
本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が本木克弥9段、白番が志田篤8段のどちらも7大タイトルの挑戦経験者同士です。(志田8段は今年の天元戦で一力遼天元に挑戦しましたが、惜しくも3連敗でタイトル奪取はなりませんでした。)この碁はがっぷり四つという感じで、最後まで微細な形勢が続きました。上辺左でいわゆる「鶴の巣ごもり」の形が出来て、それで白が守らずに黒に取らせたのも珍しいことでした。左辺で黒が白地を侵略して活きた代わりに中央がかなり白っぽくなったのですが、黒が下辺の白を脅かしつつ中央を上手く侵略して大きな白地を作らせなかったのが黒の勝因になりました。また最後の方で上辺の劫争いをしている時に、左辺を劫に弾いて新たな劫を作ってそれを劫立てにしたのも上手く、最後白の左下隅に置く手があり、白が一手手入れが要るということで、結局黒の1目半勝ちに終わりました。
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NHK杯戦囲碁 張栩9段 対 田中康湧5段(2025年11月9日放送分)

本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が張栩9段、白番が田中康湧5段の対戦でした。張9段が対局前のインタビューで「今日は積極的に仕掛けて行く」と言っていましたが、本局はその仕掛けが終始空振りしたような内容でした。特に上辺から左上隅の攻防で、上辺の白が黒に当て込んで渡りを目指したのに、黒が三々に入って行きました。結局この左上隅は劫になったのですが、黒の劫取りに白が1線を継ぐ手があり、結局黒は左辺を突き抜いたものの、左上隅は取られてしまい、ここで白がリードしました。白にとっては後は下辺から中央に延びる一団をしのげば勝ちという展開になり、黒も白の覗きに受けずに攻めに行きましたが、切られて上下を分断され、最後は黒のアテに白が手を抜いて上辺右の黒を取り切ってしまい、黒は白の一団を取れないということになり、白の中押し勝ちとなりました。田中5段はNHK杯戦の2回戦初勝利でしたが、白の完勝譜でした。
NHK杯戦囲碁 大竹優7段 対 横塚力7段(2025年11月2日放送分)

本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が大竹優7段、白番が横塚力7段の対戦です。序盤での見所は、黒が右辺の白に対し大ゲイマで利かしに行ったのに対し白が反発して中央に出ていった場面です。勢い黒は右辺に飛び込んで激しい戦いになると思いきや、白が上方の黒を取り込み、黒が右下隅の白3子を取り込むという振り替わりになりました。しかしどちらも取ったとはいえまだ味残りで、実際に後でもつれます。その後、白が右下隅で取られている石を活用しつつ下辺に展開し、ここでまた戦いになりました。この戦いは二転三転しましたが、途中でまた振り替わりになり、黒が左辺の白を取り込み、白は右下隅で取られていた石を復活させるということになりました。その後黒も右辺上方で取られて石を活用して策動し、一部を生還させようとし、劫になって、結局劫は白が勝ち、黒は左手で2手連打しました。という具合で行ったり来たりの好勝負でしたが、わずかに白が抜け出して、最終的には白の1目半勝ちとなりました。
NHK杯戦囲碁 関航太郎9段 対 表悠斗3段(2025年10月26日放送分)

本日のNHK杯戦囲碁は黒番が関航太郎9段、白番が表悠斗3段の対戦です。表3段については以前やはりNHK杯戦での許家元9段との対局で私は「黒は左上隅の三々に打ちこむチャンスが2回ありましたが、どちらでも決行しませんでした。もちろん手になったかどうかは分かりませんが、形勢が悪いのにそのまま淡々とヨセを打った、という印象です。表3段は17歳初出場で3回戦まで来れた、というのは立派ですが、こういう戦わない碁で上に行けるのかな、という気がします。トップの一人の井山裕太3冠がともかく目一杯の手を打つのをやはり参考にすべきではないかと思います。」と書いたことがあります。まさかこれを読んだ訳でも無いと思いますが、本日の表3段は、下辺へ潜航艇を飛ばしたり、左辺から黒の中央の模様に果敢に入っていったりと、積極的な面が目立ち、それがいい方向に働き、左辺の白がある意味大いばりで中央に進出し、左辺下方の白は取られはしたものの攻め取りであり、関9段もタジタジといった感じの打ち方でした。結果として盤面でも白が4目ぐらい良いという大差になり、黒の投了となりました。
NHK杯戦囲碁 鈴木伸二8段 対 村川大介9段(2025年10月12日放送分)

本日のNHK杯戦囲碁は黒番が鈴木伸二8段、白番が村川大介9段の対戦でした。序盤では下辺で黒がシチョウアタリから開いた所に白が打ち込んで行き、ここの戦いでは白が左下隅を大きく地にしリードしました。しかし黒もすぐその後の右下隅の戦いで挽回し、形勢は互角になりました。また左上隅を中心とした黒模様に白が上辺に打ち込んで手を付けて行きました。白がまず打ち込んだ石を中央に延びて安全にしてから、しばらくして左上隅に再度手を付けて行きました。白はここですぐ活きる手を選ばず上辺へ連絡する手を打ちましたが、白が上辺中央の黒に覗いたのを黒は受けずに左上隅を取り込み、その代わり白は中央の黒の一部を取り込むという振り替わりになりました。この結果もおそらくはほぼ互角でヨセが続きましたが、お互いに黒から中央の白地に対してハネ込む手があり、白がそれを切れないというのがあったのを気付いておらず、もし白がそれに気付いていたら白勝ちでしたが、結局黒が先に気付いて、結果として黒の半目勝ちになりました。
第46回少年少女囲碁大会
NHK杯戦囲碁 小池芳弘7段 対 余正麒NHK杯選手権者(2025年9月28日放送分)

本日のNHK杯戦囲碁は黒番が小池芳弘7段、白番が余正麒NHK杯選手権者の対戦です。序盤で黒がかなり大胆に下辺で5線に肩付きをしたため、白は4線を延びて20目以上の大きな地が出来ました。その代わり黒は中央が厚くなり、その後の焦点となったのは右下隅に右辺からかかり放しになっていた白の石を黒がどの程度攻めて得を図ることが出来るかどうかでした。しかし白のシノギは時には黒への逆襲を見ながら的確であり、かつ黒の中央に付きそうだった地も削減しながら打ったため、黒としてはこの白一団を殺さない限り勝てなくなりましたが、結局白はしのぎ切りました。最後左辺で取られていた黒を動き出して、左下隅で生きるかと見せて、結局下辺で目一杯地を囲うヨセを見せましたが、それでも黒は地合が及ばず白の中押し勝ちになりました。
NHK杯戦囲碁 瀬戸大樹8段 対 山下敬吾9段(2025年9月21日放送分)
NHK杯戦囲碁 林漢傑8段 対 広瀬優一7段(2025年9月14日放送分)

本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が林漢傑8段、白番が広瀬優一7段の対局です。序盤は白が実利、黒が模様という対抗で、白が上辺の1子を動かず、右辺を優先して打ったのが良い判断で、上辺は後から白から策動する手が残った分、白が少し上手くやったように思います。難しかったのが下辺での攻防で、黒が左辺下の出切りを防ぐ手を打たないで、下辺中央の白に付けていってから複雑な戦いになりました。結局左辺下は白が出切っていって隅を取り、下辺は結局劫になりましたが、上辺での劫立てに黒が受けなかったので振り替わりになりましたが、ここの収支は良く分かりませんでしたが若干黒が挽回した感じでしょうか。最後左辺と中央が残りましたが、白が左辺の黒を取り込んでしまえば中央を黒に囲わせても勝ち、という判断が的確で、最後上辺の劫など色々とありましたが、結局白が4目半勝ちで逃げ切りました。
NHK杯戦囲碁 高尾紳路9段 対 酒井佑規6段(2025年9月7日放送分)

本日のNHK杯戦囲碁は高尾紳路9段と酒井佑規6段の対戦です。序盤白が黒が大々ゲイマに左上隅に掛かったのに対し、6線に臨んだのが研究の一手という感じで、上辺右の黒地を値切りましたが、逆に今後この中央の白の6子が厚みとなるのか、あるいは攻められる展開になるのかが勝敗の分かれ目という感じになりました。その後左下隅の攻防で、ちょっと黒の誤算があったのか、隅の黒3子が持ち込みになった感じで大きく白地がまとまって、白のペースになりました。黒は中央を厚く打ちながら上方の白6子を攻める展開を狙いましたが、逆に白が中央の黒の二間開きの間に付けて逆襲していったのが積極的で結局これが劫を奏して、白が黒の右下隅を取り込み、逆に黒が下辺白4子を取り込みましたが、この分かれは白地が大きくここで白の勝勢となりました。結局白の中押し勝ちとなりました。

