今日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小林覚九段、白番が彦坂直人九段の対戦でした。小林九段はタイトルをいくつも取り、今でも第一線で活躍する棋士で、彦坂九段もかつて十段を取った実力派棋士です。対局は下辺で白がさばきに出て、結局振り替わりになりましたが、この結果は少し白が損したようです。その後、白は頑張って各所で地を稼いで打ちましたが、黒が左辺の4線の白につけたのが鋭い一着で、その後の折衝で、白の左上の壁石が攻められ、結果的に黒は上辺をうまくまとめることができました。結局黒の中押し勝ちでした。
古今亭志ん朝の「文七元結」
小林信彦の「地獄の映画館」
PENTAX Tethered Capture Plug-in for Adobe® Photoshop® Lightroom®
PENTAXから、PENTAX Tethered Capture Plug-in for Adobe® Photoshop® Lightroom®のK-1対応版が公開されました。これを使うとAdobeのLightroomの中から確かにテザー撮影できますが、できるのはシャッターを押す操作のみで、ライブビュー画面も表示されませんし、カメラの露出やAFの操作もできませんので、結局Image Transmitter 2を併用せざるを得ません。やりたいのは、テザー撮影して撮った画像をすぐLightroomで編集したいということだと思いますが、このプラグインは非常に中途半端なものです。
小林信彦の「ぼくたちの好きな戦争」
小林信彦の「ぼくたちの好きな戦争」、たぶん3回目くらいですが読了。小林信彦の一連の「喜劇的想像力」に基づく作品の集大成ともいえる作品で、同時に小林信彦の作品の中でもベスト1ではないかと思います。
冒頭の、日本軍が酔っ払って玉砕する場面は、元々は筒井康隆がネタを提供したものだと思います。
お話しは、秋間三兄弟(秋間大作、秋間公次、秋間史郎)と大作の息子の誠を中心に進みます。三兄弟がそれぞれ、和菓子屋の主人、風刺画家、コメディアンという設定は実に小林信彦らしいです。また誠に関しては当然のことながら小林信彦自身が投影されています。ただ、誠は集団疎開には参加せず東京に残り、3月10日の東京大空襲を経験します。
秋間三兄弟の話に挿入された、架空戦記(日本がアメリカを占領する)が、「素晴らしい日本野球」、「ちはやふる奥の細道」などで発語訓練を重ねた上で生み出された傑作と思います。
戦争を喜劇として描写する、という困難な試みに、かなりの部分まで成功している、よくできた作品だと思います。
K-1でのテザー撮影
レンカク
小林信彦の「神野推理氏の華麗な冒険」
小林信彦の「神野推理氏の華麗な冒険」を再読。いわゆる名探偵物のパロディーですが、ちゃんとトリックと謎解きは含まれています。私はミステリーファンではなくてほとんど読んでいないので、トリックについては論評しかねますが、やや強引なものが見受けられます。オヨヨ大統領シリーズとつながっていて、鬼面警部と旦那刑事が登場します。それどころか最後の話では、「総統」の名前でオヨヨ大統領ご本人らしきキャラも登場します。
お話しの中に、杉田久美というジャズシンガー志望で、整形して普通の歌手になったというのが出てきますが、これは明らかに弘田三枝子がモデルですね。小林信彦は、「シャボン玉ミコちゃん」という弘田三枝子が主演の番組の台本を書いていました。
小林信彦の「地獄の読書録」
小林信彦の「地獄の読書録」を再読。この本は、1959年から1969年までに出版された本へのブックガイドです。前半が雑誌宝石の「みすてりぃ・がいど」、後半が平凡パンチ・デラックスに連載されたものの単行本化です。前半は名前の通り、海外ミステリーの翻訳に限定されています。(この当時はSFもミステリーの一分野として扱われていたため、SFも含まれています。)1960年代前半はミステリーブームで、毎月10点以上の翻訳ミステリーが出版されていますが、小林信彦はヒッチコックマガジンの編集長としての仕事の傍ら、これらの翻訳ミステリーのほぼすべてを読んで書評を書いています。平凡パンチ・デラックスでの連載では、書籍の範囲が広がり、日本人が書いたものやノンフィクションにも対象が広げられています。前半部のミステリーに関しては、私自身がほとんど読んでいないので、書評としての妥当性はわかりません。後半部になると少しは知った本が出てきます。全体として見た場合、SFの勃興ぶりがよくわかりますし、後半になると日本人SF作家も台頭してきています。また007のブームでスパイ物が非常に多く出ていたことがわかります。小林信彦の「地獄の~」シリーズには、他にも「地獄の映画館」「地獄の観光船」があります。どれも非常に小林信彦らしい、マニアックな労作です。
小林信彦の「素晴らしい日本野球」
小林信彦の「素晴らしい日本野球」をかなり久し振りに再読。最初の発売の時は「発語訓練」というタイトルでした。W.C.フラナガンという、日本通という設定の架空のアメリカ人が書いたものを翻訳したという、「素晴らしい日本野球」「素晴らしい日本文化」が含まれており、これは後に「ちはやふる奥の細道」につながります。「素晴らしい日本野球」がBrutusに載った時には、フラナガンが架空の人物だということが理解されないで、まともに受け取った批評が出たりしました。「素晴らしい日本文化」はその批評に応える形を取った続篇です。この頃の小林信彦は何かに取り憑かれたかのようにアイデアが噴出しており、「少女の復讐を大藪春彦風に書いたら」、「ハーレクインロマンスの主人公を老人にしたら」、「もしも日本がアメリカではなくソ連に占領されていたら」などの突飛な設定を元に喜劇的想像力を膨らませたのが、この本に入っている作品群です。「サモワール・メモワール」がソ連占領ものですが、この作品の元々のアイデアは、朝鮮戦争の頃、小林信彦が友人から「来年は日劇でコサックダンスを見ているのではないか」と言われたことに基づいているんではないかと思います。