トランジスター技術2025年2月号のプリント配線板特集→間違いだらけ

トランジスター技術の2025年2月号は、プリント配線板特集ですが、この記事が間違いだらけ。2点だけ指摘しておきますが、きちんとチェックしたらおそらく20箇所くらい不適切な内容がありそうです。

(1) プリント配線板の材料で、FR-4がガラス繊維をエポキシで固めたもの、CEM-3はガラスの粉をエポキシで固めたもの

馬鹿か、という説明です。FR-4はガラス布(にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグ)を使ったもの、CEM-3はガラス布とガラス不織布を組み合わせたものです。(樹脂はどちらもエポキシ樹脂)

(2) プリント配線板の穴開けは今はレーザー加工が主流になった

これも馬鹿か、です。プリント配線板の穴開けの主流は今でもドリルビットを使ったN/Cドリルマシンです。レーザー加工はビルドアップ基板などの特殊基板で多く使われますが、生産性の点でもコストの点でも主流にはなっていません。

私が日立化成で銅張り積層板を売っていた頃は、配線板の生産量は日本がトップだったと思いますが、今はおそらく上位10位にも入らないと思います。当然の結果として正しい知識を持たない人が増えてきている訳です。
これを書いている「西村康」というライターは同じ号で突入電流軽減回路についても書いていますが、こちらもそもそも「突入電流」という単語を知らず「アンプの回路が不安定になる」とか意味不明なことを書いています。更には電源スイッチの2極品について入手性が悪いとか高いとか書いています。2極のスイッチはごく普通に販売されていますし、トグルスイッチではむしろ単極より2極の方が多いです。また価格もせいぜい数十円アップぐらいです。またここで何回が紹介したように電源スイッチは安全のための「両切り」にするために2極のスイッチを使うのが正道です。

マックス・ヴェーバーの「ローマ土地制度史―公法と私法における意味について」の日本語訳の第46回を公開

「ローマ土地制度史―公法と私法における意味について」の日本語訳の第46回を公開しました。2025年の最初の公開です。
ここでは戦争でローマが勝って獲得した属州の土地について、所有権がどうなっていたのかという細かな議論が行われています。ローマが負けた側の面子をつぶさず、またひどい搾取も行っていないという巧妙な属州管理の一面が良く分かります。

トマス・ミジリーの発明と悲劇

有鉛ガソリンの添加剤である四塩化エチル鉛を発明した人と、クーラー他の冷媒である、オゾン層を破壊することで禁止されたフロンを発見した人が同じ人(トマス・ミジリー)だというのを初めて知りました。この人の特許100以上あってエジソンと同じ発明王なのですが、今日では可哀想に非常にネガティブな評価をされているようです。そして晩年も若い時にわざと四塩化エチル鉛から出る鉛のガスを吸うデモをやった結果、鉛中毒になって、最後は半分自殺だったようです。(自分が発明した機械に首を絞められて死んでいます。)

https://edition.cnn.com/2024/05/24/world/thomas-midgley-jr-leaded-gas-freon-scn/index.html

辻直四郎訳の「リグ・ヴェーダ讃歌」

辻直四郎訳の「リグ・ヴェーダ讃歌」を読了。リグ・ヴェーダを含むヴェーダは、インドの宗教文書でもっとも古いものです。訳に「讃歌」の語が追加されていることから分かるように、様々な神に祈りとソーマ(神酒)を捧げて現世での御利益を得ようとするきわめて現世志向の讃歌です。また太陽神とか暴風雨の神、火の神(アグニ)、幸運の神、無垢の神、薬の神、と色々で、基本的にはギリシア・ローマ神話とか神道の世界に近い多神教で、中心的な神が曖昧です。一番良く出てくるのは英雄神のインドラと火の神のアグニでしょうか。ヴィシュヌも一応出て来ますが、まだその存在感は大きくありません。全体にただひたすら讃歌で、要は金持ちに雇われた詩人が自分の詩作の腕を振るって褒め称えた神からの御利益をその金持ちのために引き出し、多額の謝礼をもらうための歌です。後のウパニシャッドのような哲学的な内容はまだほとんどありませんが、神々も宇宙が生まれた後に生まれたもので、宇宙を創造したりはしていないとか、あるいは始まりは有も無も無かった、と言っているのは現在のビッグバンによる宇宙の始まりときわめて近い解釈です。また原人プルシャの体のそれぞれの部分から、つまり口からはバラモンが、腕からはラージャニア(後のクシャトリア)、腿からはヴァイシアが、最後に足からシュードラが生まれたとされており、カーストの起源が非常に古いことが分かります。ともかくウパニシャッドと違って非常に読みやすいですが、その翻訳は解釈が沢山あるようで、意味が取りやすいという訳ではありません。

スタートレック・TNGの”The Offspring”

スタートレック・TNGの”The Offspring”を観ました。データが皆に相談しないで何やら一生懸命作っていて、結局それはデータの「子供」でした。ラルと名付けら、自分で「女性」を選んだデータの作ったアンドロイドは、データが自分と同レベル以上のアンドロイドを自分が壊れた後も残そうとした、文字通り子供=娘でした。しかしそれはスターフリートの本部に対して危険を感じさせる行動となり、ピカードの上司がエンタープライズ号にやって来て、ラルをデータから引き離して研究所に連れて行こうとします。しかしデータより進化して感情を持ち始めていたラルに取って自分の唯一の同類であり親であるデータから引き離されることは強い不安感を生じさせ、それが原因でシステムに異常を来してしまいます。データは必死に修理しようとしましたが、結局ラルの機能をストップさせるしかありませんでした。ピカード上司は「そんなつもりじゃなかったんだ…」と言って戻って行きます。データはラルの記憶を自分の電子頭脳に移し、その思い出を失わないようにします。エンタープライズ号のミッションの一つが「新しい生命」を探し出すことなのですが、データはその新しい生命の一つして扱われています。ちょっとおセンチなお話でしたが、ラルがライカーにいきなりキスしたりとかのサービスシーンもあって楽しめました。

ウルトラマンタロウの「2大怪獣タロウに迫る!」「ゾフィが死んだ!タロウも死んだ!」「ウルトラの母 愛の奇跡!」

ウルトラマンタロウの「2大怪獣タロウに迫る!」「ゾフィが死んだ!タロウも死んだ!」「ウルトラの母 愛の奇跡!」の3つを続けて観ました。2話連続はウルトラセブン以降、新マンでもウルトラマンAでもありましたが、3話連続は初めてです。しかもタイトル通り、タロウは一度完全に死に(話の都合で本当は完全には死んでなかったことにされますが)、タロウを助けに来たゾフィは本当にあっさりタロウと同じようにバードンのクチバシを刺されて死に、しかもバードン(明らかにヒクイドリがモデルです)に人間が食べられるシーンまであり、視聴率梃子上げのためなんですが、当時の子供にはショッキングだったのではないでしょうか。そしてゾフィが一度タロウを光の国に連れ帰り、そこでウルトラの母がまるでシャーマンみたいにタロウを蘇らせます。そして渡した新しい武器がブレスレットで、新マンと同じかよ、と昔から観ていた人は誰でもそう思ったでしょう。その新しい武器の力でタロウはバードンは倒しますが、結局ゾフィは死んだままで死体状態でタロウとウルトラの母がゾフィを運んで行きます。といっても、おそらくこの後またウルトラ6兄弟が出てくるので、ゾフィもご都合主義でどこかで復活するのでしょう。

NHK杯戦囲碁 河野臨9段 対 井山裕太3冠(2025年1月5日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が河野臨9段、白番が井山裕太3冠の対戦です。(ちなみに今年は囲碁のお正月特番が無かったです。将棋はちゃんとあったのに。残念。)布石は白が左上隅でかかったまま手を抜いていた黒を大きく取り込む構えを見せ、地合は白がリード気味でスタートしました。その後白が右上隅の黒の星からの小ゲイマ締まりに肩をついて黒がすべったのに今度は右辺に入り、それを黒が裂いていって、という戦いになりました。この戦いの中で右下隅にどちらが先に回るかが勝負でしたが、結局白がかかることになりました。ここの折衝で白は右下隅に大きな地を取りました。黒は代償で右辺に取り残された白5子を取れていれば互角でしたが、白は堂々と逃げ出しました。この白のシノギで黒の中央のダメが詰まっていて傷があるのが災いし、結局黒はこの白を取ることも、他で大きな戦果を上げることも出来ず、最後は中央の包囲している黒が取られてしまって、12目ぐらいの地を持って白に治られてしまっては、黒が勝てない碁になりました。結局白の中押し勝ちでした。

「ローマ土地制度史―公法と私法における意味について」の日本語訳の第45回を公開

昨年末になりますが、「ローマ土地制度史―公法と私法における意味について」の日本語訳の第45回を公開しています。日本語訳の累計がMS-Wordで200ページを超し、私としては未知の領域に突入しました。今回の部分は非常に難解でした。

トワイライト・ゾーンの”What’s in the Box”

トワイライト・ゾーンの”What’s in the Box”を観ました。タクシードライバーのジョーは調子が悪い家のテレビを電気屋に修理させますが、1時間経ってもなかなか直りません。怒ったジョーは修理を打ち切って電気屋を追い払います。ジョーがプロレス中継を観ようと間違えてチャンネル10という存在しないTV局のチャンネルに回すと、そこには自分と妻のフィリスの出会いの場面が映っていました。驚いたジョーはフィリスを呼びますが、TVの画面はノイズが映っているだけでした。ジョーがまたTVを観ると今度は先ほどの食事のシーンです。そしてついにTVは未来のシーンを映し始め、そこではジョーとフィリスは喧嘩を始め、はずみでジョーはフィリスを窓から蹴落とし殺してしまいます。ショックでジョーは気絶します。医者に来てもらって鎮静剤を飲みますが、ジョーはフィリスに向かって先ほどの未来を反省して愛していると言いますが、フィリスはそれを馬鹿にしたため、結局テレビの通りにジョーはフィリスを殺してしまい、これも予告されていた通り死刑になります…まあありがちな話ですが、この時代修理屋が持っているのがまだ真空管だというのが私的には面白かったです。トランジスター化が始るのは後3年ぐらいでしょうか。

仮面ライダーストロンガー(エピソード5)のロケ地

仮面ライダーストロンガーって実際に観たことはなかったので、Amazon Primeで1話だけ(エピソード5)観てみたら、何と偶然舞台は相模湖・藤野!今とまったく変わりません(笑)。「飛び出せ!青春」もそうだけど、この辺り東京から中央高速で来れてかつ適度に田舎なんでロケには便利だったんでしょうね。それでブラックサタンの怪人の作戦が小学校の給食に毒を入れる(しかもすぐには死なない)というもの。世界征服までは1万年以上かかりそうですが…
ストロンガーって正義の味方の割には、武器は両腕に電気が通っていて触った相手を感電させる(変身の時に絶縁用手袋を外す)、というなかなか卑怯なもの。