マックス・ヴェーバーの「ローマ土地制度史」の日本語訳の第10回目を公開しました。ヴェーバーが特に注釈で細かい所をほじくるので、訳すのは大変ですが、個人的にはローマ史のお勉強にはとてもなります。今回の所も、ローマへの穀物供給はどのように行われていたのかの一端が分る内容でした。
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B&W 706 S2 の再評価-無帰還アンプとの組合わせ
ちょっと思いついて、使っていなかったB&W 706 S2というスピーカーを物置きから取り出して、2A3無帰還シングルアンプに組合わせてみました。理由はこのスピーカーは音場がスピーカーの後方に広がる傾向があり、特にボーカルがそうでした。それに対し2A3無帰還シングルアンプは逆にボーカルが前に出るんで、組み合わせると丁度いいのではないかと考えました。結果は非常に良く、スピーカーの左右のユニットをつなぐ線よりわずか前くらいにボーカルが定位し、実在感があってなかなかでした。
ただこのスピーカーの欠点としては、音は美しいんですが、スピーカーが自己主張しすぎで、どんなソースを聴いても、このスピーカー独特の美音に変換してしまって、最初はいいですが、次第に飽きが来ます。(それが常用していない理由です。)この点は2A3無帰還シングルアンプとの組み合わせでも、多少マシにはなりましたが解消はされていないようです。
なお、このスピーカーのレビューで箱鳴りがする、と書いている人がいますが、それは単なるバスレフのダクトの共振(ヘルムホルツ共鳴)だと思います。私の試した限りでは、ダクトを完全に解放するより、付属のスポンジの外側だけをダクトに詰めるのがいいようです。全部詰めて密閉型にすると、若干ですが詰まった感じが出てきます。
整流管の品質について
真空管アンプと整流管について。真空管アンプを作る時、オール真空管にこだわる人は、整流に半導体ダイオードではなく整流管(2極管)を使います。その方が音がいいという主張ですが、故上杉佳郎さんも、ぺるけさんもそうい説には疑問を呈しています。個人的に、自分で作るアンプに整流管は使いません。
一番最初に組立てた300Bのシングルアンプが5AR4という整流管を使っていました。これの300BをJJ製に替えた時に、他の真空管もJJ製にしようと思って、整流管もJJ製にしたのですが、替えてすぐヒューズが飛びまくるという不具合が発生し、ヒューズの容量を増やしたりして色々調査しましたが、最後は整流管がビカビカとグロー放電して、明らかに整流管の不具合でした。その後、5AR4のソケットに入る半導体整流モジュールを試したりしましたが、結局ヤフオクで買った松下製の整流管(おそらく1960年代の製造)に替えたら、ピタリと不具合は治まりました。
それで何故現在作られている新品の整流管で不具合が出るのか調べて見ましたが、一説によるとRoHSというEUの環境規制である材料が使えなくなった結果、整流管の電気的耐久性が低下しているという話があります。これの真偽は確かめていませんが、ありえる話だと思います。何故なら私が勤めている会社で作っているスイッチにも同じような話があって、多くの会社で高定格のスイッチには接点部の銀にカドミウムを混ぜています。これがRoHSでやはり禁止なのですが、結局カドミウムを使わないと信頼性が確保出来ないということで、ずっと期限付き免除になっていて、期限が来る度に延長が繰り返されています。整流管にも同じような話があってもおかしくはないです。
今回、ヤフオクで落札した2A3の無帰還アンプが整流管でした。しかも最初に付いていたのは、トラブルを経験しているJJ製の整流管でした。すぐに手持ちの松下製(300Bのアンプに使っていたもの)に替えました。これでちょっと安心で、音質も気のせいかもしれませんが、柔らかくなりました。それで整流管というのは消耗品であり、1年ぐらいで寿命が来てもまったくおかしくないので、予備として東芝製と松下製をもう一本ヤフオクで落札しました。写真の右から2番目はSOVTEK製で、300Bのアンプに最初に付いていたものです。一番右はNational Electronicsというブランドのもの(これも新品ではなく中古品)で、松下製をヤフオクで落札した時におまけでもらったものです。作りは外から見る限りはしっかりしていますが、まだ使っていません。
ということで、結論としては、私は現在製造されている整流管の品質をあまり信用していません。この情報が本当かどうか分りませんが、トライオードの300Bアンプは最初整流管で出しましたが、整流管によるトラブルが続出したため、今は半導体整流に変わったということです。
NHK杯戦囲碁 孫喆7段 対 蘇耀国9段(2022年7月3日放送)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が孫喆7段、白番が蘇耀国9段の対戦です。この碁は布石が少なく、下辺から戦いが始まり、それが最後まで続いた激戦でした。その激戦の始まりは、下辺で、右側に白、左側に黒が展開し、どっちが主導権を取って攻めに回るかが焦点でした。この局面で黒が白2子を利かしではなく、いきなり切ったのが乱戦の始まりでした。しかしそれは短兵急過ぎで、ここから白が巧みに打ち回し白がリードしました。白が中央のダンゴ石を逃げて上辺につながろうとした時に、黒が急所を覗いて行ったのが、勝負手気味でした。しかし白はただつながるだけの手を打たず、逆に覗いた黒を攻めに行きました。ここでの黒の泣き所は右辺で一手かけねばならなかったのを、そこに回ることが出来ていなかったことで、白に上手く右上隅から右辺上方の黒を取る手と、右辺下方の白の策動を見合いにする手を打たれ、結局右上隅から右辺上方の黒が全部取られてしまいました。後は上辺左方から左上隅、左辺にかけての白の一団が活きるか死ぬかの勝負となりました。ここは劫になりました。その劫は一旦黒が謝った後、隅で2段劫になりました。結局劫は黒が勝ってここの白を取りましたが、劫争いの中で白は上辺と左辺の両方で黒地を値切ったので、形勢の逆転にはならず、白の7目半勝ちとなりました。
ジョー90の”Most Special Astronaut”
ジョー90の”Most Special Astronaut”を観ました。ある宇宙ステーションへ物資を補給に行くためのロケットが打ち上げに失敗して途中でコースを逸れて地上に向かい、爆破されます。パイロットは奇跡的に助かりましたが、意識不明の重体です。再度物資を届けるロケットが必要ですが、それを動かせるベテランの宇宙飛行士がいませんでした。そこでWINは瀕死の宇宙飛行士の脳波パターンをビッグラットに記録し、それをジョーに移します。ジョーは新たに用意したロケットに乗り込み、宇宙ステーションに向かいます。打ち上げは成功し無事に宇宙ステーションに接近出来ましたが、中の2人は酸素不足で倒れてしまっており、ドッキングに必要な内部からの誘導が出来ません。地球側では諦めて戻るように言いますが、ジョーはなんとか宇宙船を操って必要物資の入ったコンテナを宇宙ステーションにドッキングさせることに成功します。しかしドッキングの際に、大気圏再突入に必要なコースを決める誘導装置を壊してしまいます。最後の手段はジョー90自身がマニュアル操作で再突入の操作をするしかありません。最初は間違った角度で突入しようとしますが、再突入寸前で角度を修正し、無事に地表に戻ります。
このドラマが英国で放送されたのは1968年の10月で翌年の7月にはアポロ11号の月面着陸ですから、ロケットの打ち上げシーンとかはかなりリアルでした。また当時の少年にとっては宇宙飛行士というのは夢の職業で、そういう期待に応えるような内容でした。
トワイライト・ゾーンの”Elegy”
トワイライト・ゾーンの”Elegy”を観ました。西暦2185年、3人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船が隕石の衝突によって場所を見失って宇宙を彷徨い、燃料が無くなったためある小惑星に着陸します。その星の大気は酸素20%で地球と同じで、重力も地球とまったく同じでした。それどころかその風景はまったく地球と一緒で、しかも19世紀の終わり頃のアメリカそのままでした。そこには人もいましたが、奇妙なことに全員固まってしまっていてまったく身動きしませんでした。彼らは3人で手分けしてあたりを探索しますが、どこに行っても凍り付いた人がいただけでした。彼らはこれは時間がゆっくり進んでいるのではとも思いましたが、時計を見たらそこには針がありませんでした。その内ようやく一人の動く老人が登場し、ウィックワイアと名乗ります。3人は奇妙な老人にここはどこかと問い質すと、墓場の中だと答えます。その説明によると金持ちだけの専用の墓場で、そこでは生前の夢が叶えられその幸福な瞬間のまま永遠に過ごすことが出来るというものでした。本物の死体は一つだけで後はセットでした。3人は何故そんなものが地球から6億マイルも離れた小惑星にあるのか問い質しましたが、老人は地球上には永遠に平和な場所は無い、と答えます。実際に1985年に核戦争が起きてその後約200年間は科学が停滞しています。(墓場が作られたのが1973年。)老人は3人に彼らのもっとも行きたい場所はと聞き、3人とも地球に戻る途上の宇宙船の中と答えます。それから老人は3人にワインを勧め「永遠の幸福に」と乾杯します。そのワインには「永遠化薬」が入っており、3人は倒れます。老人は3人をロケットの中に設置し、まさしく3人は地球に戻ろうとする宇宙船の中で永遠にそのままで過ごすことになります。老人はそこの管理用に作られたロボットで、今回の役目を終えた後、また眠りに就き、次に誰かがやって来るのを待ちます。
という内容でなかなかアイロニカルで楽しめる内容でした。なお、宇宙船の中は「禁断の惑星」で使われたものの流用のようです。
2A3無帰還シングルアンプの真空管変更
2A3無帰還シングルアンプの真空管を全部別のに替えました。
2A3: エレハモgold→PSVANE Tii
6SL7:JJ製→SOVTEK製
整流管:JJ製5U4GB→松下製5AR4
もちろん替えた後の方がいいかどうかは慎重に判断しないといけませんが、共通の特長としては「音離れの良さ」があり、直接音が間接音の中から若干前に出てくる感じで音像が明確です。
整流管をJJ製から松下製5AR4に替えたことで、全体に音の硬さが減った感じです。(JJの真空管は硬くて厚いガラスのせいじゃないかと思いますが、EL34を評価した時も硬かったです。)
2A3は、PSVANEのTiiに替えた後は、音がピラミッド型によりなった感じがします。ただ低音の制動はちょっと緩んだ感じがします。
このアンプのダンピングファクター(DF)は無帰還アンプということで、わずかに1.5なんですが、それによる音質低下はまったく感じません。DFって一体なんだったのか疑いたくなります。
2A3のシングル無帰還アンプ
自作PCL86全段差動プッシュプルアンプは大成功で、この所50日間くらい毎日6~8時間ほど聴いて来ましたが、さすがにちょっと飽きて来て、ヤフオクで物色し、2A3(直熱3極管)の無帰還シングルアンプを12万1千円で落札しました。このアンプは秋一郎さんという方がMJ(無線と実験)という雑誌に6ヵ月間連載して発表したもので、それをご本人がヤフオクに出品していたものです。
アンプの詳細はご本人のサイトをご覧下さい。
なお、MJ誌がこのアンプの部品一式を16万5千円で売っていますので、組立て済みで12万1千円はかなりお買い得でした。
今聴いていますが、さすが無帰還アンプだけあって音離れが非常に良く、元気な音です。ちょっと強音の時に歪っぽさはありますが。それでこれってJJの真空管のせいじゃないかと思って、整流管を以前300Bアンプで使っていた松下製5AR4に変えたら、これが当たりでかなり柔らかくなり歪み感も減りました。明日更に2A3をPSVANEのT2に、また6SL7をSVETLANAに変えて試してみます。
ジョー90の”Double Agent”
ジョー90の”Double Agent”を観ました。WINのエージェントが3人連続して殺され、アタッシェケース(暗号コード入り)を盗まれるという事件が発生します。アタッシェケースは正規の鍵で開けないと爆発するようになっているので、WINの秘密は漏れませんでしたが、WINのシェーン・ウェストンはWINの中にダブルエージェントがいることを疑います。WINには18年も勤務したハリー・スローンがいましたが、状況的に彼がスパイの疑いがあります。WINが中東の支部に重要な使命を入れたコードを伝えるのに、ハリー・スローン自身が行くことを志願しますが、しかしシェーンはハリーの脳波を記録してそれをジョー90に移し、ジョーを使者として行かせます。しかしハリーの脳波を移されたジョー90は奇妙な行動を開始し、中東ではなくパリに行き、そこからまたコペンハーゲンに向かいます。そこで敵のエージェントと落ち合い、スーツケースをエアカーでやって来たハリー・スローンに海上で渡すことになります。それが判明して、WINはジョー90殺害の命令を出します。スーツケースをハリーに渡した後、敵のエージェントとジョーでどちらが先にエアカーに乗り込むかの争いになり、ジョーは眼鏡を落としてしまいます。しかしそれでハリーの脳波の支配が解け、ジョーは敵のエージェントと撃ち合いになります。(眼鏡が無いジョー90は単なる9歳の子供で、射撃の腕は無いと思いますが…)結局サムやマクリーン教授が駆けつけジョーは無事救助されますが、暗号コード入りのアタッシェケースは奪われたままです。しかしシェーンはリモートの爆破装置を作動させアタッシェケースを爆発させます。(であるなら別にジョー90射殺命令は不要だったはずですが。)
ということでかなり本格的なスパイものですが、そういう危険な任務に子供を使うという一種の児童虐待ドラマになってしまっています。
トワイライト・ゾーンの”The Purple Testament”
トワイライト・ゾーンの”The Purple Testament”を観ました。舞台は1945年のフィリピン(おそらくルソン島?)で、米軍と日本軍が激しい戦いを繰り広げていました。(ご承知の通り、1944年10月のレイテ沖海戦で連合艦隊はほぼ潰滅状態になりましたが、陸軍はその後も終戦まで米軍と戦い続けています。)中尉のウィリアム・フィッツジェラルド(フィッツ)は、ある時から急に、ある兵士の顔が一瞬何かの光に包まれるのを見るようになりますが、その顔が光った兵士はことごとく死んでしまいます。フィッツは戦時病床に自分の部隊の負傷した部下を見舞いますが、その部下の顔も光り、その一分後には死んでしまいました。そしてフィッツに対し単なる偶然だと説得していた上官の顔も光り、翌日の戦いで死んでしまいます。軍医よりフィッツに対し一度本部に戻って休養を取るように命令が下ります。出発の時、自分の顔を鏡で見たフィッツは自分の顔が光るのを見ます。そして乗り込んだトラックの運転手の顔も光って見えました。出発した2人ですが、残った部隊はその10分後ぐらいに大きな爆音を聞きます…
という話です。「人が死ぬのが分かる」という話は、百田尚樹の「フォルトゥナの瞳」もそうでしたが、案外ヒントはこのドラマかも。大平洋戦争中のフィリピンでの戦いというと、例の「出て来いミニッツ、マッカーサー」の歌(古関裕而作曲)を思い出しますが、実際はかなりの長期に渡って戦いが繰り広げられたんだということを今日調べて初めて知りました。