今度は囲碁関係の書籍を整理

今度は囲碁関係の書籍を整理。丁度本棚1台分くらいになりました。上段にある打碁集はまだ一割も並べていませんが、これは完全リタイアした時の楽しみに取ってあります。
大学時代に囲碁を本格的に始めた時は、100冊くらいの棋書を読んでいますが、その内残っているのは数冊です。後は捨てたり亡父に贈呈したりしています。なので私は典型的な本で覚えた碁です。そういう碁は実戦では弱いのですが、囲碁プラグラムと長年九路盤で対戦して実戦経験を積み、それで何とか有段者になれました。詰碁は好きではないのですが、むしろ最近少しずつやっています。

NHK杯戦囲碁 一力遼棋聖 対 孫喆7段(2023年9月24日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が一力遼棋聖、白番が孫喆7段の対戦です。孫7段は、棋聖戦でSリーグに昇格を決めるなど、今年度の活躍が目立ちます。対する一力棋聖もついに本因坊戦で井山裕太3冠からタイトルを奪取し、実力一位の座を固めています。
この碁では左上隅から競い合いが始りました。白がはさんだのに、ぶつかって受けたのが珍しい形でしたが、中央に頭を出した後、上辺に打って白を攻撃する態勢を見せ、ここから激しい競い合いになりました。黒が更に左辺でも厳しい打ち方を見せたので、ここでどちらかがつぶれてもおかしくないような戦いになりましたが、結局攻め合いで黒が6子を捨てて締め付ける形となりました。ここまではどちらかというと白の方が上手く打っていたと思います。次の焦点は右上隅方面で、黒が白の薄みに対し覗きのような手を打ったのに対し、白が反発したため、ここでも激しい戦いとなりました。しかし、ここは黒が上手く打ち回し、白地が付きそうだった所に地をもって治まり、なおかつ中央の石が左側に連絡出来ました。ここで一転して黒のリードに変わりました。黒はしかしヨセで左下隅方面で最善手を逃し、若干白に寄りつかれました。それでも黒は全体に厚く、順調に各所で地を増やして、最後は白の投了となりました。

NHK杯戦囲碁 辻󠄀篤仁4段 対 許家元9段(2023年9月17日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が辻󠄀篤仁4段、白番が許家元9段の対戦です。この碁の序盤では、黒が左下隅で攻めを見られているのを手抜きし、他に先着して得を図りました。その代償で右下隅を攻められましたが、不可解だったのが形として両ノゾキが残る形を敢えて打ち、しかし実際にそこに打たれ、石の分断を避けるために白にポン抜きを許すことになったことです。白はポン抜いた後、更に切って劫を仕掛けました。黒には劫立てが無く、結局当たりの1子を延びて逃げましたが、白はその延びた黒を追って中央に厚みを築き、右下隅からの黒を狙いました。そのため黒はそちらに手を入れる必要があり、中央での競い合いで白は黒をハネることが出来ました。そしてその結果白は上辺に大きな地模様を築くことが出来ました。しかしその後上辺右で延びていれば普通だったのを押さえて、黒に切られて劫で受けました。これは明らかに白が無理気味の打ち方で、劫は白が勝ったものの、白の中央が薄くなりました。白はしかし中央の数子を捨てるかと思いきやしのぎに行きました。ここでの黒の打ち方に疑問があり、結果論としては左辺で白が取られていた2子を助けながら中央に2眼作ってしのぐことが出来、これで白の優勢が確定しました。結局地合は盤面でも白がいいということになり、黒の投了となりました。

NHK杯戦囲碁 高尾紳路9段 対 鈴木伸二8段(2023年9月10日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が高尾紳路9段、白番が鈴木伸二8段の対戦です。全体として淡々と進んだ本局ですが、白が黒の右下隅に仕掛け、2子を犠牲にして右辺で1子を抜いて、それにより右辺の白が活きた展開は白が打ちやすい感じでした。そうなると今度は右上隅から伸びる黒が狙われることになりますが、黒は劫を仕掛けて勝ち、黒もここははっきりと活きました。こうなると形勢は不明でヨセ勝負となりました。しかしそのヨセの中で、黒がツケこして白を切断に行った時に、白が上方のハネで応え、結果的に黒1子を取り込んで上辺の白地を増やしたのは、はっきりと白が得をしたように思います。その後黒は中央で白を切断して頑張りましたが、黒が覗いたのに白が横へ延びて受けたのが好手で、ここでは黒は戦果を挙げられず、結局そのまま白リードでヨセが進み、終ってみれば白の1目半勝ちでした。鈴木8段は最近各棋戦で活躍していますが、本局も隙の無い打ち回しでした。

NHK杯戦囲碁 福岡航太朗4段 対 蘇耀国9段(2023年9月3日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が福岡航太朗4段、白番が蘇耀国9段の対戦です。布石は両者2連星から、5手目で左下隅ダイレクト三々といういかにも最近多い進行です。白は左下隅で黒に包囲されてサバキに行ったのですが、左辺でのハネだしを打たず隅をハネたのがどうだったのでしょうか。白は一手入れて活きましたが、外側の黒の厚みがかなり広壮になり、形勢は黒に傾きました。しかし白は右辺で模様を作り、入って来た黒を分断して攻め立て、多少挽回しました。しかし下辺の折衝で頑張って、黒の下辺から延びる大石を狙おうとしましたが、話が遠く、その間に黒に上辺に侵入され、逆に白が攻め立てられ寄りつかれてしまいました。また黒はその間に上辺で活き、地合の差は盤面10目程度のままヨセが進行しました。結局黒の中押し勝ちとなりました。まだ17歳でニキビ顔の福岡4段がどこまで勝ち進められるかが楽しみになりました。

NHK杯戦囲碁 河野臨9段 対 関航太郎NHK杯戦者


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が河野臨9段、白番が関航太郎NHK杯戦者の対戦でした。この碁はプロらしい石の張った見応えのある応酬が続き、AIの予想手を上回る人間の手が沢山見られて実に面白い碁でした。戦いが激しくなったのは、右下隅で白が黒がハネただけで先手を取っていた箇所を切り当てしてからです。一時は白黒共に弱い石が3つずつ絡み合いながら、お互いが守るだけの手を打たず相手を攻めるという展開でした。しかし、黒が左下隅の白3子を取り込んで、隅から左辺で35目ほどの地を確保してから、黒が打ちやすくなったように思います。白は代償として右下隅からの黒を攻めましたが、途中で攻めを保留し上辺に向かいました。この上辺で黒が白の間に打ち込んで、白1子をほぼ取り込んだような形になりました。しかし後に白はこの石を動き出し、ここでまた眼の無い石のもつれ合いになりました。その後一旦白は下辺からの石に連絡し無事に分れたように思いましたが、その後白は自分も切られながらも黒も切断するという手を打ち、また攻め合い含みでかつ劫のついた戦いになりました。劫は左辺中央と上辺の2箇所に出来ましたが、左辺中央は黒が劫に勝ち、上辺は白が勝って無事に分れるかと思いましたが、黒は何と左上隅に手を付け、白が上辺の劫に勝っても全体で眼が無い、という攻めを見せました。結果として白は妥協し、この部分では黒が戦果を挙げました。その後白が今度は上辺の黒と攻め合おうとした時失着があり、攻め合いの黒は上手く脱出出来ました。しかし白が劫材で打ったノゾキが、黒が取っている白1目を逃げ出すシチョウアタリを兼ねており、黒は継げずに、白が切断し、これでまた形勢不明になりました。という具合の乱戦でしたが、最後は黒の半目勝ちという、これだけ戦った結果としては信じられないような結果になりました。関航太郎NHK杯戦者は、初戦で散りました。

トワイライト・ゾーンの”Cavender Is Coming”

トワイライト・ゾーンの”Cavender Is Coming”を観ました。見習い天使のカヴェンダーは失敗ばかりで、天使失格になる所を、最後のチャンスということで、アグネス・グレップというダンサーの若い女性の守護天使になり、24時間の間に彼女の人生を変えて幸せにするように命ぜられます。カヴェンダーは彼女のために豪華な邸宅を用意し、リッチなパーティーを彼女が開いたことにします。お客は皆グレップを称賛して行きましたが、アグネスはどこか戸惑ったままです。結局彼女はそのままの生活で十分な幸せを感じており、元通り子供達や友人達と暮すことを望み、カヴェンダーは結局全てを元に戻します。天ではカヴェンダーが多額の経費を使いながら失敗したことで、いよいよ天使失格の判定が出る所でしたが、しかし上級天使がアグネスの状態をチェックし、彼女が幸せいっぱいであることを発見します。何はともあれ、アグネスが幸せであるということは課題を果たしたということになり、カヴェンダーは他の人間を幸せにするように命ぜられます。
しかしカヴェンダーの思っている幸せがきわめて物質的で、アグネスの方が本当の幸せとは何だか知っているという、ちょっと皮肉が込められたエピソードでした。

NHK杯戦囲碁 大西竜平7段 対 林漢傑8段(2023年8月20日放送分)


8月20日放送のNHK杯戦囲碁は(旧居の片付け作業でリアルタイムでは観られず、NHK+の見逃し番組視聴で観ました)、黒番が大西竜平7段、白番が林漢傑8段の対戦でした。大西7段は独特の囲碁においての世界観を持っていて、「大西ワールド」と呼ばれていますが、この碁はそれが全開でした。初手はなんと写真の赤丸を付けた所です。おそらくですが初手でここは史上初ではないでしょうか。それで白の2手目がその右に一間にかかる(?)手で、昔初手天元に対し、橋本宇太郎さんだったと思いますがやはりかかっていったというのを思い出しました。そういう訳で早速ここで戦いが始りました。白は大ゲイマというある意味軽快な手を打っていて、黒はそれを分断して攻めるのではなく、あくまでも全体を攻めました。白もそこで途中では捨てる方針だったと思いますが、黒があくまでも小さく取らないで全体を狙っていたので、結局中で活きることになりました。この別れはAIの判定では白良しだったようですが、良く分りません。白はしかし左上隅の戦いで、黒の断点を覗いていったのが疑問手で、黒が継がずに左上隅をハサミツケたのが機敏でした。ここはいったん劫になりましたが、結局黒は左辺に渡り、白地だった隅が黒地に転じ、ここで黒が若干リードしたようです。しかし勝負を決めたのは左下隅の戦いで、攻め合いになったのですが、白が二子をアタリにされたのに隅をハネて行ったのが失着で、二子を抜かれると攻め合いにならず、白が丸々取られてしまいました。こうなると白は地が足らず、ヨセで黒が固く打ったので最後は黒の2目半勝ちでしたが、白がこれ以降勝つチャンスは無かったと思います。

NHK杯戦囲碁 芝野虎丸名人 対 牛栄子女流最強(2023年8月13日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が芝野虎丸名人、白番が牛栄子女流最強の注目の一戦です。布石で黒は二連星の後、右辺に右下隅から大々ゲイマに開くという、中国流の変型のような、初めて見る形を披露しました。白が右上隅でダイレクトに三々に入ってから、右辺が黒、上辺から左上隅にかけてが白という模様の張り合いの展開になりました。そこで黒が上辺左というか左上隅に深く潜って行きました。ここからこの石の死活を巡って激しい差し手争いになりました。その結果中央で大きな劫が出来ましたが、白は臆することなく最強の手で応じ続けました。結果として、白黒双方に眼が無く、攻め合いかあるいはセキかという感じになりましたが、結局黒白双方が相手の石5子を取り合うといういい加減の別れになりました。しかし劫を巡って白は中央で厚みを築いており、形勢は白のリードとなりました。その後白は右辺の黒模様に、右上隅との渡りを見ながら打ち込んで行きました。この打込みはあわよくば黒を攻めてやろうというもので、白が右辺に展開するのを黒が妨げることは出来ませんでした。残るは下辺から右下隅にかけてで、ここでの白の消しも成功しました。残るは左下隅で、ここの白を確実に活きておけば白に残ったのではないかと思いますが、白は下辺の出という大きな手を選択しました。結果的に左下隅は劫になり、劫は黒が勝って元々白地だったところが大きな黒地になりました。これでわずかに黒が抜け出しました。終ってみて黒の3目半勝ちでした。しかし敗れたとはいえ、牛女流最強の一回戦に続く力強い打ち回しが印象に残りました。

NHK杯戦囲碁 小池芳弘7段 対 本木克弥8段(2023年8月6日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小池芳弘7段、白番が本木克弥8段の対戦です。この碁は右下隅から戦いが始まり、最後まで続きました。その発端は右辺下方で黒が延びていれば普通だったのを、ハネて白が切ったため、激しい戦いが始まりました。右辺は白黒ともほぼ同型となり、両方が活き活きとなりました。この戦いで白は下辺で得をし、また中央の黒3子も半分死んだ形となりました。なので黒としては右辺から延びる白を攻めて得を図らなければなりませんでしたが、白は上手く上辺になだれ込んで活きました。その後いろいろありましたが、最後は中央の黒が切断されて眼が無く、攻め合いも2手ぐらい白が良いということになり、黒は最後に中央の白のダメヅマリを追及しましたが、セキ活きとなり、結果中央の黒の死が確定し、黒の投了となりました。