「生きるーLIVING」を観ました。ご承知でしょうが、黒澤明の不朽の名作を、カズオ・イシグロがイギリスを舞台に翻案したものです。十二分に感動的で良く作られていますが、それでもオリジナルに及ばない映画と思いました。残念だった点は、
(1)主人公がブランコに乗って口ずさむのがオリジナルは「ゴンドラの歌」でその歌詞が「命短し恋せよ乙女」で見事に映画の内容と共鳴していましたが、この映画では「ナナカマドの木」というスコットランド民謡で、単なる子供時代に親しんだ懐かしい歌、になってしまっていました。(ググったら、これはカズオ・イシグロがオリジナルはあまりに直接的過ぎるとしてこの歌に変え、歌によって亡き妻(スコットランド出身)と亡き妻が生きていたころもっと精力的に働いていた自分を懐かしむ、ということでこの歌にこだわったようです。しかし亡き妻なんて写真一枚しか出てきませんし、またオリバー・ハーマナス監督もこの歌は別のに変えたかったようで、カズオ・イシグロのこだわりは独りよがりなものになっていると思います。)
(2)オリジナルでは元部下の女性でオモチャ工場で働いていた人に「あなたも何か作ってみたら」と言われ、公園建設を思いつきますが、この映画はそういう理由付けがなく唐突に主人公が公園作りを開始します。
(3)主人公に歓楽の世界を教える文士が、オリジナルでは伊藤雄之助によって演じられ、名演でしたが、この映画の同じ役の俳優はあまり存在感がないです。
オリジナルには無い、新人の部下を付け加えたのは、悪いアイデアでは無いと思いますが、逆にそれほど効果的とも思いませんでした。
一つ心に刺さったのは、「何か(前向きなこと)をやろうとすると憎まれ役になる」というセリフで、実際に最近もそういう経験をしたので、ちょっと身につまされました。
オリジナルを観ないでこれを観た方には、是非オリジナルを観ていただきたいです。リメイクがオリジナルを超えることはまず無いということです。
トワイライト・ゾーンの”The Jungle”を観ました。アフリカのある国にダムを作るプロジェクトが進行していました。水力掘削機のエンジニアであるリチャードの妻のドリスは、アフリカの魔法使いによる呪いを恐れ、現地のシャーマンからもらった怪しげな魔除けを所持していましたが、リチャードは迷信だと言ってそれを火にくべてしまいます。リチャードが家を出る時にドリスは、二度と帰ってこれない、と言います。馬鹿な、とリチャードがドアを開けるとそこには山羊の死体がありました。リチャードはそれによって会社の経営層に、現地民による呪いの危険性を訴えますが誰も相手にしません。リチャードは家に帰ろうとしますが、そこで車が故障したり、タクシーに乗ったら運転手が急死したりします。家に電話しようとしたら、怪しげな動物の鳴き声が聞こえます。何とか家にたどり着いたリチャードですが、そこでライオンの鳴き声を聞きます。寝室のドアを開けるとそこには本物のライオンが居てリチャードに襲いかかり…という話です。

アウター・リミッツの”I, Robot”を観ました。アシモフの同名の小説と2004年の映画とは別で、エアンド・ビンダーの1939年と1942年のアダム・リンクシリーズに基づいています。アダム・リンクは登場するロボットの名前です。ドクター・リンクはヒューマノイド形ロボットの開発に成功します。しかしある日不幸な事故が起き、棚が壊れて発電機が落下してきてドクター・リンクは頭を強く打って死にます。ロボット、アダム・リンクは声を聞きつけ博士を助けようとしていましたが、そこに運送業者がやってきて、アダム・スミスが手に持っていた棚の金具を見て、ロボットが博士を殺したと思い、警察を呼びます。アダム・リンクは逃げている途中で水際で遊んでいた小さな女の子に出会い、女の子は驚いて水の中に落ちます。アダム・リンクは女の子を水の中から引っ張り上げますが、力が加減できず、その腕を骨折させてしまいます。結局、博士の姪のニーナが、引退していた弁護士カトラーを呼び、その意見もあってロボットは裁判にかけられることになります。カトラーは手を尽くして弁護しますが、検察側は、博士の家にあったフランケンシュタインの本に言及して、ロボットがこれを読んだ筈だと言います。また助けられた女の子は恐怖のあまり、ロボットに襲われ傷付けられたという証言をします。さらに別の博士が呼ばれ、ロボットの回路を少しいじると、ロボットは法廷内の椅子や机を破壊し始めます。これらの諸々の不利な証拠で、結局ロボットは有罪の判決を受け、解体されることになります。解体場に連れて行かれる途中で、例の女の子がロボットを見つけ走って来ますが、そこにやってきた輸送用のワゴンに轢かれそうになります。ロボットはダッシュして女の子を拾い上げニーナに向かって投げ、女の子は助かりますが、ロボットはワゴンにぶつかりバラバラになります。
トワイライト・ゾーンの”Still Valley”を観ました。アメリカで南北戦争の最後の頃です。南軍の兵士が近くの村に北軍の部隊がやってきたのを偵察に来ますが、そこでは何故か北軍の兵士達が全員動作の途中で固まってしまって動かない状態になっていました。そんな中ある家の中に一人の老人がいて、この老人だけが動いていました。兵士が問い質すと、老人は一冊の古ぼけた本を差し出します。それには「魔術」と書いてありました。老人が言うにはこの本に書いてあることを読んだだけで、北軍の兵士達は動けなくなったそうです。実際に南軍の兵士もその老人のある呪文で動けなくなります。しかしその老人は死の間際だったため、その本を兵士に託して死にます。兵士はその本を使って北軍のある部隊の進撃を止めます。しかし、上官に咎められ、悪魔の力を使うべきではない、ということでその本が焼かれます。そこはゲティスバーグでした。














ウルトラQの「あけてくれ!」を観ました。これが第28作で最終回です。最終回でようやく怪獣の出ない、トワイライト・ゾーン的な話になりました。実は撮影順では第4作で、途中で怪獣ものの人気が出たため、お蔵入りになっていて、ようやく最後に放送された、ということのようです。現実から逃避してどこか遠くへ行ってしまいたい人が迷い込む、空飛ぶ電車がちょっと銀河鉄道999を思わせます。(こちらが先です。)ウルトラQの元々のタイトルであるアンバランス・ゾーンというのにはぴったりの話です。うだつの上がらないサラリーマンを演じているのは、ケムール星人の回で敏腕刑事を演じていた人です。SF作家の友野は仮面ライダーの死神博士で有名な天本英世です。うーん、ずっとこの路線だと子供には人気が出なかったと思いますので、怪獣路線にしたのは正解と思います。