本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が辻󠄀篤仁4段、白番が許家元9段の対戦です。この碁の序盤では、黒が左下隅で攻めを見られているのを手抜きし、他に先着して得を図りました。その代償で右下隅を攻められましたが、不可解だったのが形として両ノゾキが残る形を敢えて打ち、しかし実際にそこに打たれ、石の分断を避けるために白にポン抜きを許すことになったことです。白はポン抜いた後、更に切って劫を仕掛けました。黒には劫立てが無く、結局当たりの1子を延びて逃げましたが、白はその延びた黒を追って中央に厚みを築き、右下隅からの黒を狙いました。そのため黒はそちらに手を入れる必要があり、中央での競い合いで白は黒をハネることが出来ました。そしてその結果白は上辺に大きな地模様を築くことが出来ました。しかしその後上辺右で延びていれば普通だったのを押さえて、黒に切られて劫で受けました。これは明らかに白が無理気味の打ち方で、劫は白が勝ったものの、白の中央が薄くなりました。白はしかし中央の数子を捨てるかと思いきやしのぎに行きました。ここでの黒の打ち方に疑問があり、結果論としては左辺で白が取られていた2子を助けながら中央に2眼作ってしのぐことが出来、これで白の優勢が確定しました。結局地合は盤面でも白がいいということになり、黒の投了となりました。
NHK杯戦囲碁 辻󠄀篤仁4段 対 許家元9段(2023年9月17日放送分)
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