日立英語検定(HELPT)のこと

以前、新社会人になってから10年間、ある日立グループの会社に勤め、海外営業部門に所属していました。日立グループでの英語の実力の尺度は、1990年代になってTOEICが採用されるまで、HELPT(Hitachi English Language Proficiency Test)という独自の英語検定がありました。これは、A、B、C、D、E、Fの6段階のテストでした。TOEICみたいにスコアではなく、どの段階に合格するかというものでした。一応Bが英検1級相当ということになっていました。Aは最高クラスですが、実際にはグループ内に該当者がいないということになっており(本当はいたと思いますが)、私の時は試験自体が実施されていませんでした。私は入社して2年目くらいでまずDに合格し、翌年C、そのまた翌年にBとトントン拍子に合格しました。Bが英検1級相当というのは、私の経験から言って絶対そんなことはなく、準1級よりももしかすると下かもしれません。(実際に日立グループの会社の時に受けたTOEICの点数は895点で、これは英検1級レベルではありません。)Bの試験の時はペーパーテストの後、ネイティブによる面接テストがあり、当時お茶の水にあった日立製作所本社ビルまで行った思い出があります。インターネットを検索してもこのテストについての情報はほとんど出てこないので、記録のためにアップしておきます。

NHK杯戦囲碁 安達利昌4段 対 内田修平7段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が安達利昌4段、白番が内田修平7段の対局です。安達4段は今回初出場で年齢も20代後半同士のフレッシュな対決です。二人は今回が初手合いです。布石は白が左辺で向かい小目を採用しましたが、黒が左下隅にかかったのを白が三間高バサミし、黒が更に左上隅にかかりました。黒は白が下付けしたのに手を抜いて左下隅を大斜ガケしました。白はこれに対しコスミツケて簡明な分かれを選択しました。下辺を黒は先手で切り上げ、左上隅に回って、白は2つの隅と下辺で実利を得ました。焦点は最初に三間高バサミで挟んだ白の1子が黒の勢力圏に取り残され、これへの攻撃としのぎが勝負のポイントになりました。白はその後左辺から逃げた石から、通常中央に一間に飛ぶ所でケイマにかけました。黒は当然出切ってきて、白1子を切り離して中央が厚くなりましたが、白も好形で脱出しました。このあたり、白の打ち方が明るかったと思います。その後右辺に黒がどれだけ地を築けるかが焦点になりましたが、白は右辺に先着し、それなりの地をもって治まりました。これで白が優勢になったようです。その後黒は右下隅を二間に構えて白に寄り付きながら地を目一杯取ろうとしましたが、白はこの右下隅にも手をつけ、結果として劫になりました。劫材は黒の方が多かったのですが、白は形勢判断したのか程々の所で手を打って妥協しました。黒はその間中央の白の分断をにらみながら上辺に手を付け、ここで得をしましたが、白の優勢を跳ね返すまでには至りませんでした。黒は全体に地が足らず、結局白の中押し勝ちとなりました。

大槻知史の「最強囲碁AI アルファ碁解体新書」

大槻知史の「最強囲碁AI アルファ碁解体新書」を読了。といってもかなりの速度で要点だけを飛ばし読みした感じです。アルファ碁に関して開発者が発表している2つの論文を読み解いて解説しているものです。結局、アルファ碁(Master)とは何かというと、モンテカルロ木探索をベースにし、それに16万局に及ぶ高段者の棋譜を学習させてSLポリシーネットワークというのを作り、「次の一手」の高段者との一致率を50%以上まで上げ、更に自己対戦による教科学習で強さを上げていくことなのかなと思いました。アルゴリズムの細部はもう歳なのでついていけませんし、興味もあまりありません。一点この本で初めて知ったのは、アルファ碁がともかくも囲碁における、これまで不可能と言われていた「評価関数」を完成させたということです。そもそも「評価関数」が不可能だったからこそのモンテカルロ法だった筈で、その両方をやっていたのには驚きました。アルファ碁、Masterの棋譜を見て感心するのは形勢判断が人間より優れていて負けていれば勝負手を放つし、勝っていれば無理せずに収束に入るという点で、これが正確な局面評価に基づいているのだということがわかりました。でも、この本にも書いてありますが、私はアルファ碁、Masterが本当にプロ棋士を完全に超えたかという点については疑問に思っています。まだかなりのマシンリソースを必要とし、プロ棋士が納得の行くまで何度も対戦するという環境にはなっていません。そういう環境が与えられればプロ棋士がアルファ碁の「穴」を見つけることは十分あり得ることだと思っています。ましてやアルファ碁が「神の領域」に達したとはまったく思いません。所詮は人間の棋譜の学習にかなり依存して作られたソフトであり、人間が100のうちの2、3であれば(故藤沢秀行名誉棋聖の見解です)、4、5ぐらいになったというレベルだと思います。

博文館の「少年少女 譚海」昭和2年12月号

戦前の雑誌、今度は博文館から出ていた「少年少女 譚海」の昭和2年12月号を入手しました。この雑誌を知ったのは、小林信彦の「袋小路の休日」の中に収められている「隅の老人」によってです。「隅の老人」には、狩野道平という老編集者が出てきます。この狩野のモデルとなったのが、小林信彦が中原弓彦の名前で宝石社の「ヒッチコック・マガジン」の編集をしていた時に同じ宝石社で校正の嘱託をしていた、元博文館の編集者の真野律太です。真野律太は博文館でこの「少年少女 譚海」の編集者として、この雑誌を一時30万部を超える部数の売上にまで上げた功労者です。しかしその内容は、小説中の狩野のセリフでは「子供向けのエログロナンセンス」ということで、大正時代の子供雑誌の「赤い鳥」のような童心に訴えるような上品なものとは対極にあり、当時から「低俗」と呼ばれたものです。実際内容を見てみると、ともかく表現が押しつけがましく、絵なども派手でこってりとしつこさを感じます。これが真野さんのテイストだったのだと思います。編集後記に確かに「真野律太」の名前を確認できます。ちょっと面白いのは獅子文六(岩田豊雄)の「海軍」にも出てきた、佐久間艦長の6号潜水艦での殉職の話が載っていることです。真野律太はこの雑誌で当てますが、その後アルコール中毒で身を持ち崩し、戦後はホームレスまでやっていたのを宝石社に拾われてそこで校正をやっていました。以前にも書きましたが、最初はまったく仲が悪かった真野律太と中原弓彦が、国枝史郎の「神州纐纈城」をきっかけに交誼を結ぶようになるのは、非常に印象的です。私自身も国枝史郎にはまるきっかけとなった作品です。

バックロードホーン

家のオーディオのスピーカーはバックロードホーンというのを使っています。市販品ではなく、ハセヒロオーディオという所が出しているキットに自分でスピーカーユニットを付けて組み立てたものです。ただ組み立てといっても、音道の形に既にカット済みのスライスした木材を重ね合わせてボルトを入れてネジで止めるだけなので、誰でも作れます。ただ、追加で載せたスーパーツィーターのネットワークは自作する必要がありますが。バックロードホーンの構造はスピーカーの背後からホーン状の音道がくねくねと折りたたまれたようになっており、スピーカーの後ろから出る低音をホーンで増幅して出してやります。そのためこの方式はよく「低音を盛大に出すスピーカー」だと誤解されるのですが、実際はバックロードホーンの低音は不足気味です。超低音も出ません。私の所のもクラシック音楽を聴くには不十分なんでサブウーファーを別につけて補っています。(FostexのCW250Aをペアで使っています。)バックロードホーンの長所は、強力な磁気回路を持って、かつ軽いコーン(振動板)というスピーカーの理想に近いユニットを使えることです。このことで微細な音が忠実に再生されます。こういうユニットはそのままでは低音がまるで出ないので、それを補ってやるのがバックロードホーンの音道です。元々弱い所を補ってやっと普通にしているだけで、低音が盛大に出たりはまったくしません。密閉型のスピーカーだと、スピーカーの振動板が常に空気バネでブレーキがかけられるため、どうしても音の立ち上がりが丸く詰まった感じになってしまいます。バスレフはそれよりましですが、やはり空気バネは働きます。それに比べるとバックロードホーンは、後面が開放に近いので、スピーカーの振動板が自由に動け音の立ち上がりは最高です。音楽だけでなく映画で銃や大砲の音をきちんと再生するにはバックロードホーンしかないと言ってもいいくらいです。
ちなみに、このスピーカーユニット(ペア)にかかった費用は以下の通りです。
ハセヒロオーディオ MM-171 ¥43,800(買った当時、以下同)
Fostex FE168En 2個 ¥20,000
吸音材など     ¥2,000
ネットワーク (フィルムコンデンサーと固定抵抗)¥3,000
Fostex T900A (2本)¥87,020
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合計 ¥155,820
スーパーツィーターのT900Aがかなり高価なのですが、これを載せなければ7万円しません。
(スーパーツィーターは当初はT90Aというペアで¥33,118のを使っていました。これなら丁度10万円くらいです。)
でもそれを入れても、いわゆる高級HiFiスピーカーとしては市販品よりずっと割安です。