ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の第8回目を公開しました。
いよいよ「コムメンダ」が登場します。今日の海上輸送の保険用語で「共同海損」というのがありますが、これが既に中世の地中海での貿易においてそういう取り決めがあったということに驚きました。共同海損は古い言い方では「投荷」とも言いました。要するに嵐などで船が沈みそうな場合、積み荷を海の中に投げ捨て軽くして危険を減らすということが古くから行われていますが、そういった場合捨てられた荷物の分の損を、捨てられずに済んだ荷物の荷主も平等に負担する、というのが元だと思います。それからイタリアの貿易というと、どちらかというと東岸のヴェネツィアとかの東方貿易がイメージされるのですが、歴史的にはジェノヴァなどのイタリア西岸とバルセロナなどのスペインの沿岸都市の貿易の方が先だったようです。
「Max Weber」カテゴリーアーカイブ
日本語Wikipediaのダメな所
今日もヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳に取り組んでいて、「西ゴート法典」について調べていたら、何と日本語Wikipediaにはこの項目がありません!にも関わらず、西ゴート王国で定められた法典の一つに過ぎない「エリック法典」については項目があります。といっても参考文献に挙げられているのは山川出版のおそらく高校の世界史用の参考書ですが…
Wikipedia自警団という連中がダメなのは、人が書いた記事の出典が無いとかそんなチェックばかりで、百科事典に限らず全ての辞書・事典で重要な「何を立項(=項目を立てる)すべきか」を考える人が誰もいないことです。まあオンラインのボランティア執筆百科事典では仕方がないのかもしれませんが、サブカル系が異常に充実している一方でこういう学術分野は穴だらけ、というよりほとんど未開拓といった方が正しいのかも。
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳7回目の公開
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の7回目を公開しました。今回の箇所は特にラテン語とかは出て来ないのですが、法的見地と経済的見地の関係が分かりにくいです。ただ、まったく普通の経済の外にある「家計」「家ゲマインシャフト」から、合名会社の二つの原理である「連帯責任」と「特別財産」が生じたということをおそらく言いたいのだと理解すれば、書いてあることは理解出来ました。英訳は分かりやすいですけど、あまりに単純化して訳しすぎのように思います。
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳第6回目を公開しました。
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の第6回分を公開しました。ここの所はラテン語文を5箇所くらい読まなければならず大変でした。ローマ法の英訳って確定していのかと思ったらまったく違って、色んな解釈があって英訳もかなりばらついているようです。
安藤英治による「中世合名会社史」の紹介
折原浩先生に、日本のウェーバー学者で「中世合名会社史」をちゃんと読んでその内容を紹介している例として安藤英治の本を教えてもらいました。こちらをご覧下さい。
ヴェーバーのローマ法(学説彙纂)の引用での注意点
中世合名会社史の日本語訳で、いよいよローマ法(学説彙纂)の引用が出てきているのですが、そのラテン語の内容の異同についてかなり注意が必要なことが分かり、その旨をまとめてアップしました。
中世合名会社史の日本語訳の5回目を公開
ヴェーバーの中世合名会社史の日本語訳の第5回目を公開しました。これまで書いた分だけで1万字を超えました。原稿用紙で30枚以上。
今回のはLabandというドイツの法学者への反駁があってなかなか難しかったです。
中世合名会社史の日本語訳の4回目を公開
中世合名会社史の日本語訳の4回目となる部分を公開しました。
ヴェーバーの文章は最初単に逐語訳して日本語にした場合、ドイツ語原文と両方読まない限りほとんどの場合意味不明の文になります。しかしその逐語訳とドイツ語原文を並列に眺めていると、しばらく時間が経つと不思議と「ああ、本当はこういうことが言いたいのだな」と分かってきて、よりこなれた日本語に修正します。
そして最後に日本語訳だけ見て、それだけで意味の通る自然な日本語になるようにさらに修正します。
以上のような過程を経ている翻訳のため、時間がかかります。今のペースで計算したら、完成までに700日くらいという結果になりました。先は長いです。
ドイツ語でのGoogle翻訳の実力
ドイツ語→日本語のGoogle翻訳がヴェーバーの文章にどこまで通用するかやってみましたが、まったく箸にも棒にもかからない結果となりました。
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原文
Dogmatisch ist der grundsätzliche Unterschied zwischen der Societas des römischen Rechts und der wichtigsten Gruppe der modernen Gesellschaftsformen, der handelsrechtlichen, speziell der offenen Handelsgesellschaft, oft erörtert und genügend aufgeklärt. Historisch ist die Entwickelung der modernen Grundsätze aus dem Verkehrsleben der Mittelmeerländer, speziell Italiens, von wo aus der internationale Handelsverkehr sie als für sich praktikabel allgemein übernahm, in den Hauptzügen klargestellt.
Google翻訳
独断的に、ローマ法のソシエタと現代社会の最も重要なグループである商法、特にオープンな商社との間の根本的な違いは、しばしば議論され、啓発されました。 歴史的には、地中海諸国、特に国際貿易が一般に実用的であると認めているイタリアの輸送生活からの現代原則の開発は、主な特徴で明らかにされてきました。
t-maru訳
法教義学的には、ローマ法のソキエタスと近代商法における会社形態の中でもっとも重要な集団との、特に合名会社との原理上の相違点については、しばしば詳細に論じられまた十分に解明もされてきた。法制史上では、そうした会社形態の近代的原理の発展は、地中海沿岸諸国、とりわけイタリアの諸都市国家における、交易を主体とした生活の中から生まれて来たのであり、それらの会社形態の原理は国際交易の上で実用的に必要なものとして把握され、その主要な特性としてこれまで解明されてきたのである。
ヴェーバーの「中世合名会社史」日本語訳3回目
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の3回目をアップしました。いよいよ序論が終わり本文に入りますが、いやー、なかなか大変でした。しかし、このヴェーバーの一つの文章をはっきりと終了させないで次々につないでいくというやり方は、まあ法律ではよくあるのかもしれませんが、訳すときは大変です。特に代名詞などがそれが指している言葉から離れている場合、それを突き止めるのが本当に面倒です。まあまだ始まったばかりで、先は長いです。