NHK杯戦囲碁 余正麒8段 対 藤沢里菜女流四冠


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が余正麒8段、白番が藤沢里菜女流四冠の対戦です。布石では黒が左上隅にかかった後手を抜いて上辺と右辺の模様を大きくしました。それに対して白は右下隅の黒の小目に星の所に付けていって、侵略を図りました。ここは白が隅に跳ねて黒が押さえ、白がカケツぎ、黒が当てました。白がはじけば劫になります。その手を保険に白は中央に逃げました。白は左下隅で小目ジマリに肩付きして一間に飛んだ黒と中央の黒の間を割いていこうとしました。これに対して黒も中央からコスんで白の切断を狙いました。その後白は劫に行きましたが黒の劫取りの後の白の中央の劫立てに黒はすぐ解消しました。白は中央を連打しましたが、黒はしつこく覗いていって切断を狙いました。これに対して白が反発した結果、黒が切断を決行しました。この結果右下隅の白は活きる必要があり、下辺で黒2子を取りましたが後手一眼であり、活きるためにもがく形となり黒に立派な壁が出来ました。白はそれでもその壁に切りを入れて行きましたが、切った2子を直接動くのは当てがなく、その利きを頼りに右辺に打ち込みました。ここで左上隅で黒が取られている石を活用して利かしにいったのがタイミングが良く、白は普通に受けると上辺で利かされ、上辺の黒模様が消しにくくなるため、反発しました。結果として左上隅は黒が活き、地合の差は大きく開きました。白はそれでも上辺と右辺の両方で活きて挽回を図りましたが、及ばず白の投了になりました。

NHK杯戦囲碁 孫喆7段 対 黄翊祖8段


本日(9月15日)のNHK杯戦の囲碁は黒番が孫喆7段、白番が黄翊祖8段の実力者同士の一戦でした。布石は黒がダイレクト三々とかを打ちましたが比較的オーソドックスな布石でした。その後で色々と面白かったのは上辺の攻防で、黒が白が右上隅にかかったのに、一間バサミし、それに対し白が高く挟み返しました。黒が白にコスミつけ、白が立ち、黒が右上隅を一間に開き、白が上辺で挟んだ黒にボウシしました。黒はその石を直接動かず、左上隅の白の三々に肩付きしました。その後色々あって結局上辺で白が黒一子を取込み、黒は上辺左側で所帯を持つという別れになりました。それから黒は取られている上辺右の石からケイマして付けていき、利かしに行きました。白も反発して受けている内に、黒が三線に並ぶという手がありましたが、その手を決行せず、下辺の白に打ち込んで行きました。上辺は結局白が守り、厚くなりました。その代り黒は下辺で更に右側にも打ち込んでいきました。その石は白からコスめば封鎖出来たのですが、白はそうせず堂々と中央に一間飛びしました。その結果黒と白で4箇所で中央に一間飛びという珍しい形の乱戦模様になりました。下辺右の白が、しのぎのため右下隅の黒に付けた後、三々に置いて、ここからまた難しい戦いになり、結局右上隅もからめて白が右辺に入っていき、右下隅は攻め合い模様になりました。一時白の打ち方がまずく白のつぶれではないかという局面もありましたが、うまく挽回して結局劫になりました。この時、黒がすぐに劫にいかず、白からの劫材となる箇所をカケツギして厚くしたのが冷静でした。結果として劫は白が勝ちましたが、その代償で黒は上辺で得をしました。更に下辺の白を攻め、数子を切り離して大きな黒地をまとめ、ここで黒が盤面で10数目以上の優勢になりました。白も頑張って左辺で黒を切り離し大きく地をまとめましたが及ばず、結局黒の6目半勝ちになりました。

NHK杯戦囲碁 安斎伸彰7段 対 山下敬吾9段


本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が安斎伸彰7段、白番が山下敬吾9段の対戦です。この2人の特徴はどちらも激しい戦いが好きだということになりますが、その特徴通り最初から最後まで戦いになりました。特に左辺と左上隅で黒がかなり頑張った打ち方をし、白がその2つをカラミ攻めにするという展開になりました。しかし黒は白の厳しい攻めをうまく受け止めて、最強の手を打ち続けました。特に中央に切り離されて残された黒2子を捨ててしまわずに担ぎ出したので、盤上眼の無い石がからみあう乱戦になりました。そんな中黒は上辺から右上隅、さらに右辺でも地を稼ぎまくりました。ただ白もうまく右上隅で手を付けて、黒数子を取り込みました。しかしそれでも地合は黒リードであったため、白は左辺からの黒と中央の黒を切り離して、どちらかを取っていく勢いで打ちました。しかし黒は左辺の石を比較的容易に生き、また中央の石も蜂の巣のように石が斜め斜めに展開していて、なかなか眼を取るのが困難でした。しかし、黒がある意味最強手を打ち続け、右辺下の白石を切り離して攻めに行ったのが打ち過ぎで、結局劫になりました。この劫を白から解消するには2手かかるため、白が大変そうに見えましたが、実際には白は左辺からの黒の大石に対し、かなりの数の劫立てが利くため、白が解消に2手かかったとしても黒は劫には勝てませんでした。結局上辺右で取られていた石を取り戻す劫立てで妥協しましたが、中央をそっくりとそれに加えて4子も取られてしまった黒の方がはるかに被害が大きく、ここで形勢は完全に逆転しました。最終的に左下隅でも劫が始まりましたが、黒の形勢の挽回には至らず、黒の投了となりました。

NHK杯戦囲碁 芝野虎丸8段 対 秋山次郎9段


本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が芝野虎丸8段、白番が秋山次郎9段という対戦です。芝野8段は収録時には7段でしたが、この度河野臨9段に勝って名人戦の挑戦者となったことで8段に昇段しました。10代での挑戦者は井山裕太4冠王以来の2人目で、もし名人奪取となれば初の10代の名人です。(しかも興味深いことに、対戦相手は張栩名人で、井山裕太4冠王が最初の名人戦で当たったのも張栩名人で、その時は敗れ10代での初の名人獲得はなりませんでした。)
布石は黒が右下隅で小ゲイマ締まりで、またダイレクト三々もなく、かなり伝統的な布石になりました。それが変化したのは黒が左下隅で白が星から小ゲイマに締まっていたのに小ゲイマの石にケイマにかぶせたような手でした。この手で白に受けさせ左辺に変幻自在に展開しました。黒は左辺から中央にケイマし、更に左辺の白にかけていましたが、白はすぐ受けずに手を抜いていました。その後右辺に打ち込んだのが一段落した後、白はかけられた所を出切っていったのですが、強く戦うのかと思ったら、あっさり2子を捨ててしまい(写真の場面)、代償は左下隅からのコスミツケを利かしたくらいで妥協してしまいました。その後右辺の黒模様に更に白が入って行って、何とか治まり形になりました。しかし代償に白も上辺から中央に出来かけていた模様を黒に自然に消されてしまいましたので形勢は依然黒良しでした。更に左上隅も黒が三々に打ち込んで活き、地をえぐりました。その後白は勝負手気味に右上隅から中央に延びる黒を切断し取りに行きました。結果として黒6子位を取り込む戦果を挙げましたが、代償で左辺で白3子を取られてしまい、また取った6子も攻め取りではありませんでしたが、ダメを詰める必要があり、白のポイントの挽回は大きくありませんでした。結局黒の6目半勝ちでした。

NHK杯戦囲碁 林漢傑8段 対 一力遼NHK選手権者


本日のNHK杯戦の囲碁は、高校野球のためまたも13:30からの放送。黒番が林漢傑8段、白番が一力遼NHK選手権者の対戦です。序盤は黒が厚み、白が実利という進行でした。右下隅が一段落して、黒が左下隅の白にかかっていった時、白は手を抜いて、左下隅から中央に頭を出しました。右下隅の黒を狙っている手でした。黒は左下隅で両ガカリし、定石が進行しましたが、途中で白はまた手抜きし、右下隅の黒に置き兼ノゾキを決行しました。黒のカケツギに延びて継がせ、下辺を二間に開き右下隅の黒への封鎖を見ました。しかし黒は中央に頭を出さず下辺に展開しました。白はすかさず封鎖を決行し、隅の黒は放り込まれると一眼しかありません。しかし黒は隅に手を入れるのは辛いと見て外から利かしに行きました。それに対し更に白が逆襲し、下辺で戦いになりました。結局黒が選んだのは、右下隅の黒を丸ごと捨ててしまうという大胆な作戦で、その代りに中央が厚くなったのと、左下隅からの白への攻めが利いた関係で上辺から中央にかけて黒の大模様が出来ました。しかし左下隅の白は50目あり、右上隅で8目くらいあるため、黒も70目ぐらいの地をまとめないといけませんでした。黒は左上隅にかかって模様を目一杯拡げました。それに対し白は中央から確実につながりながら黒地を減らしていってそれで収支が取れているという判断でした。途中白の一間飛びに黒が割り込んで1子を切り離し、上辺から中央にかけて大きな黒地がまとまりました。しかし白も切り離された1子を捨て石にして中央を押していって、中央が厚くなりました。相対的に左辺の黒が薄くなりました。その後下辺で劫になり、この劫は白が負けると右下隅の黒が復活するため、手を入れることになり、黒が少し挽回しました。しかし全体には白が優勢で、黒は最後の勝負手で左辺で頑張った手を打ちました。しかし白に切り離された攻め合いになりましたが、白の手数が長く、黒が取られてしまい、ここで黒の投了となりました。