「原子力潜水艦シービュー号」の第1シーズンのまとめ

「原子力潜水艦シービュー号」の第1シーズンのまとめです。
全32話で、1964年から65年にかけて放映されています。各話のタイトルは以下の通りです。
Eleven days to Zero、The City Beneath the Sea、The Fear makers、The Mist of Silence、The Price of Doom、The Sky is falling、Turn Back the Clock、The Village of Guilt、Hot Line、Submarine Sunk Here、The Magnus Beam、No Way Out、The Blizzard Makers、The Ghost of Moby Dick、Long Live the King、Hail to the Chief、The Last Battle、Mutiny、Doomsday、The Invaders、The Indestructible Man、The Buccaneer、The Human Computer、The Saboteur、Cradle of the Deep、The Amphibians、The Exile、The Creature、The Enemies、Secret of Loch、The Condemned、The Traitor

全体の印象は一言で言うと「ぬるい」というもので、SF的な話にしても、スパイ的な冷戦ものにしても、もう一つ詰めが甘いという感じで、特に特撮はちゃちです。特に”The indestructible man”の宇宙の調査から戻って来たロボットはひどいですね。後はリアリティの点でかなり疑問が残るということです。一応タイトルは「原子力潜水艦シービュー号」で「原子力」が頭に付いているのですが、その原子力エンジンがトラブって放射能が漏れるといった話は0であり、”Submarine Sunk Here”の回に至っては、シービュー号は機雷に接触して沈没してしまうのですが、その時も放射能による海洋汚染とかに関してのセリフは一言もありません。
さらに良く分からないのが、シービュー号の位置付けで、一応民間の団体である「ネルソン海洋研究所」の所属であり、クレーン艦長も何度も”civilian”だと言っています。しかしその一方でシービュー号は最先端のポラリス型核ミサイルを18基も搭載していて、この面では完全に軍の管轄下にあります。またネルソン提督もクレーン艦長も何度も国からスパイ活動を命じられています。
さらには、番組の中で何度かシービュー号は「最強の兵器」だということが強調されます。しかしながら各ストーリーの中でシービュー号の強さが際立つ、という話はほとんどなく、特に巨大タコ、巨大クジラ、巨大クラゲという海中巨大生物ものの話では、ともかく巨大生物に体当たりされてシービュー号のどこかが故障し、というのがほとんどルーチンでした。シービュー号の武器としても常には使えない核ミサイルを除くと後は魚雷が4門だけで、しかも近距離の敵には使えません。巨大クラゲの時などは電撃を使っていましたが、その程度です。
また、フィルムの使い回しも各所で見かけられ、特に非道かったのが、”Turn Back the Clock”の回で、映画ロスト・ワールドのシーンをまったく変えないでそのまま使い回しています。(どちらにもデヴィッド・ヘディスンが出ています。)氷山の間から海面へ浮かび上がるシーンも多分映画版のをそのまま使っています。
良いと思うのはネルソン提督役のリチャード・ベースハートの演技ですね。これに対し、クレーン艦長役のデヴィッド・ヘディスンは何というか暗い感じがしてあまり好きになれません。
それから、全体を通じて脚本家の間で設定の共有化が図られておらず、お互いに矛盾する話があります。特にひどいのは核ミサイル発射の扱いで、”Doomsday”ではフェイルセーフシステムがあって、鍵を持っている4人がそれぞれ解錠操作をして押ボタンを露出させ、なおかつ大統領の許可がないと核ミサイル発射が出来ない筈が、”The Buccaneer”の回では、シービュー号を乗っ取った大泥棒がいとも簡単に核ミサイル発射を命じています。(クレーン艦長がミサイルの発射装置の配線を切断したのでその時はミサイルは発射されていませんが。)
第1シーズンで好きな話は、サンタクロースではないかと思われる不思議なキャラクターが出てくる”Long Live the King”です。おそらくはクリスマスの前後に放映されたのだと思います。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The traitor”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The traitor”を観ました。この話が第1シーズンの最後です。これまた冷戦もので、ネルソン提督の妹が敵のスパイによって誘拐されます。(この妹がネルソン提督の唯一の身内であることが語られます。とするとネルソン提督は独身を通しているということになります。)これによってネルソン提督は「某国」スパイより、アメリカが世界の海底の多くの箇所に設置している核ミサイル発射サイロの正確な場所を教えるよう迫ります。ネルソン提督は仕方なく地図データを渡します。何とこのスパイが実はアメリカの諜報機関の大物で、このスパイ自身がシービュー号が各サイロのミサイルが正常に待機していることを確認する航海に同乗します。目的はネルソンが渡した地図データが正しいものかどうかを確認することです。
というストーリーなのですが、この脚本は割りに良く出来ていて、結局ネルソン提督はアメリカを裏切ったのではなく、アメリカの諜報機関の中にいる裏切り者を発見するためのトラップを仕掛けたということで、誘拐された妹は実はアメリカのエージェントの女性でした、という結末です。
ディスクの裏面にクレーン艦長役のデイヴィッド・ヘディスンのインタビューが付いています。それによると、ヘディスンは「ロスト・ワールド」の台本が馬鹿馬鹿しいと思っていて、この映画を撮っている時は常に憂鬱だったそうです。それでアーウィン・アレンから「シービュー号」に出て欲しいという依頼があった時、最初は断ったそうです。しかし、リチャード・ベースハートがネルソン提督役で出ると聞いて、ベースハートのファンだったヘディスンはクレーン艦長役を承諾したとのことです。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The Condemned”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The Condemned”を観ました。これもまた海の中の巨大な怪物ものですが、ちょっと違うのはシービュー号のこれまでの圧壊深度をはるかに超えた深さ(1万メートル以上)への潜水という話がからんでいることです。ある有名な深海探検家を父親に持つ科学者が、潜水艦での新しい気圧コントロールの方法を発明し、それをシービュー号でテストしようとします。要は潜って水圧が増したら、それと同等の内圧をかけるという方法で、通常の圧壊深度(シービュー号で1200~300メートルぐらい)をはるかに超える深度まで潜ることを可能にした、というものです。テストは成功してシービュー号は10,000メートル下の海底に着きますが、そこで謎のへドラみたいな怪物に襲われ、という話です。結局この科学者は理論は考えついたものの、実際の装置はすべてエンジニアに任せきり、ということだったのですが、そのエンジニアは心臓が悪く、テスト中に死んでしまいます。結局その科学者は責任を取るつもりで、10,000メートルの海底で(通常の)潜水服でシービュー号の外に出て(すぐに1000気圧以上の水圧で押しつぶされる筈ですが…)ライトで怪物の気をそらしてシービュー号を救うという話です。一見科学的のように見えて実は各所で無茶苦茶という、アーウィン・アレンのドラマらしい話でした。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The secret of the loch”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The secret of the loch”を観ました。タイトルは日本語にすると「湖の秘密」で、ウルトラセブンの第3話(エレキングが出てくるの)と同じです。”loch”はスコットランド方言での湖のことです。で、当然「ネス湖」の話です。アメリカとイギリスがネス湖の側の地下に秘密基地を作ってある最終兵器を研究していましたが、ある晩、一人の博士を残して「怪物」に襲われ皆死にます。ネルソン提督は死んだ博士に渡す書類を預かっていました。生き残った博士はシービュー号に乗り込み、海からネス湖に入る経路を教えます。そのコースでネス湖に入ったシービュー号ですが、途中博士が爆薬を使ってシービュー号の魚雷発射システムを壊します。ネス湖に着いて怪物を発見しましたが、それは怪物の形の「某国」の潜水艦でした。(というのはこの怪物が最初に出てきたときにすぐ想像が付きました。)シービュー号はその潜水艦の魚雷の射程内で、こちらからは魚雷が撃てないという状況に陥ります。相手は博士とネルソン提督がミニサブで書類を届けるように命じますが、ここでネルソン提督がうまく博士を騙して、ミニサブを無人で発進させました。無線誘導で敵艦に向かっていったミニサブには実は爆薬が満載してあり、相手潜水艦は見事に轟沈される、というオチです。しかし、この怪物型潜水艦、確かにどこかで見たことがあります。また、今回のはやたらとスコットランド方言が混じって聴き取りにくかったです。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The enemies”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The enemies”を観ました。今回も「某国」の陰謀もので、”People’s republic”が出てきますが、今回のは明らかに中国。(北朝鮮という可能性もなくはないですが。)国籍不明の変な博士がお茶碗に箸でご飯食べています。(写真)
シービュー号とランデブーする予定だった潜水艦アングラーが、全速力で海底の岩礁に衝突し沈没するという事故を起こします。その艦の艦長と航海士はクレーン艦長の友人でした。沈没した潜水艦からテープレコーダーを回収し、事故の経緯が分かります。それは艦長と航海士がささいなことから口論を始め、それが殴り合いにエスカレートし、とうとう艦長が機関銃を取り出し、その航海士だけでなく、操舵室にいた全員を撃ち殺したために起こった事故でした。そのテープによると、艦長と航海士がある島に上陸して調査した後から二人の仲が悪くなったようです。ネルソン提督とクレーン艦長はミニサブでその島に上陸して調べますが、あちこちに監視カメラが仕掛けられ明らかに誰かが住んでいます。また山猫2匹がお互いに殺し合いをして死んでいました。二人は洞窟を見つけそこにドアを見つけ中に入ります。中にいたのは中国軍で二人は捕まります。この島では中国軍が、人間同士を仲違いさせ憎み合わせる薬物の研究を行っていました。基地以外の全ての水には薬物が混ぜられているため、島の植物や果物にもすべて薬物が含まれていました。中国軍はネルソン提督とクレーン艦長をまず薬を使わないで憎み合うように仕向けますが、それはうまくいきません。二人の友情が本物であることを確認してから、二人に銃を持たせわざと逃がします。逃げている時にクレーン艦長は島の果物を食べてしまい、薬物を摂取してしまいます。二人は監視カメラを動作しないようにしますが、その内クレーン艦長は薬が効いてきて、ネルソン提督を殺そうとします。ネルソン提督は逃げ回っている内に基地の人間用の給水源を見つけ、そのホースの取水口を切り替えてその水も薬物が入ったものになるようにします。そしてその水を飲んだ中国軍の将軍が二人を直接射殺しようと追いかけて来ます。ネルソン提督とクレーン艦長はもみ合いになりますが、その内に銃声を確認したシービュー号からチップ副長以下がボートで駆けつけ、危ない所で二人を引き離します。シービュー号で手当を受けてクレーン艦長は正気に戻ります。しかし、冷戦時代の中国って、そんな大規模な陰謀を行える程実力があったのか、私には疑わしいです。

「ボヘミアン・ラプソディ」

「ボヘミアン・ラプソディー」観て来ました。フレディ最高!自分をミュージシャンやアーチストではなくパフォーマーとしている所が素晴らしいです。私はボヘミアン・ラプソディーのイメージからクィーンがヨーロッパのクラシック音楽とオペラの伝統を背景にしたロックバンドと思っていましたが(実際メンバーは大学出の結構インテリ、またフレディもインドでイギリス式のパブリックスクール出身)、フレディがゾロアスター教徒でインドからザンジバルに移住し、更にザンジバルから追われて難民のようにロンドンにやって来たことを知りませんでした。この映画が今作られた理由は明白で、移民を嫌悪し、また少数派に対する敵意が剥き出しになっている現在、ある意味また振り子の揺り戻しのように元に戻そうとする主張のように思いました。実際フレディこそ、移民による多様性が新しいパワーをある国にもたらす、という良い例のように思います。
また私の世代が今の若い世代より良かったと思うことは、共通の音楽体験を持てたことです。このクィーンなんかまさにその典型です。実際、映画館で沢山の同世代の人を見ました。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The creature”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The creature”を観ました。今回は巨大マンタでしかも超音波を発することが出来るというのの登場です。アメリカがある孤島で新しいミサイルの発射実験を行っていたら、発射直前に音波による妨害を受け、結局発射前にミサイルが爆発し、20人が犠牲になります。その指揮官だった男がシービュー号に乗り込んで来て、妨害が「某国」によるものか自然からのものなのかを突き止めようとします。それで結局、原因は超音波を発する巨大マンタだった訳ですが、その男が調査のため同じ種の小形のマンタを捕まえたため、小形のマンタは超音波で親を呼び、シービュー号は攻撃を受けます。ネルソン提督はその子マンタを逃がすよう命じますが、とち狂った男は部屋のドアを開かないようにし、録音してあった超音波を発し続けます。以下は省略しますが、大ダコ、大クジラ、大イカ、大クラゲと来て、今回は大マンタで、ほとんどどれも代わり映えがしないように思います。

「原子力潜水艦シービュー号」の””The exile”

「原子力潜水艦シービュー号」の””The exile”を観ました。今回も「某国」の冷戦もの。その国のことを”People’s republic…”と呼んでいて、この間のは「中国」のことかと思ったのですが、どうも社会主義国のどこか、という感じで使っているみたいです。その国の首相が失脚し銃殺されそうになりますが、仲間が助けて、その大統領はアメリカに亡命したいと言ってきます。その代償にその国のミサイル基地の情報がわかるマイクロフィルムを渡すというのが条件です。ネルソン提督は大統領からそのマイクロフィルムが本物かどうか確かめるという任務を命じられます。しかし、その元首相が乗ったヨットは、某国の飛行機の攻撃を受け、ネルソン提督を含めて乗っていたものは海へ投げ出されます。しかし誰かが咄嗟に救命ボートを用意して、生き残ったものがその救命ボートに乗り込みます。途中仲間割れとかがあってボートのメンバーは一人また一人と減っていき、最後はネルソン提督と元首相だけになります。途中でマイクロフィルムに移っているのは防衛用ミサイルの基地で攻撃用ではなく、実はアメリカを騙してその国を攻撃させ、戦争に導いてその後元首相がその国に戻るという計画でした。ネルソン提督は結局自分が水を飲んだ後、残りの水を捨て、元首相が喉の乾きから海水を飲むように仕向けます。結局ネルソン提督が生き残り無事シービュー号に救助されます。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The Amphibians”(両生類)

「原子力潜水艦シービュー号」の”The Amphibians”(両生類)を観ました。ある博士が人間が完全に海底で生活できるかという実験のための海底基地を作り、海から全ての食料を取り出して半年が経過。それだけならまだしも、博士は人間の体温を魚なみに下げ、喉に人工のエラをつけて両生類人間を作ることに成功。そして自分自身を両生類人間にしただけでなく、ダイバーを捕まえて次々に仲間を増やしていきます。その海底基地の酸素使用量が予定より20%も少ないことに不審を持ったネルソン提督がクレーン艦長とシービュー号に調査を命じ…といった話。結局人体を改造するのに使った薬物が脳神経に作用して人間の野心と残酷さを助長し、という感じで、シービュー号は両生類人間に爆破されかけますが、何とか助かり、等々という内容です。写真は水槽の水の中で寝ている改造された女性ダイバーです。何か私の世代だとショッカーの改造人間手術を思わせます。

「原子力潜水艦シービュー号」の”Cradle of the deep”

「原子力潜水艦シービュー号」の”Cradle of the deep”を観ました。今回も変な話でウルトラQぽいもの。ややマッドサイエンティストめいた人が、タンパク質から生命を作り出す研究をしていてある程度成功し、それを更に進めるには深海にあるある物質が必要で、ということでシービュー号に依頼がかかります。しかし提示された場所は「潜水艦の墓場」と呼ばれた難所で、クレーン艦長は反対しますが、ネルソン提督の命令で仕方なくそこに向かいます。その地点で必要物質を採取し、試験物質に加えた所、手応えがあって、タンパク質は生命と化して成長を始めます。その科学者はシービュー号に24時間その地点に留まるように依頼しますが、地震計が大きな海底地震の徴候を示しており、シービュー号は間一髪で脱出します。その間に人工生命は一晩で急速に成長しました。その成長速度は速く、コンピューターに計算させたら、3時間で倍の大きさになります。ネルソン提督は人工生命がシービュー号を破壊しない前に全速力で基地に戻るように命令します。しかしネルソン提督とクレーン艦長が眠っている間に、艦は円を書いてぐるぐる回っていただけで、同じ位置に留まっていました。その間指揮を執っていたチップ以下は全員酔っ払ったようになっています。これは、「謎の円盤UFO」でも出てきましたが、低酸素状態が長く続いた時の症状で酩酊状態とそっくりになります。人工生命は酸素を元に成長しており、それが艦内の酸素をかなり吸ってしまったため、窒素濃度が高くなって低酸素症を引き起こしたのでした。結局人工生命が大きくなりすぎない内に基地に戻るのは不可能になり、ネルソン提督も人工生命の抹殺を決断します。人工生命は炭素を取り過ぎると駄目になるということで、シービュー号中の消化器が集められ二酸化炭素が放出され、何とか人工生命を倒しますが、元々その人工生命を作った科学者は人工生命に押しつぶされて死亡します。ネルソン提督は旧約聖書の創世記を読んで、人間が生命の創造なんかに手を出してはいけないんだ、みたいな科学者とは思えないことを言って終わりとなります。