岩本裕の「ウパニシャッド」を読了。ウパニシャッドについては先日辻直四郎の解説本を読んでいますが、そちらに収録されていたウパニシャッドの原文が非常に限られていたので、改めてこちらを読んでみたものです。印象は辻直四郎の本を読んだ時と大きく変わりませんが、この本で新たに得た印象としては、全体にあまりに修辞=レトリックを駆使した一種の「蒟蒻問答」が多いということです。例えば何がより優れているか、という議論で、名称→言語→意→思慮→理解→熟慮→認識とこの順番でより優れているとされるのですが、そこまではまだついていけますが、その次が力→食物→水→熱→虚空→記憶→期待→生気となるとほとんどこじつけ的な議論であり、単に同じパターンを繰り返す言葉遊びをしているようにしか感じられません。元々ウパニシャッドという言葉の意味は、「弟子が師匠の側に座って奥義についての教えを受ける」というものであり、現在文字として残されているウパニシャッドは所詮形骸的なものに過ぎないように思います。また宗教として見た場合、解脱という救いを得られるのはごく一部の限られた特権者的な者だけということになり、いわゆる達人宗教、エリート向けの宗教であり、衆生を救済する、といった要素はまったくありません。そういう背景から仏教やジャイナ教といった一種の異端が生まれて来たのかなと思います。ウパニシャッドは修辞の技術という意味では興味深いですが、はたして本当に宗教思想として深いものがあるかというと、ここまで見て来た限りでは疑問に思います。
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雪の状況(2)
雪の状況
「ローマ土地制度史―公法と私法における意味について」の日本語訳の第52回を公開
「ローマ土地制度史―公法と私法における意味について」の日本語訳の第52回を公開しました。おそらく後20回弱で最後までたどり着き、今年の夏には校正に入れると思います。
ローマも4世紀になるとかなり色々苦しくなり、あの手この手で税収を増やそうとして、έπιβολή(エピボレー)といって耕作されていない土地を無理矢理その隣の土地の地主に割当てて、その分の税金を取るようなことをしており、かえって自営農民のやる気を削ぐということになったようです。
スタートレック・TNGの”Hollow Pursuits”
スタートレック・TNGの”Hollow Pursuits”を観ました。エンジニアリング・セクションのバークレーは、ラフォージュの部下ですが、ミーティングには必ず遅刻、頼んだ仕事はほったらかしで別の何かに夢中、それで人とのコミュニケーションは苦手という男です。その彼がはまっているのが、ホロデッキで、実際のエンタープライズ号のクルーを使い(禁止されています)、彼自身のファンタジーの世界にひたること。彼はトロイに恋していますが、実際にトロイのカウンセリングを受けたら途中で逃げ出してしまい、ホロデッキの世界で「感情移入の女神」となっているトロイと熱いキスを交わします。彼のこの世界は、ラフォージュ、ライカー、トロイにばれてしまうのですが、ここで笑えるのが最初ライカーが自分をモデルにしたキャラをコンピューターに消させようとしたのをトロイが「バークレーが何に悩んでいるかが分かるから」と止めたのが、今度は自分をモデルにした女神が現れるとすぐに消させようとするシーンです。
お話はこのバークレーがエンタープライズ号が何かの細菌に冒された結果反物質エンジンが暴走し始めて爆発寸前まで行くのを、真相を発見しストップした、というありがちなものでした。私は正直な所、バークレーのキャラが気持ち悪くて共感出来ませんでした。
NHK杯戦囲碁 許家元9段 対 平田智也8段(2025年3月2日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が許家元9段、白番が平田智也8段の対局です。序盤で左辺の戦いで、白が左上隅から上辺で地を稼ぎ、黒が中央の白を攻めるという展開になりました。白は形を崩されながらも何とか左下隅方面の白とほぼつながりました。続けて黒が右上隅で上辺に向かって大ゲイマに打ったのに、白が三々に入って行きました。白はもちろん活きる手はありましたが、敢えて捨てて右辺での締め付けを狙いました。まだ右上隅は一手寄せ劫が残っていたので、これでまあバランスは取れていました。白はヨセ劫をすぐ決行しましたが、その途中で黒が下辺真ん中の星に打ち、その後左辺の白と左下隅の白の間を切っていく手を打ちました。ここから激しい戦いとなり、双方眼の無い石が2箇所ずつということになりました。黒は左下隅を劫に持ち込みましたが、劫材は白が多く、劫は白が勝ってここで形勢が白に振れました。黒はそれでも諦めずに中央の白を狙っていったのですが、下辺の黒が弱く、逆に白から分断されて結局ここも攻め合いになり、白が一手勝ちとなり白の中押し勝ちとなりました。平田8段はこれまで許9段に1勝8敗という大幅な負け越しでしたが、この前の対局で勝っており、これで連勝となりました。
ウルトラマンタロウの「木枯らし怪獣!風の又三郎」
ウルトラマンタロウの「木枯らし怪獣!風の又三郎」を観ました。タイトル通り、宮澤賢治の「風の又三郎」っぽいキャラクターが登場しますが、調べたらこの時期まだ宮澤賢治の著作権は切れていませんが、許可を取ったんでしょうか?このお話に登場する怪獣グロンは、ごてごてしたバロック的(?)なデザインが多いタロウの怪獣の中ではシンプルな造形で、かつ武器も暴風だけ、というものでちょっと好感が持てました。台風が水爆よりもエネルギーが大きいように、暴風もあるレベル以上なら強力な武器になります。但しタロウがこのグロンを倒すのに空気を吸い込む口をブレスレットで塞いで、グロンが膨らんで爆発する、というのは明らかに変。だって空気の吸込口を塞いでいるので、グロンが膨らみ続ける筈ないでしょ。
「風の又三郎」的なキャラのドンちゃんは最初は怪獣を呼び寄せたのかと思ったら、途中でグロンを攻撃する方に回り、良く分からないキャラクターでした。
トワイライト・ゾーンの”The Jeopardy Room”
トワイライト・ゾーンの”The Jeopardy Room”を観ました。ソ連で政治犯としてシベリアに抑留されていたクチェンコ大佐が脱獄し亡命を図ります。しかし彼を追うおそらくKGBの男がスナイパーと一緒に彼の隠れている部屋を監視しています。すぐにもクチェンコを射殺することは容易でしたが、ヴァシロフというKGBの男はじわじわと殺すことを好み、クチェンコの部屋を訪れ、彼は耐性がある毒入りワインをクチェンコに飲ませ、彼を3時間眠らせその間に爆薬を仕掛けます。部屋に残されたテープレコーダーのヴァシロフのメッセージによれば、部屋の中にブービートラップが仕掛けられていて、3時間以内にそれを見抜いて爆発を解除すれば彼は逃亡を許されるということでした。結局、ブービートラップは電話機に仕掛けられていて、単に受話器を取っただけでは爆発しませんが、ベルが鳴ってそれで受話器を取ったら爆発するようになっていました。しかしクチェンコはそれを何故か見抜き、電話を鳴るままにしておいて、ギリギリで部屋から脱出します。ヴァシロフとスナイパーはクチェンコが逃げた後の部屋に入りますが、そこにクチェンコは電話をかけ、間抜けなスナイパーが受話器を取ったため爆発し2人は死に、クチェンコは国外脱出に成功するという話です。しかしこれは別にトワイライト・ゾーンで起きる必要の無い単なるスパイ者に近いお話でした。クチェンコが何故電話のトラップを見抜いたかの説明はまったくありませんし、2人だけしかクチェンコを監視していないというのも変ですが、まあフィクションということで。クチェンコとスナイパー役はトワイライト・ゾーンの常連俳優です。
大川玲子の「聖典クルアーンの思想 イスラームの世界観」
大川玲子の「聖典クルアーンの思想 イスラームの世界観」を読了。先日「クルアーン」自体は一通り読了していますが、そこで疑問が残ったのは、何故イスラム教が短期間に多くの信者を獲得できたか、ということです。この本の情報で、その理由は(1)ムハンマドという預言者が直接的にアラーの言葉を代弁し、それが何度も繰り返され、帰依する者を増やしていった。 (2)先行するユダヤ教、キリスト教の教義の内の神話的な要素など都合の良い部分は採り入れるものの、それ以外は「ユダヤ教、キリスト教」が神の教えを歪めた、として自分に都合の良い教義体系を作ることが出来た。 (3)キリスト教的な「汝の敵を愛せよ」はまったくなく、ハムラビ法典のように「目には目を、歯に歯を」で戦争を通じて信徒を獲得していった。
といったことではないかと思います。またユダヤ教との討論を通して教義を練り直していたこともこの本には出て来て、例えば神の教えがモーセなどには一度で与えられたのに対して、ムハンマドには何度にも分けて与えられたのは何故か、それは偽預言者の証拠ではないか、という論難に対して対抗する理論を作っていきます。
後は興味深かったのは日本でのイスラム教の受容と、クルアーンの翻訳史で、戦前はいわゆる八紘一宇的なアジア進出の中で、アジアに多いイスラム教徒を日本の勢力の中に取り込むための手段としてイスラム教が研究されたというのがあり、あの大川周明(東京裁判の時は梅毒で精神に異常を来しており、東条英機の頭を叩いたことで有名)がクルアーンの日本語訳を完成させていたことも初めて知りました。
デジタル一眼レフの棚卸し
銀塩フィルム用一眼レフに続けてデジタル一眼レフの棚卸し。
一番後ろがK-10Dが2台。このモデルがPENTAXのデジタル一眼レフとしては最初の本格的なモデルになります。この前に*ist Dというのがありましたが、私的にはイマイチで、K-10DでまたPENTAXに復帰しデジタル一眼レフを本格的に始めました。その前が左からK-5IIs、K-5IIとK-7が2台です。K-5IIとIIsの違いはローパスフィルターの有無です。
そして最前列がK-1とK-1 Mark IIです。
K-10Dはバッテリーが今のものと仕様が違って動作確認が出来ませんでしたが、後のは全部問題なく動きます。各シリーズで2台ずつなのは、レンズが沢山あるので一々レンズ交換するのではなく、2台持っていくことが多かったのと、後はPENTAXというブランドがいつまであるか不安だったので保険的な意味で2台買ったのと両方です。
これ以外にミラーレスのK-01がありこの撮影に使用しています。
その他コンパクトミラーレスのQ7も2台あります。