宇宙家族ロビンソンの合計3シーズン、全83話を観終わったので例によってProsとConsを。
Pros
1.1965年という段階で、人類のはるかはなれたアルファケンタウリへの移住というテーマの斬新さ。
2.ロビンソン一家というある意味理想的な一家に、パイロットのドン、そして悪漢のドクター・スミス、更にはロボットという組み合わせの登場人物の多彩さ。
3.ドクター・スミスというとことんどうしようもない悪漢でありながら憎めないキャラクターの魅力。
4.そのドクター・スミスとロボットの毎回繰り返されるやりあい。特にドクター・スミスの多彩な悪口。
5.ロボットのキャラクターの進化。最後は非常に人間的な感情を持つに至った。
Cons
1.初期のハードSFが途中からほとんど喜劇的な話ばかりになった。
2.この作品に限ったことではないが、脚本ライター陣の安直なストーリー作り。
3.ほとんど人間と変らないエイリアンの多用。
4.ほとんどの回でのプアー極まりない特撮。
5.これもこの作品に限ったことではないが、エイリアンや怪物のひどすぎる使い回し。
後、今回通して観て気がついたのは、子供の時あれだけ何度も観ていながら、ドクター・スミスとロボットのやり取りは良く記憶にあるものの、ストーリーとしては「ああ子供の時観た」というのがほぼ1話もなかったこと。これはつまりストーリーはどうでも良くて、ドクター・スミスとロボットの掛け合いの方がはるかに印象的だったということだと思います。
キャラクターで、ドクター・スミスは前にも書きましたけど、両刃の剣でした。ドクター・スミス無しにはこの作品の成功はなかったでしょうが、ドクター・スミスが当初のハードSF路線を台無しにしたという点も否定出来ません。しかし、ジョナサン・ハリスの演技と台詞回しの見事さは誰も否定出来ません。おそらくシェークスピア劇のような古典劇の素養もあるのだと思います。また、ドクター・スミスの台詞から色々な新しい英語表現を学ぶことが出来ました。
ロボットは、最初は本当にロボットでただ命令された通りにするだけの存在でしたが、ライバルロボットが登場してそれに嫉妬するあたりからキャラが立って来て、最後は愛と友情の権化ともいうべき存在に進化しました。回路がトランジスターで記憶装置がテープというのがいかにも60年代的ですが。
ロビンソン博士は、快傑ゾロで人気を取った人だけあって、中心になって活躍する時は格好いいですが、そもそもドクター・スミスにくわれて活躍する場があまり無かったように思います。
奥さんのモーリーンは、いかにも60年代の女性の扱いという感じできわめて聡明で優しい女性ながら、同時に男性に保護されないと生きていけない、という風に描かれたのは残念でした。ただ、ジューン・ロックハートは本当にお母さん役が似合う人でその点は良かったです。
兄弟姉妹では、長姉のジュディですが、美人ながら一番活躍するシーンが少なかったと思います。ドンとの恋仲も、シーズン中で発展することは無く、たとえばドンと結婚して子供が産まれるとかあれば良かったのでしょうが、残念ながらこのお話の後半はほとんど子供向けで、そういう展開にはなりませんでした。
妹のペニーについては、アンジェラ・カートライトは非常に可愛らしかったですが、第3シーズンではちょっと大人になりすぎてジュディとかぶったように思います。また何かと言うとピュアな性格でそれがエイリアン他に愛されてというワンパターンな展開が多かったと思います。
ウィルについては、ロビンソン一家の中で一番活躍したのは間違いなく彼でしょう。ドクター・スミスによって引き起こされたトラブルを何度もウィルが知恵や勇気を出して一家を救います。ウィルの年齢の子供こそ途中からまさにこのドラマの視聴者の優先年齢層になったのだと思います。
最後にドンですが、ロビンソン博士の重要なパートナーというのと同時に、常にドクター・スミスに対する糾弾者という感じで、何か独自の性格付けが弱かったように思います。こちらもジュディとの仲がもっと進展していれば良かったのに思います。
まあ、色々ありますが、子供の時に好きだったドラマを、日本で放映されなかった第3シーズンを含め、全部オリジナル版で観られたのは本当に良かったと思います。これで1960年代のアーウィン・アレンの作品の内、タイムトンネル、原子力潜水艦シービュー号、宇宙家族ロビンソンを観終わりました。
投稿者「kanrisha」のアーカイブ
轟由紀子の「お使いは自転車に乗って」/杉浦幸雄の「銃後のハナ子さん」
古関裕而の曲集めから、戦前の流行歌にちょってはまっていて、その中で発見したのが轟由紀子の「お使いは自転車に乗って」で、昭和18年2月の戦争の真っ最中とはとても思えない明るい曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=cPTwt3qKXYE
この曲は「ハナ子さん」というミュージカル(!)映画(当時は敵性語禁止で、「歌合戦映画」とされています)の主題歌です。元は杉浦幸雄の「銃後のハナ子さん」という漫画を映画化したものみたいです。それでそれが載っている「主婦の友」昭和13年11月号を取り寄せてみました。元々この漫画の主人公の「ハナ子さん」のモデルが轟由紀子なんだそうで、それを映画化したものにその本人が出演しているということになっています。漫画としては四コマではありませんが、戦後の「サザエさん」をちょっと彷彿させるほのぼの系です。但し主人公は独身です。(恋人はいます。)映画の方はその恋人が出征するのをオカメのお面で泣き顔を隠して明るく見送るといったもののようです。ちなみに上記の「お使いは自転車に乗って」の作詞は、上山雅輔であの金子みすゞの実弟です。
ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」の日本語訳の第42回目を公開
ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」(最終的な翻訳名はこれにしようと思っています)の日本語訳の第42回目を公開しました。
第5章が終わり、ついに結論の章に入りました。結論部はラテン語やイタリア語の出て来る割合が少ないので助かります。この箇所でもまた利子禁止(高利禁止)の話が出てきます。
この42回を含め、後5回で最後まで行く予定です。9月20日頃で一通り翻訳を完了し、その後校正に入り、年内には最終版を公開出来ればと思っています。最初の予想よりもかなり早く完成しそうで、ヴェーバーの没後100年の記念の年に間に合いそうで何よりです。
宇宙家族ロビンソンの”Junkyard of Space”
宇宙家族ロビンソンの”Junkyard of Space”を観ました。これが宇宙家族ロビンソンの全83話の打ち止めです。しかし、結局、何ら最終回的な話は無く、ロビンソン一家のこれからがどうなるのかはまったく分らずに突然終了します。ロビンソン一家は、宇宙のジャンク屋の星にトラップされ、何かの宇宙カビみたいなものですべての食料がダメになり、一家は飢えかけます。ドクター・スミスはチャップリンみたいに自分のブーツを食べようとしますが、そこにジャンクの星を管理しているロボットのジャンクマンが取引を持ちかけ、ロボットのスタビライザーを渡せば食料を渡すと言い、ドクター・スミスはすぐにそれに乗ります。ジャンクマンの要求はエスカレートし、トランジスターやロボットのメモリーまで結局ジャンクマンに取られてしまいます。悲観したロボットは自らジャンク星の溶鉱炉の中に自分を投じてしまいます。ジャンクマンはドクター・スミスを使ってジュピター2号を乗っ取って一家を後に残して発進します。しかしウィルがポッドに乗って、ジャンクマンの中のロボットのメモリーに呼びかけたためウィルはジュピター2号に乗り込み、ジャンクマンの説得に成功します。ジャンク星に戻った一行はロボットを探しますが、ご都合主義でロボットは溶かされずに無事でした。パーツを全部ロボットに戻して、一応ハッピーエンドでした。
なお、特典映像に1995年のウィル役のビル・マミーのインタビューがありますが、実は彼が本当の最終回の脚本のアイデアを作ったのですが、その後映画で当ててもうTV番組には戻りたくなかったアーウィンがそれを採用せず、結局お蔵入りとなったみたいです。
白井喬二の未読本(龍ケ崎市歴史民俗資料館蔵)
宇宙家族ロビンソンの”The Great Vegetable Rebellion”
宇宙家族ロビンソンの”The Great Vegetable Rebellion”を観ました。この回の特撮のプアーさは有名で、ほとんど昔の「8時だヨ!全員集合」の着ぐるみのレベルと同じです。植物が意思や感情を持っている星という設定は悪く無いので、もうちょっと特撮をちゃんとしたらそれなりの話になったかと思うのですが。後は終わり方が非常に唐突で、良く練られたストーリーとはとても言えないです。ドクター・スミスが何故かセロリになってしまうのが笑えますが。ともかく敵の主役が「人参人間」で何か怖くも何ともないですし、どうやってこの星全体をコントロールしているのかの十分な説明も無いです。またウィロビーという敵の部下が出てきますが、これがヒューマノイドで、植物との関係がどうなっているのかも良く分りません。ともかく後1話を残すだけになりました。
NHK杯戦囲碁 上野愛咲美女流本因坊 対 志田達哉8段
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が上野愛咲美女流本因坊、白番が志田達哉8段の対戦です。この二人は初手合のようです。対局は黒が上辺を深々とえぐった一団を巡って、二人の棋風とは逆に志田8段が攻め、上野女流本因坊が凌ぐという展開になりました。しかし黒は上手い手筋で中央に脱出し、また右上隅でも若干得をしたのでここで黒が若干優勢になりました。しかし白も簡単には土俵を割らずじわじわ挽回を図ります。その後大きな戦いはなく大ヨセに入りましたが、黒が右辺の白に対して4線のハネを打ったのが好手で、右辺の白地が減り、また右上隅の黒から1線のハネを先手で打てたのが大きくここではっきり黒が優勢になりました。その後、黒はヨセで定評のある志田8段の追い込みをかわし、最後は右上隅の劫に勝ち、後は紛れる所もなく白の投了となりました。上野女流本因坊はこれでNHK杯準優勝の経験もある志田8段を下して3回戦進出です。どこまで勝ち進むか楽しみです。
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の第41回目を公開
ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の第41回目を公開しました。第5章も後1段落を残すのみで、全体でも残が21ページになりました。9月末までの完了(校正前版)を予定しています。面倒な中世イタリア語の翻訳も、最終章(結論部)では1箇所8行ほどが残っているだけであり、山は越えたと思います。
NHK杯戦囲碁 孫喆7段 対 結城聡9段
本日(金曜深夜)のNHK杯戦囲碁は、残念ながらレコーダーの設定が上手くいっていなくて見損ねました。
YouTubeの動画で概略だけ観ました。左上隅で大きな振り替わりがあり、白が左上隅の黒を取り込んで大きな地にし、その替わり黒は中央を厚くして、下辺から中央に飛んでいる白を攻めて得をしようとしました。それに対して白が下辺から中央の白をくつろげつつ、そして黒が構えた右辺に対し、右上隅の黒への攻めを見ながら荒らして行きます。そこが一段落した後、今度は右下隅に手を付け、黒は全て取ってしまう勢いで打ちました。しかし白のシノギが巧妙で下辺とからめながら、うまく打ち回し、中央上方で数子を取られた以外は、右辺を大きく荒らして下辺も活き、白が優勢でした。しかしヨセで黒が頑張り、まずは右辺の白をいじめて目二つで活かす形にしたのは大きなヨセでした。更には左下隅のヨセで白が頑張ったのがどうだったのか、黒が白3子を取ってかなり形勢は互角に近くなりました。その後また右上隅のヨセで白は頑張りきれずここでも黒が得をし、終わってみれば黒の半目勝ちという逆転劇でした。
ちあきなおみのCD「戦後の光と影 ちあきなおみ、瓦礫の中から」
ちあきなおみのCD「戦後の光と影 ちあきなおみ、瓦礫の中から」を聴きました。まずは何といっても古関メロディーが2曲入っているのが嬉しいです。「雨のオランダ坂」と「フランチェスカの鐘」です。オリジナルよりちあきなおみの方がはるかにいいとは言いませんが、どちらもちゃんと自分の曲にしています。「カスバの女」は不思議な曲で、「ここは地の果てアルジェリア」という歌詞が出てきますが、アルジェリアの人からすれば地の果ては日本の方かと。これを作詞した人はアルジェリアに行ったことがなく単に映画の「望郷」のイメージだけで作詞したみたいです。また「星の流れに」は、「こーんなー女にー誰がしたー」で有名な曲ですが、元々は戦後新聞に、元従軍看護婦で戦後日本に戻ったら実家は焼けていて家族は行方不明で、やむを得ず夜の女をやっている女性の手記が載り、それを読んだ作詞家の清水みのるが義憤に駆られて作った曲です。最初は淡谷のり子が歌う筈でしたが、淡谷が「パンパンの歌は歌えない」と断って、菊地章子が歌ったものです。(最初この話を読んだ時、淡谷のり子って何て嫌な女、と思いましたが、淡谷は音楽学校時代貧乏で、画家のヌードモデルをやっていた経験があり、そういう過去でこの歌を歌うと勘違いされかねない、とか思ったのではないかと思います。)ちあきなおみは、本当に情感を込めて熱唱しています。ともかく安直に「リンゴの唄」とか「青い山脈」などを入れない選曲が渋いです。