本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が本木克弥8段、白番が芝野虎丸名人・王座の対戦でした。対局は上辺で白が黒の星からの小ゲイマジマリに肩付きしたのを黒が挟んでいって、まずはここから競い合いが始まり、結局白の厚み、黒の実利という分かれになりました。白の左辺の模様が大きくなったので黒は左辺に打ち込んで行きました。白はそれに対して左下隅から下辺に延びる黒を圧迫してモタレ攻めを狙いました。しかし途中で手を抜いて左辺のボウシを打ったので、すかさず黒が下辺から白を切っていってもつれた戦いになりました。結局白は左辺を渡って上下が連絡し、また下辺も頑張りましたが、黒も最初に打ち込んだ左辺の石と下辺で白を切っていった石が連絡したので、黒が悪くない局面になりました。更に黒は下辺の白を攻めましたが、白がただ逃げるのではなく、右下隅の黒を封鎖気味にケイマに打ったのが機略に富んだ手でした。黒は当然の手としてツケコして白を切断しましたが、白は右辺を犠牲にして中央を厚くして中央の黒を狙いました。ここで劫になり、お互いに劫材を打ち合った後、黒からの劫材で左辺上方への進出を止めると、黒から後手ですが活きる手が残るという場面で、白は他に転じました。右辺で白が先着してそれなりに大きく活きる手を残した後、白は結局黒の左辺上方への進出を止めずに眼を取りに行きました。しかし白も中央が薄い上に下辺から延びる一団も眼がありませんでした。結局最後は中央の白が活き、中央の黒と下辺から延びる白の攻め合いになりました。しかし白は右辺で手数を伸ばす手があり、これによって攻め合いは白の勝ちとなり、黒は途中で上辺も犠牲にしたため、ここで黒の投了となりました。なお、今回実現しませんでしたが、中に相手の活きた石を完全に(円状に)囲み、その石がまた相手の石に包囲された場合、「欠け眼活き」という特殊な活きが生じる場合があるようです。
新型肺炎:冷静な対応を
何だか、中国の新型肺炎に対して、オーバーとしかいいようがないような反応が一部マスコミに見られます。
以下、SARSが香港で流行した時に調べたことを再掲します。
1.日本では、年間100人に1人のレベルで肺炎にかかる(感染率1%)
2.肺炎で死亡する人(厚生労働省の統計を参照)も、年間8万人~10万人であり、ガン、心臓疾患、脳疾患などに続いて日本人の死因の第5位。(2018年)交通事故による死者よりも多く、致死率も7~8%に達している。
3.肺炎を引き起こす原因になる細菌・ウィルスは、肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、グラム陽性菌などSARSのコロナウィルス以外にも、きわめて多種多様。しかも日本での肺炎による死者のうち、半数はどの菌によるものか原因不明。治療法も対症療法が中心で、確立しているとは言い難い。
私も以前、2007年だったかと思いますが、肺炎になって会社を10日間休んだことがあります。その時も、既に医者が抗生物質を大量に投与していたため、原因となった菌は不明でした。
今回の中国の新型肺炎、致死率が3%であればむしろ普通の肺炎より低いです。また、今回たまたま菌が特定され、それが新型ということで騒ぎになっていますが、実は世界の各地で色んな新型肺炎が常に発生しているんだと思います。
(写真は2003年5月の香港において)
宇宙家族ロビンソンの”The Cave of the Wizards”
宇宙家族ロビンソンの”The Cave of the Wizards”を観ました。この辺りひどい話が多いシーズン2の中ではかなり良く出来た話で楽しめました。ただ、原子力潜水艦シービュー号のキャラが沢山出てきた(化石男、宇宙から来た巨大脳、ミイラ男など)には辟易しましたが。ドクター・スミスが岩石採集の時に突然爆発に遭遇し頭を強く打ち、自分の名前も忘れてしまいます。やがてエイリアンの出すビープ音に操られて洞窟に誘い込まれます。そこには宇宙をかつて支配していたドラコニアンの一族のマシンがあり、それらを統率し、ドラコニアンの過去の知恵を集約する人間を求めていて、それにドクター・スミスが選ばれたものです。ドクター・スミスはついうっかりエイリアンのメダルと帽子を身につけすっかりエイリアンに操られてしまいます。一方でロビンソン博士とドンはいよいよジュピター2号の修理と燃料の採取が終わり、この星から飛び立とうとしていました。一度は博士とドンはドクター・スミスとロボット(エイリアンに金色にされ、ゴールデンボーイと名乗っている)を連れ戻しに行きますが、無駄でした。しかしウィルは諦めきれず一人で二人を連れ戻しに行きます。それでもドクター・スミスはウィルの願いをはねつけますが、ウィルがこれまでの楽しかった思い出を話し、それによってドクター・スミスの感情が復活し、エイリアンの催眠術が解けて、という話です。結局一家はこの惑星を出発出来ませんでした。
宇宙家族ロビンソンの”Rocket to Earth”
宇宙家族ロビンソンの”Rocket to Earth”を観ました。今回は魔法使いが登場です。とにかくSFとある意味正反対の者が次から次に登場します。最初はドクター・スミスにしか見えなかった魔法使いが実は洞窟の中に住んでいることが分かります。彼はロケットを持っていて、ドクター・スミスがまた例によってうまくごまかしてそのロケットを使って地球に戻ろうとします。実は魔法使いの側もドクター・スミスを騙していて、そのロケットに積まれていたのは宇宙用の花火ではなく核ミサイルでした。手違いでウィルも一緒に乗ったロケットは地球に向かいます。しかし地球から未確認ロケットとして確認の通信が来ても、こちらから返答することが出来ません。それなら花火を出せば敵では無いと分かってくれるとドクター・スミスは考え、それを打ち出すと実際は核ミサイルですから、すっかり地球側からは敵のエイリアンとみなされ、地球からミサイルが飛んできます。ウィルがロケットを何とか反転させて元の星に戻ります。しかしこの話別に魔法使いでなくて他のエイリアンでも良かった筈ですが、もうすっかりそういうカラーの番組になってしまっています。
小泉志津男の「日本バレーボール五輪秘話③ 松平全日本の奇跡」
小泉志津男の「日本バレーボール五輪秘話③ 松平全日本の奇跡」を読了。最初ちょっとタイトルに引っ掛かりました。というのはミュンヘンオリンピックの時の男子バレーの金メダルは、ある意味予定されていたという感じで捉えていたからです。でもこの本を読むと、準決勝のブルガリア戦での大苦戦と「奇跡の」逆転、それからやや苦手だったソ連を東ドイツが破り、決勝は日本が予選で楽勝している東ドイツだったり、とある意味運も味方していて、「楽勝」的なイメージは、TVでやっていた「ミュンヘンへの道」というアニメドキュメンタリーで刷り込まれたイメージかもしれません。それからこの本でもう一つ知りたかったのは、あれほど輝いていたミュンヘンでの男子バーレが何故あっという間に凋落したのかということです。男子バーレはオリンピックの2年後の世界選手権では、ポーランドとソ連に敗れ3位となり、その2年後のモントリオールオリンピックでは、4位となり、東京オリンピック以来のメダル取得の歴史もストップします。そしてその後はさらに凋落し、オリンピックにすら出場出来ない場合も多い、という惨状になっています。
この本によると、金メダル取得後、森田、大古、横田といったスター選手が少年漫画誌に手形付きで載ったり、また選手の結婚式がTV中継されたりし、そういった行動が「アマチュアリズムに反する」という批判が巻き起こったようです。その当時日本のアマチュア規定は世界一厳しいものでしたが、ですが男女とも日本バレーが強かったのは要するに企業が自分のチームに投資を続けて強化してきた結果であり、最初からアマチュアリズムとは矛盾するものでした。
また、そのアマチュアリズム批判と同時に、金メダルへの原動力となったバレー協会の前田会長と松平康隆監督のコンビに対する、やっかみをこめた反対派が現れ、と内紛続きだったようです。それに更に輪をかけて、森田が本人の希望で全日本からは引退し、また大古は日本鋼管から、新しく作られたサントリーに移りますが、そうした行動の結果、全日本から外される、というおかしなことになります。
そういったゴタゴタで、日本の男子バレーの実力はミュンヘンの時に比べ上がるどころか低下しており、それに対して東欧諸国が日本式のコンビネーションバレーも積極的に取り入れ、それがポーランドの躍進につながるということになります。
そうこうしている内に、東京オリンピックの後はメキシコとミュンヘンの両方でソ連に敗れて銀メダルに終わった女子チームが、今度は山田重雄監督の率いる日立武蔵中心の全日本チームで、1974年の世界選手権で東京オリンピック以来の金を取り、更にモントリオールオリンピック、ワールドカップの両方ともで金を取り、「新・東洋の魔女」と称されます。男子バレーはそうした女子の大活躍に完全に置いて行かれてしまいます。
宇宙家族ロビンソンの”The Space Vikings”
宇宙家族ロビンソンの”The Space Vikings”を観ました。何とブリュンヒルデが「ハヨトホ ハヨトホ」と叫びながら登場。いいのか。でもワーグナーと北欧神話がゴチャゴチャになっていて、雷神はドンナーではなくトールです。何故かそのトールの手袋とハンマーがドクター・スミスの元に降ってきて、ドクター・スミスはトールと決闘しなければならなくなります。もちろん腕力でかなう筈がないので、ドクター・スミスは言葉巧みにごまかして、トールをすっかり弱気な男にしてしまいます。そうした所に巨人族が攻めてきて、唯一の頼りのトールはドクター・スミスのお陰で腑抜けになって…というお話です。例によって無茶苦茶ですが、でもまあそれなりには楽しめました。もうこの辺り何でもありですね。このブリュンヒルデを演じている女優は後でアーウィン・アレンの奥さんになったそうです。
宇宙家族ロビンソンの”Mutiny in Space”
宇宙家族ロビンソンの”Mutiny in Space”を観ました。解説本によると映画の「バウンティ号の反乱」の低レベルのパロディーみたいです。というかやってくるエイリアンが皆なんらかの地球の人間の格好をしていて英語も最初から喋る、というのが暗黙ではなくて公然の前提になってしまっていて、SFらしさがまるで無くなっています。元の映画を知っていれば多少は楽しめるのかもしれませんが、そうじゃないと本当に観ているのが馬鹿馬鹿しくなる子供だましのレベルで、シーズン2の低レベルのお話の典型です。唯一楽しめたのは例のドクター・スミスのロボットへの罵倒語が今回は7、8種類くらいも沢山出てきたこと。
松平康隆監督の「負けてたまるか!」
松平康隆監督の「負けてたまるか!」を読みました。大松博文監督と東洋の魔女は一旦ケリを付けて、次はモントリオールオリンピックの男子バレーということでこれを読みました。松平監督は私に言わせればカリスマそのもので、小学5年生の時のまさにミュンヘンオリンピックの年に4月から8月まで放送された「ミュンヘンへの道」をドキドキしながら観ていた一人です。松平康隆監督は大松博文監督と比較してみると分かりやすいかもしれません。
二人の共通点
(1)飽くなき勝利への執念
(2)選手にハードトレーニングを強いる
(3)世界で初めての技の開発
——————–大松博文監督:
—————————-回転レシーブ
—————————-各種変化球サーブ、特に「木の葉落とし」
—————————-移動攻撃
——————–松平康隆監督:
—————————-Bクイック、Cクイック、Dクイック、ダブルBクイック
—————————-時間差攻撃
—————————-一人時間差攻撃
—————————-フライングレシーブ
特に大松博文監督の特性
(1)大家族的なチーム作り、バレー以外でも選手の面倒をよく見る
(2)レギュラーの6人だけを徹底的に鍛える
(3)率先垂範で自らボールを選手に投げ続ける
(4)日紡という会社のチームに対するこだわり
特に松平康隆監督の特性
(1)選手の育成や試合の時の指示出しだけでなく、広報、必要な資金集め、協会内部の政治的な調整まで一人で兼務。男子バレーの人気を高めることに成功。
(2)徹底した相手チームの研究。特にミュンヘンオリンピックの時の最強の敵東ドイツについては、監督の少年時代の通信簿まで入手して性格を分析。その結果ミスを嫌う石橋を叩いて渡る人であることが分かり、相手の予測できない変則プレーで対抗。 (3)選手を単なるバレー選手としてしてだけではなく、国際人として養成。選手に英語や国際政治まで学ばせている。
(4)特定の会社にこだわらず、全日本のベストを集めたチーム作り。
(5)斎藤トレーナーという専用トレーナーの採用。池田コーチも含め、トロイカ体制での選手の指導。
6人制の男子バレーは実はどん底からスタートしました。9人制からの移行が遅れ、1961年の欧州遠征では、ニチボー貝塚が22連勝(ソ連チーム6チームを含む)という偉大な成績を上げて「東洋から来た魔法使い」「太平洋の台風」(後に「東洋の魔女」)と呼ばれたのに対し、男子は2勝21敗で「世界のクズ」と呼ばれます。ソ連での試合では女子が飛行機で移動したのに対し、男子は列車で移動しなおかつ飛行機に載らない女子の荷物を運ばされるという屈辱の体験をします。それがわずか2年後の1963年にはまがりなりにもソ連チームに勝てるようになり、東京オリンピックでも活躍が期待されましたが、出だしで躓き、結果は優勝チームのソ連を破ったものの銅メダルに終わります。松平監督は、市川崑の記録映画「東京オリンピック」の撮影に協力しますが、出来上がった映画には銅メダルの男子バレーのシーンはまったくありませんでした。ここから松平監督の「今に見ていろ」という執念のチーム作りが始まります。そして横田・森田・大古という193cmの大形の大砲を揃えることに成功し、なおかつその3人を含むチーム全員に逆立ちや宙返りといったアクロバットじみたことまでやらせます。(当時「松平サーカス」と言われました。)結果、メキシコで銀メダル、そしてミュンヘンでついに金メダルを獲得します。 松平康隆はバレーの監督をやっていなかったら、ビジネスマンとしても大きな成功を収めた人だと思います。また大松博文監督が引退後参議院議員に当選しますが、政治家としての才能があるのはむしろ松平康隆監督の方だと思います。
NHK杯戦囲碁 山下敬吾9段 対 高尾紳路9段
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山下敬吾9段、白番が高尾紳路9段の一戦です。対局者に加え、解説が羽根直樹碁聖で、平成四天王の三人が揃いました。全員まだ十分に第一戦で活躍中で、山下9段は井山裕太三冠と何度も七番勝負での激戦を繰り広げましたし、高尾9段は名人戦でその井山三冠の七冠をストップしましたし、羽根さんは現役の碁聖です。
序盤は懐かしい感じの昔風の対局という感じでしたが、右下隅から延びる白と、上辺右に黒模様を消しに行った白、この二つの白の一団への黒の攻めが迫力満点でした。黒はこの二つの白を分断する手を打ち、まず上方の白の受け方を聞きました。白は妥協して白2子を取らせて中央と右辺を連絡させました。その代り右上隅の黒を脅かして、それで活きようとしました。そこは結局黒から打って活き活きになるところでしたが、黒は決めずに放置しました。そして今度は本命はこちらだと言わんばかりに、右下隅から延びる白に強烈な攻めを行いました。これは単に攻めて得を図るという感じではなく、取ってやろうという感じでした。しかしここで高尾9段が下辺で跳ね出し、黒が跳ね出した石を取っても、逆を継いでも、どちらかが利く、という巧妙な手を繰り出し、白のシノギが見えて来ました。結局最終的には劫になり、お互いに損にならない劫立てを打った後、白が包囲する黒に切りを入れた後、黒がこの切った白をポン抜き、白が劫を継いで活きるという別れになりました。この別れはポン抜きが厚く、黒は悪く無かったと思います。その後、黒はこの厚みを生かして左下隅から左辺の白地を侵略に行きました。しかしながら、ここの打ち方がわずかに白の方が優っていたようで、ここで白が逆転して優勢になったようです。終わってみれば白の1目半勝ちでした。
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の12回目を公開。
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の12回目を公開しました。今回は注釈のラテン語(蝋を塗った板に釘みたいなので書かれたものを解読したもの)の翻訳が大変でした。ラテン語金石碑文大成という18万もの碑文を集めたものの中に入っているソキエタスについての契約の文章ですが、さすがにこれは英訳は出ていないようです。英訳者のLutz Kaelberの英訳がちょっと怪しく思えて調べるのに時間がかかりました。