トワイライト・ゾーンの”To Serve Man”

トワイライト・ゾーンの”To Serve Man”を観ました。
冒頭のシーンは宇宙船の中である男が退屈を持て余しているのに対し、それを監視している何かが色々と指示をしています。
シーンは地球に変わり、ある日突然カナマイトと自称するエイリアンが地球に円盤でやって来ます。彼らは国連総会にやって来て、地球にやって来たのは地球人に彼らの技術を教えて飢餓や戦争などの悲惨なことから地球を救うためだと言います。実際にカナマイトの技術でのある種の肥料により食料生産は爆発的に増え、飢餓が無くなります。また同じくその技術であるフォースフィールドを全ての国が使うことで核兵器を含む全ての兵器が無意味になり戦争も無くなります。カナマイトは、我々が地球にやって来た意図はこれだと言って、本を出します。その表紙を解読すると、”To Serve Man”でした。これを「地球人に仕える」と解釈すればこれまでのカナマイトの行動が理解出来ます。しかしある女性学者がその本の後半部を解読すると、それは「地球人を使ったクックブック」でした。カナマイトは既に多くの地球人を自分の星に送っていましたが、地球に残った人も結局は彼らの家畜になってしまいます。つまり”To Serve Man”の本当の意味は「地球人を食材として供す」でした。
という久々に捻りが利いたエピソードでした。原作があるみたいですが、SFでは良くありそうな設定だと思いました。

アウター・リミッツのProsとCons

1963-1965年に放送された、アウター・リミッツの全49話を観終わりましたので例によってProsとConsを。
Pros
・トワイライト・ゾーンの30分枠と違い、60分枠(実質50分)という長さを活かし、短編映画のような複雑なストーリーが使われているエピソードが多かったです。
・様々なSF的なテーマが使われ、それも単純なものではなく、結構考えさせるような深いものが多く印象に残りました。
Cons
・トワイライト・ゾーンと比べ、全体に暗くおどろおどろしいです。また出てくるエイリアン等がグロいのが多かったです。Eigoxの英語の先生(ネイティブ)が子供の時観て怖かった、と言ってましたが、それは良く理解出来ました。
・科学に対するネガティブな見方が強かったように思います。まあ核戦争の危機が叫ばれていた時代なので分らないではないですが。
トワイライト・ゾーンだと、話の内容で印象に残るエピソードがいくつかあるのですが、アウター・リミッツだとグロさや怖さの印象がどうしても先に立ってしまいます。しかし全体には視聴率は良かったらしく、1995年になって新編が作られています。

NHK杯戦囲碁 山城宏9段 対 河野臨9段(2023年6月4日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山城宏9段、白番が河野臨9段の対戦です。展開は白が実利を稼ぎ、黒が厚みという対抗になりました。左上隅で黒は三々に入りましたが、黒が上辺を重視したので、白は黒1子を噛み取って隅に10目に近い地を持って治まりました。この碁の焦点は白が黒の左辺と下辺方面の模様を消すために、左下隅の小ゲイマジマリに肩付きしてからの展開です。黒は途中で下辺右で下がって右下隅の白に受けさせようとしました。しかしながら白は手を抜いて左下隅に肩付きした後の一団の白を一間に飛んで強化しました。右下隅を白が受けなかったので黒は三々に打ち込んで行き、結局4目の地を持って活きましたが、白も右辺への連絡を見ながら活きており、結果的には白が上手く立ち回ったように思います。その後黒は左下隅の白への攻めを再開しましたが、下辺で白は活き、上方の白も尻尾を捨ててかつ左辺の黒を攻めながら巧みに凌ぎました。黒は更に下辺で3子を取り込まれる手が残っており、ここで白が優勢になり、盤面でも白のリードとなりました。更にヨセで左下隅の取られた石を攻め取りにさせ更に地合いの差を広げたため、ここで黒の投了となりました。白の名局で、河野9段の打つ手は時にAIが示す候補よりも厳しかった場合が多かったと思います。

アウター・リミッツの”The Probe”

アウター・リミッツの”The Probe”を観ました。これが最終話になります。ある飛行機が台風に巻き込まれ、海に不時着を余儀なくされます。救命ボートでパイロットらを含む4人が助かりましたが、ほどなく彼らは海の上ではなく、何かの固体の床の上にいることに気が付きます。そこでは天井から不思議なライトが降ってきて、濡れた服を乾かしたり、あるいはそこにいる生物を凍り付かしたりします。また何かの巨大アメーバみたいな生物が現れ、一人はおそらくそいつに食べられてしまいます。残った3人は色々と中を調べ、その装置が巨大な顕微鏡ではないかと思い当たります。同時に彼らがいるハウジングみたいなものは、異星人による探査装置(Probe)ではないかと考え始めました。やがて中に通信装置のようなものを見つけたので、何とか通信を試みますが、その間にもう一人が消えてしまいます。またその探査装置は地球を離れて水星に向かおうとしていることが分り、このままだと全員死んでしまいます。それで結局最後はこちらの意図が向こうに伝わったようで、相手のエイリアンは残った人間をその探査装置の中から出します。そこでは先ほど消えた2人も無事でした。そしてやがて救助機がやってきて4人は助かります。彼らの無線装置は故障していましたので、それもおそらくエイリアンの配慮でした。こうして寛大なエイリアンのお陰で命拾いした、という話でした。
うーん、ずーっと暗くてエイリアンというと地球を侵略するとかが多かったので最後はこういう希望を持たせるような話にしたのかもしれません。

ロバート・ワイズの”Star Trek: The Motion Picture”

スター・トレックの最初の映画である、”Star Trek: The Motion Picture”を観ました。まず、ネクスト・ジェネレーションのテーマ音楽が、この映画版で使われたものであることが分りました。そのネクスト・ジェネレーションと違って、エンタープライズ号のクルーはほぼオリジナルのままで、カーク、スポック、マッコイ、チェコフ、スールー、ウフーラ、スコットなどです。映画上はオリジナルでの5年間の調査飛行が終って、カークは2年半提督として地上勤務だったという設定ですが、実際の時間はオリジナルが終って10年ちょっと経っていますので、演じている俳優はそれぞれそれなりに老けています。まず、カークがエンタープライズ号に久し振りに戻って来てというのが、何だか「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士達」みたいでした。はるか宇宙の彼方から地球を目がけて何かがやって来て、それに立ち向かうという設定も一緒です。
カークがやって来て、それまで艦長だったデッカーが副に格下げになって、その二人の心理的対立とかの細かい描写をするのが、スター・トレックらしくて良いです。お話は、1970年代のボイジャー計画を使ったもので、実際にはなかったボイジャー6号というのが、話の中心に使われています。映画としてストーリーは良く練られていると思いましたが、オリジナルのシリーズの内容を大きく超えるものではないと思います。(というか元ネタは、オリジナルのシーズン2の”The Changeling”だと思います。)ただ特撮という意味では、まだCGがまだ一般的ではなかった1979年の段階で、結構頑張っているなと思いました。

スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Justice”

スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Justice”を観ました。エンタープライズ号はある星へ地球の植民者を送り届けた後、その近くに地球型の美しい星を見つけます。そこの住民は完全に地球人と同じであり、平和に楽しく皆が暮している楽園のような星でした。しかしエンタープライズ号はその惑星の軌道上に半透明の宇宙船のようなものを発見します。それはデータを通じて情報を得て、この星系に入ることを許可出来ないと言います。そうしている内に、上陸して星の子供達と遊んでいたウェズリーが誤って花壇を壊してしまいます。そうするとミディエーターという2人が現れ、「全ての法律違反の処罰は死刑である」として、ウェズリーに毒を注射しようとします。他のクルーによっウェズリーの処刑は妨害されましたが、その厳罰主義こそこの星の平和を維持しているものであり、それを守らないことは、スター・フリートのPrime Directive(最優先指令)の違反になるのではないか、そして軌道上の宇宙船、それは星の住民から神と呼ばれていましたが、そうするとこちら側の遵法の矛盾を突かれるのではないかとピカードは悩みます。ピカードは星に上陸し、ウェズリー他を連れ帰ろうとしますが、転送装置が作動しません。ピカードは「神」に対し「正義の実現には例外が必要である」と主張し、結局それが「神」に認められ、全員無事に帰還します。
うーん、何か変な話で、Prime Directiveを遵守するなら、星の文化をあらかじめ良く調べるなど慎重に行動すべきで、いきなり転送で何人か送るということ自体変なのでは。また地球でも「外交官特権」のようなものがあり、そういう事態はスター・フリートの規定は当然最初から想定している筈ですが。どうもこのネクスト・ジェネレーションは今一つすっきりしない話が多いです。

帰ってきたウルトラマン」の「恐怖の怪獣魔境」

「帰ってきたウルトラマン」の「恐怖の怪獣魔境」を観ました。
郷秀樹はウルトラマンと一心同体なので、人間には見えないものが見え、聞こえない音が聞こえます。それで「怪獣を見た、鳴き声を聞いた」と言い張っても誰も信じない、という、トロイア戦争の時の王女カッサンドラ(アポロンによって未来予知能力を与えられたのですが、その力でアポロンが浮気するのが分ったので愛を拒んだ結果、アポロンはカッサンドラの予言は誰も信じないようにします。それで自分の国のトロイアがギリシアによって打ち破られ滅亡することを予言しますが、トロイアの人は誰もそれを信じませんでした。)みたいなことになります。
そんな中、隊員間の対立を解決するため、加藤隊長が単身霧吹山に出かけて、怪獣に襲われ遭難する、という話です。いくらなんでも隊長一人で行くのは無謀だと思いますが。ついでに郷秀樹のお父さんも山で遭難し、救助隊が後100mの所にまで来ていながら見つけてもらえないで死んでしまう、というトラウマ過去も紹介されます。
この話で怪獣が二匹出てくる必要性はないのですが、ウルトラマンの「怪獣無法地帯」の影響か、サドラとデットンという二匹が登場します。デットンはちょっとテレスドンみたいです。(今調べたら、実際にテレスドンのスーツが使われたようです。)でウルトラマンは初代以来の必殺技のスペシウム光線と八つ裂き光輪で二匹を倒します。

トワイライト・ゾーンの”A Piano in the House”

トワイライト・ゾーンの”A Piano in the House”を観ました。劇評論家のフィッツジェラルド・フォーチュンは、彼の妻のエスターの26歳の誕生日プレゼントに、古道具屋でピアノロール(自動演奏ピアノ)を買い求めます。エスターは本当はピアノを習いたかったのですが、フィッツジェラルドはそれをお金と時間の無駄だと考え、自動演奏ピアノを買います。そのピアノロールはしかし不思議な力を持っていて、その音楽を聴いたものは、隠していた本性をすべて露わにしてしまうことが出来ました。執事のマーヴィンはいつも陰気な男ですが、その音楽を聴くと、自分が本当に幸せであるとニコニコしながら言います。そして次にエスターに音楽を聴かせると、彼女はフィッツジェラルドと結婚したのは若気の過ちで、今は彼を憎んでいると言います。誕生パーティーのゲスト達がやって来て、その中の一人の劇作家で独身主義者のグレゴリーに音楽を聴かせると、彼はエスターを愛しており、メキシコへ一緒に不倫旅行をしたと告白します。次に太った中年女性のマージが実験台にされ、彼女は小さな少女ティナでダンスが趣味だと言って踊り出します。最後にフィッツジェラルド自身が悪魔とはどういうものかを演じるため、ファウストの音楽をかけようとしますが、エスターがそれをブラームスの子守歌に差し替えます。その音楽を聴くとフィッツジェラルドは、自分は人に対して意地悪をするしかコミュニケーションを取ることが出来ない、グレゴリーの脚本を酷評したのも、その才能に嫉妬したからだ、と告白します。客は皆彼の元を去り、ただマーヴィンだけが彼を見捨てずに残ります…
といったエピソードで、後味の悪さが残る話です。星新一のショートショートで、皆が肩にロボットの鳥を載せていて、どんなに悪口を言おうとも、その鳥がきわめて礼儀正しい言葉に翻訳して人とコミュニケーションする、というのがありましたが、その逆の話でした。

本多猪四郎の「マタンゴ」

本多猪四郎の「マタンゴ」を観ました。これもかなり前に買ってまだ観ていなかったもの。1963年東宝の作品で、何となく怪獣もの系のイメージがありますが、結構本格的な怪奇スリラーという感じでした。何より監督が本多猪四郎、特撮が円谷英二、原案(元は海外の小説でSFマガジンの1961年の別冊に日本語訳が載ったもの)が福島正実と星新一、音楽が別宮貞雄で、かなり豪華なスタッフ陣です。そして俳優にはレインボーマン父+クイズグランプリ司会の小泉博、ウルトラQの純ちゃんの佐原健二が出ています。(二人とも途中で死にます。)女優二人は私にはなじみが無い人です。
金持ちのボンボンの豪華ヨットが低気圧で難破し、乗っていた7人が無人島に流されます。そこは霧に覆われていてキノコ以外の食物はほとんどなく、ただ難破船の中に「キノコを食べるな」というのがあり、最初は皆手を出しません。しかし食料が尽きると一人二人とキノコに手を出し始め、最後は生き残った一人以外は全員キノコを食べてキノコ人間化して、というストーリーです。ちなみにマタンゴと化した人間の声がケムール人やバルタン星人のものと同じでした。しかし生き残った一人の述懐にもありましたが、全員がマタンゴになれば別にそこで人間対マタンゴという対立は無くなるので、そこでキノコとして生きていく方が良かったのかも。なおキノコを食べるとハッピーになるということで、5年ぐらい後から始るサイケの世界を先取りしています。なお、生き残った一人の婚約者がキノコを食べて「このキノコ本当においしいのよ」と艶然と微笑むのが秀逸。

NHK杯戦囲碁 沼舘沙輝哉7段 対 牛栄子女流最強(2023年5月28日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が沼舘沙輝哉7段、白番が牛栄子女流最強の対戦でした。この碁はちょっと黒の打ち方があっさりしすぎの感じで、白の右辺と下辺の両方に打ち込んだり策動するチャンスがあったのにまずは下辺に付けて白を固め、その後右辺に策動するかと思いきや右辺も押して白を固めました。結果として中央は厚くなりましたが、まとめるのは大変そうでした。その後左辺の戦いで白は単独で活きるのは簡単でしたが、左上隅の黒を切り離して攻め合いを目指しました。この攻め合いは白が有利で黒はやむを得ず捨て石作戦に切り替えました。白は黒の2子を取ることが出来ましたが、そうすると中央が止まり、最悪100目レベルの黒地が出来る可能性があり、逆に白2子を捨てて頭を出したのが好判断でした。ここの折衝で白が優勢になりました。この後の黒の打ち方が不可解で、形勢が悪いにもかかわらず手堅い手が多く、ヨセはずっと白優勢のまま紛れる所も無く、結局白の5目半勝ちに終わりました。牛栄子女流最強はNHK杯戦で初勝利です。