NHK杯戦囲碁 谷口徹5段 対 富士田明彦7段


5月2日(日)の(旅行中だったので録画で視聴)NHK杯戦囲碁は。黒番が谷口徹5段、白番が富士田明彦7段の対戦でした。布石で左下隅の白に左辺からかかった黒がコスミツケられて立ち、白が一間に開いて、黒は三間に開けば普通ですが、欲張って(?)左上隅に左辺からかかりました。白は隅を受けずに左辺に打ち込みました。この進行自体は普通なのですが、黒の立った2子が攻められる展開になったのはどうかと思います。また、黒は右上隅で一間に飛んだのを利用して上辺に打ち込みました。白は上から包囲する手を打ったので、ここで黒が素直に渡っておけば普通でした。しかい黒は渡らず左に二間に開きましたが、すかさず白から右上隅にコスミツケを打たれ渡りが無くなりました。こうなると上辺の黒も攻められる石になりました。更に黒は下辺の白模様に深く4線に打ち込みました。白はボウシして攻めましたが、ここは黒がまあ上手く打って、下辺の打ち込んだ石は取られましたが、代償で右辺をかなりまとめることが出来ました。後は左辺から伸びる石と上辺の一団を上手くしのげるか、ですが、これが白から見て典型的なカラミ攻めになり、黒は苦心惨憺しました。中央は放置気味で上辺の一団を逃げ出し、右上隅の白を取ってしまおうと頑張りましたが、白にしのがれ、そうなると中央に取り残された左辺からの一団がほとんど死んでおり、仮に活きたとしても白地が多いということで、黒の投了となりました。谷口5段は初出場でしたが、ちょっと緊張していたのか手が伸びませんでした。

殺生石(那須湯元温泉)

那須湯元の殺生石です。那須は4回目くらいですが、意外とこういう古典的観光スポットに行っていません。ちなみに湯元に向かう道は渋滞していましたし、また現地で駐車するのに苦労しました。宿は那須塩原でこちらはせいぜい15組くらいの宿泊客しかいない感じでしたが、正月休みに比べると観光に人が出ている感じです。

またPCL86入手(EUROPA80とHALTRON)

またeBayで、PCL86を2ブランド、4本入手。EUROPA80とHALTRONです。前者がドイツで後者がイギリス、どちらも商社(販売店)と思います。実際はどこで作られているかは不明です。EUROPA80の方は、gm(相互コンダクタンス)が3極部で11%、5極部で4%の違いで、まあおまけでペア管といってもいいかな、ぐらいのレベル。これに対してHALTRONの方は、3極部が29%、5極部が-12%の違いで、まったくペアとしては使えないレベルです。もっとも一緒に売っていたというだけでペア管とは称していなかったので文句は言えませんが。

黒沼香恋の「フランスの夜会」(CD)

黒沼香恋さんのデビュー盤である「フランスの夜会」を聴きました。黒沼さんはまだ東京藝大の4年在学中ですが、既に年少の時から全日本学生コンクールで優勝したりと実績を積み重ねている若きピアニストです。本アルバムにはラヴェルのピアノ協奏曲と、「ラ・ヴァルス」、「逝ける王女のためのパヴァーヌ」、ドビュッシーの「月の光」、そしてプーランクの「ナゼルの夜会」が収録されています。最近の日本のピアニストは昔に比べると技術的には非常に向上していて、黒沼さんも非常に安心して聴ける確かな技量があります。そして黑沼さんんは音が色として見えるという「共感覚」の持ち主のようです。これはフランスのピアニストのエレーヌ・グリモーと一緒です。そういう感覚の人にはこのラヴェルのピアノ協奏曲は本当に色彩感溢れる曲なんだと思いますが、弾いている本人が楽しみながら弾いている感じが良く出ています。他の曲も良かったですが、プーランクの「ナゼルの夜会」は初めて聴きました。これはプーランクがある何夜かの夜会に招かれた時に即興で弾いた主題を元にした変奏曲で、それぞれの変奏曲はその夜会にいた友人一人一人が描写されているようです。在宅が多い中、音楽は本当に癒やしになっていますが、このCDは特にそうでした。これからの黒沼さんの活躍が楽しみです。

スター・トレックの第2シーズンの”Journey To Babel”

スター・トレックの第2シーズンの”Journey To Babel”を観ました。ある星の資源を巡っての戦争回避のために連邦の各星系の大使を集めた会議が惑星バベルで行なわれることになり、各星系の大使達100人をエンタープライズ号が運びます。その中にはバルカンから派遣された大使もいて、それは何とスポックの両親でした。スポックは父親が大学で研究生活をと望んだのに対し、スターシップの任務に着いたため、あまり仲が良くないようです。そんな中、ある星系からの大使が殺され、その殺し方はバルカン人だけが出来ることから、スポックの父親に疑いがかかります。その取り調べの際にスポックの父親は一種の心不全を起こして倒れます。治療のためには手術が必要で、Tマイナスという特殊な血が必要です。エンタープライズ号の中でそれを供給できるのはスポックだけでした。スポックは最初は輸血の提供を快諾していましたが、エンタープライズ号が謎のエイリアンの宇宙船に追跡されている最中に、カークがある星系の大使の付き人に襲われ、肺を刺されて動けなくなります。一度は輸血をOKしたスポックでしたが、カークが倒れ、なおかつ正体不明の宇宙船に追跡されている状況では自分が指揮を執る必要があるということで輸血を断ります。おそらく地球人のスポックの母親は何とか息子の心を動かそうとしますが失敗します。そうこうしている内にカークが意識を取り戻し、怪我した状態ながらエンタープライズ号の指揮を執り、スポックに輸血するように言います。エンタープライズ号はその後謎の宇宙船からの攻撃を受けますが、相手のスピードがエンタープライズ号を上回っていて、フェイザーも光子魚雷も外れます。そこでカークはエンタープライズ号の船内の電気を切り、死んだふりをします。エンタープライズ号が動けなくなったと思って近づいて来たエイリアンの宇宙船を今度こそフェイザーが捕らえ破壊に成功します。スポックのロジックと感情のせめぎ合いが見られた面白いエピソードでした。

ヴァレリー・アファナシエフの「ピアニストは語る」

ヴァレリー・アファナシエフの「ピアニストは語る」を読了。青澤隆明氏が日本の青山の「蕉雨園」にて英語でインタビューして、そのアファナシエフの応答を日本語訳したものです。このパンデミックの中での読書の中での、ある意味最良のものとなりました。しかも、最近幸運にも一新することが出来て、ピアノの音が本当に美しく響くようになったオーディオセットで、実際にアファナシエフの演奏を聴きながら読む、という贅沢に恵まれました。
直接のきっかけは、アファナシエフによるモーツァルトのイ短調のピアノ・ソナタ(K.310)のアファナシエフの演奏を巡る知人との論争からでした。アファナシエフについては、私はいくつかのCDを聴くことにより、「異才」だと思っていました。「異なる才能」です。そしてこの本を読むことにより、それはかなりの部分正しいことが分かりました。アファナシエフの偉大さは人と違う我が道を行きながら、そしてそれが自然の理を踏み外さないことだと思います。「人と違う演奏」というだけなら、私達は既にグレン・グールドというピアニストを知っています。私も30種類くらいのグールドのCDを持っていますが、必ずしも全てが成功している訳ではありません。しかしながら、これまで私が聴いたアファナシエフの演奏には外れと感じたものがありません。もっともこうした演奏が万人に受け入れられるかはまた別の話で、今回モーツァルトのK.310について論争した相手の方は、残念ながらアファナシエフの演奏がお気に召さないようでした。
この本の前半に書かれている、旧ソ連でのピアニスト養成の教育の素晴らしさというものも興味深かったです。ちなみにアファナシエフはまったくもって早熟型ではなく、晩成型の典型で、早くから期待のエリートピアニストとして育てられた訳ではありませんが、そうした彼でもきちんとチャンスを掴むことが出来ました。また、アファナシエフがホロビッツの演奏の動画を見て、ホロヴィッツの指をピンと伸ばして演奏する姿に、自身が教えられた演奏スタイルのルーツを発見したというエピソードも興味深かったです。またアファナシエフの師の一人であったエミール・ギレリスについては、アファナシエフの演奏を本当に高く買っていたということが良く分かりました。また、アファナシエフがベルギーでの演奏会の後、西側に亡命を図って成功する部分は非常に興味深かったです。優れた芸術家であれば希望すれば簡単に亡命することが出来るのかと思っていたのはまるで違いました。
音楽を聴く上で、アーティストが語ることを別に知ることがプラスになるかマイナスになるか人とアーティスト次第と思いましたが、私は少なくとも彼の演奏をより深く理解出来るようになったと思います。

「巨人の惑星」の”Every Dog Needs A Boy”

「巨人の惑星」の”Every Dog Needs A Boy”を観ました。たまたまペットショップに忍び込んだキャプテン達ですが、そこに飼われていた映画犬キング(シェパード)を見た犬のチッパーが喜んでキングに吠えかけます。キングも吠え返したのですが、その息でチッパーは飛ばされ、頭をぶつけて意識不明になります。キャプテンはヴァリーに諦めるように言いますが、ヴァリーはチッパーを人間の獣医に診せようとします。幸いにしてペットショップの見習いの獣医に見つかり、彼は何とか助けてみると言ってくれました。しかしそのペットショップのオーナーの息子がおり、この男が非常にたちの悪いごろつきなのですが、ヴァリーとヴァレリーを見つけて、犬を仕掛けてスピンドリフト号の場所を白状させようとします。その内に、そのごろつきが散歩中に逃がしてしまったキングが戻って来て、ごろつきが仕掛けた犬に噛みついて追い払います。その内にペットショップの主人で獣医である者が戻って来て、見習いの獣医の処置を褒め、大学で正式な獣医の資格を取ってパートナーになってくれるよう言います。チッパーも意識を回復し、目出度し、というお話でした。

スター・トレックの第2シーズンの”Metamorphosis”

スター・トレックの第2シーズンの”Metamorphosis”を観ました。スター・トレックの中でこれまで観た中ではもっともロマンチックなお話でした。カークやスポック、マッコイが、連邦からある惑星間戦争を止める仲裁役として派遣されたナンシーをガリレオというシャトルポッドでエンタープライズ号へ輸送していました。しかしナンシーは難病を発病し、至急エンタープライズ号で治療が必要でした。そこにシャトルの前に突然ガス雲のようなものが現れ、エンタープライズ号はある惑星の上に不時着させられます。そこに現れた一人の男は地球人で、カクランと名乗りました。エンタープライズ号をここに連れて来たのは、電気で出来た雲のような生物で、カクランはここに不時着した時80歳を超えていて死にかけていたのを、その生物が助けなおかつ30代に若返らせてくれていました。カクランの姓はゼフラムで、ゼフラム・カクランはワープ航法の発見者として有名でしたが、150年前に宇宙で死んだとされていました。キャプテン達の観察では、コンパニオンとカクランが呼んでいる電気生物は、明らかにカクランを愛していましたが、カクランはそれに気付いていませんでした。キャプテン達がここに連れてこられたのは、カクランが孤独で死にそうだったからでした。キャプテン達は万能翻訳機を改良してコンパニオンと会話します。しかしキャプテンはコンパニオンに対し、どんなにカクランを愛していても、二人は違う生物で一緒になれないことを説明します。そこでコンパニオンは瀕死の状態だったナンシーに乗り移り、一つの肉体を二人で共有します。カクランは初めてコンパニオンへの愛を確認し、二人でこの星に残ることを決意します。

NHK杯戦囲碁 結城聡9段 対 大竹優5段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が結城聡9段、白番が大竹優5段の対戦です。右上隅で白のかかりに黒が上辺で低くはさみ、白が小目の黒にかけて黒が出切るといういきなり激しい戦いになりました。切り結んだ後、黒は上辺のハサミが低かったため、切った石との連絡に一手必要でした。その間に白は右上隅に手を入れて活き、しかし黒は眼が無いため、この別れは中央で黒が白1子をシチョウに抱えて厚いとはいえ、白の成功かと思われました。しかしここで黒が取られている黒の下側で1線に下がったのが好手で、この手ですぐ黒が活きた訳ではありませんが、白が黒の眼を取りに行くとダメが詰まり、右辺に開いた石に付けられて右辺を切り離され、締め付けられてしまいます。なので白が右辺に手を入れ、黒が活きて結果として中央が厚い分、黒のリードとなりました。その後白は上辺の黒の地模様に侵入を図りました。途中黒が妥協して地の確保に走ったので、一応黒地を割った形にはなりましたが、まだ一眼しかなく、攻めを見られていました。その後白は下辺も黒模様の消しに向かい、黒は間を割いて、白の上下の石をカラミ攻めにするという理想的展開になりました。しかし、自分の右下隅からの石と中央の石の連絡の不備を突かれ切断されたのは誤算で、右下隅からの黒が活きる上で下辺の白から1線の下がりまで先手で利かされ、下辺の白が簡単に活き形になったのは誤算でした。こうなると白は上辺からの石をただ活きるだけでなく、上辺で黒の連絡を断ち、また中央で切りを入れるという逆襲に転じました。しかし収束を間違えて継ぐ所を間違えて、中央の白の活き死にが問題になりました。ここで黒は全部の白を取ろうと頑張ったのが敗着で、活かして左辺で得を図れば勝ちでした。しかし取りに行った黒があちこち薄く、逆に白が黒2子を取り込んで活きたので、これで白の勝ちとなりました。大竹5段は初出場で初戦を勝ち取りました。