犬に襲われたら…

この記事は、大日本雄弁会講談社の「少年倶楽部」(昭和一桁生まれの人には涙が出るほど懐かしい子供向け雑誌)の昭和8年1月号にあった「犬に襲われたら」の記事。昔、J社で仕事をしていた時、監修の仕事でお付き合いのあった作家・評論家の紀田順一郎さんが、HP(今は無い)でこの記事を紹介していて、昔の子供雑誌の記事は役に立ったと書いていました。何かと言うと、紀田さんが終戦後に野犬に襲われたことがあり、この記事を思い出してこの両肘を外に突っ張るポーズをやったら、効果覿面で野犬が逃げていった、と書かれていました。そこまでは紀田さんの思い出で、その時のHPで紀田さんは末尾にある「アルバート・テルーン」って誰なんだろう、と疑問を呈されていました。そこで私が登場するのですが、インターネット検索を駆使して、結局この「アルバート・テルーン」というのは、アルバート・ターヒューンであることを突き止めました。アルバート・ターヒューンは、大の犬好きの作家で、「名犬ラッド」という、名犬ものの走りのような作品を書いています。「名犬ラッド」は岩波少年文庫で出ていました。現在でも古書で入手可能です。アルバート・ペイスン・ターヒューン(Albert Payson Terhune)であり、Terhuneをテルーンと読んだのは分からなくもないです。(今考えて見ると、「名犬ラッシー」はこの「名犬ラッド」がベースになっているんじゃないでしょうか。ladは少年、lassieは少女の意味です。ラッドが雄のコリー犬、ラッシーが雌のコリー犬の話です。)
ところで、このポーズが犬に効果あるのは、おそらくゴリラか何かを思い出させるのかな、と思います。犬猿の仲、という言葉があるように、犬と猿はお互いに仲が悪く敬遠しているんじゃないかと思います。

「犬に襲われたら…」への3件のフィードバック

  1. はじめまして。もうすぐ紀田さんの一周忌です。
    生前の紀田さんとは何度も猛犬撃退ポーズについて話し合ったことがあります。
    亡くなる2か月前にも、知人の武道家が遭遇したツキノワグマには効果がなかったという話を伝えたものです。
    両手を胸に当てるポーズがなぜ犬に効果的なのかも紀田さんと何度か話し合い、紀田さんはゴリラのドラミングに似ているからではとおっしゃっていましたが、それであれば犬の祖先がゴリラに遭遇しドラミングに脅かされた経験があることになるだろうがそれは考え難いので、違うのではというのが私の見解でした。
    ピューマ、アリクイ、ナマケモノ等の動物が威嚇のため前足を広げる写真や動画がネットで見られることから、動物のボディランゲージとして前足を広げることが何らかの脅威的な意味を持つのであろうと紀田さんと私の共通の見解を得ましたが、決定的な理由の発見には至りませんでした。
    その後、前述の武道家と知り合い猛犬撃退法を教えたところ北関東のマタギに伝わる狼撃退法と同じであることを聞き、紀田さんに報告すると重要な情報だと大変喜んでおられたものです。件の武道家は犬はもとよりイノシシ、ゴリラ、猫など様々な動物に猛犬撃退法を試し結果を聞かせてくれています。イノシシには効果あり、ゴリラは不思議そうにマネをし猫は無視だそうです。両腕を曲げ胸に当てることで腕が太く逞しく見え犬に脅威を与えるのではというのが彼の見解です。
    実際鏡の前で猛犬撃退ポーズを取ってみると、腕が筋肉質のように錯覚します。それで今のところ、猛犬撃退法が効果のある理由はこの説が一番有力と考えています。
    しかしこの説を聞いたのは昨年秋、真っ先に知らせるべき紀田さんはもうおられません。もう少し早く知りお知らせできていればと悔しく、悲しくなります。

    最後に、紀田さんが12歳のとき外国人居留者の飼う4匹の猟犬に襲われ猛犬撃退法で事なきを得た話は、後年仕事関係で知り合った若者がパソコンで検索しテルーンの正体をあっさり突き止めた話とともに『横浜少年物語』に書かれています。ご参考まで。

    1. コメントをありがとうございます。
      また野犬撃退についての貴重な情報をありがとうございます。今住んでいるのが相模原市緑区の山の中なので役に立ちます。紀田さんの本も取り寄せてみます。紀田さんにはまだ色々とお聞きしたかったことがあるのですが、お亡くなりになられて残念です。

  2. ターヒューンの元記事が判明しました。1936年のリーダースダイジェストに載った記事みたいです。(ただ時系列的には少年倶楽部記事より後なので、これよりも前にも同様のことを色んな場所で書いていたのでしょう。)
    If the animal approaches with head down and low growls, it probably means to bite but will frequently be too puzzled to do so if the person stands with feet together and hands on chest.
    https://time.com/archive/6755730/medicine-dogman-damned/

    しかしこのTimeの記事はターヒューンが犬に嚙まれた時の処置について医学的に間違ったことを言っていると批判しているものです。

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