市川崑監督の1963年の作品、「雪之丞変化」を視聴。雪之丞と闇太郎の二役をやっているのが長谷川一夫で、長谷川一夫の映画三百本記念で、市川崑監督の初の時代劇です。とにかく役者が素晴らしく、浪路が若尾文子、軽業のお初が山本富士子、雪之丞の師匠の菊之丞が市川中車、島抜け法印が勝新太郎、門倉兵馬が船越英二、そして敵の土部三斎(原作では「つちべ」ですが、映画では「どべ」と呼ばれています)が中村鴈治郎とオールスターキャストです。それはいいのですが、この時長谷川一夫はもう55歳で若女形の役としてはさすがに老けすぎです。長谷川一夫が最初に雪之丞を演じたのは、昭和10年で、この時のものが観たくなります。女優陣は、若尾文子が可憐で実に美しく、また山本富士子のおきゃんな感じのお初もいいです。ただ、原作にあった雪之丞と闇太郎の友情が十分に描けていません。また復讐の過程も原作で5人の敵を映画では3人に減らしてしまって、ちょっとあっさりしすぎです。またストーリーの展開も、雪之丞の独白に頼っている部分が多く、もっと映像で見せて欲しかったです。
市川崑監督の「雪之丞変化」
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