真空管趣味が昂じてヤフオクでこんなものを落としてしまいました。ビクターの真空管ラジオです。データを書いておきます。
1.製造会社:ビクター
2.発売時期:1962年頃
3.製品名:5A-2217 GRAY
4.価格:推定で6000円~7000円くらい(現在だと5万円くらい?)
5.仕様:中波と短波(オールウェーブ)と外部入力(電蓄など)、5球スーパー(微小電界用)
6.使用真空管、回路:12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4のいわゆる5球スーパー(スーパーヘテロダイン)。この構成は当時のトランスレス5球スーパー真空管ラジオの定番で、他の会社のもこれと同じ構成だったようです。真空管はすべて9ピンのミニチュア管です。最後の35W4は傍熱型の整流管です。(35が示すようにヒーター電圧は実に35Vです!電源トランスが無いので、100Vに抵抗つないで電圧落としても35Vぐらいが限界だったのでしょうか。→これはトランスレスの特徴で、全てのヒーターを直列につなぎます。12V+12V+12V+30V+35Vで101Vになります。アメリカで電源電圧が115Vだった場合は、最後の整流管のヒータ-が50Vになります。)電源トランスは無く、いわゆるトランスレスで、増幅用の真空管のプレート電圧も100Vです。
ご承知の通り、最初のトランジスターラジオがソニー(当時東京通信工業)から発売されたのが1955年であり、この当時生産量では既にトランジスターラジオの方が多くなっており、価格も既にトランジスターの方が上でした。日本で真空管ラジオが最後に生産されたのは1964年で、こういった製品はほぼ最後の真空管ラジオということになります。子供の頃家にこれと同じような松下製の真空管ラジオがありましたが、ほとんど使った記憶がありません。
作られてから60年近く経っていますが、状態は良好でガンガン鳴ります。整流管が傍熱管なので、電源を入れてから聞けるようになるまで一分くらいかかります。なお、ボリュームをスイッチが切れる直前にまで回しても音は出ています。切り忘れを防ぐためにわざとこういう仕様にしていたようです。
真空管アンプでクリプトンのKX-3Pを鳴らす。
真空管アンプで現代のスピーカーを鳴らすには、アクティブサブウーファーの助けを借りれば良い、という仮説の検証のため、以前真空管アンプを試して惨憺たる結果だった、クリプトンのKX-3Pをサブウーファー付きで、8W+8WのKT77のシングルアンプで鳴らしてみました。結果は見事に成功で、サブウーファー無しだと高音が耐えられないほど歪むのが、サブウーファーをONにした瞬間ぱっと歪みが消えて無くなります。これでまた楽しめます。このスピーカーはその昔、ビクターから出ていたSX-3というソフトドームスピーカーの設計者の渡邉勝さんがクリプトンに移って開発したものです。筐体が本物のピアノとまったく同じ塗装仕上げになっており、そのせいもあってかピアノの音がとても良いです。
もちろんJBL4307も素晴らしいですが、小型は小型の凝集した音があって良いです。
「杉田敏の現代ビジネス英語」
Philips製のPCL86
NHK杯戦囲碁 村川大介9段 対 余正麒8段
本日のNHK杯戦の囲碁は準決勝の第2局で、黒番が村川大介9段、白番が余正麒8段の対戦でした。この碁の戦いは右上隅で白が黒の二間高ジマリの左側の石の左側に付けていった時から始まりました。星の石の左側に付けていくのは良く見ますが、左側の石に付けたのは初めて見ました。しかし両者この形は研究済みなのか時間を使わず手が進行しました。しかし途中白が取られかけていた2子を引っ張り出した辺りから難解な戦いになり、両者の考慮時間も何度か使われて行きました。結果的に白は黒の種石4子を取り込み、黒は中央で白2子をポン抜いて中央に壁が出来ました。ここだけ見れば互角の別れでしたが、元々黒の強い所で白が捌きに行っていたのを考えると白の成功でした。黒としては右辺の白を攻めつつ、どのくらい中央に地が付くかが勝負のポイントでした。しかし黒は目一杯打って中央に40目レベルの地を付けましたが、その間に白も各所で地を増やしており、逆転には至らず、白の中押し勝ちになりました。余8段は初の決勝進出です。
アンプキット組み立て開始:ファストリカバリーダイオードを試す
確定申告の作業がかなり進んだので、次の真空管アンプの準備に取りかかりました。今回のはKT77のプッシュプルでほとんどが手配線のキットです。今回もかなりの部分の部品を交換して作ります。写真はブリッジダイオードの代りに使う、ファストリカバリーダイオードで作ったブリッジです。左がロームのスーパーファストリカバリーダイオード、右がビシェイのファストリカバリーダイオードです。電流が逆になった時の回復時間が非常に短く、切れの良い音を出すと言われていますが、今回が初トライです。ユニバーサル基板を使い、それにピン端子をくっつけたのですが、なかなか作業は大変でした。まあせっかく2つ作ったので、アンプが完成したら通常のブリッジダイオードも含めて聴き比べてみたいと思います。
Mullardの自称マッチドペアのPCL86
PCL86という真空管は、オークションサイト以外で売っているのは、エレキットのeKジャパンのサイトだけです。そこで最初に2本買ったPCL86はEDICRONブランドのものでしたが、三極管部のIa値が一方が片方の1.45倍という、ペア管としてはまったく使えないレベルのものでした。なのでもう2本買ってその中から選ぼうとしたのですが、何と今度はEDICRONではなくMullard、しかもMade in Great Britainです!(現在新品として売られているMullardの真空管は多くがロシア製です。)更には2本の箱がシールでくっつけてあって「Matched Pair」とあります。おお!と思いましたが、etracerで測定してみたら、三極管部のIaが一方がもう一方の+21%、gmが+9%で、ペア管とはとても言えないレベルでした。こういう風にペア管と称して売っていても、実際はまったくペア管ではないというのは非常に良くあることだと思います。
「巨人の惑星」の”Six Hours To Live”
「巨人の惑星」の”Six Hours To Live”を観ました。ある老夫婦がある人を殺して金を奪ったのを、自分たちが面倒を見ていたリードという若者に罪をかぶせて逃走しようとしています。それをたまたまその家に食料調達のため忍び込んでいたキャプテン達が立ち聞きします。いつも巨人達には関わるなというポリシーのキャプテンが何故かその無実の若者を救おうとする話です。この辺り、脚本家によって基本的な設定が徹底されず、ご都合主義で設定がころころ変るのがアーウィン・アレンの60年代のTVドラマの一つの特長です。
話の中身は、新聞記者のカメラの中に隠れて裁判所に忍び込んだり、電話を使って老夫婦が殺人の話を得意げにするのを中継したりと、これまでも使われた方法が多く、新鮮味がありません。
PCL86再測定-マッチドペアの条件とは?
昨日PCL86の測定をしてから、一般的に真空管でマッチドペアとして売られているものの測定方法とその判定条件をネット上で調べました。昔からある真空管測定器が測っているのはgm(相互コンダクタンス)のようで、これが一番重視され、次がIaの電流値のようです。etracerはQuickScanというモードで、Ia、内部抵抗、gm、μ(増幅率)の4つの値が取れます。なので、もう一度全ての手持ちのPCL86でデータを取り直しました。結果として、最初から販売元によりマッチドペアとして送られて来たEiのが値が揃っているのは当然として、私がある意味勘で選定したITT Lorenzのが非常に似通ったペアになっていて、3極管のgmに至ってはわずか0.6%しか違いません。一般的にはシングルアンプに使うのであれば5%以内ぐらいにあればいいみたいです。というか聞いて問題無ければそれでいいということです。(シングルアンプの場合。プッシュプルではペアの2本が揃っていないとトランスに直流が流れてコアを磁化して歪みが増えるということになるようです。)
なお、Ei以外で最初に買ったMazdaの内一本はかなり電流値が低くなっています。もう寿命が近いのではないかと思います。
etracerによる各種PCL86の測定
etracerを買った最大の目的である、色んなブランドのを入手したPCL86の特性値を測定してみました。PCL86は3極管とビーム管の複合管であり、測定はそれぞれ別に行ないました。etracerは12AX7のような双三極管については、1度に両方の特性が取れますが、さすがに種類が違うと一緒には測定出来ないようです。
EIのはPCL86シングル超三結アンプキットに最初から付いて来たもので、販売元でチェックしたペア品です。なので3極管特性は良く揃っています。しかしビーム管部はそうでもないです。この辺り、ペア管の選定にはどこを重視すべきなのかがまだ良く分かっていません。Mazdaの2本がかなりバラバラですが、この2本はeBayで別々の売り手から買ったものなので仕方ないかと。Lorenzの4本(内2本がITT、後の2本がSELブランド)はマッチ品として売られていたものですが、特性を見る限りまったくマッチ品ではないです。これとは別にAmazonで買ったKT77のクワッドを測って見ましたが、こちらはきちんと揃っていました。また、EDICRONのはエレキットのサイトで補修品(同社のPCL86シングルアンプ用)として売られているものですが、確かにペアとして売られているものではないにせよバラツキがかなり大きいです。なお、今私が実際に超三結アンプに使っているのはITT Lorenzのです。なお、特性が揃っているからといって実際に聞いてみて音がいい訳ではありません。むしろばらついていても、聞いてみるとまったく問題を感じないことの方が多いです。なお、etracerでPCL86を測定する時のcfgファイルを付けておきます。(3極部用と5極部用)もしかすると間違いがあるかもしれませんが、少なくとも測定結果はほぼレファレンス値に近い結果が出ています。
なお、参考までにPCL86のピン配列を私なりに分かりやすく書いておきます。
① 三極管のグリッド
② 三極管のカソード(陰極)
③ 五極管(実際にはビーム管)の第2グリッド
④ ヒーター1(三極管、五極管共通)
⑤ ヒーター2(三極管、五極管共通)
⑥ 五極管(ビーム管)のプレート(陽極)
⑦ 五極管のカソード(陰極)、ビーム形成電極、三極管と五極管の間のシールドの全てに接続(下のPhilipsのデータシートにある図だと、五極管みたいな書き方がしてありますが、実際には一番上のグリッドはカソードにつながっていて、他の2つのグリッドを取り囲んでビーム効果を出します。下右の五極管{ビーム管}のみの図解を参照。)
⑧ 五極管のグリッド1
⑨ 三極管のプレート(陽極)