白井喬二の「祖国は何処へ」第七巻、異邦篇読了。
南橘丸で火薬庫の爆破を脅しに使って水野忠七郎と正面対決した臺次郎は、対決の姿勢を取ったまま清国に着き、今は双方が日本人村に暮らしています。一方不良少女のお吉は、以前阿佐太夫に無理矢理犯され、今はその子を孕んでおり、日本人村を出て、料理屋をやっている中国人の元に身を寄せています。一方水野忠七郎の弟の友輝は発狂してしまっており、忠七郎は友輝の名を騙って日本人村の治外法権を獲得します。忠七郎は、ある日、鶉(うずら)の闘鶏に手を染め、中国側の鶉と自分の鶉を戦わせ、卑怯な手段を使って勝ちます。その賭けで忠七郎はお吉が世話になっている中国人の料理屋を自分のものにします。忠七郎の様々な陰謀を察知した臺次郎は、忠七郎に対し、一世一代の勝負を申し込みます。負けた方は日本人村を出て行くことが条件です。勝負は忠七郎が卑怯な真似が出来ないように、千拳勝負(じゃんけん1000回)で決着を付けることになりました。千拳勝負は臺次郎のほぼ勝ちに決まりかけましたが、そこで忠七郎が苦し紛れに果たし合いを申し込み、二人は斬り合いになります。斬り合いは臺次郎が勝って、忠七郎の膝を斬りました。臺次郎はとどめを刺さずに去りましたが、忠七郎はその後で馬賊に襲われ、深手を負います。そのことを臺次郎のせいと思い込んだ忠七郎の部下が臺次郎を襲いにやってきますが、そこに再度馬賊が襲来し、双方ともそれを防ぐのに懸命になります。何とか撃退することができましたが、双方に何人か犠牲者が出ました。
NHK杯囲碁 三村智保9段 対 羽根直樹9段
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が三村智保9段、白番が羽根直樹9段の対戦。序盤黒と白がお互いに中央に飛びあった状態で白の羽根9段が仕掛け、黒の一間飛びに中央から覗いて継がせ、すかさず黒がケイマに飛んだ所をつけこしていきます。覗きが働いて、黒が普通に切ると愚形になるという仕掛けです。その後の折衝で白は左辺を破ることが出来ました。この辺りで白が打ちやすい形勢になったようです。白はその後黒が上辺を囲おうとしたのに、すかさず上辺に左上隅からの連絡を見ながら侵入しました。これに対し黒は取られている2線の黒を引っ張り出して、締め付けを狙いました。その結果、白は上辺で地を稼ぎましたが、その代わり中央の白の大石が危なくなりました。しかし白はうまく劫に持ち込みました。劫材は白に多く、結局黒は包囲している自分の石を活きねばならず、劫は白が勝って、ここで白が勝勢になりました。その後白は黒の下辺に置いていく巧妙なヨセを見せ、ここで黒の投了となりました。
白井喬二の「祖国は何処へ」[6]海奴篇
白井喬二の「祖国は何処へ」第六巻、海奴篇読了。
伊豆の利島での幕府側と島将軍一派の戦いのどさくさで、金乃美は乗るべき船を間違え、幕府側の南橘丸に乗り込んで囚われの身となります。一方で臺次郎と幡乃助、そして児玉の三人は帆船で島を抜け出します。南橘丸は紀州沖を航行している時に海賊船に襲われますが、南橘丸は備え付けられた鯨砲という大砲で、海賊船を一撃で撃破してしまいます。臺次郎達の船は、その海賊船が沈む所に丁度巡り合わせ、一人の海賊を救います。しかしながら、水を補給に岩礁に立ち寄った際に、その海賊に船を奪われてしまいます。臺次郎達は丁度同じ時にその岩礁に来ていた南橘丸に乗せてもらい、逃げる海賊を追いますが、南橘丸は臺次郎達の船を今度も鯨砲で撃って沈めてしまいます。臺次郎達は仕方なく、南橘丸に乗って同行することになります。南橘丸は、水野忠七郎の弟の友輝が指揮していましたが、海洋調査船の建前の裏で、人買いもやっていて、あの不良少女のお吉も捕まって南橘丸に乗っていました。九州で、新たに男の奴隷を積み込もうとした時、ちょっとした争いが起こり、そのどさくさで臺次郎は忠七郎から友輝に宛てた密書を入手し、南橘丸が中国に行こうとしていることを知ります。色々あって、南橘丸は水野忠七郎が乗った大嬰丸と合流します。この時、大嬰丸に乗っていた、忠七郎の妾のお辰が幡乃助の姿を見かけて、忠七郎にそのことを告げます。今は身分がばれてしまった臺次郎は金乃美と合流し、南橘丸の鯨砲の火薬に火をつける用意をして、忠七郎と対等の談判を行います。
「白井喬二」のWikipediaページを書き換え
白井喬二のWikipediaページについては、「さらば富士に立つ影」という白井喬二晩年の自伝があるのに、まったく参照していないので、「経歴」の部分は全面的に書き直しました。「著作」に関しても、国会図書館のデータベースで検索して、抜けているものを追加しました。また白井喬二作品で映画化されたもののリストも追加しました。
白井喬二の「祖国は何処へ」[5]島嶼篇
白井喬二の「祖国は何処へ」第五巻、島嶼篇読了。
臺次郎と幡乃助は伊豆諸島の利島へやってきています。臺次郎はそこで島将軍と呼ばれる真田搢達を探して会おうとします。そうこうしている内に、南條芳之にばったり出くわします。実はお才と金乃美も利島に住んでいました。金乃美は芳之との婚礼を直前で取りやめ、今も独身です。芳之は臺次郎と金乃美を会わせないようにするため、臺次郎を新島に連れて行きます。そこで真田搢達に会わせると約束しながら、芳之はそれをなかなか実行しません。臺次郎は真田搢達が地内島に住んでいることを知り、単身船を駆ってその島に渡ります。芳之はそれを知り、ついに臺次郎を真田搢達に引き合わせます。臺次郎はその後、搢達の部下の一人の児玉より、安藤昌益の自然真営道について農本主義的な原始共産制の教えを受けます。そうこうしている内に、利島に大久保忠七郎の弟の友輝がやってきます。臺次郎はその顔を確かめるため利島に呼び返されます。そこでお才と金乃美とようやく再会できましたが、金乃美の真の気持ちまでは聞くことができず、二人はすれ違います。島将軍の一派は友輝を斬り殺そうとしますが、丁度その時江戸から船がやってきて、その者達と島将軍一派の戦いとなります。
古今亭志ん朝の「宮戸川、片棒、野晒し」
白井喬二の「祖国は何処へ」[4]心影篇
白井喬二の「祖国は何処へ」第四巻、心影篇読了。
下志津原の模範牢を脱獄した臺次郎は、途中で寝ていた少年の衣服を盗み、その少年がその後で自害してしまったため、その少年と間違えられて、今は死んだと思われていました。臺次郎は再び江戸に出てきて、名を白瀧の乙五郎とし、侠客として暮らし始めます。臺次郎の敵である水野忠七郎は、越後の地主阿佐太夫と組んで、小作人の娘を支那船に売ったり、米の買い占めを行って暴利を得たり、海鮮物に新たな規制を導入して、そこから利益を得ようとするなど、悪の限りを尽くします。その過程で臺次郎の古巣である品川の海産問屋木戸屋が標的にされ、大変な目に遭うのを臺次郎が恩返しをしようと奔走します。臺次郎には、母親を阿佐太夫によって飢え死にさせることになった田村喜徳や、以前水野忠七郎によって姉を陵辱された妻木幡乃助や不良少女のお吉と一緒に水野一派と戦っていきます。忠七郎はお吉を暴力で犯そうとして臺次郎の住処をしゃべらせたため、臺次郎と幡乃助は再び江戸を出奔し、船で島将軍のいる島を目指すことになります。
学芸書林の「定本・白井喬二全集」の収録内容
学芸書林の「定本・白井喬二全集」の収録内容です。第I期は刊行されていますが、第II期は白井喬二自身の意向で未刊行になっています。
第I期
[1] 富士に立つ影
[2] 富士に立つ影
[3] 富士に立つ影
[4] 富士に立つ影
[5] 盤嶽の一生
[6] 神変呉越草紙・怪建築十二段返し・江戸天舞教の怪殿・桐十郎の船思案・蜂の籾屋事件・傀儡大難脈
[7] 新撰組・兵学大講義
[8] 帰去来峠
[9] 短編集 I(宝永山の話、本朝名笛伝、九段燈と湯島燈、遠雷門工事、油屋円次の死、剣脈賢愚伝、青桐証人、鳳凰を探す、獅子面のぞき、芍薬奇人、ばっさい、闘鶏は悪いか、猿の方が貴い、神体師弟彫、国入り三吉、忠臣の横顔、邪魂草、湯女挿話、築城変、老子鐘、倶利伽羅紋々、兵学美人行、拝領陣、瓦義談、指揮杖仙史、名器殿物語、或る日の大膳、薫風の髭噺、職追い剣、広瀬水斎の諷刺、美泥、生命を打つ太鼓、敵討つ討たん物語、唐草兄弟、銭番論語、月兎逸走、白痴、密状霊験記)
[10] 珊瑚重太郎・金襴戦
[11] 国を愛すされど女も
[12] 国を愛すされど女も
[13] 忍術己来也・露を厭う女
[14] 上杉謙信・石童丸
[15] 雪麿一本刀
[16] 雪麿一本刀
第II期
[17] 祖国は何処へ
[18] 祖国は何処へ
[19] 祖国は何処へ
[20] 祖国は何処へ
[21] 河上彦齋・相馬大作
[22] 戦国紳士録・柘榴一角
[23] 瑞穂太平記
[24] 瑞穂太平記
[25] 瑞穂太平記
[26] 孔雀屋敷・唐手侍・鳴竜日記
[27] 新説岩見武勇伝
[28] 翡翠侍
[29] 源平盛衰記
[30] 源平盛衰記
[31] 源平盛衰記
[32] 伊達事変
[33] 伊達事変
[34] 東遊記
[35] 短編集II 明治媾和・他
[36] 別巻 鳳雀日記・論集・歌・俳句・年譜
この全集の収録作品は、第II期の「相馬大作」「鳴竜日記」「新説岩見武勇伝」以外は大体読んでいます。こちらを参照ください。
また、平凡社の白井喬二全集全15巻の内容はこちらにあります。
白井喬二の「祖国は何処へ」[3]尖端篇
白井喬二の「祖国は何処へ」第三巻。尖端篇を読了。
幕府は、島将軍一派を多数捕まえる方針を立て、捕まえた者達を閉じ込めておくため、下総の国の下志津原に、新しい牢獄を建設する計画を立てます。その所長は衣笠陣内という者で、西洋の牢獄を実地に見てきており、新しく西洋式を取り入れた牢獄を建設します。南條芳之とその妹のお才、そして金乃美も実はその近くに潜んでいました。新しく建設された獄舎に、江戸から囚人が送られてきましたが、その中に臺次郎がいるかどうか、つまり臺次郎が生きているかどうかが三人の一番の関心でした。お才は洗濯女としてその獄舎に入り込み、囚人の中に臺次郎がいるかどうかを確かめようとします。芳之は、臺次郎を思う金乃美に嫉妬し、思い通りにならない恋に狂い、酒色にふけって、危うく仲間から斬られかけます。しかしながら、金乃美に対し、もし囚人の中に臺次郎がいないことがわかったら、自分と結婚してくれるように頼み、承諾を得ます。お才は、ある時牢番から、獄内の囚人の年齢を聞き出し、三十才以下のものはいないと聴いて、臺次郎はいないと判断します。この結果、芳之と金乃美は結婚することになりました。しかし実はお才の判断は間違いで、臺次郎は牢の中にいました。牢番の中に、昔臺次郎が助けたことのある喜徳がおり、喜徳は昔の恩を返そうと、臺次郎の牢の鍵を外しておき、臺次郎を逃がします。金乃美は婚礼の当日に、臺次郎が脱獄したことを聞き、初めて臺次郎が生きていたことを知ります。
白井喬二の「富士に立つ影」のWikipediaページを作成
白井喬二の「富士に立つ影」のWikipediaページが無いのを以前から残念に思っていました。
人を当てにするのは何ですので、思い切って自分で作成しました。まだ「登場人物」の所が未完成ですが、公開しました。