NHK杯戦囲碁 羽根直樹9段 対 張豊猷9段(2024年4月21日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が羽根直樹9段、白番が張豊猷9段の対戦でした。布石では白が右辺に大きな模様を築き、黒が深く打ちこんで行きました。結局黒は右辺下方で活きることになりました。白はその戦いで得た厚みをバックに下辺の黒に覗きを打って仕掛けて行きました。この戦いで白の右下隅はまだ活きておらず、結局劫になりました。劫は白が勝って右下隅は活きましたが、黒が下辺の白5子を取り込んで打ちやすくなりました。ただ白も中央の白模様のまとまり具合ではまだ可能性がありましたが、羽根9段が慌てず騒がず白の策動を封じていき、最後は黒の3目半勝ちとなりました。羽根9段の的確な形勢判断とポイントを逃さない戦い方が参考になった碁でした。

NHK杯戦囲碁 小池芳弘7段 対 鶴山淳志8段(2024年4月14日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小池芳弘7段、白番が鶴山淳志8段の対戦でした。序盤で白が左辺に40目レベルの大きな地を取りましたが、代償で黒の中央が厚くなり、下辺からが大きな黒の地模様になりました。それに対して白が突入した手がAIの推奨の手より一路深く、黒はこの手に対し右辺でカケを利かした後、肩を付いていってこの白を強く攻めました。この攻防で中央は劫になりました。白は何とか下辺で活きることが出来ましたが、黒は劫の部分をぶち抜いて全ての石がつながり強大な厚みが出来ました。後はこの厚みを生かして入って来た白を攻めながら右辺と上辺の地をまとめ、中央に付きそうだった白地もうまく侵入して削減し、地合で大きく黒がリードし結局黒の中押し勝ちとなりました。小池7段としては会心の一局だったのではないでしょうか。実はこの二人、2019年7月にもNHK杯戦でぶつかりその時は鶴山8段が勝っています。小池7段はリベンジを果たしました。

NHK杯戦囲碁 高尾紳路9段 対 平田智也8段(2024年4月7日放送分)


第72回NHK杯テレビ囲碁トーナメントが始りました。初戦は黒番が高尾紳路9段、白番が平田智也8段の対戦です。序盤右辺の黒模様を荒らしに行った白が途中で手を抜いて下辺の黒に仕掛けていき、その結果右辺の黒地がほぼ確定し、この辺は黒のペースでした。しかし下辺の戦いが劫になり、その結果左下隅方面の黒が切離されました。黒は中央の白に襲いかかる手があったのに守りの手を打ち、また左下隅を活きに行きました。その結果無事に左下隅が活きていれば黒も良かったのですが、攻め取りとはいえ取られてしまい、これで白地が増え、白が優勢になりました。その後左上隅方面の争いで白が2子当たりになっているを逃げず、右下隅からの白の活きを確かめたのが冷静で、これで白が優勢がほぼ確定しました。結局黒が投了して、白の中押し勝ちとなりました。

NHK杯戦囲碁 決勝戦 芝野虎丸名人 対 一力遼棋聖(2024年3月10日放送分)


本日のNHK杯戦囲碁は、いよいよ決勝戦で、黒番が芝野虎丸名人、白番が一力遼棋聖という名人対棋聖の対決でした。序盤で黒が上辺に模様を築き、白がそこに入って行き、ある意味開き直るような強い打ち方をしました。黒も目一杯の手で白を攻め、結局振り替わりのような形で右上隅が黒地となり白は右辺へと脱出しました。その白を黒が切っていっていた石がどうなるかが次の焦点で、結局右辺の黒は取られましたが、黒から中央の白に攻め取りでどれだけ締め付けが利くかが次の焦点でした。しかし白も巧みに中央で手数を伸ばして締め付けを避けました。そこで黒が一転して左下隅の星の白に付けて行き、そこから次のラウンドが始りました。その戦いの中で黒が白のハネに延びておけば良かったのに二段バネしたのがある意味打ち過ぎだったようで、中央の黒を脅かされつつ下辺に進出され、また一度取られていた白4子が復活する手が生まれ、さらには右下隅も攻めらました。更には左辺にもかなりの白地が付くことになり、ここの戦いで白が完全に抜け出しました。こうなると地合が盤面でギリギリということになり、黒の投了となりました。これで一力遼棋聖が4回目の優勝となりました。一力棋聖はNHK杯戦出場10回で、その内8回で決勝進出、そして4回優勝というとても信じられないような記録を作っています。まだ26歳ですから、この先どこまで優勝回数を伸ばすかが楽しみです。

NHK杯戦囲碁 井山裕太二冠 対 一力遼棋聖(2024年3月3日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、準決勝の第2局で、黒番が井山裕太二冠、白番が一力遼棋聖という最高のカードです。序盤左上隅で黒が両ガカリしてから競い合いになりました。白が上辺で黒を挟んだのを更に黒が挟み返してという目まぐるしい展開でしたが、黒が白に頭を押さえられる前に4線から3線に下がったのが良い手で、逆に白が黒に当て込みを打たせるためにタケフを切りに行った形になったのがマイナスで、ここでAIの判定が黒に傾きました。その先、左上隅から中央に延びる白を攻めるのに黒がケイマで煽った所をすぐに白が切って行って、結局右辺に展開しました。そして黒が上辺から延びている石と下辺が二間で連絡している所を黒が一手守ったのに白がくすぐりに行った後、白は大ゲイマで上辺から延びる黒への攻めを見ました。しかし黒は白の急所に置いていき、また中央の黒と下辺の黒をつながる守りの手を打たずどんどん下辺に出て行きました。この辺りまさしく井山二冠らしい打ち方でしたが、結局白に間を分断されて、黒が苦しくなり結果的には打ち過ぎでした。白はここでチャンスを掴み、左辺に展開して形勢は五分五分になりました。その後白がいっぱいに打ち回し、左辺上方の黒を取り込んで左辺の地を大きく取ったので、ここで白が優勢になりました。結局黒が投了しました。来週はいよいよ決勝戦で、一力棋聖と芝野名人というこれまた好カードです。

NHK杯戦囲碁 志田達哉8段 対 芝野虎丸名人(2024年2月25日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、準決勝第一局で、黒番が志田達哉8段、白番が芝野虎丸名人の対戦でした。序盤で白が左上隅で早々と劫を仕掛け、右下隅に劫立てし、黒が受けずに劫を解消しました。しかしそれでいい勝負でした。しばらく進んでから黒は右下隅で動き出し活きた後、白の角を切って行きました。ここでまた戦いが始り、下辺の左右の黒、中央の白、右辺の白というもつれあいになりました。途中で下辺右の黒は白の手抜きを咎めて白2子を取ってつながりました。下辺左の黒も若干の犠牲打を放って中央が厚くなりました。残ったのは白の弱石2つで、特に中央は結局は眼2つでギリギリの活きでした。右辺は白が2子を犠牲に渡る形になりました。それからヨセになりましたが、AIの形勢判断がずっと6:4くらいで黒有利を示していたのですが、終わって作ってみれば白の半目勝ちで、AIもヨセの段階での形勢判断を間違うんだということが分りました。芝野虎丸名人は初の決勝進出で、井山裕太二冠と一力遼棋聖の勝者と優勝を賭けて戦います。

NHK杯戦囲碁 志田達哉8段 対 藤沢里奈女流本因坊(2024年2月18日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は準々決勝最後の対局で、黒番が志田達哉8段、白番が藤沢里奈女流本因坊の対戦です。この二人はどちらもヨセが得意で半目勝負を勝ちきってというパターンが多いので、この碁もそうなると予想しましたが、始ってみると志田8段が随所で積極的な打ち回しを見せ、中盤からはかなりの戦いの碁になりました。いくつかポイントはあって、まずは右辺の白に黒が利かしにいって、通常は黒先手と思いきや白が手を抜いて他に先行しました。ただ白はここである意味借金を抱えているようなもので、実際に黒が後で切りを敢行し、これが利かしにもなり、また後で働きました。黒はそこも頼りにして中央で白がケイマで煽っている所を切って行きました。この結果上辺の白はいじめられ眼2つで活きなければならなくなり、ここで黒がポイントを上げました。その後、黒が左辺の模様を拡げた所に白が進出して行きましたが、これに対して圧力をかけて中央が黒が厚くなり、先ほど中央で切られて中央で孤立している白が危なくなりました。ここで黒の先ほどの右辺の切りが効いて来て、中央の白は黒の包囲網の中でもがくことになりました。しかし白も逆に右辺の黒を切って行って攻め合いを目指しました。しかし白の手が2手ぐらい短く、また黒は左辺の黒模様に進出した白も取り込む手を打ちました。結局白は中で活きるのも攻め合いも上手く行かず全部取られてしまい、白の投了となりました。女性棋士初のベスト4進出はなりませんでした。

NHK杯戦囲碁 井山裕太二冠 対 山下敬吾9段(2024年2月11日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、準々決勝第3戦で、黒番が井山裕太二冠、白番が山下敬吾9段の対戦です。この二人は主に棋聖戦で何度も戦っていますが、年齢差もあって井山二冠が勝ち数は大きくリードしています。白の山下9段は新手を見せてくれるので有名ですが、今回も黒の小目に5線からケイマにかかるという手を見せてくれました。しかしここから碁はまったく前例が無い戦いに突入し、特に黒がダメが詰まるのを承知で無理矢理切りに行ったのが強手で、ここから黒のペースになり、特に白は下辺3子を上手く捨てる手が無く、下辺を這って活きに行ったのが辛かったと思います。その後黒が中央の断点を守っていれば十分だったのを、最強の手で中央の白を攻めたのを、白が切りを決行して、白にもチャンスが生まれました。しかし黒はその後も最強手を連発し、白も果敢に戦いましたがなかなかチャンスが無く、左辺で黒が捨てるかと思った3子を活きに行き、地合でも頑張りました。その後中央の白を攻めながら上辺に地を作り、これでほぼ勝勢になりました。その後白が右上隅三々に入りましたが、黒に二段バネされ、辺で1子取ってもその後に活きるのが窮屈で変化しましたが、結局右上隅は黒が取り切り、盤面で10目以上の黒のリードは変わらず、結局白の投了となりました。井山二冠、次は準決勝で一力遼棋聖との対戦です。

NHK杯戦囲碁 芝野虎丸名人 対 河野臨9段(2024年2月4日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が芝野虎丸名人、白番が河野臨9段の対戦です。この碁の焦点は右下隅から下辺の戦いで、黒が下辺で白にカケを打ったのを白が出切っていきました。そこで両者最強の手を打ち続けましたが、どうも白が捨てる石と守るべき石の選択を間違えた感じで、黒が下辺の白2子を取ったのが大きく、黒が全体に安定し、白が一方的な被告になった感じで、ここで黒に形勢が傾きました。その碁白は劣勢ながら左辺に仕掛けていきましたが、その途中で白が左辺真ん中辺りで黒1子を当たりにした所で、何と黒が継がずに左下隅を押さえていったのが強手かつ好手でした。この手の結果、白は中央の6子か左下隅の4子のどちらかが見合いで取られることになり、結局白は6子を捨て、黒はここに15目くらいの地を作り地合ではっきりリードしました。その後も、黒は中央で切りを入れ白8子を取り込んで更に地を増やしました。これで盤面15目以上の黒のリードとなり、その後右辺の折衝の結果、取られていた白8子が逃げ出せたのですが、今度は左辺から延びる白の大石が絞りを2つ打たれて眼がなく死んでしまう、ということでここで白の投了となりました。芝野名人の完勝譜で、初のNHK杯ベスト4進出となりました。

NHK杯戦囲碁 本木克弥8段 対 一力遼棋聖(2024年1月28日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が本木克弥8段、白番が一力遼棋聖の対戦でした。右下隅が一段落して白が小さくですが活きた後、黒は左下隅の白の一間ジマリのヨコに付け、その後左上隅の白が締まっている所に掛かっていきました。その後先ほど左下隅で付けた石から飛び、白も下辺の黒に肩を付き、左辺が全面的に戦場になりました。結局左上隅の黒は切断され、活きにいくしかなくなりました。白がその黒に利かしに行った時、黒は一本鼻ヅケし、その後活きる手を打った後、逆襲気味に白を切断して行きました。黒は結局中央の白に対し左辺を渡らせましたので一応言い分が通ったような形になりました。その結果中央の白の種石2子が薄くなり取られそうになりましたが、白は三間飛びでつながるともつながらないともという感じで右辺に利かしに行きました。白は右辺の黒を固めさせて中央を厚くしたかと思いきや、一転して右上隅に手を付けて行きました。その後黒が反発して中央を重視して手を抜いたりしたので右上隅の白は活き、またその左側の黒も活きて活き活きになりました。後は中央の白がどうなるかということでしたが、黒の攻めに対し、白は3子を捨てて右辺下方とつながりました。それでも黒はまだ全体を狙っていましたが、中央にも一眼を作り、黒の攻めをかわしました。この結果は白の地が厚く、ヨセが打たれましたが結局黒の投了となりました。一力棋聖はこれで準々決勝進出です。