この漫画は、星野之宣の「宗像教授異考録」の「虫めづる姫君」の中の一場面です。(単行本に収録されたものではなく、雑誌ビッグコミック連載時の場面。)どこがおかしいかおわかりになりますか?
ここで描かれているのは説明と違ってアゲハチョウの幼虫ではありません。キアゲハの幼虫です。キアゲハの幼虫は、パセリ、ニンジンの葉、セリなどを食べ、ミカンの葉の上にはいません。昭和三十・四十年代の小学生にはほとんど常識だったことで、初歩的な誤りです。(キアゲハの幼虫の写真は、ここをどうぞ。)
「Comic」カテゴリーアーカイブ
一峰大二のキングZ
(以下の記事は、2007年8月22日に、旧ブログで掲載したものの再掲です。)
一峰大二の幻のプロレス漫画がついに単行本化されました。復刊ではなく、初の単行本化です。掲載誌は小学館の「小学四年生」と「小学五年生」で1970年4月号から、1972年3月号までの連載です。
そもそも一般の漫画誌ではないので、読んでいた人が限定されます。それでも、当時の「小学○年生」での漫画連載は、1年完結が原則だったのを、この漫画だけは小学四年生から小学五年生にわたって2年間連載され、どれだけ人気があったかがわかるかと思います。
(ちなみに私は、自分の学年より1年上の「○年生」を買っていたので、本来の対象の学年ではありません。)
中身は、タイガーマスクの影響がかなり強く、地下組織からやってきた様々な悪役レスラーと主人公が戦う話です。その悪役の多彩さは、タイガーマスクの「覆面チャンピオンリーグ戦」の悪役にもまったくひけをとりません。結末はちょっと「巨人の星」的です。これ以上書くとネタバレになるのでやめておきます。
傑作というほどではなくても、今読んでも十分面白く、小学三年生~四年生だった自分がはまったのは不思議ではありません。
ちなみに主人公の名前はなんと本郷猛!おそらくこちらの方が先だと思いますが、仮面をした主人公ということで仮面ライダーとも共通点があります。
この作品について、1991年頃Niftyの漫画フォーラムで誰か覚えていませんか?と聞いたところ、当時シスオペをされていた漫画家のすがやみつるさんが、わざわざ一峰大二さんに問い合わせて、その存在を確認してくれたことがあります。
ともかく、連載終了から35年も経っていて、再び読むことが出来たのは感激でした。
鳥山石燕の百鬼夜行絵図
私は故水木しげるさんの大ファンで、京極夏彦さんには負けますが、かなりの作品を読んでいます。
「ゲゲゲの鬼太郎」で意外と知られていないのは、あれに出てくる妖怪のデザインの大半は水木さんのオリジナルではないということです。特に敵方の妖怪は、江戸時代の絵師鳥山石燕の「百鬼夜行絵図」をベースにした模写が多くなっています。
論より証拠、画像は鳥山石燕の描く「ぬらりひょん」です。
「ゲゲゲの鬼太郎」では、鳥山石燕の妖怪が敵、柳田国男が著作で取り上げている妖怪が味方(子泣きじじい、砂かけばばあなど)という設定になっているそうです。
これを書いているのは別に水木さんを非難しているのではありません。水木さんや、カムイ伝の白土三平、子連れ狼の小島剛夕といった漫画家は、江戸時代の絵師の伝統を継承しているんだということです。
MAJOR2 第4巻
小池一夫センセのネタの使い回し
劇画原作者として一世を風靡したのが小池一夫先生です。実はあまり知られてはいないのですが、ローゼン麻生閣下が大好きな「ゴルゴ13」の初期の作品には、小池一夫原作のものがいくつかあります。当時小池一夫はさいとうプロに所属していたのです。その後、小池一夫は独立して、「子連れ狼」で大ヒットを飛ばしますが、実はこの「ゴルゴ13」と「子連れ狼」で、主人公と時代設定、場所設定が変えてあるだけで、ほとんど同じ話があります。
私はたまたまこの2つの作品をほぼ同じ時期に読んだので、類似性にすぐ気がつきました。画像はどちらも最後の方の場面で、上2/3がゴルゴ、下が子連れ狼です。どちらも悪党の親玉が、相手がゴルゴ13や子連れ狼だということに気がついていて、そのことを誰にも言わないから(言っていますが)命を助けてくれ、と叫んでゴルゴや拝一刀に殺されて終わります。
ここに詳しい顛末が書いてあります。
ゴルゴ13といえば、かなり昔ですが、吉本新喜劇で、岡八朗(岡八郎)が演じる「ゴルゴ十三(じゅうそう)」というパロディが好きでした。