WHOのパニックを煽る発表を批判する。


昨日のアメリカのニュースでの「今回のコロナウィルスの致死率はインフルエンザよりもはるかに高い」という報道のネタ元は何とWHOでした。昨日、WHOが発表した、新型コロナウィルスの死亡率についての「世界的にみると、死亡率は感染者の3・4%に達するとした。季節性インフルエンザの死亡率は一般的に1%に遠く及ばないとし、新型コロナウイルスの致死率はより高いという。」(朝日新聞jの記事より)は、きわめて疑問です。
添付図を見れば分かるように、この死亡率は現在発表されている感染者数と死亡数で単純計算しただけのものです。(このデータは厚労省が発表した3月2日時点のものです。)

この致死率の発表には多くの疑問があります。
1.母数がおそらく今回のコロナウィルスの現在までの感染者数に比べ1000倍多いインフルエンザと比べることに統計的な意味があるのかということ。
2.中国を除いた場合の致死率は1.44%にしかなっていません。
3.先日、北海道では公式の発表数字よりも感染者数は10倍ぐらいあるだろうという調査結果が発表されました。これが正しければ、致死率はもっとはるかに低くなります。
4.中国の致死率の高さは初期の十分に治療を受けられなくて死亡した人が数字を上げています。医療体制が整い始めた2月中旬以降で統計を取れば、致死率は圧倒的に下がる筈です。
5.まだ感染者数拡大の途上であり、発表された致死率はあくまでも途中の経過的数字に過ぎません。
6.国別で見ると、日本、韓国、シンガポールといった比較的医療体制がしっかりしている国の死亡率は低くなっています。
7.そもそも既に予防接種も行われており、また治療薬もある程度ある既存のインフルエンザと今回の新型コロナウィルスを比べても意味が無く、比較するならそうしたインフルエンザが初めて登場した時どうだったかを比較するべきです。たとえば歴史的に最悪のパンデミックであるスペイン風邪は、感染者6億人、死者4000万人~6000万人と言われています。この場合の致死率は6.7%から10%になります。それに比べれば今回のコロナウィルスの致死率は大幅に低いです。

WHOがこういう発表をする度に、世界中でのパニックが拡大しています。そういったパニックが社会に与える悪影響の深刻さを考え、WHOももう少し発表の仕方を考えるべきだと思います。

アメリカもウィルスパニックに

毎日PodCastで英語のニュース(BBC、CNN、ABC、CBC、NBC、FOXなど)を聴いています。数日前からどこもコロナウィルスのニュースばかりになりつつあります。
日本のパニック買い占めは既にアメリカにも伝染し、アメリカでも紙類、マスク、消毒用アルコール、ミネラルウォーター、冷凍食品などが多くの地域で売り切れになっています
それ以上に驚くのが、アメリカの全国ネットのニュースが、平気でまったくのデマ情報を流していること。今日聴いたのでは「インフルエンザの死亡率は低く、今回のコロナウィルスの死亡率はそれより100倍も高い」とか言っていました。どこからそんなデマ情報が出るんでしょう。既に今シーズンアメリカで流行っているインフルエンザで1万人以上死んでいるのに。(それどころか2017-2018年シーズンでは全部で6万人以上亡くなっています。)

ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳第17回目を公開しました。

ちょっと間が空きましたが、ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の第17回目を公開しました。この部分ではシチリア島が多く登場します。シチリア島のイメージはマフィアかヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」で、どちらにしても結構暴力的なのですが、実は歴史的にはラテン文化、ギリシア文化そしてゲルマン文化が融合した興味深い場所なのだということが分かりました。

アリババのジャック・マー氏からの支援物資に添えられた漢詩句

この記事(中国のアリババの創始者のジャック・マー氏が日本からの支援のお返しとしてマスク他を送ってくれるという記事)に、最初はなかなかいい話だと思って読んでいましたが、その物資に添えられた漢詩句に絶句。「青山一道、同担風雨」だそうで、日本では青山は「緑の山」という意味よりもむしろ「人間至る所青山あり」の連想で、「青山=墓」というイメージが強いと思いますが。そういう意味で解釈すると「日本にも中国にもコロナウィルスで多数の死者が出て墓が連なり、それに風雨があたっている」となってしまいます。デジタル大辞泉の「青山」の2番目の説明は「《蘇軾「授獄卒梁成以遺子由」の一節「青山に骨を埋むべし」から》人が死んで骨を埋める土地。墳墓の地。死に場所。「人間到 (いた) る所青山あり」」です。

新型コロナウィルス対策:無策が最良の策?

スペイン風邪の教訓から、今回のコロナウィルスへの対処の個人的なアイデア。
注:以下は単なる個人の思いつきレベルで、十分な科学的な検討は行っていません。

スペイン風邪は1918年3月にアメリカのカンザス州の米軍基地から流行が始まり、約3年近く世界中に当時の人口の約1/3の感染者を生み、1920年の10月頃、ほぼ終息します。
この終息の理由ですが、当時はスペイン風邪のウィルス(H1N1亜型、実はこのウィルスの正体が最終的に確定したのは実に1997年です。)は分かっていなかったため、有効なワクチンが作られた訳でもなく、(正しいウィルスを対象にした)予防接種もまったくされていませんでした。では何故終息したかということについて、もっとも明証性が高い仮説は、世界のほとんどの人が何らかの形でこのウィルスに感染した結果として(症状がごく軽かった人は感染者としてカウントされなかった)、体内に抗体が出来、このウィルスが更に新しく感染者を広げる可能性が非常に低くなった結果終息したということです。(それからもう一つ、スペイン風邪は当時はまったく新型の病気だと思われていましたが、実は以前一度流行していたことが分かっており、1918年当時で高齢者は抗体を持っていました。)

この経験を今回のコロナウィルスに応用すると、ウィルスを封じ込めるより、むしろ早く多くの人に感染してもらって抗体を持った人を増やした方がいいのではないかということです。もちろん予防接種がすぐ可能ならそれが一番いいのですが、それにはおそらく時間がかかります。今回のウィルスに感染しても8割の人は軽症だと言われています。もちろん重症化して死に至る人もありますから、そういう人への治療体制は十分に整備しなければならないですが、全国の学校を休みにして、経済その他への重大な影響を社会に与えるより、そっちの方がトータルではマシなのではないかと思います。
そもそもマスコミがヒステリックに報道しなければ、今回の件はちょっと変わった風邪が流行っているというレベルでおしまいで、知らない内に流行って知らない内に終息していた、ということで終わったと思います。政治家も個人もまずはパニックに陥ったり、ヒステリックな対応をしないことが一番重要だと思います。

今回のコロナウィルスによる死者より、リーマンショック級の不況が引き起こされることの方がはるかに心配です。

NHK杯戦囲碁 伊田篤史8段 対 井山裕太3冠王


NHK杯戦の囲碁は、準々決勝の最終局で、伊田篤史8段と井山裕太三冠王の、ヘビー級同士の対戦です。最初から最後まで見応えのある応酬でした。局面はまず右下隅で動き、白が3子を捨て石に下辺で締め付け厚みを築きました。この厚みをバックに左辺で黒に対して5線から利かした後、左下隅から跳ね出して下辺の黒を切り離しました。白が左辺で切りを入れてここでも厚みを築き、下辺の黒の壁石の角に白が打ったのが迫力のある攻めでした。その後の攻防で白は上辺に先着し、黒は右上隅の地を囲った時、白は小目の黒に付けて利かしに行きましたが、黒は反発し、ここの攻防が一番見応えがありました。黒は最強の手を打ち右上隅も上辺もつながって上手くやったかと思いましたが、白も考慮時間を使って最善の手を打ち、ワカレとしては互角で、全局的には中央の黒がまだ弱いのに対して白がまた厚みを築き、黒が上辺に入っていくことがほぼ不可能になり、白の優勢となりました。黒はヨセでも白から先手3目の所で逆ヨセを打たれ、1目半ほど損しました。最後に劫が2箇所残りましたが、白は左上隅を捨てて最初の劫を継ぎ、そうすると下辺の黒が切り離され眼が無く、もう一つの劫が本劫になりました。黒は劫に勝つためには右上隅の一部を捨てるしか無く、先ほど左上隅で得した分より損が大きく、ここで黒の投了となりました。 井山裕太三冠王は一時期の7冠王からするとかなり後退していますが、その強さは健在でした。