NHK杯戦囲碁 村川大介9段 対 呉柏毅6段(2024年11月10日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が村川大介9段、白番が呉柏毅6段の関西棋院同士の対戦でした。戦績は村川9段から見て6勝0敗と、呉6段はまだ勝ち星がありません。対局は白の実利、黒の厚みで進み、左辺と右辺で黒が模様を築き、そこの戦いがポイントになりました。対して白は上辺に模様を築いています。白が右辺で黒から攻められた時に、早々と劫を仕掛けたのが意外でしたが、黒は下辺の劫立てに受けずに劫を解消しました。白の劫立ての結果下辺の黒は分断されたのですが、黒がどちらかを捨てていれば黒が優勢だったようです。実戦は黒が両方頑張った結果、白の中央が厚くなり、黒の右辺上方の石が厚みから攻められる石に変わりました。黒は左下隅の白に寄りつこうとしたのですが、隅と下辺で2つの劫になり、白はどちらかに勝てばいいという状況になり、結局隅は黒が劫に勝ち、下辺は白が勝ち、その結果左下隅からの活きも確定して白が優勢に変わりました。その後白は緩まず黒を攻め立てて一杯に打ち、地合は盤面でも白がいいという形勢になりました。それでも黒は上辺で頑張って多少形勢を挽回したかと思いましたが、最後右上隅が薄く、白にその薄みを付かれて黒地をへこまされ、黒の投了となりました。呉柏毅6段の対村川大介9段初勝利でした。

ウルトラマンタロウの「人喰い沼の人魂」

ウルトラマンタロウの「人喰い沼の人魂」を観ました。ある湖の側に住む少年がオネショをして父親から外に追い出されます。明日が誕生日の父親のために湖に花を摘みに行った少年はそこで人魂を目撃します。同じ頃東もその人魂を目撃しますが、どちらもZATのメンバーに信じてもらえません。結局人魂の正体は怪獣の目で少年の父親も捕まってしまいます。ZATは地底戦車ベルミダーⅡ世で地下を探索して怪獣を発見して攻撃します。そこで捕らえられた人達のカプセルも発見します。東は怪物を槍で攻撃しようとする少年に必ず父親を助けると約束し、タロウになります。ZATの女性隊員の援助もあって怪獣を倒します。
どうでもいいですが、ZATの地底戦車、何故かドリルが2つで、これでは地下を掘り進むの無理だと思いますが…(というかそれまでのシリーズの地底戦車も、自分が回転してしまって穴は掘れないと思いますが…)元々この手の元祖はサンダーバードのジェットモグラですが。

トランプ勝利

しかしネイト・シルバーの five thirty eight などの世論調査による予想サイトは今回も外し、これでトランプが関わる大統領選挙は3連敗。
上下院とも共和党が多数になりそうなので、少なくとも2年は(中間選挙までは)トランプはやり放題ですが、さてどうなるか。

MQAはどこへ?

3~4年前くらいに、e-onkyoのハイレゾ音源にMQA形式というのが登場し、「音質がいい」「ファイルサイズが小さい」といった大キャンペーンやっていました。それで一応試したんですが、すぐに色々疑問を感じて音源としてMQAを買うのは止めました。そのe-onkyoが2週間前くらいに終了してしまったのに、最後にと思って3タイトルくらいハイレゾ音源を購入しました。その時に「あれ、MQAはどうしたんだろう?」と思いました。ファイル形式としてはまったく提供されなくなっていました。

それで今MQAがどうなっているのかを調べたら、
(1)提唱元が経営破綻(一応どこかに買収されたらしい)
(2)ストリーミングでMQAをやっていたTIDALは今年の7月でMQAによるストリーミングを終了しFLACに切換え
ということで「ほぼ」終了していました。ちなみに最近日本でサービスが始ったQobuz(e-onkyoを買収した)もFLAC他で、MQAは使っていません。まあMQAについては元々怪しいと思っていたので、どうでもいいんですが。

志村真幸の「在野と独学の近代 ダーウィン、マルクスから南方熊楠、牧野富太郎まで」

志村真幸の「在野と独学の近代 ダーウィン、マルクスから南方熊楠、牧野富太郎まで」を読了。
私も、2006年頃に行われた通称「マックス・ヴェーバー論争」にアマチュアとして参加し、それがきっかけで大学時代の恩師の折原浩先生とメールをやり取りするようになり、先生の勧めでヴェーバーの未翻訳論文の日本語訳というある意味大それたことにずっと取りくんでいますので、この本の内容は興味深かったです。また著者は「南方熊楠顕彰会理事」なので、この本のある意味狂言回しの役は南方熊楠が勤めており、熊楠のイギリス時代と帰国後が比較され論じられています。ある意味新鮮だったのが、熊楠の時代のイギリスでは、大学の研究者よりもむしろアマチュアの研究者の方が地位が高かったということで、ダーウィンもマルクスもその例ということになります。そのイギリスでNotes and Queriesというアマチュア中心のQ&A雑誌に何百回と投稿して、アマチュア研究者としてそれなりの地位を築いた熊楠が、帰国すると、当時の日本(今も)学問は学者がするもの、という風潮の元で高く評価されず失意の日を送る様子が描かれています。熊楠は自身の履歴書というエッセイの中で、日本の当時の大学の学者を「「日本今日の生物学は徳川時代の本草学、物産学よりも質が劣る、と、これは強語のごときが実に真実語に候。むかし、かかる学問をせし人はみな本心よりこれを好めり。しかるに、今のはこれをもって卒業また糊口の本源とせんとのみ心がけるゆえ、(以下略)」と批判しています。
熊楠以外に、この本ではOEDの編集者であるジェイムズ・マレー博士も登場します。私も日本語変換の辞書に関わった人間として、マレー博士は尊敬しており、またアマチュア研究者としても大先輩になります。それから三田村鳶魚も登場しますが、鳶魚が熊楠とかなり親しく、深い交流をしていたことは初めて知り驚きました。私にとっては鳶魚は白井喬二、直木三十五、吉川英治他の大衆作家の時代物の小説の考証上の誤りを切りまくった、ある意味歴史書とフィクションの区別がつかない困った頑固な老人というイメージだったのですが、それが熊楠と意気投合していたというのはちょっと意外でした。
ちなみに、ITの世界では、ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも皆大学でコンピューターを学んで起業したのではありません。また僭越ながらこの私もプログラミング他のITの知識は、ジャストシステムに勤務していた時に仕事で覚えたもの以外は全て独学であり、大学で学んだものはまったくありません。そういう意味ではITの世界は大学の教官ではなくアマチュアが支えて来たのだと思い、学問の世界よりある意味進んでいたような気がします。

コモアしおつ

この写真は、私の自宅の最寄り駅である藤野駅より2駅甲府側の「四方津」(しおつ)駅側にある「コモアしおつ」というニュータウンです。バブルの頃の状況を社会人として知っているのは私ぐらいが一番若いということになり、最近あの頃の不動産の状況を知らない人が多いようです。なんでこんな所に(首都圏へのベッドタウンとしての)ニュータウンが出来たかというと、1986年に中央線快速が大月まで乗り入れるようになり、この結果この辺でも新宿辺りなら十分通勤圏になりました。(少なくとも当時はそう考えられていた。)四方津から高尾まで快速で行って約30分、そこから乗り換えて中央特快始発に乗れば座って40分で合計70分ちょっとで行けます。要するにバブル期の地価の高騰はすさまじく、普通のサラリーマンはそれまでのように普通の首都圏の通勤圏に庭付き一戸建てを持つことが出来なくなったため、高尾から先が次々に開発された結果の典型例がここです。この「コモアしおつ」は1987年に着工、1991年に完成、とバブル真っ只中に着工され、完成後すぐにバブル崩壊になっています。売り出し価格は平均5,000万円くらいだったようです。ちなみに駅とニュータウンの間は5分もかかるエスカレーターとエレベーターが設置されています。ちなみに、ここはバブル崩壊後もそこまで劇的に暴落はしなかったようで、ロケーションが評価されて今でも3500人くらいがお住まいみたいです。

NHK杯戦囲碁 洪爽義5段 対 井山裕太3冠(2024年11月3日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が洪爽義5段、白番が井山裕太3冠の対戦です。序盤が白が3隅を取って実利を稼ぎ、黒が左下隅から左辺・下辺の模様で対抗という碁形になりました。というより黒がそうするしかなかった、という感じです。序盤はどうも黒の手が受け優先でもう少し攻め気が欲しかった感じです。白は黒模様に対し左辺と下辺で潜航艇のような手を2手打って、まずは左辺を減らし、下辺から中央に展開してどこかで活きれば、という手を打ちました。結局白が左辺で活き、黒が下辺をほぼ地にするという別れになりました。この辺りは黒が少し挽回した感じでした。その後黒から白の上辺の地への侵入を巡って劫になりましたが、黒は劫材が足らず劫は白が勝ちました。このままヨセ勝負になるかと思いきや、白から黒の中央を切っていったのが良い狙いであり、結局黒の左上隅方面の石が切離されて取られては勝負がありました。井山裕太3冠のさすがの強さでした。

心理的安全性と今回の選挙

本日、ちょっと理由があって会社で心理的安全性の話をし、この本を紹介したので、念のため再度読みました。中に面白いことが書いてあって、リーダーで積極的に勝ちに行く戦略を取る人と、負けない戦略を取る人のどちらが良い結果を収めるか、という論議で、結論は当然前者で、後者は守りに入る結果、積極的にリスクを取ることが出来なくなります。その典型が今回の石破さんじゃないかと。石破さんの一般からの支持が比較的高かったのは、長らく非主流にいた石破さんなら今までの自民党政治を根底から変えてくれるんじゃないか、という期待があったからだと思います。要するに小泉純一郎元首相の「自民党をぶっ壊す」のリバイバルです。しかるに石破さんが採った戦略は党内のあちらこちらに配慮して厳しい態度が取れず、そしてそれが世論で強く批判されるとすぐ撤回、という感じで右往左往しました。まさしく「守り」であり、また目標も「自公で過半数を割らない」なのでこれまた完全に守りの目標です。更には公約は「5つの守る」で、まさしく精神状態が守りに入っていた明白な証拠だと思います。いっそこれまでの主張であるアジア版NATOを作るとかアメリカとの地位協定の改定のため「憲法改正が必要なので自公の議席を2/3にする」ぐらいぶち上げた方が結果は良かったのでは。