イギリスでの無資格者によるワクチンの接種/補足情報

今日のオンライン英会話でAndrewさんというイギリス人の60代後半の先生から、イギリスでのボランティア=素人によるワクチンの接種について色々お聞きしました。ともかく日本と前提条件がまるで違います。

(1)イギリスでは日本の半分の人口で累計死者が10万人を超しており、ワクチンの接種で一刻も早くこれ以上の被害の拡大を防ぐ必要があり、ワクチン接種開始の頃は一刻をも争う非常に危機的な状況だった。
(2)NHSはワクチン接種の計画が始まった去年の12月から、国民の大部分にワクチンの接種をするのはNHSのスタッフだけでは100%無理ということを明示的に発表しており、最初からボランティアを大幅に使うという意向を打ち出していた。
(3)とは言っても、完全な素人だけを主体にしたのではなく、医学部の学生、NHSに入っていない病院の医師・看護婦、マッサージ師、薬剤師等々のともかく医療に関連が深い人間を総動員するようにしていた。
(4)元々イギリスでは特別な訓練を受けた一部の薬剤師がインフルエンザのワクチン接種を行っていた。(その先生はしかし薬剤師に打ってもらったことはないと言ってました。)なので資格を持っていない者をトレーニングして接種を担当させることには抵抗感が比較的少なかった。
(5)非専門家がワクチンの接種をする場合は医者が必ず監修していたため、大きなトラブルは無かった。
(6)イギリスでのワクチン接種はこれまでの所は比較的上手くいっており、それに関しては文句を言う人は少ない。しかし10万人も死者が出たことに対しては政府・NHSの両方に対して批判が多い。また、最近インドや南アフリカその他からの変異型の感染者が増えており、ワクチンの効果に対して不安があるが、まだはっきりしたデータは無い。
(7)ボリス・ジョンソンが、BrexitでNHSを再建するという嘘をごまかすため、NHSのプアーな体制を表面化させないため、ボランティアを使ったのでは、という私の推論に対しては、その先生もそういう面はあるだろうと賛成してくれました。