趙治勲名誉名人・二十五世本因坊の「お悩み天国 治勲の爆笑人生相談室」

趙治勲名誉名人・二十五世本因坊の「お悩み天国 治勲の爆笑人生相談室」を読了。第2巻を試しに読んだらとても面白かったので、1巻と3巻もポチりました。この1巻も面白いです。「小林光一とは本当に仲が悪かったのですか」という質問に対して、色々書いた後で、「最後になりましたが、光一さん、名誉棋聖、名誉名人、名誉碁聖おめでとう。名誉本因坊もあれば最高だったね。なんで名誉本因坊がないんだろうねえ……」なんて書いています。小林光一名誉名人は、本因坊に4回挑戦しましたが、その相手が全部趙治勲さんで、その全てに負けたんです…
また、囲碁入門として紹介している張栩9段の「黒猫のヨンロ」、私もiPodで購入して(380円)、やってみましたが、なかなかいいですよ。囲碁を始めたい方にお勧め。

国枝史郎の「八ヶ嶽の魔神」

国枝史郎の「八ヶ嶽の魔神」を再読。前に読んだのは6年ぐらい前ですが、内容はほとんど忘れてしまっていました。国枝の三大傑作は「神州纐纈城」、「蔦葛木曽桟」とこの「八ヶ嶽の魔神」と言われています。その三作の中で、この作品だけが唯一完結しています。但し、完結しているといっても、一人の姫を巡って争った兄弟の兄の方の末裔が山窩族となり、弟と姫の間に出来た久田姫の末裔が水狐族となって双方が代々争っています。山窩族の血を引く主人公の鏡葉之助が、水狐族の長を倒した時に呪いを受け、永遠に不安を感じながら生き続けることになり、物語が書かれた大正時代の今も生きている、というのが果たして普通に言う結末と言えるかどうか。この作品も平凡社の現代大衆文学全集に収められています。というか国枝史郎だけで、三巻も割り当てられおり、国枝史郎が当時いかに人気が高かったかが窺えます。物語の印象としては、最後の方で葉之助と、淫祠邪教化した水狐族の、血で血を争う腥い戦い(葉之助の味方となった熊や狼や豹の猛獣が人間を食い殺すシーンもたくさんあります)の描写が実に国枝らしいです。

NHK杯戦囲碁 黄翊祖8段 対 河野臨9段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番は黄翊祖8段、白番は河野臨9段です。黄8段は3大タイトルのリーグにすべて入っています。河野9段は最近好調で棋聖戦の挑戦者になり、井山棋聖から1勝を挙げています。対局は、河野9段が4手目を三々に打ったことから、白の実利、黒の模様という展開になりました。白は右辺の黒模様を消しに行きました。黒はこの白を攻めましたが、下辺に白を追って、白が黒の覗きに対し普通に継がずに黒に突き当たって受け、黒がはねたのに対し、切りを入れました。黒はこの切られた石を左に這って頑張って受けたのですが、これがどうだったか、白がこの這った黒を追って左下隅に向かって延び、この結果白を攻めていた黒2子が取られてしまいました。しかも右下隅がそのまま黒地になった訳ではなく、白はすぐに手をつけて、結果として簡単に活きてしまいました。ここで形勢ははっきり白に傾きました。黒は2子取られた結果、左辺の黒が切り離されて薄かったのですが、それでも左上隅の三々に入って、両方を頑張りました。結果的に両方黒は活きたのですが、白はいじめて十分と見ていました。ヨセは白が少し損をしましたが、黒はコミを出すことが出来ず、黒の投了となりました。

趙治勲名誉名人・二十五世本因坊の「お悩み天国② 治勲の爆笑人生相談室」

趙治勲名誉名人・二十五世本因坊の「お悩み天国② 治勲の爆笑人生相談室」を読了。週刊碁に連載されていたもの。(囲碁を知らない人はびっくりされるかもしれませんが、囲碁の週刊新聞があるんです。私も学生時代は毎週買っていました。碁の雑誌がほとんど無くなる一方で、週刊碁は今も出ています。)趙治勲さんのTVの碁での解説とか、各タイトル戦での挨拶とかとても面白いので有名ですが、文章の方でも爆笑ものです。あまり期待しないで買ってみましたが、とても面白いです。囲碁をまったく知らなくても問題なく楽しめます。囲碁を知っている人にはもっと面白く、小林光一とか張栩の悪口とか、山城宏日本棋院副理事が登場したりします。趙治勲さんは、現時点で棋士の中でもっとも多数のタイトルを獲得した人で、もう還暦を迎えられていますが、現在でも第一線の棋士として活躍中です。

市川崑監督の「雪之丞変化」

市川崑監督の1963年の作品、「雪之丞変化」を視聴。雪之丞と闇太郎の二役をやっているのが長谷川一夫で、長谷川一夫の映画三百本記念で、市川崑監督の初の時代劇です。とにかく役者が素晴らしく、浪路が若尾文子、軽業のお初が山本富士子、雪之丞の師匠の菊之丞が市川中車、島抜け法印が勝新太郎、門倉兵馬が船越英二、そして敵の土部三斎(原作では「つちべ」ですが、映画では「どべ」と呼ばれています)が中村鴈治郎とオールスターキャストです。それはいいのですが、この時長谷川一夫はもう55歳で若女形の役としてはさすがに老けすぎです。長谷川一夫が最初に雪之丞を演じたのは、昭和10年で、この時のものが観たくなります。女優陣は、若尾文子が可憐で実に美しく、また山本富士子のおきゃんな感じのお初もいいです。ただ、原作にあった雪之丞と闇太郎の友情が十分に描けていません。また復讐の過程も原作で5人の敵を映画では3人に減らしてしまって、ちょっとあっさりしすぎです。またストーリーの展開も、雪之丞の独白に頼っている部分が多く、もっと映像で見せて欲しかったです。