NHK杯戦囲碁 羽根直樹9段 対 芝野虎丸7段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が羽根直樹9段、白番が芝野虎丸7段という注目の一戦です。布石は羽根9段があくまで従来風のじっくりした布石を目指したのに対し、芝野7段はAI風の手を繰り出し、右下隅に右辺からかかって黒が4間に緩やかに挟んだ時、いきなりその石の左に付けるといういかにも今風の打ち方をしました。羽根9段はそれに対し慌てず騒がずじっくり地を稼いで対抗します。しかし右上隅から右辺での折衝で黒が延びてすかさず白に2目の頭を叩かれたのは失着で、すかさず切り込みを打たれ、右辺下部で白の下がりを先手で利かされたのは問題でした。その後も芝野7段の自由奔放な打ち回しは続き、白が有望な局面になりました。ここで羽根9段は上辺の黒と連絡しながら左辺に進出すれば普通でしたが左上隅で白が星から小ゲイマに開いている石に付けていきました。白は当然その間を割いていきましたが、黒は左辺に地を持って頑張り、中央の黒は上辺から切り離されそうになりながらも、何とか駄目をつながる手を打って辛抱し、結果として形勢を盛り返しました。この辺り若干白が優勢を意識して堅く打ち過ぎたように思います。その後白は右下隅に飛び込む大きなヨセを打ちましたが、羽根9段は後に右辺から出て白が押さえた時に白の一間トビに割り込む手を用意していました。この手は芝野7段は予測しておらず、打たれた時、いつもはポーカーフェイスの芝野7段も一瞬顔色が変わりました。結果として黒は右下隅で白1子をもぎ取り、ここで形勢がはっきり黒良しになりました。中央の白地も最終的には大きくはまとまらず、終わってみれば黒の5目半勝ちでした。羽根9段の後半の逆転が見事でした。

研ぎ水を弱アルカリ性にする。

天然砥石の中には、研ぎ汁が酸性になるものがあり、そういう砥石で鋼の包丁を研ぐと、研いだ後すぐに錆が発生します。手持ちの天然砥石では巣板の2つが、リトマス試験紙でテストしてみたら研ぎ汁が酸性になっていました。それではどうすればいいのか、ということですが、日本刀の研ぎでも同じ現象が発生し、そちらでは研ぎ汁に炭酸ナトリウム(洗濯用ソーダ)を入れて弱アルカリ性にすることで、研ぎ汁の酸性を中和しています。
それで炭酸ナトリウムを注文しましたが、それが届いたので、早速研ぎに使ってみました。取り敢えず研ぎ桶(台所の流しに収まるくらいの桶)に7分目くらいに水を溜めて、写真に写っている添付のスプーンですりきり一杯入れて、pH計でpHを測定したらpH11で明らかにアルカリ性が強すぎます。結局水を3倍くらいに希釈してやっとpH10位になりました。つまり炭酸ナトリウムはアルカリ源としてはかなり強力です。多分研ぎ桶に小さじすりきり一杯くらいで十分と思います。また、手が荒れるのでゴム手袋必須です。強すぎるアルカリ性は砥石にもダメージを与える可能性があります。

日本刀用の砥石一覧

この度、改正砥、中名倉砥、細名倉砥(人造)の3種を求めて、これで目出度く日本刀に使う砥石が全部揃いました。
もっとも備水砥(びんすいと)を使っている所は、本来は伊予砥というのを使いますが現在もう生産されておらず、ネットでまだ残っているものを買おうとするとコッパレベルで3万円とかします。更には伊予砥ですら代用品で、元は福井の常見寺(じょうげんじ)砥が使われていましたが、これもとうの昔に生産されなくなっています。また細名倉も本来は天然砥ですが、これも現在入手困難で代用の人造砥が売られています。
仕上げ砥で天然砥を使う人は多いですが、荒砥や中砥まで天然砥にしようとするのは日本刀研ぎの人だけです。今は荒砥や中砥は人造砥石の方が品質が良いと思いますが、長い間伝えられてきた手法に従えば天然砥は研ぎ上がりの状態がある程度予測されるのに対し、人造砥石ではその辺りのノウハウが欠けているのではないかと思います。
私も、天然砥の中砥として、雲仙、天草を持っていますが、不純物が多くて品質が研ぐ場所によって均一ではなく、あまり積極的に使いたいとは思いません。