家庭用消毒剤の研究

色々とネットで取り寄せて、家庭におけるベストな消毒剤とは何かを研究しています。元々会社で医療機器用の電子部品の調査を数年間やっていて滅菌装置であるオートクレーブについても調べたりして、私はこの話題に関してはそれなりに知識があります。
今日の新顔は「オスバンウオッシュ」(後列の左から2番目)という、塩化ベンザルコニウム、一般に言う「逆性石鹸」です。普通の石鹸は陰イオンですが、逆性石鹸は陽イオンです。それでマイナスの電位を帯びた細菌などを惹き付け菌を殺します。ただ、分類上は元々が「低水準」の消毒薬であり、効果が限定されます。コロナウィルスへの効果も今の所確認されていないようです。
オキシドールは昔から家庭でも良く使われていましたが、血の中のカタラーゼと反応して酸素を出してそれで消毒します。カタラーゼがなくて酸素が出ない場合も殺菌効果はありますが、時間がかかります。また切り傷、擦り傷で昔はオキシドールが使われましたが、しみるのと皮膚の細胞自体を痛めるので、明らかにやばい細菌やウィルスが傷口に入ったと思われる場合を除き、単に流水で洗うだけの方が無難です。
アクアクは次亜塩素酸ナトリウムですが、飲料水の消毒用です。

トイレの消毒とバスルームの掃除

コロナウィルス騒ぎで清潔本能(?)が目覚め、今の所に住み始めて初めてトイレを次亜塩素酸ナトリウムで消毒。そしてかなり久し振りの浴室の掃除に着手。結果、しつこいカビなどが取り切れてはいませんが、それなりには綺麗になりました。リンレイのウルトラハードクリーナーを使いました。このクリーナー、以前はネットでしか買えなかったのですが、最近はドラッグストアで普通に売っています。

我が家の消毒体制

我が家の家庭用としてはほぼ完璧な消毒体制です。エタノールは何とか入手はしましたが、医療用ではなく、洗浄用の工業用ですが無いよりはましかと。キッチン泡ブリーチ、キッチンハイター、ピューラックスはすべて次亜塩素酸ナトリウムです。ポビドンヨードは、うがい薬のイソジンと同じヨウ素剤。昔傷の消毒に良く使われたヨードチンキ(ヨーチン)をより安全に改良したものです。アルコールよりも消毒効果が長続きします。IPAは先日紹介したもので、イソプロパノールに30%ほど精製水を加えたものです。

フローレンス・ナイチンゲール

ナイチンゲールについてちょっと知りたくなって(もちろん子供の時から名前は知っていますが)Amazonでポチってみたら、子供(中学生程度)向けの伝記でした。それでも色々なことを知ることが出来ました。ナイチンゲールというとクリミア戦争の時の野戦病院での、慈愛に満ちた「ランプを掲げた淑女・天使」のイメージが一般に通用していますが(それはビクトリア朝において作り上げられたイメージでもありますが)、実際の彼女は「戦う女性」でした。ありとあらゆる社会の不平等や不道徳と一生をかけて男性中心のビクトリア朝の社会の中で戦った女性でした。プルーストの「失われた時を求めて」の中に、真の慈愛の化身というような人は、実際にはいかなる憐憫も同情も顔に出さない、人を傷つけるのを恐れない、しかしそうした優しさを欠いた、感じの悪い、しかし崇高きわまりない顔こそ真の善意の顔である、というのが出てきますが、まさしくナイチンゲールこそそういう女性でした。
また独学で数学と統計学を学んで(グラフの一種であるレーダーチャートを発明したのはナイチンゲールだったってご存知でしたか?)、病院建築・病院経営の合理化にも尽くした人で、これまで思っていたよりはるかに巨大な方でした。新型コロナウィルスの蔓延の中、たった今も世界の多くの場所でナイチンゲールの精神を受け継いだ看護師さんが病気と闘う患者さんをケアしています。

家庭での消毒剤

イソプロパノールの70%液を取り敢えず2本(2L)作りました。これで当分コロナウィルス消毒用としては十分です。(前も説明しましたが、コロナウィルスには十分な殺菌効果があっても、エンベロープと呼ばれる脂質の膜を持っていない親水性のウィルス(ノロウィルス、ポリオウィルス、アデノウィルスなど)には効果がありません。)

一般家庭用の消毒剤としては、こうしたアルコール類と次亜塩素酸ナトリウムがあれば取り敢えずは十分のようです。またポビドンヨード(イソジン)も消毒剤として使えます。

次亜塩素酸ナトリウムについては、一般的な製品としてはキッチンハイター、ハイター(以上花王)、キッチンブリーチ、ケンミックス4(健栄製薬)などがあります。その他医薬品扱いなのはミルトン(キョーリン製薬)、ピューラックス(オーヤラックス)など。家庭での殺菌に使うには安価な家庭用で十分です。キッチンハイターは台所用、ハイターは洗濯用(漂白用)です。キッチンハイターの方は次亜塩素酸ナトリウム以外に界面活性剤が入っています。ですので消毒用途であればただのハイターの方がいいかと思いますが、キッチンハイターでももちろん殺菌は出来ます。なお花王にワイドハイターという漂白剤もありますが、こちらは中身は過酸化水素(オキシドール)です。オキシドールにも殺菌効果はありますが、薄めて使うものではありません。何も付かないハイターの方をお使いください。

次亜塩素酸ナトリウムの注意点としては、
(1)消毒する物の表面が汚れている場合は効果が落ちます。まず洗剤で洗ってから、次亜塩素酸ナトリウムで処理します。
(2)必ず製品の説明にある通り薄めて使ってください。(水4Lにキャップ一杯など。元の製品の濃度によって違う。)
(3)パルプ製品(紙)に染みこませると次亜塩素酸ナトリウムは分解します。拭いて使う場合にはキッチンペーパーやティッシュペーパーではなく清潔な布やガーゼなどを使ってください。
(4)酸と混ぜると塩素ガスが発生し大変危険です。
(5)開封しないハイター類は3年くらい保ちますが、開封した後は塩素濃度が低下していきます。半年くらい経ったら新しい物に変えた方がいいです。また出来るだけ冷暗所に保管した方がいいです。
(6)ステンレスを含む金属に対する腐蝕作用がありますので、こうしたものの殺菌にはアルコールを使った方がいいです。

参考書籍:玉川進編著、「消防職員のための消毒・滅菌・感染症対策マニュアル」、東京法令出版

IPA(イソプロパノール、イソプロピルアルコール、2-プロパノール)について

新型コロナウィルス騒ぎでのマスクの不足はまだまだ続いていてドラッグストアなどで見かけることはありません。しかし、Amazonで売られているマスクの価格は一時期の一枚200~500円という超高値から、今日みたら1枚60円くらいに下がってきましたので(何でもない時は1枚41円ぐらいでした)、政府の高値転売禁止措置が効果を上げて来たのでしょうか。また紙類は潤沢ではありませんが、一家族一セット限定ではトイレットペーパー、ティッシュペーパー、キッチンペーパーいずれも買えるようになって来ました。その一方でまったく品不足の解消がされないのが消毒用のアルコール類です。こちらについては世界的に供給不足と思われますので、短期的には解消しないと思います。私は家でいつもアルコールティッシュを使っていましたが、これがまた品不足で、売っていても価格が5倍以上したりします。なので苦肉の策ですが、IPA(イソプロパノール、イソプロピルアルコール、2-プロパノール)を使って自家製のアルコールティッシュを作りました。(純水タイプのウェットティッシュは入手可能ですので、これの容器の中に濃度70%のIPAを入れました。)IPAはエチルアルコールと良く似ていますが、エチルアルコールより2倍程度毒性が強く(絶対に飲んではいけません)、また殺菌出来る菌がエチルアルコールより少ないです。(具体的には親水性ウィルスと言われるライノウィルスなどにはまったく効果がありません。)しかし、脱脂効果はエチルアルコールより強いので、コロナウィルスにはむしろエチルアルコールより殺菌効果は高いと思います。AmazonでIPAは1リットル1,030円くらいでした。これはおそらくいつもより高いと思いますが、無水エタノールは今500mlで4,000円くらいしますから、それに比べたら1/8ぐらいの価格です。また在庫もありました。(申し上げておきますが、これを読んでIPAを買い占めて高値で転売したり、必要もないのに大量に買ったりしないでください。病院で必要なものが無くなったら問題です。)更には脱脂効果が高いということは手指の消毒に使うと手が荒れますので、手指の消毒は石鹸で洗った方がいいと思います。刺激性も無水エタノールよりはるかに強いです。またそのまま99.99%の純度で使うと、拭いた時瞬間的に蒸発するため消毒効果がほとんどありません。消毒効果を出すためには10秒くらい表面に残る必要があります。このため精製水等で70%の濃度に薄めて使います。また常温で引火しますので、火気厳禁で保管する必要があります。一応申し上げておくと家庭で使われる眼鏡クリーナーとかOAクリーナーにもIPAは含まれています。病院でも無水エタノール99.99%の純度のものは酒税法上お酒とされ税金が高いため、通常は若干のIPAを混ぜてお酒として飲めないようにして、税金を抑えて価格を下げたものが清拭用に使われています。(価格の問題がなければ無水エタノールの方が安全性が高い{といってもご承知の通り短時間に大量に摂取すれば急性アルコール中毒で死に至ります。}ですし、また殺菌出来る菌の種類も多いです。)

鉄道のトイレに石鹸を!

左は小田急線登戸駅のトイレ、右側はJR南武線の登戸駅のトイレです。ご覧の通り、小田急線が曲がりなりにも石鹸水のボトルを2月より置くようになったのに対して、JRの方にはまったくありません。私の経験では、JRの駅のトイレで石鹸類を置いているのは昔から非常に限られた駅だけです。(香港でSARSが流行った時にチェックしたことがあります。)こんなの感染の拡大の被害に比べたら大した経費じゃないと思うのですが。

ググったらここに鉄道各社のトイレにおける石鹸設置状況の調査結果がありました。

イギリスの新型コロナウィルス対策

イギリスのコロナウィルス対策、賛否両論がありますが、少なくともエビデンスに基づいて科学的に決められたという意味で、日本の政策とはまるで違います。
ボリス・ジョンソンも安倍晋三は私に言わせればポピュリストですが、同じポピュリストでもボリスの方が今回の対応についてはずっとまともだと思います。
イギリスでは学校の休校は3ヵ月くらいやるなら感染の拡大を防ぐ意味があるけど、それはマイナスの方が大きすぎる。またスポーツ観戦等の自粛を求めるのも、今後ウィルスとの戦いが数ヶ月続くことを予想すると、初期からあまり規制すべきではないとしています。これは私も同じ意見で、今の日本みたいに学校を休校にしたりイベントの自粛を求めることは、感染のピークの数字を下げることには貢献するでしょうが、感染が治まるまでの期間をむしろ長くしかねません。イギリスは集団免役という考え方で、感染者の増加を無理に押えず、一度感染した人の免疫によって高齢者などの感染すると危険な人へのウィルスの広がりを押えようという発想です。これが本当に上手くいくか現時点では分りませんが、一つの合理的な考え方だと思います。また、イギリスがウィルス感染は少なくとも数ヶ月は続くと考えている所からして、中国の新型コロナウィルス終息宣言は実に嘘くさく響きます。おそらく本当の感染者数を隠しているのだと思います。

肺炎について整理

肺炎について誤解が多いようなので、整理。
以下の結論は、「今回の新型コロナウィルスは日本で年間に10万人近い死者が出ている肺炎の原因に新たなウィルスが一つ付け加わったというだけ。肺炎の致死率は元々10%近くもあり、コロナウィルスに限らず高齢者がかかった場合は重症化しやすい。大騒ぎしないで冷静な対処を。」

1.肺炎は「百日ゼキ」「風疹」のような特定の病気の名前でなく、文字通り「肺が炎症を起こしている」状態の総称。
2.肺炎は日本人の死因の第5位で、2018年には9万4654人(1日平均259人!)が肺炎で亡くなっている。
3.肺炎の原因 下記の通り沢山あります。
(1)細菌
肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌(ウィルスとは違う)、肺炎桿菌など多数
(2)ウィルス
各種インフルエンザウィルス、アデノウィルス、麻疹ウルス、SARSウィルス、MARSウィル、今回の新型コロナウィルスなど
(3)マイコプラズマ
(4)真菌類(カビの仲間)
(5)複合型
ウィルス性の肺炎になって体力や免疫力が下がって細菌性の肺炎にもなる場合がある。
(6)その他(誤嚥性肺炎→口から取った食べ物が間違って肺に送られ、その食べ物中の細菌などで肺炎になるもの。)

多くの場合(30%以上)、肺炎の原因を特定することは困難です。特に高齢者の場合。

4.肺炎の死亡率
全日本民医連の2014年の統計によれば病院での肺炎患者の死亡率は、「2014年の重症度別死亡率は、「未回答」ないし肺炎患者が「0」であった18病院を除く67病院の集計で[軽症20/1280=1.56%、中等症345/5455=6.32%、重症196/1258=15.58%、超重症211/569=37.08%]となり、全死亡率は772/8562=9.02%でした。ちなみに「市中肺炎」全死亡率は、集計を始めた2011年9.18%から2012年9.17%、2013年8.93%と9%前後で推移しています。」

5.肺炎の治療法
細菌によるもの→抗生物質が有効。
ウィルスによるもの→抗ウィルス剤があればそれが有効だが、ほとんどのウィルスには抗ウィルス剤が無い場合が多い。
後は対症療法で安静にし、身体を冷やさないように、適度な水分を取るなど。呼吸困難を起こしている場合には人工心肺の使用。

ちなみに、私は2007年の4月に肺炎で会社を10日ほど休んだことがあります。その時も原因は不明でした。
症状は多少の熱と身体のだるさくらいで、セキも大したことがなかったです。
細菌性だと黄色いタンが多く出るみたいですが、その時はそういうことなかったので、おそらく何かのウィルスだと思います。

今こそ最大多数の最大幸福を

民主主義の国での政治の目標は「最大多数の最大幸福」に尽きるのではないかと思います。今、多くの国でコロナウィルスの感染者と死亡者を可能な限り低く保つために、多くの極端なことが行われています。しかし、コロナウィルス、感染しても38度くらいの熱しか出ない弱毒性のウィルスを抑え込むのに、犠牲にしているものが多すぎると思うのは私だけでしょうか。コロナウィルスさえ抑え込めば、その対策のためにリーマンショックの時を超える大不況となり、多くの人が失職してもいいのでしょうか?自殺の要因の内、一番大きいのは経済的な困窮だと思います。今でも日本では年間2万人に近い人が自殺していますが、コロナウィルスによる死者を例えば500人未満に抑えるために、そのため何千人もの自殺者が出てもよいのでしょうか?
コロナウィルス対策をやるなとは言いませんが、WHOはウィルスの脅威ばかり煽り、それがどれほど世界経済にダメージを与えているかまったく自覚していないように見受けられます。また、日本の政府は高校以下の学校閉鎖といったこれまで一度も行われていないような極端なことをやりながら、既に生じている大経済危機の対策には、予算の予備費によるきわめて小手先のことしかやっていません。日本では2019年の10-12月期で、GDPの成長率で年率換算で-6%以下という、既にリーマンショックの時を下回る成長率になっています。そこにこのコロナウィルス騒ぎで、空恐ろしく思います。日本政府は極端なことを言えば、消費税率を5%ぐらいにまで戻すくらいの大胆な政策を至急検討し実施すべきではないでしょうか。今の日本の労働者の約1/3は非正規労働者です。大不況に突入すればまたこの非正規労働者の人が真っ先に犠牲になるのが目に見えています。