かい差でありヨセでの攻防が続きましたが、黒が最後半劫を譲って半目勝ちに手堅くまとめて勝ちきりました。