トワイライト・ゾーンの”A Piano in the House”

トワイライト・ゾーンの”A Piano in the House”を観ました。劇評論家のフィッツジェラルド・フォーチュンは、彼の妻のエスターの26歳の誕生日プレゼントに、古道具屋でピアノロール(自動演奏ピアノ)を買い求めます。エスターは本当はピアノを習いたかったのですが、フィッツジェラルドはそれをお金と時間の無駄だと考え、自動演奏ピアノを買います。そのピアノロールはしかし不思議な力を持っていて、その音楽を聴いたものは、隠していた本性をすべて露わにしてしまうことが出来ました。執事のマーヴィンはいつも陰気な男ですが、その音楽を聴くと、自分が本当に幸せであるとニコニコしながら言います。そして次にエスターに音楽を聴かせると、彼女はフィッツジェラルドと結婚したのは若気の過ちで、今は彼を憎んでいると言います。誕生パーティーのゲスト達がやって来て、その中の一人の劇作家で独身主義者のグレゴリーに音楽を聴かせると、彼はエスターを愛しており、メキシコへ一緒に不倫旅行をしたと告白します。次に太った中年女性のマージが実験台にされ、彼女は小さな少女ティナでダンスが趣味だと言って踊り出します。最後にフィッツジェラルド自身が悪魔とはどういうものかを演じるため、ファウストの音楽をかけようとしますが、エスターがそれをブラームスの子守歌に差し替えます。その音楽を聴くとフィッツジェラルドは、自分は人に対して意地悪をするしかコミュニケーションを取ることが出来ない、グレゴリーの脚本を酷評したのも、その才能に嫉妬したからだ、と告白します。客は皆彼の元を去り、ただマーヴィンだけが彼を見捨てずに残ります…
といったエピソードで、後味の悪さが残る話です。星新一のショートショートで、皆が肩にロボットの鳥を載せていて、どんなに悪口を言おうとも、その鳥がきわめて礼儀正しい言葉に翻訳して人とコミュニケーションする、というのがありましたが、その逆の話でした。

本多猪四郎の「マタンゴ」

本多猪四郎の「マタンゴ」を観ました。これもかなり前に買ってまだ観ていなかったもの。1963年東宝の作品で、何となく怪獣もの系のイメージがありますが、結構本格的な怪奇スリラーという感じでした。何より監督が本多猪四郎、特撮が円谷英二、原案(元は海外の小説でSFマガジンの1961年の別冊に日本語訳が載ったもの)が福島正実と星新一、音楽が別宮貞雄で、かなり豪華なスタッフ陣です。そして俳優にはレインボーマン父+クイズグランプリ司会の小泉博、ウルトラQの純ちゃんの佐原健二が出ています。(二人とも途中で死にます。)女優二人は私にはなじみが無い人です。
金持ちのボンボンの豪華ヨットが低気圧で難破し、乗っていた7人が無人島に流されます。そこは霧に覆われていてキノコ以外の食物はほとんどなく、ただ難破船の中に「キノコを食べるな」というのがあり、最初は皆手を出しません。しかし食料が尽きると一人二人とキノコに手を出し始め、最後は生き残った一人以外は全員キノコを食べてキノコ人間化して、というストーリーです。ちなみにマタンゴと化した人間の声がケムール人やバルタン星人のものと同じでした。しかし生き残った一人の述懐にもありましたが、全員がマタンゴになれば別にそこで人間対マタンゴという対立は無くなるので、そこでキノコとして生きていく方が良かったのかも。なおキノコを食べるとハッピーになるということで、5年ぐらい後から始るサイケの世界を先取りしています。なお、生き残った一人の婚約者がキノコを食べて「このキノコ本当においしいのよ」と艶然と微笑むのが秀逸。

NHK杯戦囲碁 沼舘沙輝哉7段 対 牛栄子女流最強(2023年5月28日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が沼舘沙輝哉7段、白番が牛栄子女流最強の対戦でした。この碁はちょっと黒の打ち方があっさりしすぎの感じで、白の右辺と下辺の両方に打ち込んだり策動するチャンスがあったのにまずは下辺に付けて白を固め、その後右辺に策動するかと思いきや右辺も押して白を固めました。結果として中央は厚くなりましたが、まとめるのは大変そうでした。その後左辺の戦いで白は単独で活きるのは簡単でしたが、左上隅の黒を切り離して攻め合いを目指しました。この攻め合いは白が有利で黒はやむを得ず捨て石作戦に切り替えました。白は黒の2子を取ることが出来ましたが、そうすると中央が止まり、最悪100目レベルの黒地が出来る可能性があり、逆に白2子を捨てて頭を出したのが好判断でした。ここの折衝で白が優勢になりました。この後の黒の打ち方が不可解で、形勢が悪いにもかかわらず手堅い手が多く、ヨセはずっと白優勢のまま紛れる所も無く、結局白の5目半勝ちに終わりました。牛栄子女流最強はNHK杯戦で初勝利です。

アウター・リミッツの”The Premonition”

アウター・リミッツの”The Premonition”(予感)を観ました。X-15というアメリカの超音速実験機(実在)の試験飛行で、パイロットのジム・ダーシーはマッハ6の速度を達成した後、降下中にエンジンが不調になり砂漠の中に不時着します。彼がそこで見たのは時が止まった世界で、彼以外は動いていませんでした。しかし彼はそこに妻のリンダが車の事故で気絶しているのを発見します。リンダは彼の着陸を見に来ていました。リンダは彼と同じでこの世界で動いていました。ジムは自分の飛行機がまだ空中にあるのを発見しましたし、リンダも自分と自分の車が止まっているのを発見します。基地に戻って計器を調べた結果、彼らは10秒だけ未来に来てしまったことが分ります。そこに彼らの子供であるジェーンが三輪車に乗っているのを見つけますが、ジェーンも動いていませんでした。しかし結局時が止まっているのではなく、1秒が30分ぐらいのスピードで動いていることが分ります。恐るべきことにジェーンの三輪車の横からサイドブレーキをかけ忘れたトラックが動き出しており、このまま行くとジェーンは轢かれてしまいます。そんな中彼らは奇妙な動く人間を見つけ、火を恐れるその人間を糾弾しますが、それは以前彼らと同じように時の狭間に落ち込んだ人で、彼らが元に戻るチャンスを奪って自分が助かろうとしていました。二人は火を使ってその人間を基地から出られなくし、そしてリンダの車からシートベルトを切り出して来て、トラックの後輪とサイドブレーキを結び付け、タイヤの回転に伴いサイドブレーキが引かれるようにします。二人はそれぞれ飛行機と車の中に戻り、時間が再びシンクロし、二人は元の時間の流れに戻れました。ジェーンもジムの仕掛けが成功して無事でした。しかし二人はその記憶を無くしており、ただ「予感」がしたからここに急いで来た、と話します。
何故パイロットだけでなく、その奥さんも時間の狭間に落ちるのかがちょっとこじつけでしたが、ジェーンの命を救うというのを絡めた結果、それなりに面白い話になったと思います。なお、X-15の動画は実際のものでしょうね。

スター・トレック・ザ・ネクスト・ゼネレーションの”Lonely Among Us”

スター・トレック・ザ・ネクスト・ゼネレーションの”Lonely Among Us”を観ました。最初はある二つの敵対するエイリアン同士が、連邦への所属と仲裁を求めて来たため、エンタープライズ号が双方の代表団を「議会」と呼ばれる星へ送り届けるという話でした。しかし途中からメインは、あるエネルギー体みたいなものの側をエンタープライズ号が通った時に、そのエネルギー体の一部がウォーフに乗り移り、次に女医のクラッシャーに移り、一人のエンジニアを殺した後、最後にピカード船長に乗り移ります。そして乗り移られたピカードが何故かそのエネルギー体のあった場所へエンタープライズ号を戻らせることを命じ、そこに着くとピカードに乗り移った何かはピカード毎転送でそのエネルギー体に戻ります。残ったクルーが必死にピカードを元に戻そうとして成功する、という話です。二つのエイリアンはそういった事件の犯人として疑われるだけで、データがシャーロック・ホームズの真似をするのがちょっと面白いだけという、非常に出来の良くないエピソードでした。

「帰ってきたウルトラマン」の「タッコング大逆襲」

「帰ってきたウルトラマン」の「タッコング大逆襲」を観ました。ウルトラQのスダールよりはマシですが、このタッコングも「タコ+キングコング」で安直なネーミングです。そもそもタコの怪獣を考えるのは世界でも日本人くらいかと。ちなみにタコは隕石に卵が付着して宇宙より地球にやって来たという説がマジでオーストラリアの研究グループによって唱えられています。
ウルトラマンでのオイル怪獣はペスターでしたが、「帰ってきた」ではこのタッコングです。でもスペシウム光線であっさりとやっつけられます。
ちなみに本編のドラマでは、ウルトラマンの身体能力を身に付けた郷秀樹が、剣道や柔道でMATの隊員である有段者に楽勝し、それによって自惚れた郷が命令違反をしてそのために南隊員が負傷するという話です。このようにハヤタ隊員やモロボシダンは人間的にも立派で非の打ち所がないという設定でしたが、「帰ってきた」では未熟な主人公が成長していく、という点でスポ根ドラマの影響が見られます。

トワイライト・ゾーンの”Kick The Can”

トワイライト・ゾーンの”Kick The Can”を観ました。舞台はサニーヴェール老人の家で、そこの住人であったチャールズ・ウィットレーは、「今日息子が連れ帰りに来てくれるんだ」と喜び勇んでホームを出て行きましたが、息子はただ来るといっただけだ、と連れ帰ることを拒みます。仕方なくホームに戻ったチャールズでしたが、子供達が缶蹴りをして遊んでいるのを見て、実は若さを保つ魔法は、子供達と同じことをすることではないかという考えを思いつきます。そして他の老人達を夜中に起して、皆で缶蹴りをします。彼の小さい頃からの友人のベンはチャールズの言うことを信用せず缶蹴りに加わりませんでしたが、しかし外に出てみてそこで缶蹴りをやっていたのは老人達ではなく子供達でした。その中の鬼をやっていた子は、まさしくチャールズの子供の時の姿でした。ベンはすごすごとホームに引き返すという話です。
まあ自分も60歳を過ぎたので多少身につまされる話でした。確かに子供に戻ることは出来なくても、何でもやってみるというのは若さを保つ秘訣であるのはそうだと思います。しかし、缶蹴りというのは日本でもアメリカでもやり方は同じのようでした。

トワイライト・ゾーンの”Showdown with Rance McGrew”

トワイライト・ゾーンの”Showdown with Rance McGrew”を観ました。ランス・マッグルーはエミー賞を2回取った人気の俳優で、今日も同名の保安官のTVドラマの撮影をしています。しかし彼は非常に不器用で、銃をクルクルと回そうとして飛ばしてしまって2度もセットのガラスを割ってしまいます。またアクションシーンは全てスタントマンが替わりに演じています。それでいながら、脚本にはケチを付け彼の思うとおりに直させてしまいます。今日の撮影は、彼がジェシー・ジェームズという実在したアウトローを撃ち殺すシーンですが、その撮影中に彼は突然実際の西部にタイムスリップします。そこには本物のジェシー・ジェームズがいて、彼に色々絡み始め、彼が何も出来ないことを暴露します。そして撃ち合いを挑みますが、当然ランスは銃など撃ったこともなく、ジェシーに命乞いをします。彼が何でもする、と言った瞬間彼はまた元の撮影現場に戻ります。しかしそこにはハリウッドのエージェントいうことで、先ほどのジェシー・ジェームズがやって来て、脚本をランスがジェシーに殴られて窓から外へ放り出されるように直すように言い、その通りになります。結局それからのストーリーは他にもビリー・ザ・キッドなどの悪党どもの好き放題ということになりました、という話です。
うーん、ジェシー・ジェームズを知らないのでイマイチ面白さを感じることが出来ませんでした。

「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣総進撃」

団時朗さん追悼の意味も込めて、「帰ってきたウルトラマン」のBlu-rayを購入。海外盤だと全話入ってわずか4,000円です。ちなみに日本語盤はその10倍の値段。英語字幕消せばまったく問題ありません。
第1話の「怪獣総進撃」を観ました。初代ウルトラマンやウルトラセブンに比べると、「帰ってきたウルトラマン」は全体に暗いです。特に途中で坂田兄妹がナックル星人に殺されてしまうというトラウマになりそうな回もあります。この第1話も郷秀樹が完全に死んでしまうという描写があります。
ちなみに、今ではこのウルトラマンはウルトラマンジャックという名前で初代とは別者になっていますが、当初の設定は文字通り「帰ってきた」でした。そのためか、テーマ音楽も初代の「むねーに」の出だしと新マンの「きみーにも」の出だしのメロディーはほぼ一緒です。なお第1話の監督は初代ゴジラの本多猪四郎です。また「帰ってきたウルトラマン」という題名は円谷英二によるものですが、その本人は放映開始前に亡くなられています。

NHK杯戦囲碁 山田規三生9段 対 福岡航太朗4段(2023年5月21日放送分)


本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が山田規三生9段、白番が福岡航太朗4段の対戦です。山田9段はNHK杯戦での優勝経験があります。福岡4段は2回目の出場で前回は張栩9段に1目半負けだったので、何とか初勝利を上げたいところです。中盤の戦いで焦点となったのは左辺と下辺の戦いで、黒が下辺を頑張って地を持って生きた結果、左辺の黒が封鎖されて眼が無くなりました。黒の活きは見えずピンチでしたが、白が黒の断点を覗いたのが緩着で、黒はここぞとばかり下辺から白1子を当て、白が伸びた時に中央を出ていき、この結果黒7子は取られたものの、中央を厚くして右辺の地を期待出来るようになり、また右下隅の白にも寄り付きが期待出来、更に左辺は上方に渡って助けることが出来るという、理想的な捨て石となりました。また白が右辺の黒模様に手を付けてからの戦いで、結局中央で振り替わりになり、この振り替わりは単純計算で黒が4目ぐらい得をし、これで黒が優勢になりました。ただ白も左上隅で黒を切り離して得をしたので、大きな差ではありませんでした。黒は一応優勢だったので上辺について覗きを打って白2子を取っていれば勝ちでしたが、山田9段は形勢を悲観していたようで、勝負手気味に更に深く打込みました。しかし結果的にこの打込みは失着で打った石が全部取られてしまい、形勢は白が逆転しました。しかし更に右下隅で今度は白が間違え、固く受けたつもりが手が残っており、白4子を取られてしまい、黒が再度優勢になりました。しかし左辺から中央のヨセでまた黒が間違えて形勢は半目勝負になり、結局白の半目勝ちに終りました。時間のない早碁で冷静に形勢を判断するのは難しいですが山田9段は惜しい碁を落しました。逆に福岡4段は苦しい碁を耐えてわずかな可能性の勝ちを得ました。2回戦以降も期待したいです。