NHK杯戦囲碁 山城宏9段 対 謝依旻6段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山城宏9段、白番が謝依旻6段の対戦です。山城9段は参加者中最年長の62歳です。山城9段というと、昔本因坊戦だったかと思いますが、趙治勲名誉名人と7番碁を戦ったことを思い出します。布石ではAIの判定では黒がややリードで、特に右辺に大模様を張りました。白はその黒の模様を早い段階で肩付きなどで消しに行くという選択肢がありましたが、他を打ち、右辺はさらに黒に打たせました。そして右上隅で黒が星から両方に小ゲイマに開いた格好の所に対し、星の右側に付けて行きました。ここだけで活きることは出来ず、捨て石にして上辺か右辺での利きを利用しようという白の作戦でした。結果的にこの作戦が奏功し、3子にして捨てた白石を黒は完全に攻め取りにしなければならなくなり、上辺での利きが有効で、AIの判定は白のリードに変わりました。しかしその後黒は右辺から中央の模様を更に拡げました。ここで白は浅く臨み、軽く消す方針でしたが、黒が中央から上辺にケイマで煽ったのを受けられず中央を飛んだため、黒は上辺に進出して白地を減らすことが出来、また黒が盛り返しました。結局中央の白とその左側の黒がどちらも眼がなく激しい戦いになりました。その戦いの中、白は左辺を2つに割って上下の黒を攻めました。左辺下の黒は比較的簡単に活きましたが、上方の黒が白に包囲されると眼が不確かで、黒は後手で活きに行く手はありましたが、敢えて白との攻め合いの道を選びました。しかし、これはどこかに誤算があったようで、攻め合いは白の方が数手長く、左辺上方の黒が全部取られてしまいました。これで地合は白が大きくリードしました。更に中央は白と黒で活き活きになり、その結果白は右辺の黒模様を大きく消すことが出来ました。黒は最後まで打ち続けましたが、逆転のチャンスは無く、白の11目半勝ちに終りました。

シジュウカラが巣箱を使ってくれました。

玄関の所でやたらとシジュウカラが鳴いています。どうやら14年前に設置した巣箱を使ってくれているみたいです。これで3回目です。前回からかなり間が空いています。最近私が住んでいるところの周りがやたらと宅地開発されて、緑が減っているので、エサを運ぶのは大変だと思いますが、なんとか無事に育って欲しいです。(写真は昔のです。)

初SPレコード体験

STRAIGHT RECORDというWebのショップでSPレコードを二枚買いました。パハマンのショパンと織井茂子の「黒百合の歌」です。本日届きました。カートリッジを購入済のオーディオテクニカのAT-VM95SPに変えます。針圧は何と5gもかけないといけません。それでテクニクスのSL-1200MK7のDIPスイッチを78回転ありの方にして、33回転と45回転のスイッチを同時に押すと78回転になります。またSPレコードのイコライザーカーブはLPとは違うので、本当は専用のイコライザーが必要です。それは注文していて到着待ちなので、今日はアンプのトーンコントロールを使い高音を上げて、低音を下げて聴きました。話には聞いていましたが、スクラッチノイズはすごいですが、曲が始まるとそんなに気にならなくなります。それで新しく発見したのは、パハマンの方は針を音楽信号の刻まれていない外周に落としただけだといつまで経っても曲が始まらないことです。音楽信号が刻まれている溝の最初の所に正確に針を落とす必要があります。これは結構面倒でした。織井茂子の方はそんなことはなくて、LPと同じで外周に落とせば自動的に針が進んで曲が始まりました。音質は悪くないと思いました。高い方の音が途中で切れている感じですが、中音域はクリアーでした。
問題は価格が高すぎることで、この2枚だけで1万円しました。

アルゲリッチのバッハ、オリジナルと復刻盤の差

HMVからアルゲリッチのバッハの復刻のLPが届いたので、1980年盤(初出)と音質を聴き比べました。
今回の復刻版は180gの重量レコードであり、それが利いていて重心が少し低い方に移動し、中低音に関してはむしろこの復刻版の方がいいかもしれません。
しかし、高音に関しては1980年盤の方がいい意味でよく伸びていて音場もいい感じです。おそらく長岡鉄男が言うようにピアノでチェンバロらしさを出すためにイコライジングでハイ上がり気味に処理しているのかもしれません。復刻盤はこれはこれで良い録音であり価値はありますが、この復刻盤を聴いたら長岡鉄男はおそらく「小粋な録音」とは言わなかったと思います。

なお、今回の復刻盤とDSD音源は非常に似ています。もしかすると復刻盤はDSDでリマスターしたものを使っているのかもしれません。1980年盤を録音した人はもう41年経っていますから、既にグラモフォンにはいないでしょうね。なので今回の復刻盤を担当したエンジニアは元のエンジニアの意志を正しく理解していないのではと思います。まあそうであっても私が持っている1980年盤は傷が沢山入り、途中針飛びする箇所もありますので、レコードという形でもう一度入手出来たのは良かったです。

アナログレコード環境追加

今のリスニングルームに、レコード環境構築。TechnicsのSL-1200MK7というDJ御用達のプレーヤーです。ちょっとピュアオーディオとは違いますが、ピュアオーディオ用のプレーヤーはVPIのClassicというヘビーデューティーのを別に持っています。しかし今の部屋では常時レコードプレーヤーを置くスペースは無く、寝るときには片付けないといけません。そうするとVPIはあまりに重すぎ、でかすぎです。そういう訳で比較的コンパクトなこれにしました。
別にこれでDJの練習をする訳ではありません。ただ、DJが使うぐらいなので耐久性は十分にあると思います。また、私はベルトドライブとか糸ドライブって本当は嫌いで、ダイレクトドライブで起動して数秒でOKになる方が好きです。しかし一時期日本メーカーは全部撤退してやむを得ず糸ドライブのを買っていました。しかし最近のビニール復活で、テクニクスを始め何社かダイレクトドライブを出してくれています。その中でもテクニクスの復活は素晴らしいと思います。
またこのプレーヤーのもう一つの目的は、78回転がサポートされているので、オーディオテクニカのSP専用のカートリッジと組み合わせてSPレコードをこれで聞いてみようと思っています。古関裕而のCDになっていないのなんかを入手出来たらいいなと思っています。

イギリスでの無資格者によるワクチンの接種/補足情報

今日のオンライン英会話でAndrewさんというイギリス人の60代後半の先生から、イギリスでのボランティア=素人によるワクチンの接種について色々お聞きしました。ともかく日本と前提条件がまるで違います。

(1)イギリスでは日本の半分の人口で累計死者が10万人を超しており、ワクチンの接種で一刻も早くこれ以上の被害の拡大を防ぐ必要があり、ワクチン接種開始の頃は一刻をも争う非常に危機的な状況だった。
(2)NHSはワクチン接種の計画が始まった去年の12月から、国民の大部分にワクチンの接種をするのはNHSのスタッフだけでは100%無理ということを明示的に発表しており、最初からボランティアを大幅に使うという意向を打ち出していた。
(3)とは言っても、完全な素人だけを主体にしたのではなく、医学部の学生、NHSに入っていない病院の医師・看護婦、マッサージ師、薬剤師等々のともかく医療に関連が深い人間を総動員するようにしていた。
(4)元々イギリスでは特別な訓練を受けた一部の薬剤師がインフルエンザのワクチン接種を行っていた。(その先生はしかし薬剤師に打ってもらったことはないと言ってました。)なので資格を持っていない者をトレーニングして接種を担当させることには抵抗感が比較的少なかった。
(5)非専門家がワクチンの接種をする場合は医者が必ず監修していたため、大きなトラブルは無かった。
(6)イギリスでのワクチン接種はこれまでの所は比較的上手くいっており、それに関しては文句を言う人は少ない。しかし10万人も死者が出たことに対しては政府・NHSの両方に対して批判が多い。また、最近インドや南アフリカその他からの変異型の感染者が増えており、ワクチンの効果に対して不安があるが、まだはっきりしたデータは無い。
(7)ボリス・ジョンソンが、BrexitでNHSを再建するという嘘をごまかすため、NHSのプアーな体制を表面化させないため、ボランティアを使ったのでは、という私の推論に対しては、その先生もそういう面はあるだろうと賛成してくれました。

「巨人の惑星」の”The Clones”

「巨人の惑星」の”The Clones”を観ました。タイトル通り、巨人の科学者が、キャプテン達をクローン人間作成の実験台に使うという話しです。通常クローンを作っても、細胞としては同じものでも、記憶まではコピーできない筈ですが、お話の都合上記憶も含めてまったく同じということになっています。唯一犬のチッパーだけが何故か本物と偽物を見分けることが出来ます。それでクローン達は本物と全く同じ行動をするかというとそうでも無くて、破壊工作をしたり本物を攻撃したりします。この辺り設定がかなりご都合主義的です。最後はクローンのダンが本物のキャプテンを助け、クローン装置を銃で撃って破壊して大爆発、というものです。大体巨人達は地球人よりも科学的に遅れているという設定だった筈ですが、この辺りに来るとネタ切れなのか、何でも有りになってきています。

アルゲリッチのバッハのDSD音源入手

私の愛聴盤である、アルゲリッチのバッハがハイレゾ音源(DSD2.8MHz)でe-onkyoで発売されました。
最初は1980年の夏頃、西ドイツからの輸入盤のLPで買ったもの(当時のLPは日本プレスより欧州のプレスの方が音が良い場合が多く、マニアは石丸電気の本店の外盤売り場などで外盤を買っていました)で、演奏も録音も良いものでした。しかしLPは聴きすぎてノイズが増え、やむを得ずその後出た普通のCDで聴いていました。しかし音質はLPよりも落ちるものでした。
それが3~4年前にエソテリックからSACDとして発売され狂喜して買い、不満はかなり解消されました。
それで今度ハイレゾ音源です。SACDもDSD2.8MHzですので差は無い筈ですが、やはりCDはスタンプ転写で作られるせいか、音の鮮度、音場の見通しの面でハイレゾ音源よりも劣るように思います。今回購入したハイレゾ音源がアナログの記憶の音に一番近く満足です。
ちなみに発売当時の長岡鉄男による録音評(別冊FM Fanの1980年の夏号の巻末の外盤ジャーナル)は以下。
====================================
「元々がハープシコードの曲であり、ハープシコードの音というのは、立ち上がりが極めて鋭く、しかも落ち着いた耳当たりの良い音である。ピアノで弾く場合、ハープシコードの音色を意識するか、無視するかは演奏者、録音技師の自由だろうが、このレコードはハープシコードの音色を生かした優れた演奏と録音になっている。A面のトッカータが特に良い。タッチが極めて明快でクールで切れがいいのだが、決してオンに過ぎず、やかましさ、金属的な鋭さがない。余韻、ピアニッシモが綺麗で、透明感と静寂感がある。小粋な録音だ。」
=====================================

P.S.
ある人からバッハ生誕333年記念でLPも復刻されていることを教えてもらい、HMVに注文しました。

NHK杯戦囲碁 六浦雄太7段 対 依田紀基9段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が六浦雄太7段、白番が依田紀基9段の対戦です。まずは右上隅で初めて見た展開になりましたが、黒は時間をほとんど使わず打ち進めたのに対し、白は4回考慮時間を使わされました。その内容は黒が上辺から掛かった白にコスミツケて一間に高く開いたのに、白がすぐに右辺で3線に打った後、黒が手を抜き、白が大ゲイマで滑ったのに黒が外から付けて反発した所から始まりました。結果として黒は右辺の3子を上手く捨てて、逆に上辺の白2子を制しました。黒は2の2の置きが先手で打てるため、白地は大きくありませんでした。AIの形勢判断も黒のリードとなりました。次に戦いは右辺と右下隅になりました。ここの折衝の結果は右辺の白3子が取り込まれて右辺と右下隅が黒地になり、代償で白は下辺を割って下辺左の黒3子を攻める展開になりました。ここでAIは黒の確定地が大きく、黒3子のサバキも難しくないということで、大きく黒のリードとなりました。しかしその後の白の追及も厳しく、形勢はまだ不明でした。しかし白が途中で中途半端に地を確保することに方針を変えたのが疑問で、上辺から下辺まで黒がつながり、不安な石が無くなりました。白はその後、右上隅で狙いのハネだしを決行し、差を詰めましたが盤面で10目以上の黒のリードは変わらず、最後は下辺からの白の生死に関わる劫を仕掛けられ、謝れば活きはありましたが、逆転の余地は無く、黒の中押し勝ちになりました。

薬剤師(無資格者)にCOVID-19のワクチン接種をさせようとする動きについて

現在、Change.orgで「日本の薬剤師がCOVID-19のワクチン接種が出来るように要請しよう」という署名活動が行われて、ある方がそれをFBでシェアしました。それに対して私は色々疑問点や異論をぶつけました。この署名要請で、医療行為を行う資格の無い薬剤師がワクチン接種の注射を行っていいのかという当然の疑問に対し、「英国はトレーニング受けたボランティアが新型コロナワクチンの接種をしているので、医学的な知識がある薬剤師さんが接種(筋肉内注射)を担当することは問題ありません。」という説明がされています。
まず、イギリスで無資格者がトレーニングを受けて接種をするということが行われているので、日本でもそれをやっても問題ありません、という意味不明の説明についてまったく賛同出来ませんが、イギリスの事例についても以下のような特殊事情が背景にあるということを説明します。
イギリスのこのボランティアによるワクチン接種が進められている最大の理由は、イギリスのNHS(国民健康保険制度)をベースにした医療体制が、近年財政難によって極度に疲弊し縮小しており、NHSだけでは大規模な接種を迅速に進めるのが100%不可能だったということが挙げられます。(NHSのボランティア募集の中に「我々だけでは100%達成不可能です」と書いてあります。)以前、オンライン英会話でイギリス人の複数の先生からこの関連の話を聞いたことがありますが、単純な風邪レベルの病気で開業医に診察を受けようとしても、まずは予約が必要で、通常10日~2週間は待たされるということでした。この原因はイギリス政府が健康保険制度の赤字を抑えるために、保険報酬の引き下げ等を進めた結果、開業医が儲からない仕事になり開業医になる人が減少した結果だと聞きました。
ちなみに、Brexitに何故多数の人が賛成したかというと、Brexit推進派がキャンペーンで「EUを離脱すればEUへの上納金を支払う必要が無くなり、そのお金でNHSを再建出来る」と訴え、多くの人がそれに魅力を感じたのが一つの大きな理由です。しかしこの一種の公約はBrexitの決定後、まったくの嘘であったことが判明しています。その嘘を撒き散らした張本人の一人が、現首相のボリス・ジョンソンです。ということは、もし現行のNHS体制下での本来の有資格者だけでワクチン接種を進め、予定通り進まなかった場合は、ボリス・ジョンソンは過去の公約を反故にしたことについての批判を改めて受ける可能性があり、弥縫策としてボランティア利用を進めたという可能性もあるかと思います。
そういう背景の元で、イギリスでボランティアをトレーニングしてワクチン接種をさせるということが行われているのは、それが合理的とか美談とかの話ではなく、NHSだけではどうやっても不可能なので窮余の一策として考え出された「禁じ手」であるということです。
以上のような背景を理解すれば、イギリスで実例があるから日本でもOKということにはまるでならないのは、誰でも容易に理解出来ることです。この話がほとんど報道されていないのも当り前で、イギリスにとってはこの話をアピールすることは自国の健康保険制度がそこまで崩壊していることを世界に示すことになります。また、欧州のEU所属各国はイギリスよりワクチン接種に関して遅れていますが、今の所どこもイギリスの真似をして無資格者にワクチン接種をさせようとはしていません。
この署名依頼を出した人は善意でやっているのかもしれませんが、英語のことわざには「地獄への道は善意で舗装されている」というのもあります。まずは通常の医師や看護師の有資格者でどこまで出来るのかの十分な検討なしに、こんな短絡的で医療事故を起しかねない提案には安易に賛成すべきでないと思います。