小林信彦の「パパは神様じゃない」

jpeg000 47小林信彦の「パパは神様じゃない」を35年ぶりくらいに再読。35年ぶりですが、内容を結構覚えていたのは、このエッセイがかなり印象的だった証拠でしょう。小林信彦のお子さんは、最初のお子さんが1962年生まれの真理ちゃんで、2番目のお子さんが10年空けて、1972年生まれの由紀ちゃんで、このエッセイは由紀ちゃんが生まれた時から1年半の記録です。日本では珍しいユーモア・エッセイ(後にユーモアスケッチと名付けられました)で、この分野を開拓した作品だと思います。内容は、子供が生まれるにあたって、父親は祈るくらいしかすることがないのを、自嘲的にユーモアを交えながら書いたものです。元々は子供嫌いだった小林信彦ですが、自分の子供は別で、親馬鹿ぶりがほほえましいです。世相的には、第1次石油ショックが1973年10月ですから、それが始まる直前までの記録です。

NHK杯戦囲碁 坂井秀至八段 対 山田規三生九段

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本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番坂井秀至八段、白番山田規三生九段の対戦。坂井八段は灘高から京大医学部に行き、医者になる直前にプロ棋士に転向しました。碁聖のタイトルを1回取っています。対する山田九段も王座のタイトルを1回取っている実力派です。NHK杯でも2011年に優勝しています。
対局は序盤右辺から山田九段が仕掛けていき激しい戦いになりましたが、結局劫になりました。この劫は黒が勝ったのですが、解消するのに2手必要で、その間に白は左辺を大きく構えました。その後黒は中央の白石を攻めて、白模様侵略の足がかりとしましたが、左下隅にかかっていった石と攻めていた筈の石が分断され、隅が劫になりました。この劫は何とかしのぎましたが、白がリードしました。その後黒は左上隅に手をつけていき、成果を上げましたが、白のリードが大きく、ここで黒の投了となりました。

福島正実の「未踏の時代」

jpeg000 45福島正実「未踏の時代 日本SFを築いた男の回想録」を読了。
福島正実が1975年から76年にかけてSFマガジンに連載していたものですが、作者の死により連載七回で中断しています。福島正実はそのSFマガジンの初代編集長で、同時にSF作家であり、SF翻訳家、そしてSF評論家でした。小松左京、光瀬龍、眉村卓、筒井康隆、豊田有恒らを世に出す上で功績がありました。1969年の「覆面座談会」事件で、早川書房を退社することになりますが、この回想記はそこまで至っていません。福島正実は豊田有恒の原稿を勝手に何十枚も縮めてしまったり、各所に論争を挑んだり癖の強い人だったようですが、この人がいなかったら、日本のSFの立ち上がりは数年も遅れていたことと思います。当時のエネルギッシュな仕事ぶりがこの回想記で偲ばれます。

前川陽子スーパーベスト

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前川陽子スーパーベスト、を購入。
60年代、70年代のアニソンの女王は、前川陽子さんで決まりだと思います。ひょっこりひょうたん島、キューティーハニー、魔女っ子メグちゃん、どれをとっても素晴らしい歌唱力です。女性が歌うアニソンの中では、この3曲と、弘田三枝子が歌うジャングル大帝のエンディングが出色だと思います。

オニオオハシ

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2008年9月に、掛川花鳥園にて撮影したオニオオハシです。森永のチョコボールのキャラクターのキョロちゃんは、架空の鳥ということですが、モデルはこのオニオオハシではないかと思います。果物を食べます。

小林信彦の「小説世界のロビンソン」

jpeg000 43小林信彦の「小説世界のロビンソン」再読完了。これは、小林信彦自身の小説体験を振り返りながら、20世紀の小説の変遷を論じたものです。小説の「物語性」を重視して、純文学とエンタテインメントに差を設けず、漱石における落語の影響を論じたり、白井喬二の「富士に立つ影」が取り上げられたりします。この本が最初に単行本で出たのは1989年2月で、その頃私は社会人3年目で、ほとんど本を読まなくなっていました。その私がこれを読んで、触発されて中里介山の「大菩薩峠」を読み始めました。そのように、読者の本を読みたいという気持ちを強力に増幅してくれる本です。(ちなみに大菩薩峠は時代小説文庫の全20巻でしたが、10巻目くらいで挫折しました。)

小林信彦の「消えた動機」

小林信彦は、三木洋の名前で(三木洋は、「虚栄の市」の登場人物の一人です)映画の原作となった作品を書いていて、「消えた動機」といいます。映画は山田洋次監督の「九ちゃんのでっかい夢」です。「消えた動機」は元々雑誌「宝石」に掲載されたものです。「消えた動機」というタイトルをつけたのは江戸川乱歩だということですが、これがよくないですね。何かというとこのタイトルから話の進行が読めてしまうからです。小林信彦はこの作品のプロットを「唐獅子暗殺指令」で再利用しています。

アオサギ

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サギの仲間のアオサギです。「アオ」とつきますが、実際は灰色と黒です。昔の日本語では「アオ」は黒っぽい色を表していたということでしょう。現在で言う「アオ」は「ルリ」で、ルリビタキなどの鳥の名前に残っています。アオサギはカルガモと並んで、今ではどこにでもいる鳥になりましたが、1950~1960年代には、アオサギの写真を撮ろうと思ったら、北海道の釧路湿原にあるアオサギのコロニーに行くしかなかったということです。そのコロニーから少しずつ日本中に拡がっていったみたいです。

小林信彦の「コラムの冒険 ーエンタテインメント時評 1992~95」

jpeg000 41小林信彦の「コラムの冒険 ーエンタテインメント時評 1992~95-」を取り寄せて読了。元は中日新聞に連載されたコラムです。これを取り寄せたのは、Wikipediaに、「進め!ジャガーズ 敵前上陸」について、小林信彦自身が語っているとあったからです。「64 <カルト>GS映画の内幕」というのがそうでした。でも、所詮新聞のコラムの1回分ですから、情報量は大したことなく、「袋小路の休日」の中の「根岸映画村」の方がよっぽど詳しかったです。もっとも「根岸映画村」は小説で固有名詞も変えてあるので、Wikipediaとしては出典にする訳にはいかなかったのでしょうが。