NHK杯戦囲碁 孫喆7段 対 黄翊祖8段


本日(9月15日)のNHK杯戦の囲碁は黒番が孫喆7段、白番が黄翊祖8段の実力者同士の一戦でした。布石は黒がダイレクト三々とかを打ちましたが比較的オーソドックスな布石でした。その後で色々と面白かったのは上辺の攻防で、黒が白が右上隅にかかったのに、一間バサミし、それに対し白が高く挟み返しました。黒が白にコスミつけ、白が立ち、黒が右上隅を一間に開き、白が上辺で挟んだ黒にボウシしました。黒はその石を直接動かず、左上隅の白の三々に肩付きしました。その後色々あって結局上辺で白が黒一子を取込み、黒は上辺左側で所帯を持つという別れになりました。それから黒は取られている上辺右の石からケイマして付けていき、利かしに行きました。白も反発して受けている内に、黒が三線に並ぶという手がありましたが、その手を決行せず、下辺の白に打ち込んで行きました。上辺は結局白が守り、厚くなりました。その代り黒は下辺で更に右側にも打ち込んでいきました。その石は白からコスめば封鎖出来たのですが、白はそうせず堂々と中央に一間飛びしました。その結果黒と白で4箇所で中央に一間飛びという珍しい形の乱戦模様になりました。下辺右の白が、しのぎのため右下隅の黒に付けた後、三々に置いて、ここからまた難しい戦いになり、結局右上隅もからめて白が右辺に入っていき、右下隅は攻め合い模様になりました。一時白の打ち方がまずく白のつぶれではないかという局面もありましたが、うまく挽回して結局劫になりました。この時、黒がすぐに劫にいかず、白からの劫材となる箇所をカケツギして厚くしたのが冷静でした。結果として劫は白が勝ちましたが、その代償で黒は上辺で得をしました。更に下辺の白を攻め、数子を切り離して大きな黒地をまとめ、ここで黒が盤面で10数目以上の優勢になりました。白も頑張って左辺で黒を切り離し大きく地をまとめましたが及ばず、結局黒の6目半勝ちになりました。

混声合唱団 日立コール・ファミリエ 第20回記念演奏会

日立コール・ファミリエのコンサート。もう13回連続で毎年行っています。今回は第20回記念演奏会とのことで、パンフレットにこれまでの曲目リスト(下の写真)が入っていました。それによるとおそらく2007年からです。最初に勤めた日立系の会社の上司3名がこの合唱団のメンバーです。例年6月にあるのですが今年はお誘いがなく、高齢の指揮者の方(木村義昭さん)が病気になられたとかを心配しましたが、まったくもってお元気そのもので杞憂でした。例年6月なのが9月になったのは、東京オリンピックのせいで会場が混んでいて取れなかったということみたいです。
本日の演奏曲目は、佐藤眞の「蔵王」とヴィヴァルディの「グローリア ミサ」です。どちらも以前やっており2回目です。開催時期が後倒しになり、練習時間がいつもより長く取れたためか、特に「蔵王」の方はいい出来だと思いました。「蔵王」でおじいさん役でソロを歌った人も良かったです。

私のウキコレクション

私の磯釣り(フカセ釣り)用ウキコレクション。見る人が見れば垂涎ものと思います。プロ山元ウキが20種、その他プロ立石ウキ、プロ小里ウキなどなど。水中ウキも多数。
会社の若い人でフカセ釣りを始めた人がいるので、進呈しようと思い、その前に記念で撮影しました。
川崎に来たのが14年前でそれ以来磯釣りはやっていませんが、今ちょっとインターネットで調べてみたら、ウキ自体はほとんど変化が無いようです。プロ山元ウキは現在も売られていて、一個平均2,000円くらいします。しかし何故か山元さん自身のHPはググって出てくるサイトは別の会社のサイトになっていました。

山中貞雄監督の「盤嶽の一生」シナリオ

キネマ旬報の昭和41年(1966年)2月号別冊の「日本映画シナリオ古典全集 第二巻」にて、山中貞雄監督・白井喬二原作の「盤嶽の一生」のシナリオを読むことが出来ました。まず言っておかないといけないのはこの映画はサイレントだということです。日本で初めての本格的なトーキー映画は昭和6年(1931年)の「マダムと女房」とのことですが、この映画は昭和8年の制作で、トーキーが普及するにはかなり時間がかかったみたいです。この映画の特徴として、キャプションがかなり効果的に使われていて、例えば最後のシーンでは、「盤嶽どこへ行く?」「江戸へ」「騙されに」といった具合です。弁士が解説する前提のサイレント映画ではある意味こういうやり方は禁じ手だったみたいですが、山中貞雄は積極的に使いこなしています。またシナリオを読んだだけでも、原作のいくつかのエピソードをテンポ良くつなぎ合わせて、盤嶽というキャラが観る人に良く分かるような作りになっていると感じました。西瓜畑のラグビーシーンも出てきますが、ただ「ラグビーのように西瓜を奪い合う」といった感じにしか書かれておらず、実際のシーンを想像するのは難しいです。何はともあれ、シナリオだけでも残ったというのは素晴らしいことです。いつの日かどこかでフィルムが発見されないか、というのが私の夢です。

宇宙家族ロビンソンの”The Keeper”(2話)

宇宙家族ロビンソンの”The Keeper”(2話)を観ました。初めての2回連続でのお話です。宇宙の色々な動物をコレクションしているエイリアンが、ロビンソン一家に目を付けます。そのエイリアンはウィルとペニーをコレクションに加えようと渡すように要求します。ロビンソン一家は当然断りましたが、そうしている内にドクター・スミスがエイリアンが宇宙船の外に出ている間に、その宇宙船に乗り込んで地球に戻ろうとします。しかし操作を誤ってその宇宙船に捕らえられていた動物たちを逃がしてしまいます。で、ここで出ました!アーウィン・アレンお得意の「トカゲ恐竜」がまたも登場です。”The Lost World”の映画が最初で、原子力潜水艦シービュー号で確か3回ぐらい、タイム・トンネルで1回、そしてこの宇宙家族ロビンソンでも使い回しています。「巨人の惑星」でも出てくるようです。全部観たら、そのうち全部スクリーンショットを取って、ブログにまとめようと思います。お話に戻ると、エイリアンはドクター・スミスの行動に激怒しますが、ウィルとペニーを渡さないと危険なモンスターも含まれる動物たちをこのままにしておくと脅迫します。ここで、まずジュディがドンに対し、私達が身代わりになろうと提案し、二人で宇宙船に向かいます。同時にロビンソン博士とモーリーンも同じことを考え身代わりになろうとします。エイリアンはそれぞれの自己犠牲に感銘を受けますが、それでもウィルとペニーを要求します。しかし、ロビンソン博士が宇宙船の中でエイリアンが使う杖(ソロモンの杖みたいにモンスター達を操れるもの)を倒して壊してしまったため、エイリアンは一匹だけ船内に残っていた最凶のモンスターに襲われて倒れます。エイリアンはモーリーンに介抱されて、今度こそ地球人の気高さに感動を受け、最後はドクター・スミスだけを檻に入れた状態に放置して去って行きます。

白井喬二(厨井道太郎)の「銀の火柱」

白井喬二の「銀の火柱」を連載1号分だけ(博文館 淑女画報 大正10年{1921年}2月号)を読了。というか名義が「白井喬二」ではなく、「厨井道太郎」名義です!最初本当に本人が書いたのか疑いましたが、白井喬二の自伝の「さらば富士に立つ影」の巻末の年譜にちゃんと出ているので間違いないでしょう。また白井と「淑女画報」は、白井が学生時代に近松門左衛門の作品の現代語訳である「雨乞い小町」「恋のはやりうた」をこの雑誌に載せていますので、以前から付き合いがあります。また内容は時代小説ではなく、(その当時の)現代ものであり、しかも丁度この回はある男子学生が女性に恋の告白をする(「あなたを愛しています」ではなく「あなたを恋しています」が使われています)、という白井の作品としては非常に珍しいものです。白井は他にも「東遊記」とか「旧造軍艦」の時も、前者で飛鳥亭主人、後者で白井狂風という別名を使っていますので、この白井の最初期(連載は1920年4月-1921年3月、「怪建築十二段返しは博文館の「講談雑誌」の1920年1月号{おそらく発売は1919年12月}に掲載)に別名で作風が異なるものを書いていても特に不思議はないと思います。林不忘=牧逸馬=谷譲次のような例もありますし。

英語の手紙の結語(Complimentary Close)について

英語で正式なレターを書くという機会は、メールの普及でとても減っていると思います。
メールは多くの場合かなり砕けていて、あまり形式をうるさく言われることは少ないですが、手紙となるとそれなりに形式を守る必要があります。日本語の「拝啓-敬具」の敬具に当たる部分を英語では、Complimentary closeと言います。
20代の頃、会社の研修で「商業英語」の講座を週2回で半年ほど受講しました。ヘンリー中村という先生でした。(この先生、今ググってもヒットせず、どういう人だったのか不明です。でも色んな企業に対して商業英語を教えていたみたいです。)この先生によると、結語については”Very truly yours,”が一番正式であると力説されていました。
私も習った当初はこの結語を愛用していましたが、疑問が出てきたのは、ソフトウェア会社に移り、そこでワープロソフトに付ける英語の手紙文の監修を、早稲田大学の商業英語の長野格さんという先生と、ヤヌシュ・ブダさんという先生にお願いしてからです。実は長野先生は日本人とアメリカ人の実際のビジネスメールを何百通か集め、結語に何が使われているかを分析された論文を出されていて、それを読みました。それによると”Very truly yours,”は圧倒的に日本人ビジネスマンによって使われており、アメリカ人で使っている人はおそらく20%もなかったと記憶しています。どうもこの日本人ビジネスマンの多くがヘンリー中村に直接習ったか、または習った人から教えてもらって、”Very truly yours,”を墨守しているのではないかと思います。ネイティブの感覚では「私がここで書いていることは本当に本当のことですよ」という感じであり、あまりに硬すぎ、また逆に本当かな、という疑いを起こしかねません。実はアメリカ人でこの結語を多用するのはほとんどリーガル関係者、つまり弁護士です。普通のビジネスマンだったら、”Sincerely yours,”などの方がいいと思います。(イギリスだとYours sincerely,と逆。但し相手の名前を知っている場合のみ。知らない場合はYours faithfully,です。)
日本語だって、外人に正式な手紙の書き方を教えるのに、「謹啓-謹言」をいつも使え、と教えるのは不適切でしょう。それと同じだと思います。

宇宙家族ロビンソンの”Return from Outer Space”

宇宙家族ロビンソンの”Return from Outer Space”を観ました。今回のはおそらく第1シーズンの白眉といってもいいかもしれない話で、何とウィルが数話前に登場した人間みたいな宇宙人が残していった転送装置を使って地球に4時間だけ戻ります。(スタートレックの転送装置は、エンタープライズ号から目的の惑星に降りる程度の距離の転送ですが、この転送装置は何と4光年もの距離を瞬時に転送します。)しかし、ウィルが降り立ったのはヴァーモントの田舎町で、1965年とほとんどそのままという感じで、誰もウィルの言うことを信じてくれず、アルファコントロールに連絡してくれません。ロビンソン一家は全員死んだと思われていました。ウィルは、ある店で、ジュピター2号で食料の浄化に使っている四塩化炭素(例によってドクター・スミスが蓋を開け放しにして蒸発させてしまった)を見つけますが、わずか85セントのお金も持っていなくて、それをそのまま持って行こうとしてシェリフに捕まってしまいます。(ちなみに四塩化炭素は現在は発がん性があるので生産されていません。)最後になってようやく最初にウィルが出現するのを目撃していた少年がウィルの言うことを信じて四塩化炭素を買ってウィルに渡してくれます。ウィルはこの少年にアルファコントロールに連絡してくれるよう頼んで、再び元の星に戻っていきます。なのでこの少年がアルファコントロールにロビンソン一家が生きていてある惑星にいることを伝えてくれれば、救助隊が来る筈ですが、アーウィン・アレンのドラマは、脚本家が変わると話が引き継がれないのが特長なんで、結局救助隊は来ません。それに2話前のワンちゃんは一体どこに消えてしまったのか…

白居喬二の「由公の回顧録」(「盤嶽の一生」別篇)

学藝書林の白井喬二全集は全16巻の内半分くらいを所有していました。他で読んでいる巻の分は買わなかったのですが、各巻に付いている「月報」を全部読んでみたかったため、古書店で月報付きの全16巻を重複覚悟で新たに買い求めました。それで思わぬ収穫だったのが「盤嶽の一生」で、巻末に「由公の回顧録」という未読の番外篇があって、読むことが出来ました。未知谷から出ている「盤嶽の一生」は盤嶽がある不正を暴こうとして却って彼自身が捕らえられて牢に入れられ、そこを盤嶽が破牢するところで終わっています。「由公の回顧録」はその後の盤嶽を描いたものです。由公は、盤嶽が浮浪者であったのを引き取って世話した一人です。読んで嬉しかったのは、盤嶽に恋して田舎から出てきたお稲について、盤嶽は逃げ回ってしまってお稲の気持ちに応えることはなかったのですが、この回顧録ではその後12年経ってから二人が夫婦になったことが描かれています。(盤嶽43歳、お稲28歳)この結果はとても気持ちがいいです。また色々と苦労し浪々の身であった盤嶽が、幕府に対し「参勤交代廃止」の建白書を出し、それが採用されることは無かったものの、その見識の立派さが評価されて、ある幕府に仕える学者の相談役みたいなものになっていることが示唆されています。
この阿地川盤嶽は、言ってみれば白井喬二の分身みたいなキャラクターです。そして盤嶽の物語は戦前から戦後へと書き継がれました。「正義」というものの基準が大きく変った戦前と戦後で、盤嶽のキャラクターがまったく変更なく書き継がれている、というのはある意味すごいことだと思います。これで盤嶽ものの未読は、昭和26年12月の「オール読物」に掲載された「盤嶽の仇討」だけになりました。

NHK杯戦囲碁 安斎伸彰7段 対 山下敬吾9段


本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が安斎伸彰7段、白番が山下敬吾9段の対戦です。この2人の特徴はどちらも激しい戦いが好きだということになりますが、その特徴通り最初から最後まで戦いになりました。特に左辺と左上隅で黒がかなり頑張った打ち方をし、白がその2つをカラミ攻めにするという展開になりました。しかし黒は白の厳しい攻めをうまく受け止めて、最強の手を打ち続けました。特に中央に切り離されて残された黒2子を捨ててしまわずに担ぎ出したので、盤上眼の無い石がからみあう乱戦になりました。そんな中黒は上辺から右上隅、さらに右辺でも地を稼ぎまくりました。ただ白もうまく右上隅で手を付けて、黒数子を取り込みました。しかしそれでも地合は黒リードであったため、白は左辺からの黒と中央の黒を切り離して、どちらかを取っていく勢いで打ちました。しかし黒は左辺の石を比較的容易に生き、また中央の石も蜂の巣のように石が斜め斜めに展開していて、なかなか眼を取るのが困難でした。しかし、黒がある意味最強手を打ち続け、右辺下の白石を切り離して攻めに行ったのが打ち過ぎで、結局劫になりました。この劫を白から解消するには2手かかるため、白が大変そうに見えましたが、実際には白は左辺からの黒の大石に対し、かなりの数の劫立てが利くため、白が解消に2手かかったとしても黒は劫には勝てませんでした。結局上辺右で取られていた石を取り戻す劫立てで妥協しましたが、中央をそっくりとそれに加えて4子も取られてしまった黒の方がはるかに被害が大きく、ここで形勢は完全に逆転しました。最終的に左下隅でも劫が始まりましたが、黒の形勢の挽回には至らず、黒の投了となりました。