日本刀風包丁の仕上げ

日本刀風包丁の仕上げにちょっと前からチャレンジしています。包丁を内曇砥と鳴滝砥で研いだ後、それぞれを薄くスライスし、小さくした地艶、刃艶というので刃の所を磨きます。そして今日「拭い」の液(「古色」という古刀風の味わいを出すもの)と磨き棒が届いたので、仕上げを施してみました。拭いの液を刃面に適当に垂らし、それを綿で若干圧力をかけながら拭って、液を地にしみこませるようにします。それが終わったら、新しい真綿で全体を拭い、液の膜がうっすら残るぐらいにします。その後、内曇の地艶を小さくして、それで刃の部分の液を取り去って、刃を光らせます。最後に磨き棒で刃の部分をこすっていって光沢が強くなるようにします。
この包丁は鋼100%ではなく合わせ(本霞)なので、刃文みたいに見えるのは実際には本当の意味の刃文ではなく、鋼と軟鉄の境界線ですが、一応それらしくはなったかな、と思います。「拭い」については最初着色に近いものかと想像していましたが、実際にはやってみたらかすかに色を滲ませる、ぐらいのものでした。
鋼100%の包丁はあまり高くないのを見つけて注文しています。届いたら、また日本刀風仕上げをやってみたいと思います。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The Peacemaker”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The Peacemaker”を観ました。今回うれしかったのは「タイムトンネル」のカーク所長の俳優が登場したことです。(写真)お話はシリアスで、アメリカはプロトン爆弾の開発に成功し、牛乳箱大の爆弾が水爆の数十倍の威力を持ち、もし机の大きさぐらいのを作れば地球が丸ごと吹っ飛ぶという威力です。しかし、その開発チームにいた研究者が10年前に中国に亡命し、中国でもプロトン爆弾を作っていました。その研究者の意図は、パワーバランスを維持することで世界を平和に保つことでしたが、爆弾が完成するとその研究者は殺されかけます。かろうじて生き延びた研究者はアメリカにコンタクトし、シービュー号が救助に来ることを要請します。その意図は中国が海底にセットしたプロトン爆弾を解体することでした。ネルソン提督とその研究者はそのプロトン爆弾をシービュー号の船内に収納することに成功します。研究者は爆弾を解体しますが、実はそれは彼以外誰にも解体が出来ないようにし、逆に彼だけがその爆弾を爆発させるスイッチを持つことが目的でした。スイッチを握った研究者は、ヨーロッパで行われていた軍縮会議と通信し、全世界の国が武装解除しないとこの爆弾を爆発させると脅します。結局、ネルソン提督はその研究者にボタンを押させ、爆弾が起動する前にそれを何とか無力化するという賭けに出、爆弾からプロトンの容器を取り外し、残った部分をシービュー号の脱出ハッチから放出し、何とか世界の破滅を食い止める、という話です。プロトン爆弾というのは単にSFの世界の話(SFでは反陽子爆弾ですね)ですが、1960年代というのは本当に世界の破滅の危機が日常的に感じられる時代で、その意味でこのドラマのリアリティーがあるのだと思います。

「原子力潜水艦シービュー号」の”Leviathan”

「原子力潜水艦シービュー号」の”Leviathan”を観ました。題名のリヴァイアサンはホッブズの本の題名に使われたので有名ですが、元の意味は旧約聖書に出てくる海に住む巨大な怪物です。その題名通り、今回は巨大海洋生物のオンパレードで、巨大シュモクザメ、巨大タコ、巨大イカ、巨大クラゲ、巨大マンタ等々、これまで出てきたのが再度登場している感じです。極めつけは巨大海洋人間!この怪物は海底の研究室で海の裂け目から地球のマントルエネルギーを取り出そうとしていた研究者のなれの果てです。その研究者海底火山の爆発と共に生じた裂け目からエネルギーが噴出していると、自分の研究の成功を確信し、パートナーの女性研究者をネルソン提督の元に送ってシービュー号による支援を求めます。しかしその女性研究者はシービュー号に乗り込むと、キッチンの塩の缶の中に幻覚剤を混ぜます。このためシービュー号の乗員全員が様々な海洋巨大生物を目撃しますが、何故かそれはレーダーには反応せずまた衝突もせずだったり、逆にレーダーには反応するのに肉眼では確認できない、という事態に振り回されます。実はこの海洋巨大生物は海底研究室の周りでは実在しており、この女性研究者は巨大生物に慣れさせるために幻覚剤を使ったと後で告白します。ネルソンと女性研究者はフライング・サブで研究所に駆けつけますが、そこで見たのは通常の人間の3倍以上の高さになった研究者でした。ネルソン提督はシービュー号に連絡しようとしますが、研究者は椅子をネルソン提督と無線機目がけて投げつけます。ネルソンが気絶している間に研究者はさらに巨大になり、外に出ていきます。(何故呼吸が出来るかの説明はありません。)そしてシービュー号を捕らえて破壊しようとします。巨大研究者がシービュー号を足で海底に押しつけ、大きな岩を振り上げシービュー号目がけて投げつけようとしますが、間一髪でクレーン艦長が電撃を命じ男が倒れて岩は研究所を破壊し、研究者は海底の割れ目に消えて行きます。ちょっとゴジラみたいな話です。しかしこれは撮影するの大変だったと思います。

NHK杯戦囲碁 羽根直樹9段 対 芝野虎丸7段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が羽根直樹9段、白番が芝野虎丸7段という注目の一戦です。布石は羽根9段があくまで従来風のじっくりした布石を目指したのに対し、芝野7段はAI風の手を繰り出し、右下隅に右辺からかかって黒が4間に緩やかに挟んだ時、いきなりその石の左に付けるといういかにも今風の打ち方をしました。羽根9段はそれに対し慌てず騒がずじっくり地を稼いで対抗します。しかし右上隅から右辺での折衝で黒が延びてすかさず白に2目の頭を叩かれたのは失着で、すかさず切り込みを打たれ、右辺下部で白の下がりを先手で利かされたのは問題でした。その後も芝野7段の自由奔放な打ち回しは続き、白が有望な局面になりました。ここで羽根9段は上辺の黒と連絡しながら左辺に進出すれば普通でしたが左上隅で白が星から小ゲイマに開いている石に付けていきました。白は当然その間を割いていきましたが、黒は左辺に地を持って頑張り、中央の黒は上辺から切り離されそうになりながらも、何とか駄目をつながる手を打って辛抱し、結果として形勢を盛り返しました。この辺り若干白が優勢を意識して堅く打ち過ぎたように思います。その後白は右下隅に飛び込む大きなヨセを打ちましたが、羽根9段は後に右辺から出て白が押さえた時に白の一間トビに割り込む手を用意していました。この手は芝野7段は予測しておらず、打たれた時、いつもはポーカーフェイスの芝野7段も一瞬顔色が変わりました。結果として黒は右下隅で白1子をもぎ取り、ここで形勢がはっきり黒良しになりました。中央の白地も最終的には大きくはまとまらず、終わってみれば黒の5目半勝ちでした。羽根9段の後半の逆転が見事でした。

研ぎ水を弱アルカリ性にする。

天然砥石の中には、研ぎ汁が酸性になるものがあり、そういう砥石で鋼の包丁を研ぐと、研いだ後すぐに錆が発生します。手持ちの天然砥石では巣板の2つが、リトマス試験紙でテストしてみたら研ぎ汁が酸性になっていました。それではどうすればいいのか、ということですが、日本刀の研ぎでも同じ現象が発生し、そちらでは研ぎ汁に炭酸ナトリウム(洗濯用ソーダ)を入れて弱アルカリ性にすることで、研ぎ汁の酸性を中和しています。
それで炭酸ナトリウムを注文しましたが、それが届いたので、早速研ぎに使ってみました。取り敢えず研ぎ桶(台所の流しに収まるくらいの桶)に7分目くらいに水を溜めて、写真に写っている添付のスプーンですりきり一杯入れて、pH計でpHを測定したらpH11で明らかにアルカリ性が強すぎます。結局水を3倍くらいに希釈してやっとpH10位になりました。つまり炭酸ナトリウムはアルカリ源としてはかなり強力です。多分研ぎ桶に小さじすりきり一杯くらいで十分と思います。また、手が荒れるのでゴム手袋必須です。強すぎるアルカリ性は砥石にもダメージを与える可能性があります。

日本刀用の砥石一覧

この度、改正砥、中名倉砥、細名倉砥(人造)の3種を求めて、これで目出度く日本刀に使う砥石が全部揃いました。
もっとも備水砥(びんすいと)を使っている所は、本来は伊予砥というのを使いますが現在もう生産されておらず、ネットでまだ残っているものを買おうとするとコッパレベルで3万円とかします。更には伊予砥ですら代用品で、元は福井の常見寺(じょうげんじ)砥が使われていましたが、これもとうの昔に生産されなくなっています。また細名倉も本来は天然砥ですが、これも現在入手困難で代用の人造砥が売られています。
仕上げ砥で天然砥を使う人は多いですが、荒砥や中砥まで天然砥にしようとするのは日本刀研ぎの人だけです。今は荒砥や中砥は人造砥石の方が品質が良いと思いますが、長い間伝えられてきた手法に従えば天然砥は研ぎ上がりの状態がある程度予測されるのに対し、人造砥石ではその辺りのノウハウが欠けているのではないかと思います。
私も、天然砥の中砥として、雲仙、天草を持っていますが、不純物が多くて品質が研ぐ場所によって均一ではなく、あまり積極的に使いたいとは思いません。

A person I admire

The following is an essay that I wrote for an English school AEON as an assignment of writing:

Topic: A person I admire Style: Casual

Hiroshi Orihara, a professor emeritus of the university of Tokyo, is a person I admire and respect. He was born in 1935. He is a famous researcher of the sociology of Max Weber. In 1968, when he was an assistant professor at the Komaba campus of the university of Tokyo, he protested against the university regarding a unwarranted suspension of a student in the literature department and declined to restart lectures for several years. What he criticized harshly at that time was dual attitude of the university’s professors who teach in one side scientific approaches to students and do not follow those scientific principles in another side; in their real lives. (The student of the literature department was suspended by false accusation that he used some violence against a professor which he instigated. But the truth was, the professor tried to drag him out of a room and the fact that he resisted against that was interpreted falsely. Mr. Orihara tried to find the hidden facts by a kind of scientific approach, but the university ignored his protest and the suspension was not changed eventually.)
In his study of Max Weber’s sociology, his main achievement was that he studied Max Weber’s one of main works named “Economy and Society” very precisely spending 10 years and showed one very strong hypotheses for the correct edition. (I joined this study in the first two and half years when I was a university student). In this giant work of Max Weber, there is a famous edition problem. He started to write this book as an inclusive textbook of economics and sociology in 1910. He was forced to stop writing because World War I started in 1914. After the war, he tried to revise the old drafts and also tried to make some additions, but since he suffered from Spanish Flu, he died in 1920 and could not finish the work. After his death, his wife Marianne Weber tried to rearrange the whole drafts based on her own judgement. Her edition was criticized very harshly by some scholars later, and controversies for the correct arrangement of the drafts has been still continuing. Mr. Orihara joined these controversies from Japan and criticized German scholars who edited the complete works of Max Weber, published by Mohr Siebeck.
What I plan in the near future is, to publish “Economy and Society” in the orders based on Mr. Orihara’s hypotheses. (Please note that Max Weber’s copyright expired in 1990.) I have already prepared the web site for this project: https://max-weber.jp/

Since Mr. Orihara is now 83 years old, I must be hurry.

現時点の手持ちの天然砥石の仕上げ砥

本日時点の天然砥の仕上げ砥の手持ち。包丁、鉋・鑿、日本刀、床屋用剃刀、やろうと思えば何でも研げます。(曲線の刃は除く。)
内曇砥は本当は柔らかい刃砥と硬めの地砥の2種類があるそうですが、産出量が減っていて、現在では2種類に分けて販売することが困難なのだそうです。
鳴滝砥はその内曇砥の更に後に使う日本刀用の仕上げ砥です。内曇砥、鳴滝砥の両方とも、本来の砥石として使う以外に、鏨(タガネ)で薄く割って磨いて、裏に漆で美濃紙を張り、親指で刃に押しつけて日本刀を磨くのに使います。
巣板は、包丁用にももちろん最高ですが、鉋や鑿の大工道具にも良く使われます。しかし左のコッパの方は鋼を研ぐと鋼を変色させますので、ステンレス包丁専用です。一番右は巣板なのに巣がほとんど入っていない、一生物の一品です。
若狭の戸前は、これも巣板と並んで天然仕上げ砥の二大ブランドの一つで、特にこの浅葱(浅黄)は、かなり硬くてしっかりした砥石で、鉋向きと言われています。
対馬と名倉は、砥石の面を整えるのと、硬めの砥石で砥汁を補給する役割を果たします。巣板のコッパは卵色の巣板のおまけです。
右下の青砥2本は、今でもそれなりにコンスタントに採取されていて3千円ぐらいで買えるので、天然砥の入門としてはお勧めです。結構柔らかくて砥汁が良く出るので、#1000くらいの中砥で研いだ後の仕上げ砥として使えます。

原子力潜水艦シービュー号の”The Deadliest Game”

原子力潜水艦シービュー号の”The Deadliest Game”を観ました。これまでこれでこのシリーズの39話目になりますが、初めて核反応炉からの放射能漏れ、という話が出てきました。もっともシービュー号の中の核反応炉ではなくて、アメリカがどんな核攻撃にも耐えられる最終司令部として海底に建設した基地での話です。大統領がこの基地を見学している時に、突然謎の電磁ビームがこの基地を襲い、核反応炉が制御不能になり、放射能漏れが起きます。クレーン艦長が放射能防護服を着て、手動で制御棒を動かそうとしますが、システムがフリーズしていて出来ません。なおかつ基地にいる誰かが制御装置そのものを壊してしまいます。またシービュー号自身もその怪電磁ビームに襲われますが、その発信源がアメリカ本土であることを突き止め、そこに向かいます。大統領に同行してシービュー号に乗り込んでいた将軍は、この事件が「某国」の陰謀であると主張し、すぐに報復の核攻撃を行うことを言い張ります。この将軍もネルソン提督と一緒に電磁波の発信源に向かいますが、ネルソン提督は盗聴器を使い、今回の事件がこの将軍のクーデターであることを突き止めます。ネルソン提督、コワルスキー、シャーキーの3人は電磁波の発信元である大学に向かい、その場所を突き止めますが、そこにいたネルソン提督の知り合いの女性物理学者が今回のクーデターに共謀しており、ネルソン達に銃で撃たれる前に電磁波銃でネルソン達を倒します。海底基地の放射能レベルは高まっていき、大統領とクレーン艦長らに危機が迫ります。女性物理学者はネルソン提督が身に付けていた生存確認装置(ネルソン提督の心音を発信する装置)を取り上げます。その装置に興味を持った女性物理学者はその装置を分解しますが、そこにネルソンが仕掛けたブービートラップがあり、装置が爆発します。ようやくネルソン提督らは電磁波発信装置を破壊し、全員無事救助されるという話です。
今まで観てきた話の中では一番良く出来ていたように思います。1960年代のアメリカって本当に今回の話のような事件が起こりかねない危険な時代だったと思います。

シャプトン砥石を水に長時間漬けるとどうなるか実験

シャプトンの昨日届いた1500番のセラミック砥石(マグネシア系)について、ちょっと使う気が失せたので、この際マグネシア系がどの程度水に弱いのか調べるために、一晩水に漬けて放置しました。大体7時間半です。結果として、見た感じの変化はほとんどなく、クラックや剥がれも発生しませんでした。ただ、やはり硬度は落ちている感じがあり、試しにアトマエコノミー(ダイヤモンド砥石)で角部をこすってみたら、結構簡単に削れました。おそらくこういう吸水した状態で刃物を研ぐと、ぼろぼろいきそうな感じです。実際に研いでみれば良かったんですが、朝で時間がなかったのでそこまでしませんでした。まあこの結果からは普通の人造砥石のように使う前に15分くらい水に漬けても、そこまでひどいことにはならないのではないかと思います。ただ注意点は今回テストしたのは5mmの砥石層に15mmの補強層が付いたタイプであり、15mm全体が砥石層で補強がない「刃の黒幕」シリーズが、長時間水に漬けてトラブルがない、という保証にはならないと思います。

マグネシア系の長所は、1000℃以上の高温で焼き固めるビトリファイ系に比べ、ほぼ常温での製造になるので、収縮が小さくサイズについて精度を出しやすく、特に研磨粉の径が小さい仕上げ砥が作りやすいということだと思います。(ビトリファイ系で小さい径の研磨粉を使うと収縮が大きくなり、歩留まり良くサイズを揃えるのが難しくなる。)

ちなみにビトリファイ系のビトリとは、元々ラテン語で「ガラスの」という意味です。丁度12月の実践ビジネス英語で、体外受精のことをIVF=in-vitro fertilizationというと習ったばかりです。(この場合はガラス=試験管のことです。)日本語でガラスのことを昔「びいどろ」と言いましたが、これはこのvitroと同語源で、おそらくポルトガル語のVidro(ガラス)から伝わったものです。