ローマが三度に渡るカルタゴとの戦いで最終的に勝利した後、カルタゴが二度と復活しないように、スキピオがカルタゴ市の土地に塩を撒いて農業が出来ない不毛の地にしたという伝承があります。
しかしこの話はおそらく儀式的に(意味は違いますが日本の相撲で土俵に塩を撒くように)行われたのが誇張されたんではないかと思います。その証拠として、ポエニ戦争終結の後、10年くらいしてグラックス兄弟が貴族と平民の格差を減らすため、平民に土地を分配しようとします。その土地がヴェーバーによれば大半がカルタゴの土地だったようです。塩を撒かれて農業が不可能な土地をもらっても誰も得しないでしょう。
それに、カルタゴ市の耕地がどのくらいの面積なのか分かりませんが、当時の製塩技術でその全体に撒くほどの大量の塩をどうやって製造し運搬したのか、どう考えても無理があります。
ChatGPT4の回答は以下。
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カルタゴに塩を撒いて土地を不毛にしたという話は、広く知られている逸話ですが、歴史的な証拠に基づくと、この話は事実ではないとされています。この話は象徴的な行為として後世に語り継がれていますが、古代の文献にはそのような出来事を記述しているものはありません。
実際に、第三次ポエニ戦争の後、紀元前146年にカルタゴが完全に破壊され、ローマによって征服されましたが、その土地に塩を撒いて農業を不可能にしたという記録は存在しません。むしろ、カルタゴ周辺の土地は、その後も農業に利用されていたことが示されています。
「塩を撒く」という逸話は、敵に対する完全な勝利とその土地の永久的な破壊を象徴するための物語として広まった可能性がありますが、歴史的事実としては根拠がありません。この話は、後世の作家や歴史家によって創作され、伝えられたものと考えられています。








トワイライト・ゾーンの”A Kind of a Stopwatch”を観ました。30分に戻ってからまたドラマの構成がシンプルになり、それはまあそちらの方がトワイライト・ゾーンらしいです。

オッペンハイマーを観て来ました。最初はユダヤ系物理学者が協力して、何とかナチスが原爆を開発する前にアメリカが、ということで、オッペンハイマーがリーダーになってマンハッタン計画が進行します。しかし、その前にナチスは降伏し、そのターゲットが日本に切り替わり、後はご承知のように1945年7月に実験が成功し、8月に広島と長崎に投下されます。それで戦争が終わると今度はソ連との水爆開発競争になり、戦時中は協力していたユダヤ系学者の間で争いが始まり、オッペンハイマーが陰謀のターゲットになり、という話です。原爆の悲惨さが描かれていない、という日本からの批判もありますが、私はオッペンハイマーが尋問の中で広島と長崎の犠牲者の数を正確に述べていたのがむしろ印象に残りました。オッペンハイマーについては以前ジョン・アダムズという作曲家の「ドクター・アトミック」というオペラのブルーレイを観ています。なのでインド哲学や芸術に関心があって、というのは知っていましたが、そのオペラはトリニティー実験の前日を描いたものでした。なのでオッペンハイマーの戦前のキャリアや共産主義への関心は今回初めてはっきりしました。それから、この映画の後半部はほとんどディベートの実戦映画として観ていました。そういうのもあってこの映画は大量に観客を集めるタイプの映画ではないと思いますが、一般的アメリカの観客は国家を挙げた一大プロジェクトを成功に導いたヒーローの物語として観るんでしょうね。