8本目の西洋剃刀、2本目のDovoですが、今回のはHalf (1/2) Hollowです。既にHalf Hollowについては、GBSというメーカーのを持っているんですが、価格20ドルくらいの安物で切れ味がイマイチなんで、Dovoので買い直したものです。一応後Thiers-issardと、Giesen & Forsthoffというメーカーのを取り寄せ中で、それを含めて全部で10本になり、西洋剃刀道楽はそこで打ち止めにするつもりです。
それでDovoのHalf Hollowの剃り味ですが、うーん、すっかりFull Hollowに慣れたせいか、Near Wedgeまではいかないですが、剃り味がやや鈍重に感じます。それでちょっとギリギリまで攻めて剃ることが出来なくて、今日はまた電気剃刀のお世話になりました。なんかうまく刃が皮膚の上を滑ってくれないというか、結構引っ掛かるんです。刃の材質はスウェーデン鋼とあります。ゾーリンゲンのメーカーでもスウェーデン鋼を使うとは意外です。硬度は書いていません。
海外の西洋剃刀に関するサイトを見ると、初心者の入門用はこのHalf Hollowが良いと言っている人がいます。しかしそれは、Full Hollow派かWedge派かどちらにころぶか分からないから、取り敢えず中間のを試してみたら、と言っているようにしか聞こえません。私のお勧めは、最初にFull HollowとWedgeに近いのと両方買ってどちらも試してみるべきだと思います。まあ簡単に入手出来るものはほとんどがFull Hollowであり、Wedgeに近いものはeBayなどのオークションでヴィンテージ品を買うか、大メーカー製(といってもDovoもThiers-Issardもかなり小さな会社ではないかと思いますが)ではなく、職人の手作りみたいなのを買うしか選択肢がありません。DovoもThiers-IssardもWebでカタログを見ると、Wedgeタイプがあるように書いてありますが、実際の販売サイトでは今の所両者のWedgeタイプを見つけられていません。例外的にこのHalf Hollowは比較的色々な所で売っています。
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ティアーリサー(Thiers-issard)の西洋剃刀をもう1本注文
現在持っている西洋剃刀の中では、ティアーリサー(Thiers Issard)のが一番切れ味が良く、良く剃れます。これの理由ですが、ティアーリサーの剃刀はC135という炭素含有率1.35%の鋼を使っていて、それの硬度が、ロックウェル硬度で63~64ぐらいみたいです。ビッカース硬度に換算すると772~800です。この硬さは岩崎浩介の「刃物の見方」に出ている往年の銘剃刀の硬度と大体一致します。Dovoのは硬度が不明ですが、多分ティアーリサーよりは硬度が落ちるように思います。
それで一昨日、ティアーリサーで剃って、ついに電気剃刀の併用をまったく無しでつるつるに剃ることが出来ました。
ちなみにeBayでティアーリサーのをもう1本注文中。(ティアーリサーは買うのが難しく、アメリカのAmazonにはありますが、日本には配送してくれない店がほとんどです。なのでeBayが一番確実に入手出来ます。)
Classic Shavingで購入した”NTC “DABRIA” CUSTOM STRAIGHT RAZOR”(おそらく職人の手作りの西洋剃刀)
アメリカのClassic Shavingというサイトで購入した7本目の西洋剃刀がやっと到着。”NTC “DABRIA” CUSTOM STRAIGHT RAZOR”というもので、大きなメーカーのものではなく、個人に近い職人の手作りのものだと思います。スペックは以下。
“Dabria” Straight Razor
6/8″
Near Wedge
Straight Edge
Straight Spine
Shoulderless
01 Tool Steel
62 Rockwell Harness(ビッカース硬度換算は746HV)
Custom Handmade “Faux Wood” Carbon Fiber Scales
ビッカース硬度が746でこの間のBökerの674よりも硬いですが、それでも岩崎航介の本に出ている往年の銘剃刀の硬度に比べると一番柔らかい部類のものになります。
それでHollowですが、上記の仕様に”Near Wedge”とあるように、これまで買ったものの中ではもっともWedge(ベタ)に近いと思います。不思議なもので、西洋剃刀に慣れていなかった頃は、ベタに近いHollowの方が刃に安定感があって良かったのですが、正しい剃り方をかなりマスターした今ではFull Hollowの適度に刃が動くぐらいの方が快くなりました。
この剃刀で剃ると、剃るというより削っている、という感じになります。また、一応到着した後往復50回ストロッピングしましたが、やや鈍重感があって切れ味鋭い、という感じではありません。
BökerのFull Hollowタイプ西洋剃刀
また、西洋剃刀コレクションに1本追加。ゾーリンゲンのBökerというメーカーのFull Hollowタイプ。Amazonのドイツで購入。現在の西洋剃刀の市場では、Dovo、Thiers-issardの2大メーカーの次ぐらいの位置にいるメーカーみたいです。感心なのは、刃の硬度がちゃと書いてあることて゛、ロックウェル硬度(HRC)で59です。これはビッカース硬度に換算すると674です。高級剃刀だと、HRCで61とか62とかを良く見るので、59というのは硬い方ではありません。岩崎浩介の本でも高級品の西洋剃刀のビッカース硬度は750~900ぐらいのものが多いです。ただ、硬ければ研ぎにくいですし、また刃こぼれしやすくなりますから、ともかく硬ければいいというものでもないです。
新品購入で、革砥でストロッピングだけして使ってみました。Full Hollowですが、ジョリジョリ音は抑えめで、刃がしなって動く感じもあまりありません。同じゾーリンゲンでもDovoはもっと刃が動く感じです。剃り残しは丁寧に剃ればかなりの所まで剃れますから悪くはありませんが、私としてはThiers-issardの方がやはりいいと思います。
剃刀コレクションは、後1本、Classic ShavingというサイトでNTC “Dabria” Custom Straight Razorという、個人メーカー(職人)製の剃刀を注文しています。
THIERS – ISSARDのストレートレザー
セカイモン(eBay)から届いた5本目の西洋剃刀、THIERS – ISSARD(フランス、多分「ティアリサー」と発音するようです)のFull Hollowタイプ。これまで買ったものの中で一番高く(日本剃刀を除く)送料を合わせると2万円近くになりました。しかし、これが良かった!これまでFull Hollowは私の肌には合わず、Wedgeに近いベタ刃の方がいいと思っていました。しかし、このTHIERS – ISSARDのは、快適な剃り音を立てつつも、刃が勝手な方向に歪んだりはせず、薄い刃でもしっかり感があります。多分Dovoより刃の高さが若干高いのと、刃先が丸みを帯びているのが相乗効果で利いているのかな、と思います。結果的にこれまでの日本剃刀を入れると6種類の剃刀の中で、一番剃り残しが少なく綺麗に剃れました。これなら慣れてくれば西洋剃刀だけで十分で仕上げで電気剃刀を使う必要がなくなるような気がします。高いけれど良い買い物でした。
ドイツSALAMANDER製ヴィンテージ物 WEDGE 西洋剃刀
セカイモン(eBay)から、4本目の西洋剃刀到着。
Vintage SALAMANDER WEDGE Straight RAZOR FOCHE SOLINGEN GERMANY Salamander Worksというもの。
第2次大戦の後、ほんの10年くらいゾーリンゲンに存在したメーカーみたいです。名前に”Wedge”とあるんですが、実際にはご覧の通り1/4 Hollowくらいで、むしろこの間のスウェーデン製の方がベタに近いと思います。到着時の状態の刃はイマイチだったので、# 3000と合砥で研ぎ直しました。
早速お風呂で使ったみました。刃の剛性感は当然Full Hollowよりもあって安定しています。ただ、鼻と口の間の髭は良く剃れましたが、もみあげ部の髭はイマイチ良く剃れません。この当時の鋼はスウェーデン製の方が優れているかなと思います。これまで試した4本の中で一番深剃りが利くのはスウェーデン製の1/4 Hollowのものです。
止血ペンシル
アメリカより直送の、Styptic pencil (止血ペンシル)が到着。(日本では何故かこういう製品は売っていないです。英語のクラシカルシェービングの本にあれば良いものとして出ていました。)私はメンソレータムのリップクリームのような油分による止血剤みたいなものを想像していたんですが、全然違いました。中味は硫酸アルミニウムで、白い固い棒で、チョークの固いのみたいです。使い方はYoutubeにありましたが、先端を水に漬けて、それで固体を溶かして傷口周辺を塗ったくるみたいです。一回実際の切り傷で試してみましたが、ピリッという感じで一瞬結構しみます。収れん剤といって、皮膚を収縮させることによって血を止めるみたいです。
日本剃刀や西洋剃刀を使い出してから、結構小さな傷はいっぱい作っています。どちらの剃刀にしても、刃渡り方向に平行に動かしたりしない限り、大きく皮膚が切れることはないみたいです。そういう時の取り敢えずの血止めに使います。
スウェーデン製1/4 Hollowの西洋剃刀
eBayで買った、J.A. Hellberg, Eskilstuna, Swedenの1/4 Hollowのストレートレザーが届きました。1/4 Hollowといっても、ご覧の通りほとんどWedgeといってもいいくらいです。研ぎは到着状態で問題無く、革砥をかけただけです。早速お風呂で使ってみましたが、刃が肌に当たった感じが剛性感がありある意味日本剃刀に近く、それでいて刃渡りが日本剃刀より広く両刃なので非常に使いやすいです。ある程度力を入れて剃っても肌が切れるという感じはなく、それなりの深剃りが可能です。(といっても若干残るのはこれまでの西洋剃刀と一緒ですが。)また、剃った後の肌のヒリヒリ感も少なく、中々いい剃刀だと思います。この会社は1891年創業で、2007年まであった会社のようです。
Half Hollowの西洋剃刀
西洋剃刀の2本目がAmazon.comから到着。送料除くと$19.95の安物ですが、ステンレスではなくちゃんと炭素鋼で、1/2 Hollowのもの。(Full HollowとWedgeの中間の厚さ)ベタベタとグリスが塗られた状態で到着。刃は一応ついているみたいですが、イマイチだったので戸前と革砥で研ぎ直しました。
Half hollowタイプの西洋剃刀を早速お風呂で初体験。日本剃刀も併用です。予想通りというか、ジョリジョリ音の高さが低くなって落ち着いた感じで、Full hollowよりも刃に剛性感があります。剃り味は、価格の割りには健闘している、という感じでDovoに比べて極端に切れ味が悪くなっていたりはしません。値段からいっても入門用に手頃かも。ただ、柄はさすがにDovoに比べるとかなり安っぽさがあります。
革砥(Strop)について
革砥(ストロップ)について。砥石を50種類揃えている私が、革砥で1種類だけということは当然なくて、昨日届いたの入れて現時点で4種類。
一番左のは、Bush Craftという所のもので剃刀用に買ったのではなくて、包丁の仕上げで微細なカエリを取るのに使おうと思ってポチったものです。本当の意味の研ぎに使うには左に写っているような研磨粒子入りのコンパウンドを塗って使います。コンパウンドは粗さ別に4種類ぐらい販売されています。でもまだコンパウンドを使ったことはないです。剃刀用としてはコンパウンド無しでも表面が粗すぎて使えない感じです。
左から2番目は山秀という所の牛革。両面で使えますが、片側が仕上げ用として緻密で剃刀でも使えます。しかし、かなり柔らかくて剃刀が切れ込みやすく、その場合に簡単に剥がれてしまって耐久性がイマイチです。
3番目は本日届いたもので、西洋剃刀メーカーのDovoが出しているストロップで牛革です。予想よりちょっと小さいです。幅が狭いので剃刀の刃渡り分の長さを一度に磨くことが出来ず、X研ぎという特殊な磨き方をする必要があります。その他はまだ1回使っただけなんで感想はその内。
一番右が、剃刀用に現在一番使っている、叶山革砥製作所のもの。これは農耕馬のお尻の革で現在では希少品であるコードバン製です。# 6300という番号です。この番号は革の厚さであり、番号が大きいから目が細かいという訳ではないようです。むしろ革が厚くなると緻密さは減るみたいです。価格的には番号が大きい方が高くなります。(高いのは2万円~3万円もします。)その他、布砥も一緒に付いています。昔私が子供の頃、理髪師の人が使っていたのはこれが一番イメージとして近いと思います。品質的には左の2つとは一線を画しており、素晴らしい品質で剃刀に最適です。その代わりお値段も左の2つの約4倍(1万4千円)です。叶山革砥製作所は日本では現在唯一残った革砥のメーカーみたいです。
問題なのは革砥というのは消耗品で、使っていると痛んできて交換しなければなりません。特に叶山革砥製作所のは高価なんで、剃刀の刃で切ったりしないように注意して使う必要があります。(ストロッピングは、刃物を引いて磨きます。刃の方向に押すと間違いなく革砥も刃も傷めます。)
ちなみに、研磨剤を使わない革砥でのストロッピングは、剃刀の刃に微細なカエリやバリがあった場合、それを取り除くことは期待出来ます。また、刃に脂分付着している場合に、それを取り除く効果もありそうです。しかし摩耗して丸くなった刃をもう一度鋭くするような機能は無いと思います。逆に鋭すぎる刃を若干丸くする、という効果はありそうな気がします。(ストロッピング時の刃と革砥の間の角度にもよりますが。)
なお、革砥が手元にない場合は新聞紙を使うと、油性インクの効果もあって良いみたいです。包丁のカエリ取りも、新聞紙でやると良いと書いてある本がありました。